『究極球舞(グランドムーヴ)』のネタバレ感想。作者は椎橋寛。少年ジャンプ(集英社)19号に掲載されたサッカー漫画。作者・椎橋寛は『ぬらりひょんの孫』とか描いてた人。

あらすじ

究極球舞 南兵衛1
主人公はベネズエラから転校してきた南兵衛(みなみひょうえ)。グランドムーヴの達人。南米帰りのストライカーということで、弱小サッカー部にはまさに朗報。

ちなみにグランドムーブとは、ストリートサッカーやフリースタイルサッカーで生み出されたサッカーテクニックのこと。パナやムーンライズ、X-フリックなどダイナミックな動きは人々を魅了。ただし実践的なテクニックではなく、サッカー競技においてはあまり効果をなさないとされる。

ただ所詮は小手先のリフティングテクニック。チヤホヤされる南兵衛に噛み付く生徒がいた。それが日本代表ユースに選ばれた生徒・青西。そして二人のサッカー対決が始まるという展開。

サッカー描写がカッコイイ!

冒頭にも書きましたが、『ぬらりひょんの孫』といったバトル漫画を描いてた作者。ただ正直バトル描写などはあんまりパッとしなかったイメージがあったんですが、サッカー描写が意外に上手くて驚いた。

究極球舞 アルニザージェ
例えばトラップするだけでもカッコイイ。

ルナボルテレータという技では、軽く蹴りあげたボールに足を一回転させる。やべっちFCで矢部がよくやってる(orやらされてる)リフティング技。回転させてる足んぼ軌道が筆先でかすれさせて、その感じが良い。

究極球舞 インフェルノチレーナ
インフェルノチレーナはオーバーヘッドキック風。ラストの締めにかかる描写。一般的にはオーバーヘッドキックだと『キャプテン翼』の手足をピーンと伸ばして「ヤーー!」的なんを想像してしまいますが、小じんまりとしたバク宙感がカッコイイ。

欲を言えば、ボールの軌道がもっと派手に見えると良い。この場面ではコマが一つだけしかないので、複数のコマを利用した魅せ方があっても良かったかも。

バトル展開にも発展!?

ただサッカーの描写だけかと思ったら、バトルチックな展開にも発展。もちろん殴り合ったり蹴り合ったりすることはないものの、上記の多彩なグランドムーヴの技を使って相手を出し抜く。その描写が派手。

究極球舞 ペーシュカショーロ
ペーシュ・カショーロだと一体どんな体勢やねん!という。サッカー漫画の設定では今までありそうで、あまりなかった設定。最後までポンポンと読めちゃう。

総合評価

展開がシンプルで読みやすい。主人公のキャラクターも立っていて、青西というライバルキャラクターとの因縁の書き方も良かった。お互い反目し合いつつも友情を育んでいきそうな、今後の展開に期待を持たせる関係性。『イリーガルなんとか』はソッコー打ち切りだったので、この『究極球舞』も期待せず読んだんですが意外にも面白かった。

ずっとファンタジー系の漫画を書いてた作者さんですが、実は現代チックなスケール感の小さい漫画の方が合ってそう。堅苦しいテーマも多かった気がしますが、これぐらいポップな(?)ぐらいでちょうどいいのかも。強いて批判するなら、サッカー技名が難しいこと。

いずれ少年ジャンプかその他の雑誌で連載が始まるかも?

◯展開…★3.5◯テンポ…★4
◯キャラ…★4◯画力…★4
◯おすすめ度…86点!!!!