『GANTZ-ガンツ-』全37巻のネタバレ感想をレビュー。作者は奥浩哉。掲載誌はヤングジャンプ。出版社は集英社。ジャンルは青年コミックのSFアクション漫画。嵐の二宮くん(主人公の玄野計(くろのけい)役)や松山ケンイチなどで実写映画化もされてた人気漫画。そして夏菜のブレイク作品。あの肉感的なバディーは今でもオジさんは忘れられません(*´Д`)ハァハァ

最近『GANTZ:O(ガンツオー)』という新作映画の制作も決定したらしい。実写映画ではなく、フル3DCGアニメ。そして内容は評価が高い「大阪編」。遺憾なくガンツの良さが発揮されるものと思われます。そこで改めてGANTZ-ガンツ-は面白いかつまらないか考察してみた。


あらすじ物語・ストーリー内容

GANTZ26巻
(26巻)
あらすじを簡単に説明しておくと、黒い球体「ガンツ」が死んだ人間たちを強制的に集める。そして次々と現れる凶悪な敵と戦わせていく、という極々シンプルな内容。それがこの漫画のテンポ感の良さを生んでるとも言える。だからタイトルの「ガンツ」はこの黒い球体のこと。

一応、人間の魂が戦ってるということではなく、あくまでキャラたちはもう一度生き返ってる(生き返らされてる)という設定。このガンツ曰く「てめえ達の命は無くなりました。新しい命をどう使おうと私の勝手です」。

ここの面白いところは、敵をハンティングする場所が『普通の街中』ということ。だから激しいアクションが展開される割に、民家の中で戦ったり住宅街で戦ったりする。ガンツが入ってる部屋も一見特殊な部屋っぽいですが、東京タワーも一望できる普通のマンション。こういうギャップ感が面白い。最近の少年ジャンプで例えると『ワールドトリガー』みたいな感じか。


豊富な敵のキャラクターデザイン

主人公の玄野計たちが戦う敵キャラクターが、とにかく個性的。映画は既にテレビでも放映されてたので、実写化されたキャラクターをできるだけ省きます。

GANTZ8巻
(8巻)
こんな仏像(千手観音)のようなキャラクターがメチャメチャにしよる。まさに神も仏もない。意味のないフレーズを繰り返し叫ばれると、狂った感がムダに増す。ましてや神仏の象徴にされたら、世界の終わり感もハンパない。

GANTZ26巻2
(26巻)
もはや仏教を飛び越えて、神話の世界にまで到達。

GANTZ12巻
(12巻)
またある時には恐竜たちが大量に襲ってくる。チワワ10匹に襲われてもビビるのに。もちろん超肉食系のティラノザウルスとかも登場するんですが、そいつはレーザービームを吐く。どうやって勝てっちゅーねん状態。

GANTZ17巻
(17巻)
もはや魔界から登場しました的な悪魔っぽい敵も登場。余裕で元気玉みたいな必殺技を繰り出しちゃいます。良くも悪くも、敵キャラに節操がないんですが、もろもろ視覚的にしっかり楽しめる。

他にもフザけたルックスのキャラクターたちも登場するんですが、もちろんメチャメチャ強いので、そのギャップ感にもハマる。玄野計たち全員は安っぽい黒いスーツを着て戦うんですが、その安っぽさのおかげで敵キャラクターが対照的に輝く。次はどんな強い敵が出てくるか、ワクワク感も生んだ。


秀逸な大阪編

特に22巻ぐらいから始まる『大阪編』が秀逸。画力も展開も頂点に達してる。ぬらりひょんなど日本の妖怪たちが総結集。

GANTZ23巻/大阪編5
(23巻)
そしてとにかく大阪がめちゃくちゃに破壊される。自衛隊は出動するはで、てんやわんや。

GANTZ22巻/大阪編1
(22巻)
出てくる敵キャラクターが、全員妖怪。しかもメッチャ強い。

GANTZ23巻/大阪編4
(23巻)
特にコイツら。見た目から殺気ビンビン。ほとんど強力な武器も効かない。またコイツらより強いのが、ぬらりひょん。これぞ『死闘』というバトルが展開されます。

ちなみに、ずっと玄野計たちは東京で敵と戦ってた。ガンツの存在はずっと一つだけかと思いきや、そこで各地にあったというフリ・伏線でもあった。ここで登場してくる味方(?)の新キャラクターたちも個性的。まさにぶっ飛んでて面白い。


総合評価・評判・口コミ


ただ『ガンツ GANTZ』の面白さはその大阪編がピーク。それ以降のストーリーは「GANTZの謎」に迫っていくんですが、作者・奥浩哉は何を思ったのか「宇宙」まで行っちゃう。悪い意味でスケール感がデカくなりすぎて、展開そのものも大味になってあまり面白くないかも。

GANTZ28巻
(28巻)
例えば敵も巨大化しすぎ。明らかに人間が倒せるレベルではない。中盤まであったGANTZのちょうどいいリアリティー感・手頃感がなくなっていく。だから不思議と展開に緊張感もなくなって感情移入もしづらくなっていった。逆に敵の巨人宇宙人も敢えて人間の風貌に似せてる節があって、あまり新鮮味はなかった。

だから、正直この漫画のストーリーはあまり「意味性」を持たせない方が良かった。その答えをちゃんと用意した結果、却ってGANTZは『平凡な作品』として完結してしまった印象。マンガを面白くするには、敢えてフワッと終わらせることも時には必要なんだなーと思わせてくれます。

「ガンツ」という謎の黒い球体の正体は気になりつつも、そこに物語性を持たせなかったら読者は深く考える必要がなかった。だから派手なアクションを素直に楽しめた。アホでもテンポ良く読めて、誰でもこの漫画を面白いと感じた。つまるところ読者からしてみたら「ただバトルしてるだけのマンガ」で良かったんですよね。

でも後半にかけて始まった宇宙人編はムダにグズグズ展開が長引いて、正直出し惜しみ感が酷くてつまらないかも。その割に最終回のオチが普通。『GANTZ-ガンツ-』は大阪編が終わる27・8巻ぐらいまでは素直に面白いですがが、それ以降は「あれ?」と感じたまま最終話を迎える。色んなところで聞く感想ですが、「ガンツは終わり方が残念だった」という意見を自分は否定しません。

とはいえ、それでも『GANTZ-ガンツ-』はアクション描写満載でかなり見応えがあって面白いと思います。特に大阪編あたりの『GANTZ-ガンツ-』は最高です。