『銀河英雄伝説』1巻のネタバレ感想。原作は田中芳樹、作画は藤崎竜。ヤングジャンプ(集英社)で連載中。1980年代頃にヒットした同名のSF小説をコミカライズしたやつ。


あらすじや登場人物

西暦3586年。銀河は二つの勢力に分かれていた。それが「銀河帝国」と「自由惑星同盟」。

前者である銀河帝国は、皇帝を頂点に少数の貴族たちが統べる専制君主国家。人々の生活は極めて質素であり、地球の中世ヨーロッパを彷彿とさせる街並みだった。後者である自由惑星同盟は民主共和制を敷いた民主主義国家。

まさに理念による違いや隔たりは大きく、既に150年以上にも渡って戦争が繰り広げられていた。主に両者の中間地点にあるイゼルローン要塞。

主人公は銀河帝国に住むラインハルト・フォン・ローエングラム。元貴族だったものの、父親が事業を失敗したことで平民に落ちぶれてしまう。

銀河英雄伝説1巻 ラインハルト
(銀河英雄伝説 1巻)
でもラインハルトの精神や魂は、まさに貴族そのものだった。正義感に溢れ、曲がったことが大嫌い。決して弱き者に暴力を振るうことはなく、尊厳のためには強き者を暴力でくじくようなヤツだった。

銀河英雄伝説1巻 ラインハルトと姉
(銀河英雄伝説 1巻)
ラインハルトの唯一の心の拠り所が姉であるアンネローゼ・フォン・グリューネワルトだった。二人の中は睦まじく、さながら天使を彷彿とさせた。しかしながら二人の仲は呆気なく裂かれてしまう。

ある時、皇帝陛下にアンネローゼの美貌が見初められ、新無憂宮(ノイエサンスーシ宮殿)に連れて行かれる。しかし「寵愛を受ける」とは名ばかりの慰みものにされてしまうのが現実だった。

銀河帝国は質実剛健を旨としていたが、内実は国民の99%を占める平民を最前線に送りこみ、貴族たちは安全な後方で日夜パーティーを繰り広げるなど腐りきった国家だった。

怒りに震えるラインハルト。しかしながら落ちぶれた元貴族ができることは何もない。皇帝に逆らうことは、すなわち死。
銀河英雄伝説1巻 ラインハルトの皇帝打倒
(銀河英雄伝説 1巻)
そこでラインハルトは固く決意する。「僕は皇帝を倒す!そして姉さんを取り戻すんだ!」。これが後の「獅子帝ラインハルト」誕生の瞬間だった。

銀河英雄伝説1巻 ラインハルトとキルヒアイス
(銀河英雄伝説 1巻)
そしてもう一人の主人公・ジークフリード・キルヒアイスと共に銀河帝国軍に入る。つまり『銀河英雄伝説』とはラインハルトとキルヒアイスが、銀河帝国だけではなく宇宙全土で名を轟かす物語である。


総合評価


『銀河英雄伝説』の評価としては、何とも言いがたいものがあります。自分は原作小説を読んだことがありませんが、おそらく淡々と原作をなぞってるだけ?

銀河英雄伝説1巻 ヤン・ウェンリー
(銀河英雄伝説 1巻)
自由惑星同盟のヤン・ウェンリーも登場したりしますが、淡々と説明に終始してるだけって印象はしました。だから正直面白いか面白くないかの評価や判断はしづらい。ただSFマンガは細かい設定などが多くて読みづらかったりするんですが「二人の少年の物語」に焦点が当たってるので比較的読みやすくはあります。

おそらく「藤崎竜と銀河英雄伝説が異色コラボをした」という事実に最大の価値があって、逆に言うとそれ以上の価値は今のところなさそう。藤崎竜ファンと『銀河英雄伝説』ファンにはたまらないかも知れない、といったレベルかな。

一応『銀河英雄伝説』2巻以降の展開としては、あらすじで少し説明したイゼルローン要塞から8光年先にある雪と氷の惑星・カプチェラシカに二人が配属されたところから話が始まります。2巻は5月か6月ぐらいには発売されるでしょう。