『極黒のブリュンヒルデ』全18巻のネタバレ感想をレビュー。作者は岡本倫。掲載誌はヤングジャンプ。出版社は集英社。ジャンルは青年コミックのSF恋愛漫画。数年前には『極黒のブリュンヒルデ』のアニメも放送されてたらしい。

そういえばFC2で数年前に始めた「すごないマンガがすごい!」で最初に相互リンクしてくれた方が、この『極黒のブリュンヒルデ』や岡本倫という作者が好きでした。でもいつの間にか更新がブログがストップして、果てにはツイッターのアカウントも消滅していたのは懐かしい思い出。今も元気で過ごされているんでしょうか、はてさて。

ついこの間、『極黒のブリュンヒルデ』の最終18巻まで発売されたらしいので、全巻まとめて面白いかつまらないか考察してみました。ちなみにタイトルの「極黒」の読み方は「ごくこく」。「ごっこく」や「きょくくろ」とは読みません。


あらすじ登場人物 ストーリー内容

主人公は村上良太。頭脳明晰の高校生。幼なじみ・黒羽寧子(クロネコ)のことが好きだった。クロネコは「宇宙人」の存在を信じていた不思議な女の子だった。誰も信用しなかったが、ある日村上良太を宇宙人がいる場所へ連れて行こうとする。

しかし、ふとしたキッカケで二人とも事故に遭ってしまう。そして生き残ったのは村上良太だけだった。また村上良太は一度見聞きした情報は忘れない能力を持っていたせいで、このクロネコのことをいつまでも忘れることができなかった。

極黒のブリュンヒルデ1巻 黒羽寧子 クロネコ
(極黒のブリュンヒルデ 1巻)
ただ死んだと思っていたクロネコとソックリの転校生がやって来る。しかも自分のことを「魔法使い(魔女)」と呼び、実際にサイコキネシスのような能力を使いモノを破壊できた。

黒羽寧子はヴィンガルフという研究所から逃げ出しててきた。その研究所で「魔法」という名の超常能力が使えるように人体実験されていた。クロネコ以外にも、同じく魔法が使えるカズミや佳奈、鷹取小鳥などが後に仲間として加わる。カズミはハッキング、佳奈は予知能力、鷹取小鳥は瞬間移動。

極黒のブリュンヒルデ2巻 ハーネスト her nest
(極黒のブリュンヒルデ 2巻)
しかしクロネコたちの首筋には「ハーネスト」と呼ばれる首輪が付けられ、そのスイッチを押すと画像のように溶けてしまう。また常に鎮死剤という薬を飲み続けなければ、体中から大量の出血を伴い死に至る身体にされてしまっていた。

極黒のブリュンヒルデ2巻 キカコ
(極黒のブリュンヒルデ 2巻)
そしてヴィンガルフ研究所からはクロネコや小鳥たちを捕獲・抹.殺するために、次々と魔法使い(魔女)が襲ってくる。画像はキカコという口からレーザービームを吐く魔女。他にも透明化させる魔女などが登場。

極黒のブリュンヒルデ6巻 最強の魔女 ヴァルキュリア
(極黒のブリュンヒルデ 6巻)
中でも最強の魔女がヴァルキュリア。クロネコと同じく徹底的にモノを破壊する能力を持ち、その性格も至って凶暴。人間の命を奪うことに何のためらいもない。

果たしてクロネコは敵の魔女から逃げ切ることができるのか?いやそれ以前に鎮死剤を無くして生き延びることが可能なのか?村上良太は彼女たちを守ることができるのか?

極黒のブリュンヒルデ3巻 宇宙人の受精卵
(極黒のブリュンヒルデ 3巻)
そして「宇宙人の受精卵」とは一体何を意味しているのか?…みたいな内容のストーリー。


ブリュンヒルデの意味は寧子の正体を指してる?

ちなみに漫画タイトルにある「ブリュンヒルデ」の意味は、北欧神話の女神『ワルキューレ(ヴァルキュリア)』の一人のことを指しているそう。『ヴァルキリープロファイル(PSP)』というゲームでレナスやシルメリアといった戦乙女達が登場しましたが、そういった類いの一人っぽい。

後述する最終回でも触れますが、おそらく黒羽寧子のことを指しているんだと思われます。先程画像を貼ったヴァルキュリアがロキを完全復活させるカギ。このヴァルキュリアの別名が「ブリュンヒルデ・ブリュンヒルダ」と呼ばれてるっぽい。

だからこのヴァルキュリアは個人名ではなく、漠然とした総称。野球で言うと「ピッチャー」。サッカーで言うところの「エースストライカー」的なことか。このヴァルキュリアは何人も用意されていて、その一人が黒羽寧子。つまり寧子の正体こそが「ブリュンヒルデ(ブリュンヒルダ)」ということっぽい。先にラストの結末・結果をネタバレしてしまいましたがご愛嬌。


女子キャラクターの変なノリは面白い

『極黒のブリュンヒルデ』の面白いおすすめポイントを先に挙げておくと、女性キャラクター。作者・岡本倫のよく分からないノリがテンコ盛りで不思議と笑えます。

例えば予知能力を持つ魔女の一人・佳奈は、その能力が使えることを引き換えにそれまで身体が一切動かなかった。ただ予知能力を失うことで動けるようになる。でも寝たきり状態のときから口が悪く、性格も悪かった。
極黒のブリュンヒルデ11巻 佳奈 口と性格が悪い
(極黒のブリュンヒルデ 11巻)
だから佳奈がいざ動けるようになって学校へ行くと、「私の可愛さは天下無双よ。それを他の誰かと間違えるなんて、あんたの目か頭が確実にどうかしてるわ。それともなに?私の可愛さに嫉妬して因縁を?」と、ポーズのダサさも含めてUZEEE。

極黒のブリュンヒルデ9巻 黒羽寧子 クロネコ
(極黒のブリュンヒルデ 9巻)
鷹取小鳥を助け出そうとする場面でも、いきなりお腹が減ったクロネコに対して、村上良太がドーナツを買ってあげようとする。この時点でツッコミどころ満載ですが、そこでクロネコは「ダメダメ小鳥ちゃんが捕まってるのに!7つも食べきれない!」とカズミたちの分まで全部食おうとする気満々。どんだけ空腹やってん。

このクロネコ(黒羽寧子)がヒロインのくせに、意外と訳分からないキャラクター。クロネコは記憶や常識が欠落してしまってるので、特に恋愛感情について理解できないことが多々ある。でも「村上良太のことが好き」という感情だけは忘れてない。

だから村上良太に胸を揉まれることを想像したら、何故か興奮しちゃう。そこでふと疑問に思ったクロネコが
極黒のブリュンヒルデ15巻 黒羽寧子 謎の歌
(極黒のブリュンヒルデ 15巻)
どうして村上くんにお◯ぱいを揉まれることを考えると顔が熱くなるんだろ~♪」「不思議な不思議な流行性感冒~♪もしくは第二次性徴期~♪」と謎の替え歌を唐突に歌い出す。村上良太も「まずい!こっちに来た!」と、まさにベタすぎる展開が発生。

他にも村上良太とカズミが間接キスした場面では「間接キスなんてキスのうちには入らない~♪全然気にしない~♪」と歌い出す。しかし絶対的に作詞能力がないクロネコ。

もっと言うと黒羽寧子はヤンデレっぽい。『極黒のブリュンヒルデ』はいっぱい女の子が登場するマンガなので、村上良太が別の女の子と仲良くしていると、すぐイライラして辺りにあるモノをすぐサイコキネシスかなんかで破壊する。

極黒のブリュンヒルデ11巻 クロネコ ヤンデレ
(極黒のブリュンヒルデ 11巻)
周囲から一斉にツッコまれるものの、「私じゃない私じゃない!記憶なくしてるなくしてる!」と抗弁するものの破壊は止まらない。全然説得力なし。記憶喪失でも「村上良太に対する愛情だけは忘れてない」と読者は読み取ることができるので、一応微笑ましい演出ではあるものの冷静に考えると恐怖でしかない。

きっと浮気や不倫をすると、自民党の乙武さん状態に身体を引きちぎられてしまうでしょう。でも乙武さん状態でも不倫し放題なんですから、世の中恐ろしいもんです。


唐突に始まる下ネタがいろいろとヒドい(笑)

特に下ネタに関するキャラクターのテンションが意味不明。

例えば高屋という男子生徒に対して、若林初菜が流れで「付き合う」ことになった。でも関係性はそれまでと変わらない。お互いバージンだからどうしていいか分からない。それに対して高屋がしびれを切らして
極黒のブリュンヒルデ13巻 高屋と初菜
(極黒のブリュンヒルデ 13巻)
セッ◯スするかしないかの差しかないだろうが!それ以外にあるなら言ってみろ!そしてお前はおれと付き合うと約束した!つまりそれはおれとセック◯すると約束したことに他ならない!」と論破論破論破。思わずぐうの音も出ない初菜。ただ明らかに常軌を逸してるセリフ(笑)

そして、またある時は修学旅行へ行くことになったものの、魔女だったので当然お金がないメンバー。そこで高屋がお年玉を使って全員分の旅費をまかなうと提案。その代わりに初菜の胸をモミモミさせることが条件。
極黒のブリュンヒルデ15巻 カズミと初菜
(極黒のブリュンヒルデ 15巻)
そこで何が何でも修学旅行へ行きたいカズミが「初菜!一生のうちで今日ほどあんたのお◯ぱいに価値が出る日はないで!千載一遇のチャンス!あんたのおっ◯いを大舞台に立たせてやろうや!」と説得。ただ、さっきからお前ら何を真顔で叫んでんのーー!?という(笑)

だから『極黒のブリュンヒルデ』のこういった下ネタは面白いんですが、割りとドギツい下ネタもぶっこまれます。例えばフレイヤというスーパーハッカーな魔法使いとヴィンガルフの職員・土屋とのやり取りは面白かった。

極黒のブリュンヒルデ9巻 フレイヤと土屋
(極黒のブリュンヒルデ 9巻)
土屋という女キャラクターはゴリゴリの腐女子。三国志のBL漫画を好んでネット通販で買ってたことがハッキングされてバレてしまう。同人誌の中で使われていた「我ら生まれた時は違えどもイク時は同じ」というセリフが思わず笑った。

男と女のよく分からない独特のノリや唐突な下ネタは面白い。羞恥心に身悶える女性キャラクターの姿も面白い。ただ「面白い」とは言っても、ストーリーとほぼ関係ない部分。だからマンガとして面白いか否かを評価するのは難しい。またストーリーそのものはシリアスなので、唐突に現れるキャラクターの意味不明なノリは正直合わない。

でも「必要ない」とまで言い切るのが難しい理由が、あとで後述しますがストーリーが大して面白くない。こういったコメディー要素が要所要所の節目で見られるものの、緊張感を損なうから邪魔かと思いきや、逆にこういったネタに走った笑いがなければ場が持たない。おそらく『極黒のブリュンヒルデ』もここまで連載が続かなかったはず。他の作品を見渡すと『暗殺教室(松井優征)』などはシリアスな展開の中にベタな笑いを差し込んでたので演出としてそもそもアリな手法なんだと思います。


ワンパターンの展開がつまらない

『極黒のブリュンヒルデ』のストーリーは正直つまらないと思います。ストーリーについては更に最終回のクダリで後述しますが、基本的に展開がワンパターン。

極黒のブリュンヒルデ16巻 すぐ首がポーン
(極黒のブリュンヒルデ 16巻)
例えば惹きのシーン。主人公・村上良太も「黒ひげ危機一髪」かってぐらいに、キレイにスポーンと弾け飛ぶ。その後は初菜という魔女のおかげで当然のように生き返って、そのことが更にマヌケさも生んでるんですが、『極黒のブリュンヒルデ』はこういったグロシーンの繰り返し

本当に何かっちゃあ「切断(断裂)されるか溶けるか」の二パターンに絞られます。面白い面白くない以前に、すぐ身体が真っ二つにされるといった不意に訪れるグロい描写はやはり読者を選ぶでしょう。逆に言えば、『極黒のブリュンヒルデ』ではそれら以外の目立った展開の惹きに乏しい。

また、あらすじでも触れましたが、最強の魔女・ヴァルキュリアやマキナなどが次々とクロネコたちを襲ってくる。ただ、こういったボスクラスのキャラクターも勝手に自滅して消えることが多い。別に『極黒のブリュンヒルデ』はバトル漫画の部類ではありませんが、それにしても達成感もヘッタクレもありません。

『極黒のブリュンヒルデ』が何巻まで発売されたかというと、冒頭でも書いたように全18巻。こういった同じワンパターンの繰り返しが、その最終巻まで割りと続くので全体的にストーリーの冗長さは否めません。


最終話は新たに記憶を紡いでいくという結末

ここからは『極黒のブリュンヒルデ』のラストの最終話をネタバレするので注意。

17巻で最強の敵だと思われていたマキナが、神を喰うとされるロキに倒されてしまう。そこでヴィンガルフの所長がマキナの代わりに連れて来たのが、主人公・村上良太。それは何故か?
極黒のブリュンヒルデ17巻 村上良太
(極黒のブリュンヒルデ 17巻)
実はヴィンガルフの所長こそが村上良太の父親だった。そして父親はロキに村上良太を食わせることでロキを操作しようと考えてた。つまりは村上良太は今この時のためだけに産ませた子供だった。

人類の多くは「神」の存在を信じてる。キリスト教徒やイスラム教徒、仏教徒、いや世の中に多い無神論者ですら、漠然と神という存在を信じてる。ただ現実には「神」という存在はいない。だがこれは事実ではない。

5万年前まで地球を支配していた宇宙人たちがいた。その存在こそが神族。この宇宙人たちが我々人類を創造した。その創造する過程で「神である宇宙人の存在」を無意識的に崇めさせるようにDNAレベルで人類にインプットしていた。

ただ、この宇宙人である神たちは滅んでしまう。この神を滅ぼした唯一の存在が、ロキ。そこで村上良太の父親などヴィンガルフたちは、ロキを使って再び人類そのものをDNAレベルで殲滅させることで、「姿なき神の存在」を崇めなくてもいい新たな人類を作ろうと目論んでいた。そのためにロキと村上良太を融合させようということ。

極黒のブリュンヒルデ18巻 ロキ
(極黒のブリュンヒルデ 18巻)
ただ結果的にロキが暴走。下で埋もれてるのはビル群ですから、どんだけデカいねん。ヴァルキュリア候補だったフリストを食べることで再び真の力を得たことで巨大化。覚醒した黒羽寧子曰く、「これはもう勝てまへんで…」とあきらめムードで絶体絶命。次々と消滅していく人類。

そして村上良太は自滅覚悟で、自分を食わせることでロキの意識を乗っ取ろうと考える。もちろんロキはその魂胆が分かってるので村上良太だけは食わない。そこでカズミがエッダにアクセスすることで宇宙人たちの記憶を全消去。

宇宙人たちは記憶を全員で共有しあってて、その記憶を留めておく重要な器官が「エッダ」。このエッダにアクセスするために必要な鍵となるのがヴァルキュリア。ロキの自我が消滅するものの、カズミもそこでお陀仏。しかしこのカズミの犠牲のおかげで、結果的に村上良太が食われることでロキを制御。そして人類は救われた。

でも村上良太は戻ってこない。何故なら村上良太はエッダの中で永遠に生き続けるハメになったから。そこで黒羽寧子はエッダの場所を探り当てる。最終的に黒羽寧子がヴァルキュリアになったことで、そのエッダにアクセスできるのは黒羽寧子だけ。

永遠に現実世界に戻れないことが分かっていても、黒羽寧子はエッダの中へ侵入する。無事二人はエッダの中で遭遇。「記憶があろうがなかろうが人は変わらない。おれはずっとこいつが好きだったんだ」と村上良太は改めて黒羽寧子のことが好きであることを再確認。そして永遠に続く止まった時間の中で、二人は新しく愛を記憶を永遠に刻んでいく。

極黒のブリュンヒルデ18巻 最終話 最終回
(極黒のブリュンヒルデ 18巻)
…という幻想的で恋愛胸キュンなまま終わるのかと思ったら、まさかエッダの中には生まれ変わったカズミと小鳥も一緒にいたという、すごいゆるーいラストの終わり方。何故かカズミはロリ少女になっていて、画像の左端っこでこっそり覗いてるのが小鳥。


最終回は打ち切りで完結?

この最終回はネット上だと少し物議を醸した模様。確かに意味が分からない結末。『極黒のブリュンヒルデ』は村上良太と黒羽寧子が幼い頃に出会った場面か始まる。いわば二人の恋愛物語。じゃあ最終回でカズミや小鳥といった、途中から参加したキャラクターを登場させる必要があったのか?そもそも何故カズミが小さくなってるのか?

でも前述のように『極黒のブリュンヒルデ』はコメディー要素も強かった漫画だったので、これはこれでアリな最終話だったのかなーと個人的に思います。だから打ち切りっぽい最後に見えますが、その点に関して言うと最終話は一応まとまって完結してるので『極黒のブリュンヒルデ』のストーリーが決して破綻してたとは思いません。

ただ、それでも納得感がある終わり方だったか面白い結末だったかは別問題でしょう。「終わり良ければ全て良し」といった言葉だけで片付けることはできない最終回でもありました。


総合評価 評判 口コミ


『極黒のブリュンヒルデ 全18巻』のネタバレ感想をまとめると、そんなに面白くないです。正直よくここまでダラダラと続いたなという印象。キャラのノリは面白いものの、いかんせんダラダラとした展開はつまらない

だから『極黒のブリュンヒルデ』はストーリーそのものは月並みのレベル。一部と二部に分ける意味もあったのかは不明。ラスト、村上良太パパの目的もいまいち分かるようで分からない。確かに「人間の潜在的に潜む神(宇宙人)」を駆逐したから何なんだって話。

おすすめできるかどうかで言えば、『極黒のブリュンヒルデ』はあくまでキャラクターものとして割り切って購入すればそこまで損はしない気がします。ただやはり物語はそこまで面白いものではないので、逆にストーリー重視で読むとキャラクターのノリが逆に邪魔になってくると思うので、その場合はあまりおすすめしません。