『ゴールデンゴールド』1巻2巻のネタバレ感想をレビュー。作者は堀尾省太。掲載誌はモーニング。出版社は講談社。ジャンルは青年コミックのサスペンスホラー漫画。絶賛AmazonのKindleや楽天などでも試し読み・立ち読みが可能です。

どっかで見たことがある作者名だなぁと思ってたら、堀尾省太といえば『刻刻』の作者。その『刻刻』は「ガチで面白いおすすめ人気漫画BEST100」でもランキング入りさせました。当然、その作者・堀尾省太が作った漫画とあれば期待せざるを得ません。

ということで『ゴールデンゴールド』が面白いかつまらないか簡単に考察してみました。この記事タイトルにもあるように結論から書くと、割りと面白いです。


あらすじ登場人物 ストーリー内容


舞台は広島県にある寧島(ねいじま)という離島。民宿こそあるものの、かなり人口は少ない過疎地域。しかも民宿と言っても、単なる小じんまりした商店。過去10年の間に宿泊客はゼロ。寧島は観光客すらほとんど訪れる島だった。

主人公は早坂商店の孫娘・早坂瑠花(はやさか・ルカ)。来年に受験を控えた女子中学生。寧島出身ではなかったが、いろいろあって寧島に住む祖母の家に引っ越してきた。

早坂ルカは「相手のオーラ」を読み取る不思議なチカラを持っていた。そのチカラのせいで相手の感情や偏見が読み取れてしまうため親友が少なかったが、何の偏見もなく接してくれる及川(おいかわ)だけはオーラを気にせずフツーに接することができた。早坂ルカはそんな及川のことが大好きだった。

ゴールデンゴールド1巻 あらすじ 早坂 フクノカミ1
(ゴールデンゴールド 1巻)
ある日、早坂ルカは海辺で奇妙な「木彫りのお地蔵」みたいな物体を拾う。さしずめ呪いの人形かミイラかといった不気味さをたたえてる。明らかに気色が悪いにも関わらず、何故かそれを持ち帰ってしまう早坂ルカ。

ゴールデンゴールド1巻 あらすじ 早坂 フクノカミ2
(ゴールデンゴールド 1巻)
そして家に帰るとさっそくゴシゴシ。ただ何度洗ってもヌメリが取れない。挙句の果てには強力な洗剤を使ってゴシゴシ。もう嫌な予感しかしてきませんが、処分に困った早坂ルカは翌朝、島唯一の神社の壊れた祠に奉納することにした。

そこで早坂ルカは目をつぶって大好きな及川のことを願う。実は及川は高校進学と同時に大阪へ引っ越すことが決まってた。小さな離島とはいえ、寧島には高校はあった。ただ及川は大のオタクだったので、大阪の日本橋にいつでも行けるのはまさに念願の夢。

早坂ルカはこれをなんとか阻止するために、「寧島にでっかいアニメイトが立ちますように」と願った。もちろんトンデモな妄想。我ながらアホらしいなと思いながらふと目を開けると、何故か早坂が置いたお地蔵らしき物体が消えている。

ゴールデンゴールド1巻 あらすじ 早坂 フクノカミ3
(ゴールデンゴールド 1巻)
ただ立ち上がった瞬間、早坂ルカの目の前にはヤツがまさかの蘇生。慌てて逃げる早坂ルカは、そのまま学校へ登校。当然友達に話しても信用してくれない。ただ及川だけは少し話に乗っかってくれた。愛しの及川への恋心も相まって、早坂ルカは少し安堵の中、帰路についた。

しかしが、しかしである。

ゴールデンゴールド1巻 あらすじ 早坂 フクノカミ4
(ゴールデンゴールド 1巻)
まさかの祖母とフツーに仲良く晩酌してたーーー!!!

すっかり親戚のオッサンのように家族面してるヤツは、実は福の神(フクノカミ)らしき存在。そのため神の力を使ってるのか、島民の大半はフクノカミを「小さいオッサン(お客)」にしか見えない。でもこの神通力は寧島出身以外の人間には通用しないので、早坂ルカなどは騙されてない。

ゴールデンゴールド1巻 あらすじ フクノカミ
(ゴールデンゴールド 1巻)
だからフクノカミが店番しているだけで、早坂商店には次々と客が舞い込んで気付けばレジの中は札束でいっぱいになっていく。そして早坂商店の祖母を中心として、過疎だった島がどんどん発展していく。

ゴールデンゴールド2巻 あらすじ 祖母
(ゴールデンゴールド 2巻)
ただお金に無頓着で優しかった祖母の性格が変貌。コンビニやスーパーマーケットなど色んな事業の拡大にひたすら邁進。そして見事に成功を収めていく。まさにフクノカミさまさま。しかしながら寧島は小さい島ながらも既得権益層がいた。

早坂の祖母とフクノカミがもたらす莫大な富と財は次第に「混沌」や「あつれき」を生み出していく。お金を儲けることは正しいのか悪なのか。果たしてフクノカミの目的とはなんなのか。フクノカミは神なのか悪魔なのか。

『ゴールデンゴールド』の内容は、さながらホラーテイストを含んだサスペンス漫画になってます。


最凶フクノカミがとにかくヤベェwww


『ゴールデンゴールド』の見所は、やはり「フクノカミ」という謎のキャラクター一点に尽きると言えます。

ゴールデンゴールド1巻 フクノカミ 自転車
(ゴールデンゴールド 1巻)
あらすじでは説明を少し割愛しましたが、蘇生したフクノカミは当然追いかけてくるんですが、これがめっちゃ速い。お前、その細い足でどんだけの脚力を秘めてんねん(笑)

早坂ルカもとっさのことすぎて言葉が出てこない。敢えて吹き出しを作るとしたら「や、や、やだぁーー」みたいなところか。

ゴールデンゴールド1巻 フクノカミ ETパロディー
(ゴールデンゴールド 1巻)
最終的に早坂ルカの自転車カゴにフクノカミが入るものの、これ完全に映画『E・T』。ちょっとした感動的なシーンですらある。

ちなみにネタバレしておくと、このまま自転車が防波堤にぶつかってフクノカミことF・Kだけが海に落っこちてしまう。でも学校から帰宅すると、前述の食卓に囲んでた場面につながります。

ゴールデンゴールド1巻 フクノカミ 肺活量パネェ
(ゴールデンゴールド 1巻)
しかもフクノカミはフツーに食事するんですが、例えば水の飲み方がめっちゃ気持ち悪い。舌を伸ばしてコップに浸けたと思ったら、その舌をキュッと巻いて吸い上げる(笑)

お前、どんな肺活量やねん。いやストロー的なもんだから、そこまで肺活量いらんのか。

ゴールデンゴールド1巻 フクノカミを拝みだす
(ゴールデンゴールド 1巻)
そしていつの間にか、早坂の祖母は次第にフクノカミを拝みだす。祖母はフクノカミを「客人扱い」してるにも関わらず、明らかに矛盾した行為。そういう疑問すら抱かせないほどの洗脳をかけてる。でも何故フクノカミはこんなお祈りをさせてるのか?

ゴールデンゴールド2巻 フクノカミの不敵な笑み
(ゴールデンゴールド 2巻)
この拝む行為・お祈りする行為がフクノカミにどんどんエネルギーを送ってるらしい。この時のフクノカミの表情が悪人丸出しwwwそしてフクノカミを拝むのは祖母だけじゃなく、次第に島民全員にまで拡大していく。

ゴールデンゴールド2巻 フクノカミ 召喚
(ゴールデンゴールド 2巻)
挙句の果てに、フクノカミは海から巨大な攻撃力がハンパなさそうなモンスターまで召喚する。もう完全にコイツ、ラスボスですやんwww

ゴールデンゴールド2巻 フクノカミ化した祖母
(ゴールデンゴールド 2巻)
早坂ルカは違和感を感じつつも気付けば、祖母の顔がフクノカミに見え始める。いやもはやフクノカミ化しつつある祖母。フクノカミが寧島全体を支配し始める。誰かフクノカミの悪行を止めてくれwww


ゴールデンゴールドの結末がどうなるのか考察してみた


じゃあフクノカミの目的は何なのか。果たして『ゴールデンゴールド』は一体どう完結するのか。そこで勝手に結末がどうなるか平凡な予想をしてみました。

結論から書くと、やはりバッドエンドなオチしか見えてこない。あんなうさん臭い表情したフクノカミがハッピーエンドをもたらす訳がない(笑)

ゴールデンゴールド1巻 江戸時代のフクノカミ
(ゴールデンゴールド 1巻)
『ゴールデンゴールド』1話目を読むと既に答えような結末が伏線として書かれてる。実は江戸時代にもフクノカミが降誕して寧島を栄えさせた。ただ栄えた結果、寧島の住民ほぼ全員が侍らしき男にミナゴロシ状態。侍の刀に血が付いてないので、もしかすると住民同士によるもの?

とにかくフクノカミが寧島に過去もたらしたものは、結果的に不幸のみ。だから明らかに嫌な未来しか見えてこないにも関わらず、どこか一縷の望みを抱いてしまう不思議。その原因は「お金」という魔物

ゴールデンゴールド2巻 早坂ルカ
(ゴールデンゴールド 2巻)
例えば前述のように早坂ルカも意中の及川のため、寧島にオタク向けの書店やショップを開設したいと本気で考えてる。フクノカミに恐怖心を抱きつつも、内心では祖母が莫大な富を得ることに期待感も抱いてる。

でもバッドエンドで終わってもストーリー的に面白くないので、おそらく主人公・早坂ルカが迷いながらもフクノカミに対峙して血みどろの結末が起きないように戦うんだと思います。黒蓮という女小説家と共に「寧島出身者ではない」という設定も活きてくるはず。

果たして早坂ルカは及川を取るのか、お金を取るのか。お金がもたらすのは幸せか破綻か?きっと「お金がなくても幸せは得られるやでぇ」的な結末か。


ゴールデンゴールドの総合評価 評判 口コミ



『ゴールデンゴールド』は今のところ面白い。

とにかく序盤の引きが上手い。まずフクノカミのキャラクターが良い。神様なのか悪魔なのか正体不明感にドキドキハラハラ。おそらく悪魔に近い存在なんでしょうが、それ故に合法的にジワジワと寧島の支配を広げていく様が恐怖。

また展開に関しても得た富を効果的にイヤらしく使って更に富を得ていくなど、むしろどんどん成功しかしない。でも結果的に待ってるのは「破綻」の未来しか見えないギャップ。この先が見えそうで見えない、相反するゴール設定とストーリーに引き込まれる。

この奇妙キテレツな世界観や不思議な設定を、漫画という「カタチ」に仕上げてること自体がある種すごい。展開の運び方などもさることながら、作者・堀尾省太の技術力の高さがうかがえます。きっと多くの漫画家はこういうシュールなマンガを描きたいはず。でも大半は画力や構成力のなさから途中で挫折しがち。

『ゴールデンゴールド』や前作『刻刻』も然り、こういう面白いコンテンツを読めるのはマンガだけだよなーとつくづく。その前作と同様に、『ゴールデンゴールド』も内容的にはきっと10巻程度で完結するはず。下手に先延ばしがないという点で、『ゴールデンゴールド』は買い揃えやすいと思います。