『銀狼ブラッドボーン』1巻2巻のネタバレ感想。原作は艮田竜和、作画は雪山しめじ。裏サンデー(小学館)で配信中のアクション漫画。


あらすじ

人類の敵・ヴァンパイアがはびこった時代は過ぎ、平和な世の中が訪れていた。しかし、突如としてその平穏な日々が崩れる。ある日、人体にある全ての骨が引き剥がされる殺人事件が発生。それが全ての始まりだった。

銀狼ブラッドボーン1巻 グリム
(銀狼ブラッドボーン 1巻)
犯人はグリムという男。骨を食らう謎の存在。通称・骨喰い。人間でもない、ヴァンパイアでもない、第三の存在が世の中を揺るがす。

銀狼ブラッドボーン1巻 骨喰い
(銀狼ブラッドボーン 1巻)
グリムは人間を「口だけのバケモノ」に変えたり、死者を蘇生することが可能。

銀狼ブラッドボーン1巻 ハンス・ヴァーピット
(銀狼ブラッドボーン 1巻)
そこでグリムを倒すために、立ち上がったのがかつてのヴァンパイアたちを駆逐したハンス・ヴァーピット。御年70歳。ババン。果たしてジジイはグリムを倒すことができるのか?…みたいなストーリー。


アクション描写

銀狼ブラッドボーン1巻 アクション描写は月並み2
(銀狼ブラッドボーン 1巻)
アクション描写はこんな感じ。

銀狼ブラッドボーン1巻 アクション描写 村上秋水
(銀狼ブラッドボーン 1巻)
画像は村上秋水というサブキャラクターが背後を取った場面。

銀狼ブラッドボーン2巻 アクション描写
(銀狼ブラッドボーン 2巻)
その村上秋水が吸血鬼王・ファウストにデコピンされた場面。

上手いと言えば上手いです。


ストーリーは骨太?

『銀狼ブラッドボーン』のAmazonの紹介文を読むと編集曰く、「骨太なストーリーを楽しみたい…そんな方にオススメです」とのこと。でも結論から書くと、うーん微妙というか、普通というか。

ヴァンパイアによって人間が虐げられてた。そのために主人公・ハンス・ヴァーピットたちが奮闘してヴァンパイアを駆逐した。
銀狼ブラッドボーン2巻 吸血鬼は人間に食われていた
(銀狼ブラッドボーン 2巻)
でも実は人間側が捕食する側で「ヴァンパイアの肉を食ってた」。ヴァンパイアの肉には不老不死になる効能があるというウワサがあったから。

銀狼ブラッドボーン2巻 レイフ・ブランドン
(銀狼ブラッドボーン 2巻)
35年前にあったヴァンパイア討伐専門部隊「銀狼団(シルバーウルブズ)」で、主人公・ハンス・ヴァーピットと同じく活躍した副団長のレイフが生き返って、何故かグリム側に付いてる。銀狼団はヴァンパイアとの戦いでほとんど死亡したものの、その遺体を何故か軍が秘密裏に回収してたことが関係してそう。いわゆる仲間たちの敵討ち的なこと?

銀狼ブラッドボーン2巻 吸血鬼の王・ファウスト
(銀狼ブラッドボーン 2巻)
そしてハンス・ヴァーピットが倒したと思ってた吸血鬼王・ファウストが、実は生きてる。これも35年前に軍がファウストにトドメを刺してるはずでしたが、何故かそれをしてなかった。

…などなど風呂敷は広げるのに手一杯で、「何か面白かった」と思える話やクダリが一つもない。色んな話の構想を考えてはいるんでしょうが、それを表現するのに必死っぽい。展開が置いてけぼりってことでもないですが、ストーリーの説明を淡々と読まされてるだけ。紙芝居を見てる気分。

グリムもラスボス(黒幕)のくせに前に前にグイグイ出てくる。それがムダに小物臭を漂わせる。しかもナゾの答えをご丁寧にもペラペラと喋ってくれる。普通こういうのは主人公側が解明していくもんなんじゃないですか?

ヴァンパイアハンターの主人公がいます→ヴァンパイアはかつて駆逐しました→でもヴァンパイア王が復活してた→何故?→主人公 VS ヴァンパイア王→でもその背景にはグリムがいました…という流れが自然だった気がします。演出力という点では微妙。


総合評価


『銀狼ブラッドボーン』の表紙を見たら、いかにも「大人向け」っぽい雰囲気が漂いますが、内容的には中高生レベル向け。ちょっと期待して読んだ分だけ自分は肩透かしを食らいましたが、可もなく不可もなしといったところ。だからハードルを下げてアクション描写メインで読めばそれなりに面白いかも。

主人公に「カッコいいジジイ」を持ってきた敢えてな設定は面白いと思います。ただハンス・ヴァーピットが意外にそこそこ負ける。ストーリー的に「無敵に強い」ということを描きにくいんでしょうが、だから結果的に中途半端 or 尻すぼみ気味。あとセリフで「貴様」が無意味に多かったり、発言にジジイらしい落ち着きや重厚さはない。

『銀狼ブラッドボーン』3巻はおそらく4月半ば頃に発売される?