『ダンダリン一〇一』のネタバレ感想。原作はとんたにたかし、作画は鈴木マサカズ。モーニング(講談社)で連載してた仕事マンガ。主役・竹内結子で実写ドラマ化もされたことがあるそう。

あらすじ

内容はざっくり言うと「ブラック企業」を題材にしたマンガ。
ダンダリン/役人舐めやがって
舞台は労働基準監督署。ブラック企業を「取り締まる」側。いわゆる労働Gメンの話。主人公はその新人職員・段田凛(だんだりん)。その名前がこのマンガのタイトルになってる形。

ダンダリン/上司に噛み付く
段田凛は良くも悪くも正義感が強い女性で、いきなり赴任早々上司に噛み付いたりすることも。彼女の奮闘ぶり葛藤ぶりが、このマンガの最大の見所。しっかりキャラクターが立っていて、ほとんどが労働者であろう読者も比較的感情移入をしやすい主人公になってそう。

労働基準監督官には逮捕権もある

ダンダリン/逮捕
実は労働基準監督署の職員は司法警察員だから逮捕権も行使できる。

労災事故でくも膜下出血になった従業員がそれが原因で交通事故死したケースでは、刑事さながらに推理力をバリバリ発揮したり、色んなパターンの事例が収録されている。段田があまりに張り切りすぎるので、それをを疎ましく思う上司との対立があって閑職に追いやられるみたいな内部抗争的なこともあったりする。

ダンダリン/国家公認ヤクザ
少し理解ある上司ですら「お前は国家公認のヤクザだ」とまで言われちゃう始末。でも労働者側からするとそれぐらいの気持ちで頑張ってくれよという感じ。

スッキリしない展開

ただマンガとして面白いかどうかは少し別。スッキリしないまま終わることが多かった印象。

ダンダリン/役人舐めやがって
最初はこんな感じで「お役人様をなめやがって!」と、いかにも勧善懲悪的な展開がメインで気持よく進むのかと思いきや、『労働基準監督署の限界』が根底に描かれている感じ。

いくら逮捕権を行使できる司法警察員とはいえ、悪徳経営者をバンバン逮捕するわけじゃない。何故なら法定刑がゆるくて、仮に立件したとしても罰金10万円程度の略式起訴止まりだから。また例えばセクハラなどは労働局という部門が担当。いわゆる「縦割り行政」ってやつ。

それに対する主人公・段田凛の苦悩や鬱屈した不満も描写されてるものの、結局は「労働基準監督署は慢性的な人員不足である」というリアルなオチで終わる。

例えば、段田の飲食店を経営をしてる大学時代の先輩が従業員への残業代が不払いをしてるケース。もちろん段田凛が摘発には行くものの、その先輩の店は単純に経営的に苦しいだけなので経営者も大変なのか~という感じでモヤっと終わる。

だから、どうしても読後感としてはスッキリせず面白くない。マンガの中だけでもせめて悪徳経営者をスバッと倒そうぜ!っていうのが本音。

総合評価

ただ労働基準監督署の実態を告発する「社会派」な中身として見るならアリ。

どうしても小難しくて読みづらそうなマンガに聞こえるかも知れませんが、むしろ逆で比較的テンポよく読みやすい内容。内容が300ページぐらいと多めなんですが、良い意味でボリューミーさを感じさせない。むしろ段田凛の今後をもっと知りたいという読後感のまま終わる。

ダンダリン一〇一
とんたにたかし
講談社
2013-03-01

◯展開★3.5◯テンポ★4
◯キャラ★3.5◯画力★4
◯全巻大人買い★―
◯おすすめ度…78点!!!!