『げんしけん-二代目の九-』18巻のネタバレ感想。作者は木尾士目。アフタヌーン(講談社)で連載中。

あらすじ

舞台はそこそこ偏差値が高そうな大学のサークル・現代視覚文化研究会。名前を見ただけだと一体どんなサークルかは分かりませんが、ざっくり言うと「ヲタク文化研究会」的なこと。要するにオタクたちが集まってワイワイガヤガヤしてるようなサークル。この現代視覚文化研究会を略して「げんしけん」。それが漫画タイトルそのものになってます。

げんしけん二代目というタイトルからも分かりますが、途中から主人公が若干変更されてます。巻数で言うと10巻を境界に、笹原から斑目というメガネの男にシフトチェンジ。第一部では笹原と荻上の恋愛ストーリーがメインだったんですが、第二部からは斑目と波戸という女装男子のラブコメディーが展開されます。というか斑目が色んな女から好かれるハーレム状態。そこでまさかの女装男子を選ぶ?的な内容。

17巻では斑目が第一部の主人公・笹原の妹・恵子とキャバクラでバッチリ遭遇。その流れで何故か斑目が笹原妹の家まで逆にお持ち帰りされる。そして、斑目とチョメチョメしそうになった直前、笹原妹の彼氏が家まで来るということでお流れ。「女コエー!(斑目談)」で終わったところから。

誰の卒業旅行なのか?

第二部の主人公・斑目は既に社会人。じゃあ誰の卒業旅行なのか?それが朽木という空気読めないキャラ。卒論を書き上げたので無事大学を卒業できる「お祝い」を兼ねて卒業旅行を提案をするものの、朽木の普段の言動からみんな乗り気ではない。

げんしけん18巻 朽木の卒業旅行
(18巻)
そこで朽木は「これでワタクシがいなくなると思ったらアリじゃないですか!?」と自虐全開。吉武や大野は乗り気。

ただ心の中では「一切思い残すことがないように!二度と帰ってくることがないように!」とボロカス。朽木がそんな心中を知らずに「おお!分かっていただけましたか」と涙してるのが泣ける。お盆ですら先祖の霊は帰ってくるのに、それすらも許さない送り出し。朽木には人生すら卒業して欲しい的な意味合いの旅行なので、軽いイジメ。

卒業旅行では矢島の実家(日光)へ泊まりに行く。笹原妹やアンジェラなども同行することになり、何故か斑目も行くハメに。結果、斑目ハーレムが発生。案の定というか、朽木は不遇な扱いを受けます。それでもメゲない無敵メンタルが素敵。きっと社会人になった時にすごく役に立つであろう。アディオス朽木!

波戸が嫉妬丸出し!

笹原妹やアンジェラが同行してるってことで、斑目を誘惑しまくり。特にお酒が絡めば、その度合が増していく。胸をピッタリ寄せられてベタベタ。斑目はふおおおお状態。

げんしけん18巻 波戸とスーがドギマギ
(18巻)
それを目の前で見た波戸とスーの表情がコチラ。嫉妬丸出し。むしろ3P状態の光景に照れてるレベル。自分にはない武器に軽くやけ酒。まさかの朽木に「先輩が卒業したら私さびしいです」と誘惑のお酌。そして、斑目に逆に嫉妬させようとする。

おいおい、波戸がいよいよ面倒くさい「女」になってるやんけ!(笑)

ちなみに卒業旅行直前のクダリでは、波戸と矢島が自作マンガを描いてきた。
げんしけん18巻 波戸はマンガの才能なし
(18巻)
でも斑目は絵が上手いだけで、中身がない。吉武からは「話はよくわかんなかったけど」と言われる始末。実際こういうマンガって多いイメージ。

ただ一方の矢島は絵は未熟なものの、内容(4コマギャグ漫画)が面白かった。吉武や荻上は思わず大爆笑。あまりに賞賛の嵐だったので、矢島は火照りまくり。
げんしけん18巻 矢島に嫉妬する波戸
(18巻)
波戸が「何でコイツが…」という嫉妬丸出しの表情で矢島を凝視。シリアスな表情すぎてちょっと怖い。軽く殺意すら読み取れてしまう。それだけ波戸からしてみたら矢島という存在はちっぽけだった。ここで二人は何となく対等に立てた雰囲気。

げんしけん18巻 波戸と矢島
(18巻)
そこからは波戸と矢島はマンガのアドバイスをし合うことで、関係性や結び付きが強化されていく感じに。なんか最終的に原作は矢島で作画は波戸というコンビを組みそうなフラグがピンコ立ち。ちなみに矢島は波戸にホレてるので全然快諾しそう。ただ波戸は斑目にホレてるので、性別不明の究極の三角関係の出来上がり?

一応ストーリーとしては、ラストで酔い潰れた(厳密には面倒くさいから酔い潰された)朽木を斑目と波戸がホテルへ送るという場面で終わる。「誰も邪魔する者はいない!え?この直後にヤっちゃうの?」的な煽り方。ただ波戸はこのとき見た目が男子状態なので、ここで斑目がなにかアクションを起こしたら「いよいよ」。今までの葛藤は何だったんだという話でもあるし、斑目のヘタレっぷりを考えるといかがでしょう?

スーの赤面っぷりが度を超えて?

卒業旅行のクダリでは影が薄かった留学生のスー(スザンナ)ですが、直前に斑目の家に乗り込んで軽く暴走。そして斑目を使っての赤面症対策を実行。

げんしけん18巻 スーと斑目0
(18巻)
でも斑目の顔に何を付けても、顔面が爆発してしまうスー。お前どんだけ斑目にホレてんねん。

げんしけん18巻 スーと斑目1
(18巻)
最終的には銀行強盗風の紙袋を斑目にかぶせることで、ようやくスーの赤面症が止まる。ここまでヒドいと日常生活に支障しかきたさないだろっていう。

でも鈍感な斑目はまだスーが自分にホレてるはずがないと思い込んでた。だからカマをかける意味の汚いウインクをかます。そしたらスーの顔面はこれまで以上に爆発。ようやく確信を得て、スーに「オレのこと好きなの?」みたいなことを訊く。

げんしけん18巻 スーと斑目2
(18巻)
そしたら「ソンナノ私ダッテワカンナイ!」と涙。ロシアっ子はきっと初恋だったんでしょう。ちょっとキュンキュンしちゃいました。でもオチは斑目のデリカシーのない発言で空気が台無し。

オマケではスーと斑目のこのクダリの続きが掲載されてます。カギを服の中に入れて隠そうとするスー。確かに女性にはお胸があるので、どこかしかにカギが引っかかりそう。でもスーはツルペタ。だからカギが1秒もかからずに床にコーンと落ちる。その音が虚しく響く。
げんしけん18巻 スーが赤面を通り越す
(18巻)
スーは赤面どころかドス黒く変色する。軽いホラー。思いっきりど突かれでもしない限り、肌がドス黒く変色なんてしないと思いますが、それだけスーにはダメージがデカかったんだと思います(笑)

総合評価

『げんしけん』を1巻まるまる面白かったと初めて思えた巻かも。

特に矢島ママの暴走っぷりが素敵。前述のように卒業旅行では矢島の実家に泊まりに行く。お年ごろということを考えて斑目や朽木の男子だけはホテル。でも波戸(女装っ子)だけは女子扱い。でも話だけ聞いてるだけなので、矢島ママには一体誰が「女装っ子」か分からない。

げんしけん18巻 矢島ママ
(18巻)
一通り全員見た後に、自分の娘に向かって「どー見てもお前じゃないか!!!」と詰め寄る。確かに分からんでもないけど、矢島を産んだのお前やん。一番性別がどうか分かるやん。

ただどう見ても矢島はママの遺伝子を強烈に受け継いでるので、軽い自虐。ちなみに性格は真反対っぽいので、矢島の性格は父譲りっぽい。

げんしけん18巻 矢島ママ2
(18巻)
大野のチチを揉もうと絡み酒全開だった朽木に対しては、まさかの誘惑。ただママンはお腹も大きいので、どこらへんが境目か分からない。ヘナヘナとしおれていく朽木に同情できるやらできないやら。

矢島ママは正直良い感じにウザいんですが、グイグイ来るようなキャラに見えて距離感が適度なので、意外にそこまでウザくないという不思議。

◯展開★3◯テンポ★4.5
◯キャラ★4◯画力★4
◯全巻大人買い★3.5
◯おすすめ度…87点!!!!