『原始乙女と神の塔』1巻のネタバレ感想。作者はシオミヤイルカ。ヤングマガジンサード(講談社)で連載してたマンガ。ちなみに『原始少女』ではありません。このレビュー記事を書いてる後半ぐらいまで勘違いしてたのは内緒。


あらすじ

一話完結のオムニバスということで、『原始乙女と神の塔』には基本的にあらすじはありません。ただどのストーリーにも共通して存在する設定が、原始時代(?)。そして神の塔。

原始乙女と神の塔1巻 森の中にある塔
森の中に不自然にそびえる巨大な塔。この「神の塔には願いを叶えるオタカラが眠る」というウワサがあり、言語こそ話せますが原始時代にいたような出で立ちのキャラクターが神の塔を目指す…という展開になります。もちろんオムニバスということで、一話一話登場するキャラクターは別々になります。


キシンとユーノが神の塔で得たもの

原始乙女と神の塔1巻1キシン
一話目の主人公はキシン。狩りの場面では出しゃばってくるものの、全然獲物を捉えることはできないポンコツさん。でも槍投げの練習を崖に繰り返し行うことで地形がエグれていた。何故?

原始乙女と神の塔1巻2ユーノ
一方、ユーノは優秀。どんな獲物を仕留めることだって可能。キシンはいつも憧れていた。ただユーノは自分自身に対して過信を抱いてた結果、ひょんなことから大ケガを負ってしまう。常にチヤホヤしてくれてた周囲も、そのことがキッカケで少し離れる。

ただキシンだけは違った。大ケガをした「今だからこそ周囲を客観的に見られるようになったはず」とポジティブに励ましてくれる。そして二人は仲良くなり、何でも願いが叶うオタカラが眠るとされる神の塔へ向かう。

ちなみにキシンは遠く離れた場所にある神の塔を視認できなかった。作中ではキシンだけカミサマから祝福を受けてないからと説明されているんですが、これも何故?

原始乙女と神の塔1巻6恐竜
恐竜のような動物が襲ってくるなど、二人には様々な困難を待ち構えるという展開。恐竜の登場から時代設定は「太古の大昔」と推察することが可能です。

ただやはり負傷したユーノとポンコツのキシンでは荷が重かった。ユーノが今にも恐竜に食べられそうになる中、必死にキシンだけを逃がそうとする。キシンは恐怖に震えるだけ。
原始乙女と神の塔1巻7キシン
でもキシンは「友達」のために立ち上がる。

原始乙女と神の塔1巻8キシン
そしてキシンが見つけたオタカラがメガネ。キシンは獲物を倒せなかったのも、神の塔が見えなかったのも、単に目が悪かっただけ。前述のように壁がエグれてたのも、キシンはユーノ以上に優秀だった証拠。無事恐竜を倒すことで二人は生還。友情とオタカラを得る…みたいなオチ。

原始乙女と神の塔1巻9東京タワー
つまり大昔と思われていた時代設定は、実はかなり先の「未来」のお話だったという仕掛け。だから神の塔も、あの有名な日本のt…とさすがにこのネタバレは控えておきます。

時間軸を巧みに錯覚させる演出で見事で面白かったと思います。また「神の塔」というファンタジー感も醸し出しつつ、実は現代の延長線上の世界観だったという演出も面白かった。キャラクターも悪くなく、作品全体のクオリティーは高かった。作者・シオミヤイルカの実力を垣間見た。


総合評価

原始乙女と神の塔
シオミヤ イルカ
2015-10-06

表紙からちょっとエッチな内容を想像したんですが、ほとんどそういう描写はないので男子的には肩透かし。もちろん無くは無いですが、良くも悪くも、しっかり正攻法で読ませてくる感じの内容。前述のとおり、一話目の「希望のオタカラ編」は面白かった。

でも強いて言えば、出落ちっちゃ出落ち。メインの仕掛け(神の塔とは何ぞや?)を最初に暴露してしまって、原始少女たちが追い求める「オタカラ」が「現代で使われてるアイテム」という仕掛けが分かりきってるので、それ以降の展開を描くのはなかなか難しい印象。実際キシンとユーノ以降(約束のオタカラ編・幸運のオタカラ編)のオムニバスは平凡だった感じも否めません。もちろん面白くなくはありませんでした。

ちなみにヤングマガジンサードの公式サイトを見ても、連載陣の中に『原始乙女と神の塔』の名前はなく。だから記事では「1巻のネタバレ感想」とは書きましたが、2巻目以降が発売されるかは不明です。おそらく不定期的に読み切りのように掲載されてるって感じなんでしょうか?このブログでは漫画の内容以外についてはからっきしダメなので、ご存じの方はコメントしてみてください。