『ベストブルー』1話のネタバレ感想をレビュー。作者は平方昌宏。少年ジャンプ(集英社)33号から連載が始まったスポーツ漫画。


ベストブルーのあらすじ内容・登場人物

主人公は青野拓海。東京都小笠原諸島に住む中学3年生。毎日一人でプールで泳ぎまくっているぐらいスイミング…というか競泳が大好き。ただ離島すぎるためか、競泳の全国大会などへ出場することはないが、常に自分が出場することを憧れている少年。

そして、青野拓海が住む小笠原諸島にやってきたのが、神楽宗太(宗は+サンズイ)。かつて高校のインターハイで驚異的な記録を残した化け物スイマー。ただオリンピック選手として大成する前に怪我で引退してしまうものの、競泳の思いは熱いままだった。

ベストブルー1話3
こんな二人が出会ったことで高校競泳界にひと波乱が起きる!?という内容のスポーツ漫画。


主人公の動機に共感できるか?

基本的にここからは辛辣な感想しかしません。

まず主人公・青野拓海の「競泳を好きになる」動機に共感できるかが疑問。何故なら、キッカケが小学生時代にたまたまテレビで放送されていた競泳のインターハイ決勝をたまたま観ていて…というもの。その選手の中に神楽宗太がいて、ダントツの泳ぎをしていた。

この今どき「テレビを観て好きになった」という発想が超絶的にしょうもない。テレビ番組自体はオワコン化してて、なおかつスポーツ番組が放送される機会そのものがまずない。NHKでは夏休みにたまに競泳の全国大会が放送されてます。

おそらくそこに着想を得たのかも知れないですが、テレビに写る競泳選手なんて米粒みたいに小さい。ましてやNHKの淡々とした番組進行。そこで感動を覚えることなんてあるのか?

せめてこの試合がオリンピックであったり、まだインターハイに実際に足を運んでなら分かる。オリンピックの競泳の番組には一切反応せず、たまたま放送されてた高校生の競泳姿に魅了される。これでは読者の共感を呼ぶのは難しい。

そもそもテレビを媒介に感動を覚えるんだとしたら、別にそれは競泳以外だって何だって良いはず。むしろ野球やサッカーの方が放送機会は多いはず。それらに反応せず、何故競泳にのみハマったのかが理解に乏しい。テレビで感動したことからして、ドラマとして実に薄っぺらい。主人公の動機作りとしては下手くそ。


展開作りも下手

あとは展開の作り方も下手くそ。

例えば主人公・青野拓海は、たまたま観ていたはずのインターハイで「天海高校」という高校名は覚えていたのに、肝心の「神楽宗太」という選手名を覚えていなかった。不自然極まりない。そもそも小学生が「高校のインターハイ決勝をたまたま観ていた」という状況も不自然に近い。

他にも青野拓海が憧れだった神楽宗太と出会うものの、最初は気付かない。神楽は小笠原諸島にプールの監視員としてやって来てる(この状況も不自然だが)。だから青野拓海からしたら、完全な見ず知らずの相手。それにも関わらず、本土から凄腕スイマーが来たということだけで、夏休みの一ヶ月間をまるまる使って青野拓海は自分の泳ぎを見せ続ける。

さすがに不自然だろ!?wwwあまりに青野拓海の目的が見えなさすぎる。

一応ストーリーとしては、神楽宗太がコーチとして青野拓海の実力や才能を見初める。そして青野拓海を東京の高校へ進学させて、競泳選手として育てるという流れ。ただ神楽の立場で考えた時、どういう心情の変化があってコーチになりたいと思ったのが、心の中の描写が少なすぎる。怪我をして選手生命が終わり無職生活を送っていた人間が「何故?」という部分も見えない。


縦ゴマが多い

ただ画力に関してはマシ。

ベストブルー1話3
表情の作り方であったり、

ベストブルー1話2
見せゴマの作り方も上手い。

でもいかんせんコマ割りの使い方が下手…というか微妙。
ベストブルー1話1
とにかく縦ゴマが多すぎて読みづらい。一瞬上手いのかなと思いきや、実は下手?と感じる部分もあって、全体的にムラがある。ものすごーく良く言うなら、独特。


ベストブルーの総合評価・口コミ・評判まとめ


早い段階で打ち切りコースかな。もって4巻か5巻。画力はそれなり、表情の作り方も上手い。コマ割の使い方こそ△ですが、主人公のキャラクターもそこそこ立ってる。ただ展開の作り方、始め方、進め方が絶妙にセンスが無い。これがかなり足を引っ張りそう。

普通だったら小学生時分から話を始めて、そこでコーチである神楽に見初められて手ほどきを受ける。「俺のいる高校へ来い!」という約束をする。そして1話目の終わりで、一気に時間軸が進んで数年後。主人公・青野が高校入学した直後で2話目へ!という流れを描く。これだったら、神楽と約束を果たしたという達成感とこれからますます成長していくという期待感を元に、2話目から新たなスタートを始められる。青野と神楽の因縁を描くことで象徴的な一話にもなる。

でも、今回の1話目のような「中学を卒業する半年間は意味もなく練習して、高校入学を目指そう!」みたいな終わり方だったら、「え?青野に受験勉強でも教えるの?」と問いただしたくなる。2話目から二人が一体何を始めるのかが見えてこない。一話目としては完成度が低く、インパクトも弱い。

もっと言うと、主人公である「青野拓海」というネーミングも微妙。一見すると「水」や「泳ぎ」を彷彿とさせるニュアンスが漢字に含まれてるものの、基本的に競泳はプールでの競技。そこに「海」を持ってくるセンス。絶妙にズレてる。

改めてになりますが、そこまで長期連載にはならないだろうなーと思います。ただ『僕のヒーローアカデミア』や『ブラッククローバー』はそんなに人気にならないだろうと思ってた口なので、当たるも八卦当たらぬも八卦ではあります。

◯展開★3◯テンポ★3.5
◯キャラ★3.5◯画力★4
◯おすすめ度…79点!!!!