『ヘルベチカスタンダード-Helvetica Standard-』のネタバレ感想。作者はあらゐけいいち。月刊ニュータイプ(角川書店)で連載してた4コママンガ。

日常のフルカラー版?

『ヘルベチカスタンダード』は『日常』のキャラクターがたくさん登場。

ヘルベチカスタンダード ラフ画
相生祐子のラフ画なども収録されていて、ちょっとしたファンブック的な色合いも強め。

例えば、無料で書店に配布された貴重な(?)販促用ネタも多く収録されてます。

ヘルベチカスタンダード 販促用2
相生祐子が昼食の時間にメロンパンを食べてると、「賞味期限はパンの裏に記してあります」という注意書き。

ヘルベチカスタンダード 販促用1
そこでパンの裏を見ると既に食べてたー!!
「時すでに遅し」とはまさにこのことッ!!!
そもそもパンに直接記載するってどうなん?という。せめてパンの表面に書いてくれ(笑)

他にも「声禁止」と書かれた扇風機の前で正座しながら、必死に欲求を抑えて身もだえる相生祐子とか笑いました。

オリジナルネタも盛り沢山

ただ『日常』以外のオリジナルネタも盛り沢山。合計40個ぐらい用意されてます。面白かったのを何個かピックアップしてみます。

ヘルベチカスタンダード33 1
(33)
将棋対決してる雰囲気の若い棋士と老人の棋士。どうやら若い棋士が苦戦してる模様。将棋には時間制限があって、この時間内に差さないと負けてしまう。

ヘルベチカスタンダード33 2
(33)
ただ老人の棋士が思いっきり若い棋士の腕を掴んでただけ!卑怯ってレベルじゃねー!ジジイのパワー強すぎんだろ!!というか誰か止めてあげろよ(笑)

ヘルベチカスタンダード12 1
(12)
駅伝レースで時定大学の選手が、次の走者へタスキを渡そうとしてる場面。まさに「思い」を託すのが駅伝。

ヘルベチカスタンダード12 2
(12)
でも次の走者が気合い入りすぎてスピードが上がりすぎて、後ろの選手が全然タスキを渡せず、最終的に失格してしまう。ある意味、これはこれでドラマティックなレース展開ですけどね(笑)

40では「とんがりコーンあるだろ?買ったんだ久しぶりに」とうなだれる男から始まる。2コマ目ではボロボロになったとんがりコーン。3コマ目では机をバーンと叩く男。4コマ目で「指に入らなくなってた」とポツリ。そして可哀想に見つめる女。

あるけどー!大人になって久しぶりに、とんがりコーンを指にハメようとしたらショック受けるけどー!

訳の分からないノリを描き切る勇気

『日常』は数ページから最大20ページぐらいのボリューム。でも『ヘルベチカスタンダード』は4コマだから、本当に一瞬芸に近い。だからノリも更に訳が分からない。

ヘルベチカスタンダード04 1
(04)
謎の天使の少女がナマハゲに対して「ちらしずし」を言わせようとする。でもナマハゲはなまっちゃう。

ヘルベチカスタンダード04 2
(04)
天使の少女はめげずに「ちらしずし」を言わそうとするものの、やっぱりナマハゲは「つらすづす」。一体どういう状況で、何故「ちらし寿司」を言わそうとしてるのか不明。

いや、これ一生無理やろ!仮に百歩譲ってこの状況が成立してたとしても、まさに堂々巡り。田舎もんのナマリっぷりをなめたらアカンです(笑)

ヘルベチカスタンダード06 1
(06)
横山やすしバリにメガネを探してる男。しかし、コイツの勢いたるやスポーツカー並み。土煙がハンパない。コイツがまさに自分のところへ迫ってくる状況に驚く別の男。

ヘルベチカスタンダード06 2
(06)
最終的に取った手段が、まさかの発砲!? だから、おそらく一応セリフはアルファベット表記なんだと考えられます(笑)

確かにメガネをかけてないので当然止まる気配が一切ないので、その恐怖感は一瞬ぐらいだったら共有できそうですが、それにしても「どういう状況なんだよ!?」という一言に尽きます。基本4コマですが、たまに3コマや5コマ以上のネタもあります。

作者あらゐけいいちのスゴいのは、この訳の分からんノリをしっかり描ききる勇気にあります。普通少しでも一般常識が備わっていたら途中で、「アレ?俺何描いてるんやろう…」と冷静になる瞬間があってもいい。それがあらゐけいいちには一切ない。その真骨頂を垣間見た気がしました。

総合評価

Helvetica Standard <Helvetica Standard> (角川コミックス・エース)
あらゐ けいいち
KADOKAWA / 角川書店
2012-09-01


まさに「あらゐけいいち」ワールド全開の4コマ集。4コマは「始まって終わって」の凄まじい連続なので、テンションが良くも悪くも下がるタイミングがない。だから読んでる途中でふと冷静になる瞬間がなくはないです。ギャグ漫画では「落ち着く時間・何もない時間」が必要だなーと改めて感じました。ただボリュームは決して多くないので、そこまで気になりません。

ちなみにページの半分以上が『日常』ネタなので、基本的には『日常』ファンブックとして考えた方が無難。販促ネタ以外にも、『日常』に関するラフ画やイラストが多め。例えば、花札とかもファンにはたまらないかも。頭皮アップとか何やねん。100個分のバッジ絵とか、今からなかなか手に入れようと思っても難しいのが収録済み。