『バクマン。』全20巻のネタバレ感想をレビュー。掲載誌は少年ジャンプ。出版社は集英社。作者は小畑健(作画)と大場つぐみ(原作)。言わずと知れた名コンビ。今年2015年には実写映画も公開予定。主演は佐藤健と神木隆之介らしい。

そこでバクマンが面白いか、つまらないか考察してみた。ちなみに、このブログのタイトルである『バズマン。』はこの作品をインスパイアしてます(`・ω・´)ゞ


あらすじ物語・ストーリー内容

バクマン。1巻真城最高と高木秋人
(1巻)
主人公は、真城最高(ましろもりたか)と高木秋人(たかぎあきと)の中学生。ただ作中での読み方としては「サイコウ」と「シュージン」というアダ名で呼ばれることが多いです。少なくともお互いはそう呼び合ってます。

この二人が少年ジャンプで連載を勝ち取り、人気漫画家として成り上がっていく物語。

バクマン。11巻アンケート争い
(11巻)
バクマンの主なテーマとしては「読者アンケートハガキによる順位で上位を目指す!」こと。少年ジャンプに限った話でもないんでしょうが、いわゆるアンケート至上主義の荒波にもまれる。

バクマン。3巻アンケート至上主義を批判する福田真太
(3巻)
作中では「アンケートで面白さが分かるんならテメーら編集イラネーじゃん」と福田真太が毒づくなど、やや出版社サイドからすると挑発的な物言いをするなど、漫画家の心の叫びなんかも描かれる。

バクマン。2巻新妻エイジ
(2巻)
真城と高木には新妻エイジという永遠のライバルがいる。二人はコイツを超えることが目標。ただ新妻エイジは毎週二作品を連載したり、まさに天才漫画家。アンケートでもほぼ常に1位。コイツをいかに引きずり下ろす面白い漫画を描くのか、二人は漫画作りに苦悩しつつ奮闘する物語。

2010年の「このマンガがすごい!」オトコ編で一位に輝いたっぽい。だから基本的に内容悪くないマンガだと思うので点数は86点に設定してますが、以下の大半は批判的な内容を占めてるのでファンの方はスルー推奨。


マンガ初心者には役に立たない

真城は画力が既に抜群に上手い。高木はストーリーのプロットを考える天才。こんな二人が作画と原作の二手に分かれて、色んな苦難を乗り越えでマンガを描いていく。また真城に至っては、叔父・川口たろうはプロの漫画家だった。ある意味、二人も最初から過不足ない天才漫画家。

だから「素人がどうやってプロの漫画家になっていくか?」という丁寧なプロセスは書かれてない。ソッコー原稿を書き上げて集英社に持ち込んだら、いきなりそこそこ見初められて…みたいな感じでトントン拍子でストーリーが進んでいく。

例えば、どういうペンを使えばいいか、ズブの素人にとっては何か役に立つ情報はほとんど書かれてない。10巻では設定に凝りすぎて失敗するとか、11巻の主人公のネーミングのクダリであったり、それなりに役に立つ情報はある。

それでもプロになることが前提なアドバイスが多い印象。例えば、5割の人に嫌われてもいいから、確実にアンケートで評価してくれる2割の読者を獲得すべき、などは週刊ジャンプで生きていくためのテクニカルなアドバイス。デビューすらできない人には全く役に立たない情報。


裏ネタはそこまで多くない

漫画に対するアドバイス以外でも、漫画界の裏ネタが載ってることもあります。厳密には漫画界というより、少年ジャンプに対するもの。

例えば、連載が終わっても、作者には莫大な契約金が支払われる「専属契約制度」などを暴露。『ハンターハンター』は絶賛休載中ですが、この間も年間の契約金は毎年のように発生。コミックの印税収入がたとえなくなったとしても全く食いっぱぐれる心配はない。

ただこういう多少の暴露は序盤でこそあるものの、基本的には踏み込み不足。

バ クマンでは編集者とのバチバチしたやり取りも見所で、漫画家以外の裏方が苦悩してる描写も多い。例えば14巻に書かれてた情報では、3年以内に売れるマン ガを担当しないと他部署に異動させられるらしい。でもウワサの範疇を大きく超えるレベルではなく、一般的な社会人が読んでも意外感はない。

また年末には漫画家たちを集めて、出版社が開く盛大なパーティーが行われる。ここにも実在する編集者は登場するものの、実在する漫画家は登場してこない。尾田栄一郎や岸本斉史や島袋光年の影はない。そこはコネを使ってちゃんと登場させないの?という不満は拭えなかった。

個人的に気になるのは「枕営業」。そこんとこ実際どうなの?


ワンピースなど実在するマンガの順位は?

だから実在する漫画家はあまり登場してこないものの、一応厳密にはドラゴンボールや君に届け、ONE PIECEといった実在作品は多数登場する。

冒頭でも書いたように、バクマンのテーマはアンケート至上主義。真城たちが毎回「アンケートでは何位だったのか?」ということがある。

少年ジャンプをガチで扱ってるマンガである以上、そこで「じゃあ既存のマンガは何位やったの?」という疑問が湧く。真城や新妻エイジたちはワンピースやナルトを抜いたのか?ということは当然考える。

ただそういった描写が一切ない。少年ジャンプをガチで扱ってる以上、そこを避けるのはナンセンス。ましてやバクマンの時間軸は2010年代。ラストは2018年9月で終わるなど、意外にもタイムリー。どうしても既存作品の順位がちらついてスッキリ読めない。もっと言えば、何故ワンピースを目標・ライバルにしなかったのか?という疑問も湧く。

バクマンという漫画は、基本的に真城や新妻エイジといった新人マンガ家同士でバチバチやりあってるだけ。そこに実在する大御所やベテランが絡んでこない。せっかく「リアルの舞台」を扱ってるんだから不自然。せめて時間軸が違ってれば別なんでしょうが、そこらへんの疑問を解消させる仕掛けは欲しかった。


展開が奇想天外

バクマンは「リアル志向」に根付いてるマンガだと各所で評判。でも個人的には「微妙」と思える部分もある。

例えば、七峰透。ネット仲間たちの意見を参考に、作品を書き上げてたヤツ。最初の読み切りでこそ評判は良かったものの、最終的にはバレて即効打ち切り。顔の見えないネット住民も無責任で、次々と離れていく。
バクマン。15巻七峰透と担当編集者
(15巻)
でもそこは最後で仲違いしてた編集者と良い感じの関係を構築して、七峰透は改心して一から立ち直るという展開。

まあ、ここまで良いんです。むしろ、ここで終わっておくべきだった。ただこの後、七峰透が親から与えられた莫大な金を使って、シンジツコーポレーションという会社を立ち上げる。ネットではなく、リアルで恒常的に意見を汲み上げる読者を多数雇うというシステム。まさに金に物を言わせて…っていう設定。

まだネット仲間たちから意見を吸い上げて漫画を描くという設定はリアリティーがあるものの、さすがに会社を立ち上げて、という部分まで来るとウソっぽくて白けるだけ。実際には編集プロダクションみたいな会社も多く存在してるんんでしょうが、もう少しリアリティーのある描き方をすべき。さすがに奇想天外。七峰透が立ち直ったと思ってただけに、後味も悪かった。

だからリアリティーに走ってそうで、フィクションやファンタジーに逃げてる部分もあって、実はイマイチと思える展開もある。


主人公の自分の作品に対する愛着度

主人公である真城や高木たちも、キャラクターとしてあまり共感が持てない。何故なら、最強のライバル・新妻エイジに勝つためだけにマンガを描いてるから。

バクマン。9巻打ち切りを申し出る高木秋人
(9巻)
例えば、新妻エイジにアンケートで勝つためだったら、今連載してる作品をいとも簡単に捨てたがる。少なくとも、その漫画を楽しんでる読者はいるはず。だから真城や高木が自分の作品に対する愛着や思い入れが感じられない。

「マンガ」はライバルに勝つためだけの手段やツールに過ぎず、そこに愛がない。まさに勝てる作品だったらナンデモオッケーというドライな態度は、正直主人公としては好感は持てない。まだライバルである新妻エイジの方が、マンガに対して真摯に向き合えてて素直に好感が持てる。真城たちは小細工に走りすぎ。

原作者の大場つぐみは色んなパターンの「マンガの描き方」を知ってほしかったのかも知れないですが。


大場つぐみ=ラッキーマン

ちなみに、その原作者・大場つぐみのネーム(下書き?)も毎巻載ってます。それを元に小畑健が更なるネームを描き上げる方式。この二つが対比的に並べてあるんですが、両者のギャップがあまりに衝撃的。

バクマン。15巻大場ネーム
(15巻)
大場のネームはまんまラッキーマン。もはや隠す気がサラサラない。まあ、こんな絵柄だとリアルな設定のマンガシリアスもんは無理だよなー。だから漫画タイトルの「バクマン」も『ラッキーマン』から来ていると言われています。アルファベット表記にすると「BAKUMAN」。この下部分だけを隠すと「RAKIIMAN」になるらしいです。


最終回・最終話はロマンス

『バクマン。』の最終回をネタバレしておくと、ラストのオチは恋愛ロマンス。

バクマン 20巻 最終回 亜豆美保と真城がキス
(バクマン 最終20巻)
真城と小豆のキッスという結末で完結します。真城は中学生時代に自分たちが描いた漫画がアニメ化されたら、その声優を小豆にやってもらうと約束してた。その夢が叶った夕方(アニメの初回放送される日)にフェラーリで小豆の家に乗り込んでプロポーズ。そしてキス。小豆は言う。「これからはずっと隣にいられるね」とポツリ。

展開がうまくいきすぎ糞漫画という批判もありますが、まあ、これはこれで良いんじゃないでしょうか。

総合評価・評判・口コミ


『バクマン。』のネタバレ感想をまとめると、それなりに面白いです。あれこれ批判・批評もしましたが、つまらないってことはないです。

ただ序盤こそアイデアや設定で引っ張っていってくれるが、相変わらず後半からの失速感は否めない。デスノートでも言えましたが、小畑健と大場つぐみによるコンビは期待感を持たせてくれますが、こっちが思ったような終わり方はできてない印象。

一応「少年ジャンプの漫画家」を扱ったマンガですが、少なくとも「漫画家になるノウハウを知ろう」として買うと失敗する。正直これを読んでプロに近づけるとか、漫画家としての実力が身に付くことはまずないと思う。また少年ジャンプ編集部の内情を知ってデビューしやすくなることもない。

むしろプロの漫画家が読んで、共感を覚えたり自戒を深めたりすることは可能。受験の参考書とかでいったら赤本に近いかも。セリフが多くて読むのもしんどいかも。