『DEATH NOTE(デスノート)』全13巻のネタバレ感想をレビュー。作者は大場つぐみ(原作)、小畑健(作画)。言わずとして名コンビですが、このデスノートが出世作となった漫画。掲載誌は少年ジャンプ。出版社は集英社。藤原竜也主演の実写映画化もそこそこヒットしたらしい。最近また文庫版などが販売されてるなど息が長い人気作。

漫画感想ブログの「すごないマンガがすごい!」でリクエストがあったので随分前にレビューした記事ですが、面白いかつまらないかの考察を加えて改めて再編集してみた。先に結論を書いておくと、トータルの内容はそこそこ面白いです。


デスノートという抜群のアイデア

デスノート13巻/デスノートの説明
(13巻)
やっぱり何と言っても、デスノートという設定やアイデアが見事。秀逸。抜群。

様々に用意されてるルールが絶妙なのばかり。40秒以内であれば死因を選択できるが不可能なことは実現されなかったり、あくまで名前と顔が一致してなければならないや、紙の切れ端であっても効果は有効であったり、死神は好意を抱いた人間の寿命を延ばせば死ぬとか、死神も全てのルールを説明しなくてもいい、などなど。

デスノート7巻/デスノートに触れて記憶を取り戻すミサ
(7巻)
例えば、『所有権』という概念が面白い。その所有権を誰が上げたり譲り受けたりできる。放棄した場合、それまでの記憶を全部喪失。でも再びノートに触れると、全部の記憶が蘇る。

そういう縛られた制約・ルールの中で頭脳戦が展開されるんですが、それらを物語の展開にしっかり活かす『巧みさ』はもはや少年誌の域を超えていた。


夜神月という極悪エリート

その頭脳戦を繰り広げるのが主人公・夜神月(やがみ・らいと)。

デスノート6巻/夜神月
(6巻)
最初は健全なエリート高校生。まさに正義感あふれる好青年。ただひょんなことからデスノートを手にしてしまい、次々と犯罪者(最終的には自分を逆らう相手は手当たり次第に)殺していく。彼の中のモラル道徳が総崩れ。独善的な悪とも正義とも言えない本性が、どんどん明らかになっていく。

デスノート7巻/夜神月の悪い表情「計画通り」
(7巻)
まさに悪魔的な表情を頻繁に見せてくれる。何が「計画通り!」やねん。このコマ然り、色んなコマがアチコチのネット上でネタにされてた記憶がある。


エルとの壮絶な頭脳戦!

その暴走を止めるために日本に送り込まれたのが、世界屈指の名探偵のL(エル)こと竜崎。冷静に読み直すと、「名探偵」という設定は何だよって気はしなくもない。

デスノート3巻/夜神月に迫るL
(3巻)
徐々に夜神月に迫っていくエル。息もつかせぬ一進一退の攻防は、見事。

そして夜神月にターゲットをほぼ絞り、エルは夜神月の部屋に小型カメラを無数に忍ばせて監視。ここからの二人の頭脳戦が面白くて見もの。

当然夜神月はデスノートの存在がバレるわけにはいかない。一介のフツーの高校生で在り続けなければいけない。ただ自分への監視が始まった直後から、犯罪者が死ななくなれば明らかに不自然。エルの自分への疑惑が更に確信めいたものになる。

夜神月は敢えて、テレビやパソコンを見るのを止めた。そうすれば犯罪者を知るための情報源(ニュース)が得られない。その状況で犯罪者が次々と死ねば、自分への疑惑を晴らせるだろうということ。

でも犯罪者の情報を得る必要はある。そこで夜神月はどうしたか?
デスノート3巻/ポテトチップスの中のテレビ
(3巻)
勉強中に食べてるポテトチップスの中に、小型テレビを設置。しかも同時にデスノートの切れ端をポテトチップスの中に忍ばせ、犯罪者たちの殺害を実行。

この地味な戦いこそが、このデスノートの『ツボ』だと確信を持てる。強力すぎる武器なんだけれども、制限的な『ルール』も一方ではある。結局、そういう縛られた制約・制限の中でこそ生まれるバトルが、少年マンガ敵で面白い。ONE PIECE然り、バトルの醍醐味は強すぎてもダメ。


後半の展開はいまいち面白くない

ただ後半の展開があまり面白くない。もっと言うとつまらない?ネタバレしてしまうと、夜神月は最終的にエルの息の根を止めることができる。結果、夜神月が捜査組織のトップ(二代目のエル)に就任。

でも警察組織のトップに就任して大きな権限や権力を得てしまったら、デスノートって果たして要る?という素朴な疑問。

自分の部屋といった『小さな日常空間』を舞台として、ノートというありふれた文房具のみで国際的捜査組織やエルと戦うことに「デスノートの醍醐味」があった。「小さな世界観VS大きな世界観」のアンバランスさこそ見所だった。

デスノート2巻/地味な攻防
(2巻)
こういう地味な駆け引きこそ面白かった。一介の高校生にノートという武器もマッチしてた。小さな世界観があったからこそ、それが入口となって読者も感情移入もしやすかった。一介の高校生だったからこそ色んな制限も存在してて、それが展開にスパイスとして効いてた。

でも夜神月の強くなりすぎて、チート感がハンパなくなって面白くなくなった。これまで色んな制限があったからこそ、エルとバチバチしたバトルが展開できた。でも亡くなったエルの代わりに登場したのが、ニアとメロという二人の少年。エルの雰囲気をしっかり引き継いでるものの、正直全く可愛げがない。

前半は「夜神月がエルをいかに追い詰めるか?」がテーマだったものの、後半からは「夜神月をいかに追い詰めるか?」に代わる。でもニアとメロが主役としての力不足感は否めない。13巻という不吉な数字で終わらせるためか、展開もグズグズとして間延び感がハンパなかった。

しかも、そんなん求めてないねん…っていうぐらい、何故か後半はアクション要素たっぷり。後半からは全く別のマンガに成り下がった印象で、原作の大場つぐみ自身が「デスノートのツボ」を理解してなかったことにガッカリさせられた記憶。


総合評価・評判・口コミ


『デスノート 全13巻』のネタバレ感想をまとめると、割りと面白いです。ただそれは主に序盤に限っての話で、後半にかけては下り坂。『BAKUMAN(バクマン。)』もそうでしたが、大場つぐみが作る設定やアイデアは面白いので序盤は読めますが、後半にかけては失速する傾向。オチをネタバレしておくと最終的に夜神月は死ぬものの、最終回・最終話のラストの結末もキラ(夜神月)の再誕を願うモブカルト集団が写って終わり。分かるようで分からん。

デスノートも最初はネタの斬新さも手伝って読ませるものの、後半は中途半端にスケールが大きくなりすぎてイマイチ。ノートというアイテムが台無しになってる感じ。後半のクダリがなければ90点以上の点数をつけてもよかった。冒頭で書いた「トータルの内容はそこそこ」という意味はそういうこと。

一応しっかり完結させましたが、それほど終わり方もキレイじゃない。むしろ汚い。最終話で登場した女性キャラクターも一体誰なん?読後感が悪すぎるオチの上に、更にもやもや。若干の腹立たしさが残る。『結界師』の点数が低かったのを訝しがられましたが、個人的にデスノートに近い感覚を持ってる。中盤以降のクダリは個人的に不要だったかな。結界師も、すごくダラダラ展開してた印象が強い。

ちなみにストーリーは12巻で完結して、13巻はファンブックやガイドブックのような構成になっています。そしてLの本名も記載済み。ネタバレしておくと「エル=ローライト」がLの本名です。