『アクマゲーム-ACMA GAME-』1巻から13巻のネタバレ感想をレビュー。作者はメーブ(原作者)、恵広史(作画)。掲載誌は少年マガジン。出版社は講談社。ジャンルは少年コミックのギャンブル漫画。

『アクマゲーム』は少年マガジンの中では割りと人気らしい。いずれアニメ化もされる可能性があるので、そこで今回は『アクマゲーム-ACMA GAME-』が面白いかつまらないギャンブル漫画かを考察してみました。


あらすじ物語 ストーリー内容

ACMA GAME1巻 織田照朝
(1巻)
主人公は織田照朝。高校生にも関わらず、頭脳明晰、容姿端麗、圧倒的な判断力と指導力を発揮し、日本随一の財閥・織田グループの会長を務めていた。

ACMA GAME1巻 悪魔のカギ・マルコベルモンド
(1巻)
ある日、織田照朝の前に「悪魔の鍵」を持つマルコ・ベルモンドというマフィアが現れて言う。「これからキミはボクとゲームをするんだ。悪魔が取り仕切ってくれる悪魔のゲームだよ!」。悪魔の鍵を床に差し込むと、周囲の人間は閉鎖された空間に閉じ込められる。

ACMA GAME9巻 ルクトス
(9巻)
そして悪魔が現れて、勝負を挑まれた側は強制的に悪魔のゲームを始めなければいけない。織田照朝は織田グループ会長の座を賭け、次々と襲ってくる悪魔の鍵の所有者たちを倒すことはできるのか!?…というストーリー。

ちなみにストーリーがもう少し進むと、黒幕「グングニル」が登場します。世界革命を目論んでいるナゾの組織。悪魔の鍵を使えば、どんなものでも賭けの対象にできるので、次々と企業や組織を乗っ取っていく。
ACMA GAME4巻 斎藤久利臣
(4巻)
最終的には日本政府すら乗っ取ってしまう。画像は総理大臣・斎藤久利臣。与党も野党も全政党が大連立して、戦前のような大政翼賛体制が樹立される。政党の重鎮を少なくとも操っていると考えられます。政党の名前もそのまま「グングニル」。ただ小泉純一郎は今更感もあるので、どうせなら安倍晋三風のキャラにすればいいのにと思いましたが。

織田照朝は日本を守るためにグングニル打倒を決意。かつて戦った敵も仲間に引き入れて、立ち向かっていこうとする。その最中、グングニルは世界革命を起こすため、有能な若者たちを集める「アクマゲーム」を開催。危険だとは分かりつつも、織田照朝たちはトーナメントへ乗り込む。

ACMA GAME11巻 斎藤初
(11巻)
総理大臣の息子・斎藤初(さいとううい)が立ちはだかるなど、果たして織田照朝はグングニルの暴走を止めることができるのか?しかも、途中で主人公・織田照朝の父親・織田清司がグングニルのトップだった?ことも発覚する。織田照朝は実父を倒すことができるのか?…みたいなストーリー。


ゲームの幅は広い

『アクマゲーム(ACMA GAME)』は最近ありがちなサバイバル要素を取り入れた、ギャンブル漫画。キャラがすぐ死亡するほどシビアさはありませんが、『今際の国のアリス』や『神様の言うとおり』みたいな内容を想像すると早いかも。

そうだとするとゲームの内容や「オリジナリティー」が重要になってくると思いますが、正統派なゲームから今までありそうでなかったゲームまで幅広く用意されています。

ACMA GAME5巻 百金争奪
(5巻)
例えば、「百金争奪」は王道。用意されたコマで戦うという至ってシンプルなゲームですが、コマにはそれぞれランク付けされていて勝てる相手が決まってる。平民はどのコマが相手でも負けますが、唯一国王だけに勝てる。トランプでもA(エース)が一番強かったりしますが、その延長的なゲーム。

ACMA GAME8巻 入水限度
(8巻)
8巻だと「入水限度」だと、巨大なツボにひたすら水を入れていき、水があふれるとアウト。砂崩し・山崩しのウォーター版。様々な容器が用意されているんですが、容器分99%の水を入れないと負け。ただ1mlなど小さすぎる容器では、1%の水が残る可能性が高い。小さい容器で逃げることは難しい。

でも水を入れていくだけでは面白くないので、ツボに溢れやすいようにペットボトルを入れてみたり、色んな工作で展開の打開が図られます。

ACMA GAME13巻 粘土問答
(13巻)
一番最近に発売された13巻では「粘土問答」。型に囚われないゲームで、こういった内容は今まであまり見かけません。

具体的に説明しておくと、味方・眞鍋悠希と上杉潜夜と敵・毛利明と島津涼のチームプレイによるバトル。一人が粘土でお題で出されたモノを粘土で表現。そしてもう一人がそのモノを当てるゲーム。ただ答えさせる前にワンクッションあって、そのモノを壊すことはできないんですが、粘土を付け足すことで敵が邪魔できる。

画像だと眞鍋が作った「犬小屋」を、敵の毛利明が犬小屋を覆い被せて一軒家風に仕上げて、更に犬と丸い物体を付け足す。結果、上杉潜夜は無傷の犬を見て、「犬小屋にミスリードさせたい」と勘違いする。もし犬小屋だったとしたら、この犬は潰されてるはずだから。ちなみに島津涼は「丘」の意味を理解できないといった、ハプニング要素もあるんですが、そこも上手いこと展開に生かしててなかなか面白い。

そういったバチバチした心理戦や頭脳戦が各ゲームで垣間見られることが多いです。


悪魔の能力で展開を打開!?

ゲームを取り仕切る悪魔は、言っちゃえばゲームマスター。中立公平の立場で、仲裁者・見届人と表現しても構いません。

ACMA GAME10巻 チーム戦・籠球果実
(10巻)
先程貼った画像はコアラみたいな悪魔でしたが、画像のようにゴリラみたいな悪魔もいて様々。他にもミノタウロスやフクロウなど意外にバリエーションは豊富。そして性格も様々で、ゲームに彩りを添えてくれてます。

この悪魔たちがゲームに干渉してくることは基本的にありませんが、ゲームで勝利するとワンピースではないですが「悪魔の能力」をゲットできる。

ACMA GAME3巻 1分間の絶対固定
(3巻)
例えば、主人公・織田照朝だと「1分間の絶対固定」。名前の通り、1分間だけだったら何でも固定した状態にできる。カード同士をくっつけたり、探し物当てゲームではテーブルの裏にモノをくっつけて、時間差で音を鳴らして相手を撹乱させたりする。時間の長さがポイントの能力。

他にも、マルコだと「閉鎖空間移転」。ゲームが行われている空間をそのまま別の土地へ移動させる。北極やエベレストの頂上など、場所は自由自在で限定されることはありません。多分宇宙でもオッケーかも。前述の「入水限度」というゲームでは気圧差を利用した打開が見られます。

ACMA GAME7巻 相手の悪魔の能力を予想
(7巻)
ただ相手の悪魔の能力を必ずしも知ってるとは限らないので、そこも推理しながら戦う必要があります。

ACMA GAME9巻 上杉潜夜
(9巻)
逆に悪魔の能力を持ってるのに、敢えてそれを使わないことで展開を有利に進める上杉潜夜みたいなキャラもいる。正直ショボい能力が多いものの、前述のバチバチした駆け引きや頭脳戦を更に奥深いものにしてくれています。ちなみに上杉は実際には悪魔の能力をバリバリ使ってて、最新14巻でそれが明らかになる模様。


不釣り合いな対価がつまらない

ゲームの中身もオリジナリティーが満載で、駆け引きや頭脳戦も悪くないと思いますが、ただ「賭けの対象」が少し不釣り合い。相手にケンカを売られるとゲームは強制参加なんですが、「お互いにまず何を賭けるか?」を事前に取り決める。でないと悪魔さんがゲームを開始してくれない。

ACMA GAME3巻 賭けのアンバランスさ
(3巻)
例えば、織田照朝と上杉潜夜との戦いでは、上杉潜夜が負けると悪魔の鍵の情報を提供するだけに対して、織田照朝が負けると悪魔の鍵の情報だけではなく、織田グループの年間純利益を与えることも追加されてる。ちなみに悪魔の鍵の情報は最初の段階では分からないことも多かった。また上杉潜夜の方がゲームに関して経験も多かった。

ただ、さすがに賭けのバランスが不釣り合いにも程がある。あらすじも少し補足しておくと、賭けの対象は命でもお金でも自分が経営してる企業でも何でもオッケー。相手の命令をずっと従うとか、モノではなくても良い。だから日本という国も支配されてる。

だから負けたら大変なことになるので、だからこそゲーム自体に緊張感も生むんだと思いますが、このすごく大事なゴール設定がテキトーに思えることが多い。そこは少し残念だと思いました。


総合評価 評判 口コミ


あまり好きな絵柄ではなかったので期待してませんでしたが、いざ『アクマゲーム-ACMA GAME-』を読み始めたらそこそこ面白いギャンブル漫画でした。大人でも頭を使う駆け引きやゲーム性をしっかり展開できてるので、内容のクオリティーは高め。サバイバルゲームやギャンブルゲーム好きの読者だったら、きっと『ACMA GAME』で満足できるはず。

ただ前述のように『ACMA GAME』のストーリー途中から、トーナメント制を持ち込むんですがいささか幼稚。グングニルはこれから世界の秩序やルールを壊そうとしてるのに、えらいフェアな連中だな…って話。『アクマゲーム』はスポーツ漫画でもあるまいし、さすがに緊張感を無くす。そもそも日本が世界が乗っ取られるという発想も大味。

でも反面『アクマゲーム』のストーリー自体はシンプルで読みやすく、少年マガジンや『ACMA GAME』の読者層を考えると、むしろツッコミを入れる方が無粋かもしれない。マフィア(マルコ)の存在も含めて、世界観も少しリアリティーを出して欲しい気はしますが、ストーリー性まで多くを求めないなら『アクマゲーム』は全然おすすめ買いできると思います。