『エンバンメイズ』1巻2巻のネタバレ感想。作者は田中一行。goodアフタヌーン(講談社)で連載中。

あらすじ

講談組の絹守一馬が仕切る、ウラの賭けダーツバトルで負けなしの男がいた。
エンバンメイズ1巻 烏丸徨
(1巻)
それが主人公は烏丸徨(からすまこう)。最強のダーツプレイヤー。どんな状況でも、どんなに苦境でも、烏丸の心は絶えず迷わない。常に平常心を保つことができるがゆえの強さだった。

この烏丸が次々とクセのある強敵・難敵ダーツプレイヤーを倒していくという話。烏丸は「迷路の悪魔」という異名で恐れられ、次々と相手を追い詰めていく展開が見もの。

烏丸徨の表情が悪魔的!

基本的に、主人公・烏丸は「負けない」という前提でバトルが描かれてる。もちろんバトルの展開では一進一退の攻防はあるものの、ラストは烏丸が敵を圧倒していく。

エンバンメイズ1巻 烏丸徨の表情
(1巻)
この時の表情が悪魔そのもの。画像の敵は、空山蒼治という自由大好きナルシスト。烏丸のどこを見てるか分からない「焦点」の不気味さが恐怖を誘う。

後述もしますが、2巻では毒ガスを用いた賭けダーツバトルが行われる。烏丸は散々自分も毒ガスを大量に吸っているフリを続け油断させ、敵に自分以上に毒ガスを吸わせ続ける。そして烏丸は毒ガスで床に倒れたフリをして、時間稼ぎ。結果、敵は毒ガスで自分が死ぬ以外に選択がない状況に追い込まれる。
エンバンメイズ2巻 烏丸徨の表情
(2巻)
それを烏丸がネタバレしたときの「毒ガス吸ってませんでした―!」という勝利の笑みがエグい。まさにm9(^Д^)プギャー状態。烏丸のお目目が釣り上がりすぎて眉毛と被ってるw

エンバンメイズ1巻 負けた敵の表情
(1巻)
烏丸の勝利の表情だけではなく、敵のダーツプレイヤーの負けっぷりの表情もヤバイ。ヤングジャンプの『嘘喰い』をモチーフというかオマージュしてる感が強いですが。

でも烏丸は単なる狂気的キャラクターというわけではなく、実は人間味あふれたキャラクターだったりもする。1話目では、女子高生の依頼主が登場。両親が神谷総一朗という金貸しに死に追い込まれる。そこで烏丸にダーツバトルで神谷に復讐してくれという内容。
エンバンメイズ1巻 烏丸徨の親切
(1巻)
結果的に神谷の命を奪える状況になって、女子高生が「とどめを刺して!」と叫ぶものの、烏丸は「そっちは行き止まりだ」と冷静に諭す。結局同じ穴のムジナになってしまったら、女子高生も神谷と変わらなくなる。実は男気が溢れてるのも魅力的。

ダーツバトルにハラハラ!

基本的に「烏丸は負けない」という大前提で展開は進むものの、しっかりハラハラドキドキさせてくれる。

エンバンメイズ1巻 ダーツのルール
(1巻)
ちなみにダーツのルールはこんな感じ。ポイントが高い部分にダーツを刺していく競技ですが、実は真ん中が高得点かと思いきや、そこより少し上の長方形の部分が一番ポイントが高い。

でも普通のダーツで戦っても面白くはない。
エンバンメイズ1巻 ダーツバトル2
(1巻)
空山蒼治とのダーツバトルでは、ポイントのマス目がコロコロと入れ替わる。しかもポイントが隠された状態。だからいくらダーツ技術が高くても、高得点ポイントが分からないので完全な運勝負。

もちろん普通のダーツ勝負っぽいのもあるものの、神谷総一朗とのバトルではどちらかが負けるまで延々と勝負が続く。その間は誰も外へは出ることができない。
エンバンメイズ1巻 ダーツバトル
(1巻)
結果、782ラウンドまで続く(最終的には1000ラウンド前後まで続く)。じゃあ勝負つかへんやん、って話なんですが、「どちらかが負けるまで☆外へは出られない」というルールが活きてくる。神谷は実は病気を持ってて、常に薬を打たないと死んでしまう。つまり逆に言うと、延々と勝負が続くこと自体が神谷にとっての負け。

エンバンメイズ2巻 ダーツバトル
(2巻)
毒ガスを用いたダーツバトルでは、二種類の矢が用意されてる。ガスを止める矢と得点を得ることができる矢。でも衆人環視の元でダーツバトルが行われるので、敵は客の中にスパイを送り込む。そして烏丸の投げる矢が全部筒抜け状態。ただ烏丸は全部お見通して、逆にそこを利用。そして最終的には上記にある悪魔的な表情に繋がりますw

ちゃんと独特のルールを設定することができて、なおかつそのルール上において独自の展開を作ることができてる。これってなかなかできそうで、できない。烏丸のキャラクターが一見すると目立ちがちですが、実は根底のストーリー部分がしっかりしてる。

総合評価

期待せずに読み始めたんですが面白かった。good!アフタヌーンという漫画雑誌は意外に良作が多いかも知れない。

ダーツバトルの種類もワンパターンではなく、現在のところ飽きはない。烏丸の苦境を描く場面はあるものの、それはあくまで敵を倒すための布石やフェイク。下手に意味なく烏丸を負けさせようとしないのでシンプルで読みやすい。また烏丸の悪魔的な表情がスパイスとして効いていて、トドメのようにワクワク感やドキドキ感を倍増させる。

また月刊というペースがちょうどいい。普通はどうしても月刊連載のマンガは一話一話が間延びしがちなんですが、不思議と週刊連載のマンガを読んでるようなテンポ感の良さがあった。ただ画力は下手ではないですが、もう少し頑張れる部分はありそうですが。

◯展開★4.5◯テンポ★4.5
◯キャラ★4.5◯画力★3.5
◯全巻大人買い★5
◯おすすめ度…88点!!!!