『デストロ 246』全7巻のネタバレ感想をレビュー。作者は高橋慶太郎。掲載誌は月刊サンデーGX(サンデージェネックス)。出版社は小学館。ジャンルは青年コミックのガンアクション漫画。Kindleでもダウンロード購入可能です。

最近完結したらしいので、『デストロ246』がおもしろいか面白くないマンガか全巻まとめて考察してみた。もっと軽めのレビューにするつもりだったんですが、割りと長文の感想記事になったので注意。


あらすじ物語 ストーリー内容

「トーノフーズグループ」を経営する実業家・透野隆一は、敵対する犯罪組織によって妻子が殺されてしまう。そこで復讐の手段として南米から17歳の殺し屋の少女を購入。名前が無かった二人の少女は透野藍(あい)と透野翠(すい)と名付けられる。

そして日本に連れて帰った後、女子高生として普通の生活を遅らせる…わけはなく藍と翠に命じて次々と暴力団などを襲撃させる。まさにアサシンキラー(殺し屋殺し)。果たして藍と翠は主人である透野隆一の代わりに復讐を果たすことはできるのか?みたいなストーリーの漫画。


登場人物は殺し屋ばかり

デストロ246 5巻 登場人物 藍 翠 万両苺 伊万里
(デストロ246 5巻)
漫画の登場人物を書いておくと、およそ3つのグループ・勢力に大別されます。

まずはあらすじ内容でも触れた、右上の透野藍と透野翠。最強のアサシン・沙紀曰く、「それぞれ研ぎ澄まされた毒を持つ」。南米で過ごしていたものの、読書が習慣付けられたため日本語はペラペラ。前述の通り、普段は女子高生として過ごす。どちらも笑い方が個性的。赤髪の藍は「ヒョッヒョ」、ショートカットの翠は「キョフフ」。

左のチビっこいのが的場伊万里(まとば いまり)。圧倒的なスピードを誇る。不意に現れては突如として消える、まさに忍者みたいなアサシン。政府機関の殺し屋ではあるものの、実質的に仙崎時光という実業家に雇われている。

この的場伊万里は幼い頃から「止まり木」という組織でアサシンとしての能力が叩きこまれた結果、驚異的な戦闘能力を持つのの強い洗脳や暗示にかかっているためアサシンを辞めると死んでしまう。普段は「西東京総合学園」で普通の女子高生として過ごす。

下の三人が横浜を根城とする女子高生893。真ん中の眼鏡のおカッパ頭が万両苺(まんりょう いちご)。万両組の組長。ただ組そのものは解散されたらしく、実質的には893というよりマフィア。戦闘能力はないものの、図抜けた人心掌握術を持つ。お金を稼ぐためなら手段は問わない、まさに893。

残りの二人がアサシン。左が市井蓮華(いちい れんか)、右が佐久良南天(さくら なんてん)。とにかく強くて、やはり普段は私立聖モシカ女子高校の生徒として過ごす。三人に主従関係はあんまりなくて、普段は百合百合してます(笑)

一応、彼女らの年齢は17歳前後。アサシンまだ~♪17だから~♪ころしに誘われて~♪ミンナイキテはカエサナイ~♪

他にもCIAのアサシン・紅雪(べにゆき)最強のアサシン・沙紀(さき)がいます。ネタバレしておくと、透野の妻子をヤッたのが沙紀。五角グループに雇われていて、五角と遠野との間にイザコザがあったとか?

この沙紀は武器や毒物など様々な暗殺術に長けている、まさにオールラウンダー。「攻撃の手をどこまで広げてくるか見当がつかない底知れなさや圧倒的なプレッシャー」があるらしい。オールラウンダーと聞くと逆に弱そうに聞こえますが、ただ普通に腕力もすごい。紅雪戦では車のガラスを素手で殴って割って、ガラスはぽっかりと穴が空きまくりw

透野藍と透野翠が日本にやって来たことで、何の因果か運命か、これらの登場人物が導かれるように出会う。そしてそれぞれの思惑が激しく入り乱れ、まさに血みどろの首都圏大抗争が勃発。女子高生の、女子高生による、女子高生のための殺し合いが展開されます。だから基本的にドンパチやってるだけのアクション漫画。


タイトルの読み方と意味

ちなみに漫画タイトル『デストロ246』の読み方は「ですとろにーよんろく」。

この意味は舞台が「国道246号線付近」で展開されるからとのこと。言ってしまえば「女子高生アサシンたちの縄張り(シマ)」を指しているのではないかと思います。だから『デストロ246』を要約すると「破滅的な縄張り争い」みたい意味が込められているはず。


圧倒的なアクションアクションアクションが爽快!

『デストロ246』はとにかくアクションが圧倒的。

デストロ246 4巻 的場伊万里 バトル描写
(デストロ246 4巻)
例えば、不意にベランダから襲ってくる敵に対して、的場伊万里が圧倒的なスピードで鎮圧。しかも相手はライフルを持ってる状態。他にも的場伊万里は小柄なこともあって車内でバトルする。描く側からしたら意外と難しいと思うんですが、だからこそ見応えがあります。狭い場所で限られているだからこそ、深みのある展開って描ける。

デストロ246 4巻 市井蓮華 ナイフ
(デストロ246 4巻)
市井蓮華がナイフでノートパソコンを真っ二つ。どんだけ切れ味鋭いんだよ。敢えてナイフに動きを付けてないことで、ノートパソコンの方に目が行く。真っ二つになったことだけで、威力の高さがもう十分伝わる。

デストロ246 4巻 沙紀 アストンマーチン
(デストロ246 4巻)
他にも派手なカーアクションも展開されます。主な登場人物は女子高生ですが、最強のアサシン・沙紀はイギリスの自動車メーカー「アストンマーティン」が好きらしい。ヴァンキッシュなど乗りこなすものの大破させまくり。アストンマーチンといえば一台数千万円クラスの車もザラなので、おいおいおい(笑)

デストロ246 7巻 ヘリコプターを撃ち落とす蓮華 南天
(デストロ246 7巻)
最終巻では「火車」という敵(?)の武装ヘリコプターが追撃してくるものの、蓮華と南天がまさかのRPGで撃ち落とす。前に893がトマホークミサイルか何かを持ってて摘発されましたが、もうどこの戦場だよ。まさに「ハリウッド映画みたいじゃん」(笑)


殺意ムンムンのバチバチ感がヤバすぎる

あとは作者・高橋慶太郎は緊張感あるピリピリした空気感を描くのも上手い。もはや殺意に満ち満ちた毒々しい空間。この空気感の描き方は好き。

デストロ246 1巻 伊万里 藍 翠 殺気
(デストロ246 1巻)
初めて透野藍と透野翠が的場伊万里と遭遇した時は、お互いが凄腕のアサシンだとすぐさま察知したことで、すぐさま臨戦態勢。藍と翠の表情がヤベーよーただのホラーでっせ。

デストロ246 4巻 藍 翠 殺気バチバチ
(デストロ246 4巻)
沙紀が街中で透野藍と透野翠と遭遇した時は、ファイナルファンタジーの序盤に突然フィールドでキングベヒーモスあたりに遭遇してしまったか感じ。ドラクエだとギガンテスあたりか。少なくとも「仲間になりたそうな目をしている」ことはないのは確か。

デストロ246 1巻 万両苺 藍 翠 殺気バチバチ
(デストロ246 1巻)
藍と翠、的場伊万里、万両苺などが一堂に会したときは、もはや悪魔の会談。万両苺は武力はないものの、「なーにがよろしくだこの野郎」とめちゃくちゃ怖い。たまに苺は「のび太のお母さん」にしか見えないんですが、言ってしまえばその最上位互換。ドラえもんも苺の表情を見たら、きっと服従するしかないでしょう。

デストロ246 3巻 遠野翠 飛行機ごと撃ち落とす
(デストロ246 3巻)
翠だと「綾瀬せつなは飛行機ごと撃ち落とす」と言い放った時の表情、セリフ。言ってることがスケールでかすぎるよー。でも先程、武装ヘリコプターを撃墜する場面を書いたことからも、コイツラの場合は単なる脅しの類いではないからこそ怖い


悪だからこその名言

でも登場人物が全員悪だからこそ名言が生まれることもある。透野藍と透野翠はパッパラパーだから割愛。

デストロ246 4巻 的場伊万里 名言
(デストロ246 4巻)
特に的場伊万里は登場人物の中では割りとまともな神経を持っているので、「ほんの些細な原因で人は裏社会と繋がる。そんなワケないと投げた者から順に命を落とす」など名言を連発。

一ノ瀬葉子が「ずっとこんな世界で生きていたの?」と質問すると、「学校卒業したからポンとワルや893になるわけじゃないでしょ?」「前も言ったとおり【あの世界】も【この世界】も【学校】も分け隔てはないのよ」と返す。確かに言われりゃそう。悪い893も身近な生活圏に溶け込んでいるって、警察庁のオジちゃんも言ってたよ、えへへ。

デストロ246 2巻 苺「嫌だな戦争は不毛で」
(デストロ246 2巻)
女子高生893である万両苺の「嫌だな戦争は不毛で」というセリフも何気に名言か。悪だからこそ説得力が増すのかも知れない。ただ表情は笑顔。

紅雪の的場伊万里に対する「お前はなぜ暗殺者が自由に生きられると勘違いしているんだ?」ってのも中々乙。


腹筋ショットがエロい?

『デストロ 246』はゴリゴリのアクション全開なんですが、作者 高橋慶太郎の趣味もあってか、登場人物のクダリでも説明しましたが少しエッチィ描写もチラホラ。

デストロ246 2巻 市井蓮華 佐久良南天 百合描写
(デストロ 246 2巻)
万両苺と南天、蓮華はいつでもどこでもイチャコラ。ドンパチやり終わった後にもベッドでヤリ…もとい百合まくる。常に南天と蓮華はそんなことしか頭にないので、たまに万両苺に怒られるほど。画像は比較的ソフトな場面を選んでみたんですが「手を突っ込んでまさぐる」って意外にグッと来るんじゃね?

デストロ246 6巻 藍 翠 腹筋
(デストロ 246 6巻)
他にもオマケページですが、藍と翠が極小ビキニを着用したりします。というか、喜ぶ読者がどれだけいるかは不明ですがこの腹筋のえげつなさよ(笑)

デストロ246 5巻 佐久良南天の腹筋
(デストロ 246 5巻)
中でも前述の佐久良南天の腹筋は特にヤバス。足の筋肉もどんだけバキバキやねん。そりゃあ圧倒的な戦闘能力を誇るJKばかりなので当然っちゃ当然。ただ的場伊万里だけ口リ口リしてますが、筋肉百合フェチにはきっとたまらない。少なくとも作者・高橋慶太郎は描いてて大満足去ったらしい。


最終回・最終話はこんなオチで完結

ラストは最終巻。最終話はかなり時間が進んで4年後の横浜。一ノ瀬葉子と的場伊万里がダイハツ・コペンで仲良く移動。そして向かった先が例の連中。

デストロ246 7巻 万両苺
(デストロ246 7巻)
万両苺は雰囲気は変わらないものの、若干髪の毛が伸びる。でも20代前半にはとても見えません(笑)

逆に、的場伊万里はそのまんま。いつでも制服姿で行動。それに対して万両苺は「トイレの花子さんにしか見えねーよ!コロポックル花子と名乗れ」とツッコミを入れる。紅雪とのバトル後、的場伊万里は成長が止まった。紅雪にとどめを刺さなかったことで、的場伊万里の中で「成長」が失われたらしく、常に制服を着用。

ようやく帰国する運びになった綾瀬せつなに対して、的場伊万里はそれを懐柔している万両苺を威嚇。相変わらず殺気バチバチでぶつかり合うものの、首都圏以外での活動させることで苺は妥協。藍や翠に対してもそうですが、どうやら全体を統率する立場になっている的場伊万里。市井蓮花も思わず「権力異常じゃね?」とポツリ。

デストロ246 7巻 的場伊万里と一ノ瀬葉子
(デストロ246 7巻)
そして結末は的場伊万里と一ノ瀬葉子が手を繋いでこれからも一緒に生きていく…みたいな感じで完結。いつの間にか、物語の主役が藍と翠から的場伊万里に移ってしまったような終わり方。


打ち切り臭もする結末だが…

ただ「成長」を止める原因ともなった「止まり木」の伏線が回収されないなど言われてみると消化不良な最終回。

大学生になった藍と翠は、結局沙紀を殺さずじまい。「(透野隆一の)復讐は受け継がれるのだ。いまだ我々の命がありながら失敗とは勘違い甚だしい。もはや一発の弾丸だけで死ねると思うな?」と沙紀に対してものすごい剣幕で威嚇してたにも関わらず。もっと言うと「暗号」についての伏線もスルーされてる。モヤッとした結末で確かに打ち切り臭も感じさせます。

でも自分はもともとストーリー性を期待してなかったので問題ナッシング。設定やキャラクターの背景も含めて、意外に複雑で理解するのが難しい。だからササッと読み飛ばして、アクションやバトル描写だけを楽しんでた。だからそこまでAmazonで酷評されてるほど気になるオチではないと思います。

とはいえ下手に前フリや伏線を作った以上は、基本的にはそれを回収すべき。読者は期待してしまう以上、評価を下げる要因になるのは一方で事実でしょう。もし「だけのマンガ」を描くなら、下手に煽らないことも必要かも知れません。だから前述のようにアクション描写などは面白いものの、『デストロ246』の最後に尻すぼみ感があるので「ストーリーはつまらない」と評価されても仕方ないかも。


総合評価 評判 口コミ


『デストロ246 全巻』のネタバレ感想をまとめると、とにかく壮絶なアクション描写とバトル描写に尽きます。見た目こそ似たような登場人物が揃ってますが、キャラクターはそれぞれ立ってて面白い。

圧倒的強者のアサシンと893が女子高生の皮を被って、裏社会も入り乱れた壮絶な「ヤリ合い」が見事。ドンパチドンパチの繰り返しがハマる。その割に「ウワッ」となるグロシーンが少ないのでサラサラと読めるのも良い。作者 高橋慶太郎の殺意ムンムンの空気感、殺伐とした緊張感の表現が上手く、アクション漫画好きの読者はきっと読ませられるはず。

ただストーリーの結末は少々難ありか。個人的にハッピーエンドで完結してるので良いと思いますが、伏線などが細かく気になる方は注意が必要。だから深く考えずにテキトーに読むことをおすすめします。良くも悪くもデストロ 246は「B級感」を楽しめれば素直に面白いはず。