『ダンジョン飯』1巻のネタバレ感想。作者は九井諒子。ハルタで連載中のグルメ漫画。ちょっと話題になってる漫画らしい。

あらすじ

主人公は騎士のライオス。一千年前に栄えた黄金の国が封じ込められたダンジョンの最深部を攻略しようとしてた。

しかし、まさかの「空腹」でパーティーの動きは緩慢化。強敵ドラゴンによって全滅の危機を迎える。そこで妹のファリンが脱出魔法で自分以外を逃がしてくれるものの、妹だけは囚われの身になる。そして騎士のライオスは妹ファリンの奪還のために、魔法使いのマルシルと鍵師のチルチャックと共にダンジョンの再攻略を図る。

ただ今度は空腹でパワーが出ないみたいな初歩的なミスを避けるため、「よーしモンスターをどんどん食ってっちゃうぞー」的な展開が始まる。内容的にはギャグテイスト。

モンスターの正しい食べ方とは?

そもそも「モンスターを食べちゃう」という発想自体がエグいですが、だからこそモンスターが調理されてめっちゃ美味そうになってんじゃね?という逆張り的な発想にもつながりがち。

でも結論から先に答えておくと、調理したモンスターの見た目は全く美味しそうではない。一応食べると美味しいという設定ではありますが、ビフォーアフター的な「なんということでしょう~」というヨダレが出る驚きはナッシング。

じゃあこの『ダンジョン飯』の何が面白いかと言うと、どう食すかという考察や分析に基づいた「発想力」。
ダンジョン飯1巻 キノコ系モンスターの特徴
キノコ系のモンスター(例えばドラクエの序盤で登場しがちなおばけキノコ)だと横よりも縦の方が切りやすい。そこからダメージを多く与えるには、横向きにスバッと斬るより縦で真っ二つに振り下ろした方が…というのはムダに納得してしまった。今後、横向きで回転アタックとかされたら結構ヤベー。

ダンジョン飯1巻 スライム系の特徴1
他にもスライムの内部構造を解説。確かにスライムにも内臓系のなにかはあるんだろうけど、いざ説明されるとひたすら気持ち悪い。スライムはせっかく可愛らしさが売りなのに。ここに脳みそや肺があるのかと思ったら攻撃を少しためらう。

ダンジョン飯1巻 スライム系を天日干し
しかも、このスライムをまさか天日干しで保存食にできる。脳みそといった内臓器官がガッツリあるのに、ただ干すだけで大丈夫なのか?という素朴な疑問。てか、パートのおばちゃんの無表情っぷりが何か切ない。

採取方法もどういう風にすればいいかという考察もある。例えば、引っこ抜くと奇声を発して攻撃するというマンドラゴラ。ハリーポッターにも登場してたやつ。
ダンジョン飯1巻 マンドラゴラを瞬殺するドワーフ
それは「叫ぶ前に首を落とす」という至ってシンプルな方法。ダンジョン内で新たに仲間に入るドワーフがムダに強くて豪快。理屈としては確かにそうやろうけど…っていう。

ダンジョン飯1巻 トラップで切断
他にもダンジョン内に設置された罠・トラップでモンスターの肉を切断するという発想もなかなか笑った。トラップが元に戻るときの変な間がマヌケっぽくて良い。でも想像以上にリスキーな調理法。

マルシルのリアクションが大げさ

あとキャラクターで良かったのが、魔法使いのマルシルのリアクション。
ダンジョン飯1巻 マルシル「ヤダー」
口では「何でもいい」と言いつつ、結局あれこれ選り好み。すぐ文句を言う、典型的な面倒くさいオンナ。そのオーバーっぷりが地味にうっとい。

ただマルシルの気持ちは分からなくはない。
ダンジョン飯1巻 マルシルのリアクション
何故なら、マンドラゴラの首を出されても、そら食欲は湧かへんやろっていう。このマルシルの絶望に満ちた表情。

おそらく一般的な感覚が麻痺しがちなだけで、このマルシルが唯一の常識人と言えることも可能。笑いで言えば、ツッコミ的な役割を暗に担ってるのかも。

例えば、主人公のライオスが食虫植物に食べられた時、その妙な締めつけ感がたまらないんだよなー、と妙な性癖を告白したとき。
ダンジョン飯1巻 ライオスの変な性癖に対する嫌悪感なマルシル
この引きまくった表情が笑う。世の中の女性の多くは、実際こんな表情を男に対して浮かべたことがあるんじゃないでしょうか。無言の拒絶感、理解不能感がたまらない。

総合評価

『ダンジョン飯』は決して爆笑するようなマンガではない。ある程度読者層も選びそうですが、全体ではなかなか面白い。ヒーロー特撮ものを科学的に考察・分析した元も子もない本が昔に流行りましたが、ああいうのにノリやアプローチの仕方は近い。「あー、なるほど」的なニマニマ感が口元に思わず現れる。

こういう視点や設定を見つけた時点でのアイデア勝ち、とも言える。普通だったら「トルネコみたいに大人しくパンでも食ってろよ」という発想止まり。ただそれでもしっかり納得できてしまうような展開を作れてるので、作者・九井諒子に実力がある証拠。『ダンジョン飯』が売れてるのも納得できる。欲を言えば、もう少しフォントが大きいor文字数が少ないといいかも。

ダンジョン飯 1巻<ダンジョン飯> (ビームコミックス(ハルタ))
九井 諒子
KADOKAWA / エンターブレイン
2015-01-15

◯展開…★4◯テンポ…★3.5
◯キャラ…★4◯画力…★3.5
◯全巻大人買い…★4.5
◯おすすめ度…87点!!!!