『富士山さんは思春期』全8巻のネタバレ感想をレビュー。作者はオジロマコト。掲載誌は漫画アクション。出版社は双葉社。ジャンルは青年コミックの青春恋愛漫画。漫画タイトルの読み方は「ふじさん さん」ではなく「ふじやま さん」です。あらすじは後述しますが、主人公の女の子の名前。

もっとダラダラと連載が続くと思ったんですが、先日意外に早く完結を迎えました。作者・オジロマコトの自主的撤退か打ち切りになったのかは不明ですが、そこで今回は全巻まとめて『富士山さんは思春期』が面白いかつまないか考察してみた。


あらすじ物語・ストーリー内容

主人公は富士山牧央(ふじやま・まきお)。中学二年生の女の子。ただ身長がまさかの181cm。もちろん部活は定番の女子バレーボール。

もう一人の主人公は上場(かんば)。身長は160cmと小柄。富士山牧央と幼なじみだったものの、中学校に入ってからは自然と疎遠になっていた。ただひょんなことから二人が付き合い出す。身長差20cmの凸凹カップルの誕生。

この富士山と上場の淡い青春に満ちた、そしてたまにエッチな恋愛が描かれている、実にホンワカしたようなマンガ。

富士山さんは思春期3巻 高身長
(富士山さんは思春期 3巻)
富士山というキャラクターには「高身長女性の良さ」が詰まってる。股を開いてイスに座ってるシーンとか、開けっぴろげな感じが地味にグッと来ます。長身だからこそ足の長さが際立ちます。

他にもあぐらをかいてる女子とか、精神的に心を許してくれてる感があって個人的に好きです。そういうちょっとしたフェティ シズムが刺激されたりします。

富士山さんは思春期4巻 高身長
(富士山さんは思春期 4巻)
他にも黒いストッキングも意外にツボでした。意外に男子は好きかも。長身だからこそ「見える面積」が広くて良い。


富士山のほんわかキャラ

主人公・富士山牧央のキャラクターが面白い。序盤はやや暴力的な一面を見せるものの、中身はオットリというかホンワカしてる。

富士山さんは思春期1巻 上場がホレた場面
(富士山さんは思春期 1巻)
例えば上場が富士山にホレた場面。学校からの帰り道、偶然一緒になった二人。そこですれ違いざまの幼児に「大きい」と言われる富士山。上場は「ダメだ!ろくに首も座っていない幼児に100km/hのスパイクを繰り出す拳を振り下ろしたら」とガクブル。

でも実際は「うん大きいよ!」と笑顔でおどけてみせるだけ。幼児も思わずキャッキャと喜ぶ。小学校低学年の男子にカップルだとからかわれた時も、「がおー!」とおどけて怒ってみせる。他にも副校長に同じようなことを言われても、「両親も大きいんで」と笑顔。

それまで乱暴な一面を見せてた富士山だっただけに、このギャップ感に思わずオジサンもイチコロであります。

富士山さんは思春期3巻 表情
(富士山さんは思春期 3巻)
表情も無邪気で面白い。メントールのリップをまぶたに塗って、眠気を覚まそうとしてる場面。正確には眠たい友達が起きられるように実験台になった。なんて優しい富士山さん。

富士山さんは思春期4巻 表情
(富士山さんは思春期 4巻)
上場と一緒に服を買いに行ったとき、上場が必死に色んな可愛い服をおすすめしたものの、やはり富士山の体格的にどれも着られるものがない。富士山は最初から分かってたんですが、自分の口からは恥ずかしくて言えない。店員さんに「無理ですね」と言われて、上場は初めて気付く。

そういった流れの上での「な?」という富士山の表情。富士山はまつげが長くてパッチリ二重。ルックス的には意外に美少女なんですが、こういう表情の豊かさは男子心を動かします。

富士山さんは思春期2巻 イチャコラ
(富士山さんは思春期 2巻)
運動部全体で合宿へ行ったときは、二人が泊まる部屋がちょうど上下。手紙ではないですが、メモでコミュニケーションを図ってくる富士山。最初の一言目が上場に対する気遣いってのが泣けます。


上場との自然なスキンシップ

女性の場合は身長が高くなると、どうしても女の子らしい魅力が減ってしまうのも事実。ただ男性側の立場で考えると、女子だけど良い意味で友達としての距離感で接することが可能。

富士山さんは思春期1巻 イチャコラ
(富士山さんは思春期 1巻)
二人は恋人同士ではあるものの、どこか友達同士的なフランクさがあって良い。それが中学生らしい健全な恋愛を彷彿とさせて、また絶妙なイチャコラ感にも繋がってる。そして、それが自然なスキンシップを生む。

富士山さんは思春期3巻 自然なスキンシップ
(富士山さんは思春期 3巻)
例えば富士山にひざ枕してみたり、こういうのが自然。富士山は身長がデカすぎるが故に、上場は思わずハグしたり手をギュッと握ったり甘えたがる。富士山も泰然自若というか、上場を好きだからこそ拒否しないのが良い。

でもそれは決して性癖的なものではなく「精神的な安心感」。そこにイヤラシさもなければ、ワザとらしさもない。だから性別に限らず読者は素直に、二人のスキンシップに「イイな」と思える。

富士山さんは思春期7巻 せーので離れよう
(富士山さんは思春期 7巻)
画像は「こういうのっていつ離れたらいいのかわかんないね」と離れるタイミングを探ってるものの、お互いがいつまでも離れない。「せーので離れよう」とするものの、結局どっちも離れないのでお互い爆笑。この空気感もきっと女子は好きそう。

でも上場は甘えてばっかりではなく、しっかり「男らしさ」も発揮する。例えば富士山と付き合ってることを自分からクラスメイトに公言しようとしたり進んで富士山をリードする。

他にも4巻だと担任教師の引っ越しを手伝った時、富士山は手作りオニギリを持ってきたものの出せなかった。先に担任教師がお寿司の出前を取ったから。でも帰り際に富士山のオニギリに気付いた上場は、もうお腹いっぱいなのに「なんでしまうんだよ、それ食わせろよ」とガツガツ食べる。

だから意外に二人のバランスは取れてる。


セクシーショットはむしろ女性ウケする?

富士山さんは思春期3巻 ラッキースケベ
(富士山さんは思春期 3巻)
『富士山さんは思春期』ではチラリズムの極意とでもいうのか、案外ラッキースケベな展開がチラホラ。先程はスキンシップがどうこうと書きましたが、意外に想像より超えてくることも?

例えば二人が付き合い出すキッカケも、実はそう。上場が女子バレーボール部の着替えシーンをたまたま覗いたら、富士山の下乳がボローンが見えてしまう。そこから「富士山のことを女子として意識」してしまって…みたいなところから始まってる。

富士山さんは思春期2巻 ラッキースケベ
(富士山さんは思春期 2巻)
合宿へ行った時も、女子の部屋に集まっていると副校長がやって来る。男子の数が多すぎたので押し入れに隠れることもできない。そこで富士山の布団に入った上場。副校長に見つからずに済んだオチがいかにも富士山らしくて笑えます。

富士山さんは思春期6巻 ラッキースケベ
(富士山さんは思春期 6巻)
富士山は高身長というだけではなく、出てる部分はしっかり出てるグラマラス体型。だから浴衣がはだけて…みたいな結構際どいシーンも散見されます。実用性が高いと思うかどうかは人ぞれだと思いますが。

だから「男子向け」な内容なのかと思いがちですが、実は「女子向け」な内容かなと個人的に思ったりもします。何故なら「フィニッシュまで行かない」から。これだと少し言葉は悪いですが、コタツの中でお互いの足をコチョコチョしあったり、所詮はスキンシップの延長線上。

4巻だとお互いにテストの点数を伝え合うため、二人はお互いの背中に点数を書こうとする。男子的にはあるあるネタですが、この時に富士山の透けるブラに上場は興奮。結果的に「アダルト!」とブラを外そうとした上場は叱られるわけですが、逆に富士山は背中をコチョコチョと刺激されてた格好。

背中は意外に敏感な部分だからこそ、決して女子もリアルにやられても嫌いではないはずなんです。そういった絶妙なイチャイチャ感や彼氏に焦らされている愛撫感は、むしろ女性の方が好きそう。最後まで行かなくても上場は富士山のことを嫌いにはならないので、そういった部分も女性的には好感を持てるのかも。


一瞬を切り取った青春感


富士山さんは思春期2巻 空気感
(富士山さんは思春期 2巻)
あと地味に面白いのがこういう描写。セリフとか一切ないんですが、まさに「青春」を凝縮したような雰囲気がなんとなしに感情を揺さぶります。まるで小洒落た写真を見ているような絵のタッチは、特に女性なんかが好きそう。画像だと少し富士山が首を傾けてたり、そういうちょっとした演出も良い。

富士山さんは思春期8巻 空気感
(富士山さんは思春期 8巻)
ラストもこういう空気感のままフェードアウトして、何となく余韻が残る終わり方になってます。

最終8巻の修学旅行のクダリでは無数の鳥居がある場所で追いかけっこしたり、いかにも学生らしい躍動感や空気感が無言で表現されているからこそ、富士山と上場の「青春一直線な恋」がより強調されます。まさに二人の仲の良さにトドメを刺すカタチ。

こういった空気感に触れていると、年甲斐もなく羨望や憧れといった感情が生まれます。ただ自分の過去をふと振り返ると、本当に自分の青春時代はしょうもなかったなーと哀愁が込み上げてくるので注意。


総合評価・評判・口コミ


『富士山さんは思春期』のネタバレ感想をまとめると、とにかく富士山牧央のキャラクターと二人の空気感がフワッと面白い。

「女性らしさ」と「少女らしさ」と「友達らしさ(中性的)」が渾然一体となった富士山のキャラが、すごく魅力的に仕上がってる。女性読者もイヤな印象を持たないはず。またマンガ全体から溢れ出る「青春の匂いや空気感」も20代からオッサンとオバサンまで、意外に幅広い年齢層にとってたまらないかも。

ヒロイン(富士山)の身長が181cmなどいかにも出落ち感がある設定ですが、これほど王道的な青春恋愛マンガもありません。イケメンキャラこそ登場しませんが、富士山と上場が育む「絶妙な距離感」は女性読者こそ「いいなー」と共感できるはず。

強いての感想としては、設定は「高校生」でも良かった気もします。例えば、上場の身長も160cmと中学二年生にしては意外と高め。また高校生であればそのまま結婚というハッピーエンドが容易に想像できますが、中学生から付き合ってるカップルは大抵高校生を経ると別れてしまうイメージがあるので。