『ドラゴン桜』全21巻のネタバレ感想。作者は三田紀房。モーニング(講談社)で連載されてた受験をテーマにした漫画。一昔前にTBSで阿部寛や新垣結衣でドラマ化もされましたが、その原作マンガ。

◆旧ブログで2015年2月25日にアップロードした記事です◆

今日2月25日は国公立大学の前期日程試験が行われる日。こんな日にさすがに閲覧してくれてる受験生はいないかと思いますが、って私立大学はほとんど合格発表が終わってるか、そこで今回は東大合格をテーマにしたマンガ『ドラゴン桜』をレビュー。

あらすじ

舞台は、経営破綻状態に陥った学校法人・私立龍山学園。典型的な底辺高校。その救済へ任されたのが、弁護士・桜木建二。そこで龍山学園を民事再生法に基づいて事業再生計画を考える。

ただし桜木は元暴走族で、型破りな性格だった。その事業再生計画というのも、「5年後までに東京大学合格者100人を輩出する」という目標。

その第一号として選ばれた生徒が水野直美。水商売で働く母親に幻滅して、人生全てに悲観してる落ちこぼれ。案の定、水野直美は拒否。
ドラゴン桜1巻 桜木のセリフ
(1巻)
そこで桜木建二が言い放ったのが「自分でルールを作る側に回れ!」というセリフ。世の中の不条理は上に立つことで変えられるという意味。

他にも矢島勇介という男子生徒も巻き込まれて、果たして偏差値30台の無気力な高校生たちが東京大学に合格できるのか?奇抜な受験指導や目からウロコな受験攻略法を駆使することで、大手予備校にも負けない学力向上術が展開されていく漫画。

東大入試に向けた戦略と実践術

漫画に限った話じゃないかも知れないですが、受験をテーマにした作品は観念的なアドバイスが多い印象。ただドラゴン桜の場合、東大入試に向けたアドバイスや指南がいちいち具体的。

とりあえず設定としては「東京大学に入学できたらどの学部でもいい」というスタンス。それが良いか悪いかはさておき、じゃあ主人公の桜木はどの学部をおすすめしたか?(東大は少し特殊で二回生から学部を選択するらしいですが)
ドラゴン桜1巻 東大入試の攻略法1
(1巻)
それが理科一類。理由が定員が多くて倍率も低い。要するに、東京大学の中で一番間口が広いところ。

でも理科系の教科はみんな苦手としてるところ。ただ敢えて桜木は、そこで英語と国語で勝負しろと発破をかける。
ドラゴン桜1巻 東大入試の攻略法2
(1巻)
実は理系学部とは言え、文系の科目配点が高いのが理科一類。しかも難易度が低くて、内容が基礎的レベルの範疇。

ドラゴン桜7巻 東大入試理科の攻略法
(7巻)
理系科目のテストの傾向もそれに近い。いちいち披露してくれる戦略にムダに安心感がありすぎて、「あれ?俺でも東大合格できそう?」と思わせるのが怖い。

東大に限らず、国公立大学ではセンター試験対策が必須。このセンター試験で点数が良くないと、国公立大学では受験すらできない。
ドラゴン桜13巻1センター試験対策の世界史
(13巻)
例えば世界史だと教科書の後半(近現代史に近い歴史)に重点が置かれてるなど、やはりこちらもアドバイスが具体的。下手な受験対策雑誌よりも役に立つ。

ただ10年以上前に発売した漫画だから、これらの情報が今でもどこまで通じるかは不明。例えば予備校の正しい選び方も指南してくれてるんですが、多分10年前とかなり状況は変わってるはず。大手予備校ですら倒産してるぐらいだから。

また政治家の影響で受験のあり方はちょくちょく変わりがち。センター試験がまさに好例で、これからの受験生は鵜呑みにしすぎるのも危険だと、一応付け加えておきたいと思います。

社会人でも役立つ考え方のシンプル化

もちろん戦術だけ身につけても、学力そのものが向上しないと入試には意味がない。
ドラゴン桜21巻 数学の解き方
(21巻)
例えば数学だと補助線の使い方など、答えではなく解き方や考え方を教えてくれる。同じように国語だったらこんな考え方をしろ、物理だったら…という具合に、ありがちな言葉を引用すると、「魚を与えるんじゃなく、魚の捕り方を教えろ」的なことを実践。

ただこうやって入試対策のアドバイスに具体性が伴ってるが故、受験生以外の読者には役に立たないように思いがち。でも真逆。

例えば世界史や日本史は「時事問題」に置き換えることが可能。世界史に強くなれば、時事問題にも強くなる。そこで主人公の桜木建二がどんなアドバイスをしたかと言えば…
ドラゴン桜13巻世界史の学び方・時事問題でも通じる
(13巻)
「何故起きたのか?」という疑問を先に持ってきて考えろ、ということ。テレビの情報番組やニュース番組でも結論や出来事を羅列してるだけで、その背景やそれまでの流れを知らない人にはチンプンカンプン。

そして更に面白いと思ったアドバイスが、世界史・日本史は「人間関係から読み取れ」。切り口が新鮮で、言い得て妙。ナポレオンにしても織田信長にしても三国志まで遡っても、結局時代を動かしてるのは人間。今生きてる人間と同じく、ほとんどが「感情」で動いてる。そこを理解できるだけで、歴史の見え方がかなり変わってくる。

試験に対する向き合い方も具体的。
ドラゴン桜21巻 テストに臨む姿勢
(21巻)
ひたすら自分が普段からやってる解き方をしろ、とのこと。つい試験が始まると浮足立って、普段とは異なる解き方をしてしまいがち。試験や東大入試に限らず、スポーツや仕事でも同じことが言えそう。

ドラゴン桜1巻 明確な目標設定
(1巻)
人間ははっきりとゴールが見えれば準備をし達成へと着実に進む」というアドバイスとか、むしろ社会人や大人の方が身に染みるアドバイス。何故なら、むしろ社会人になった時の方が「ゴール」を設定するのが難しいから。中学生や高校生たちは周りの大人達から、ある意味試験というゴールを半強制的に用意してもらってると言い換えられる。

総合評価

ドラゴン桜の着想を得たのは、作者・三田紀房の東大出身の担当編集者からだそう。「東大合格なんて楽勝っすよー」という典型的な天才肌タイプだったらしく、だからこその奇抜だけど役に立つ入試対策法が描けたのかも。

東大入試向けの対策だけではなく、日常生活でも応用可能な実践的な考え方も多い。受験生以外でも学べる点も多く、実用書という点でも評価できそう。資格取得や通信講座などでもきっと役立つ。世界史のクダリでは漫画のストーリー作りにも援用できそう。

ドラゴン桜21巻 勉強とは一体?
(21巻)
勉強するとは何か?学ぶとは何か?」という観念的な問いに、少なからず何らかの示唆を与えてくれるマンガ。ただ、だからこそじゃあ漫画としてどこまで面白いのか?という部分も少なからずある。もし既に浪人生活が決定した方は、少し一休みしてドラゴン桜を読んでみるのも良いのかも。

ドラゴン桜(1)
三田紀房
講談社
2012-09-28

◯展開…★4◯テンポ…★4
◯キャラ…★3.5◯画力…★3
◯大人買い…★4.5
◯おすすめ度…86点!!!!