『COPPELION-コッペリオン-』1巻から20巻のネタバレ感想。作者は井上智徳。月刊ヤングマガジン(講談社)で連載中の漫画。

あらすじ

時は西暦2036年。舞台は東京。ただ大震災が起きたことで原発事故が誘発。結果的に東京は放射能に汚染されていた。もはや死都と化した東京でしたが、まだ生存者が少なからずいた。

そこで活躍したのが自衛隊の特殊部隊「コッペリオン」。コッペリオンは遺伝子操作されて放射能に抗体を持っていたため、放射能汚染にも無傷な特殊人間。
コッペリオン1巻 成瀬荊
(1巻)
そこに所属するのが、成瀬荊(なるせいばら)、深作葵(ふかさくあおい)、野村タエ子という三人の女子高生。果たしてコッペリオンの三人は放射能に汚染された東京を救えるのか?…みたいなストーリー。

とにかく何がスゴいのかって、原発事故に起きた後の描写や洞察が見事。福島原発事故後の日本の展開をほぼ丸写ししてる状態。この漫画の連載が始まったのが2008年だから、当然まだ福島原発事故は起きてない。だから漫画で参考にすべき事象がないと言ってもいいぐらいの段階で、このクオリティーを描けたのは純粋にスゴい。もはや、ほとんど予期や予言の類いに近いレベル。

極端なことを言えば今だったら誰でも書けそうなストーリーではあるものの、どれぐらいスゴいかレビューしていきます。

福島原発事故を予言してた?

改めて言っておきますが、この漫画は福島原発事故(東日本大震災)が起きる数年前から始まった漫画。それにも関わらず、漫画の中で起きる展開や設定と『3.11以降の現実』がほぼ同じ。

コッペリオン1巻 メルトダウン
(1巻)
例えば新聞には「メルトダウン」という耳慣れた文字。この当時、メルトダウンという言葉をどれだけの読者が知っていたでしょうか?避難地域情報もしっかり伝えてるなど、現在でも福島から避難してる方が多い現状を考えるとまさに予知。

コッペリオン1巻 原発爆発
(2巻)
原発そのものは福島ではなく東京にあるという設定ですが、この事故が起きた原因が「大地震」というのも現実の事故と酷似。

コッペリオン1巻 原発事故処理
(1巻)
例えば、放射能から身を守る防護スーツも一回コッキリの使い捨て。まさに今現在も福島原発で事故処理にあたってる人たちと同じ。

コッペリオン1巻 ガイガーカウンター
(1巻)
ガイガーカウンター(放射能測定器)もしっかり登場。「ミリシーベルト」という放射能の危険さを示す単位がはっきり見て取れる。

コッペリオン1巻 荒廃した東京
(1巻)
そして街がどうなったかというと、こんな感じで荒れ果てる。まさに放射能に襲われた福島の街中とソックリ。作者は未来へタイムスリップして、日本の状況を実際に目の当たりにしたんではないかと疑いたくなる。ちなみに漫画の舞台は東京だから渋谷109がボロボロになった状態になってます。

そして国や政府、電力会社は一体どういう対応を取ったか。電力会社は「起きるはずがない事故が起きた」といった弁明に終始。まさに東京電力やそれを擁護してた学者さんたちと同じ言い訳。
コッペリオン7巻 安全予算カット
(7巻)
メルトダウンした情報を電力会社が隠していた事実や、国が原発の安全予算をカットした設定はまさに現実と同じ。

コッペリオン7巻 放射能事故は人災
(7巻)
そこで国や政府に対する批判の中で『人災』という表現を用いてる。これも現実と酷似。他にも福島原発事故が起きた直後、日本人の多くを身につけたであろう知識が既に記述されてる。例えば、ストロンチウムがカルシウムになりすますことや、セシウム137が半減期30年の一番厄介な放射性物質といった情報がてんこ盛り。

おそらくリアルタイムで読んでいたら軽く読み流していたと思いますが、今読むとかなりゾッとすることばかり。夢物語に近いと思ってた漫画の設定が、実際日本国内で起きたわけですから。正直マンガやドラマの類いも馬鹿にできないなと痛感。

アニメ化と震災発生が同月

この漫画はそこそこ人気だったのかアニメ化も予定されていた。あくまで発表時期に過ぎませんが、この発表時期がなかなか衝撃的。

コッペリオン9巻 アニメ化直前に大震災
(9巻)
それがなんと2011年3月下旬。東日本大震災が起きたのがこの3月上旬ですから、もはや『運命』としか思えない。本当にこんな「因縁」があっていいのか。オカルトは全く信じてない自分ですら少し身震いしてしまう。

ちなみに2014年10月からアニメ化は数年遅れで始まってて既にDVDも発売済み。

総合評価

ただ実際に福島原発が大爆発を起こした以降の展開は微妙かな。やはり被災者などに配慮してか序盤でこそあった原子力の危険さを『告発』する描写が弱め。というより、現実に同じことが起きてしまったので「これ以上描きようがない」というのも実際かも知れないですが。

今更ですがコッペリオンの意味を説明しておくと、放射能に耐性を持つ特殊な人間。そこに別に電撃や超再生など、特殊能力が付加。だから超能力漫画・アクション漫画の素地はもともとあった。後半はその設定を活かす展開が増えていく。

コッペリオン18巻 ロボット
 (18巻)
挙句の果てにはロボットまで登場。お前は創世のアクエリオンか!みたいな感じのデザイン。

コッペリオン3巻 成瀬荊の心の叫び
(3巻)
最初は主人公の一人・成瀬荊(いばら)が青臭く原発を糾弾するセリフがあって胸が熱くなる場面も多かったものの、
コッペリオン20巻 成瀬荊
(20巻)
最近の展開では『救う』『立ち上がろう』的な描写が多い。東日本大震災が影響してないと言ったらウソになると思いますが、ちょっと内容が陳腐化してるかなーという印象もあります。最初の頃に見られた痛烈に批判する「キレの良さ」もなくなり、良くも悪くも普通の漫画になったかも。

日本の福島で現実に起きた描写と重ね合わせた展開があっても面白いと思うんですが、そこはどうしてもアンタッチャブルになったままストーリーが展開されているのは残念。



◯展開★3.5◯テンポ★3.5
◯キャラ★3.5◯画力★3
◯全巻大人買い…★3.5
◆おすすめ度…80点!!!!