『ベルセルク』1巻から37巻のネタバレ感想。作者は三浦建太郎。掲載誌はヤングアニマル。そこで不定期連載中のダークファンタジー漫画。出版社は白泉社。発行部数は全世界で3000万部超えらしい。

数年前に「すごないマンガがすごい」でも『ベルセルク 1-37巻』のネタバレ感想を書いたんですが、2016年初夏の現在でもその37巻で止まったまま。不定期連載の度合いでいえば、少年ジャンプの『ハンターハンター(冨樫先生)』が霞むぐらい。それゆえに38巻39巻がいつ発売されるかは不明。40巻の大台を超えるのは10年以上先の話かも知れません(笑)

でも『ベルセルク』はストーリーが進まないからこそ(?)ゲーム化など幅広くメディア展開されていて、最近も2016年7月からまたアニメが始まるらしい。そしてその度にベルセルクで検索する新規読者も増えると思うので「ベルセルクは面白いか?つまらないか?」を考察をメインにレビューしてみた。


ベルセルクのあらすじ物語・ストーリー内容

世界観はゴリゴリのファンタジー。ミッドランド王国は法王庁など中世ヨーロッパをモデルとして、クシャーン帝国は中央アジアあたりをモデルとしてるっぽい。そこでは魔法を使ったり、エルフが登場したり、凶悪なモンスターがいっぱい登場します。

ベルセルク10巻 ガッツ
(10巻)
そんな世界で「黒い剣士」の異名を持つのが、主人公・ガッツ。黒い甲冑とマントを羽織り、超巨大な大剣・斬魔刀を片手で振り回す大柄な戦士。

ベルセルク37巻 ガッツ 狂戦士の甲冑
(ベルセルク 37巻)
ガッツは平常時でも強いものの、「狂戦士の甲冑」をまとうと更に強力なパワーが得られる。ただ代償としてガッツは自我を制御することが困難になる。つまり漫画タイトル「ベルセルク」の意味は「バーサーカー」と言い換えた方が日本人には馴染みやすいかも知れません。もちろんベルセルクとはこの主人公・ガッツを指してるんだと思われます。

ベルセルク34巻 グリフィス
(ベルセルク 34巻)
そしてもう一人の主人公がグリフィス。新生鷹の団という騎士団の団長。端正なルックスと権謀術数に長けた頭脳、そして戦闘能力、全てにおいて比類なき戦士だった。廃人にされるまで一度追い詰められるものの、「降魔の儀」でゴッドハンド「フェムト」に転生することに成功。更に圧倒的なパワーを得る。とりあえずめっちゃイケメン。

この全く相反するガッツとグリフィスが最終的に戦う、みたいなんが最終的なストーリーのゴールだと推察されます。ガッツにはキャスカという元鷹の団の女戦士を守ることも使命にしてるとか。後述しますが休載が長期間ってこともあって、自分でも読んでて『ベルセルク』のストーリーは良く分かってません。まあ漢字が読めないアホでも財務大臣が務まるぐらいですからね(笑)


絵画のように緻密ですごい

とにかく書き込み(描き込み)が緻密。もはや絵画の域。作者・三浦建太郎は120%毎回フルスイングで書いてて、このクオリティーが失速することはありません。

ベルセルク30巻 ガッツとセルピコ
(30巻)
格闘描写はこんな感じ。画像はガッツとセルピコ。城内で柱をぶった斬りながらの豪快な戦い。

ベルセルク35巻 城の描き込み
(35巻)
城や街並みといった建物の描き込みも秀逸。

ベルセルク32巻 無数の兵士たち描き込み
(32巻)
こういう兵士たちの整列も一体一体丁寧に描き込んでるはず。しかもコピペ臭が一切しないどころか、作画崩壊しないのがすごい。つい先日レビューした森薫の『乙嫁語り』を超えると表現しても過言ではないか。


モンスター描写の異世界観

そしてモンスターの描写やデザインも秀逸。

ベルセルク27巻 クリスタルドラゴン
(27巻)
例えばクリスタルドラゴンだと、まさに「クリスタルドラゴン」という出で立ち。それでいて威圧感がすごい。

ベルセルク34巻 髑髏の騎士
(34巻)
髑髏の騎士はシンプルにカッコいい。

ベルセルク34巻 ガニシュカ大帝
(34巻)
ガニシュカ大帝という大ボスだとデカすぎて雲を余裕で突き抜けて、思わずモブ市民たちも天空を見上げる。

ベルセルク34巻 ペガサスを喰うモンスター
(34巻)
ペガサスを食べようとする蛇のモンスターだと細かいウロコが見所。画像だと少し分かりづらいかも知れませんが、実際に目の当たりしたらドン引きすること間違いなし(笑)

ベルセルク35巻 モンスター描写
(35巻)
植物系のモンスターもひたすら恐怖。若干蓮コラっぽいような、女性の大事な部分のように見えますが、きっとそれは気のせいです。Kindleといった電子書籍でもこういった緻密さに良くも悪くも鳥肌が立つかも知れません。

ベルセルク32巻 ガッツとゾッド
(32巻)
ゾッドとガッツはこんな感じでコラボったシーンはカッコ良かった。

まさに記事タイトルでも書いた「ダークファンタジー漫画の金字塔」といった呼び名が相応しいと納得していただけるはず。だからこそおどろおどろしいモンスター描写などを苦手とする読者さんも多そうですが、実は意外にメルヘンチックで幻想的な描写も全然イケます。

ベルセルク36巻 幻想的な描写 イスマという人魚
(36巻)
コチラはイスマという人魚。水の中の幻想的な雰囲気が表現されてます。

ベルセルク30巻 幻想的な描写
(30巻)
法王猊下にグリフィスが率いる新生鷹の団が初めて会った瞬間。あらすじでも説明したグリフィスがまるで天使のように描かれてる。だから羽先の柔らかい感じやフワフワ感が見事に表現されてます。

こういったギャップ感こそが「ベルセルクの世界観」を実に奥深く広げてくれてる。まさに異世界の体現がなされてる漫画と言えましょう。

ただその反面として、作者・三浦建太郎がこういった書き込みにあまりに執着するせいで、どうしても連載は滞りがち。これが長期間に渡る休載期間の理由の一つだったりします。


ストーリーはつまらない?

ただ世界観にスケール感がある一方で、いかんせんストーリーも壮大すぎる。言ってしまえば、話の風呂敷が広がっていく一方。いや正確には風呂敷が広がるというより、全然話が収束していく兆しがほとんど見られない。

また絵を丁寧に描いてる以上に、ストーリーも丁寧に書こうとしてくれてる。それ故にどうしてもストーリーが一向に進まない and 消化されない。例えばガニシュカ大帝という大ボスをグリフィスが倒すまでに6年ぐらいかかってる。巻数に置き換えると7巻分。現地点では全37巻まで発売されてますが約5分の1。つまりストーリーはさほど進んでないことが伺えます。

もちろん少しずつでも確実に話は消化してくれてるので同じダークファンタジー漫画である『バスタード』よりはマシですが、それでも一冊あたりの物語としては量があまりに少ない。どうしてもアクション描写などにスペースが割かれる分だけ、読み物として読むと薄っぺらい。それは内容がつまらないってことではなく「絵に比重に置いてるが故の副作用」といった所。

だからあくまで登場人物の苦悩であったり葛藤であったり、「絵の雰囲気」や空気感を瞬発的に楽しむような漫画と考えた方が無難かも。そう考えなければ「ストーリーがただでさえ進まない+休載頻度が多い」ってのは、読者からしたら地獄でしかありません。


ベルセルクの総合評価・評判・口コミ


『ベルセルク』の感想としては、言うまでもなく「絵のうまさ」や「書き込みの緻密さ」が真っ先に挙げられると思います。カラーを使わないからこそ、ここまで「有りえない質感」を作り上げることに成功している。まさに天晴。

「細部にこそ神が宿る」とよく言いますが、ベルセルクに関しては「細部にこそ神話が宿る」といった表現が似合います。もちろん何を以って面白いと捉えるかは人それぞれ好みですが、少なくともそこが「ベルセルクの良さ」であると断言できます。

強いて言えば、今の連載ペース and 休載頻度だとほぼ100%完結することなく未完のままフェードアウトすること。林先生風に言えば「いつ終わるか?…終わらないでしょ(ドヤァ」といったところ。

例えば同じく長期休載の真っ只中の「よつばと!」は日常漫画なので、内容的にいつ終わっても問題ないと思います。でも『ベルセルク』はゴリゴリのストーリー漫画だから、未完で終われば確実にモヤモヤさせられます。作者・三浦建太郎の年齢を考えても、夏目漱石の『明暗』と同じ顛末をたどる可能性は高いでしょう。

三浦建太郎が「病気がち」だとか「体力が落ちてる」という話をネット上でよく目にしますが、その割に『ギガントマキア(ネタバレ有りの感想レビュー)』といった漫画作品を2013年頃に描き上げてます。だから単にモチベーションが上がらないだけか?と思ったりしますが、それでもああいう細かい書き込みを毎回フルスイングでやってたら体力がもたないのは、誰の目からも明らか。もしかすると三浦建太郎自身もどこか自分のマンガに尻込みしてる節もあるのかも知れません。

前述の通り、そこまでストーリーを重視してる読者は少ない気もしますが、それでも全く無視して読むことは不可能。だからもし初めて購入する場合は「ある程度の覚悟」が読者に求められてくると思います。私ドルジ露瓶尊は色んなマンガを読んでますが、どうやっても『ベルセルク』からは最終回を迎える匂いがいたしません。

ちなみに、こういう大御所のマンガ家は忌避してるのかと思いきや、意外にも『ベルセルク』はKindle化済み。誰とは言いませんが、是非見習って欲しいと思います。