バズマン。

健全な漫画の感想ブログ。基本的に面白いマンガだけレビューしてるつもり。

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『時坂さんは僕と地球に厳しすぎる』全4巻のネタバレ感想。作者は田中ほさな。ゲッサン(小学館)で連載されてたSFギャグ漫画。

あらすじ

将来、地球が滅亡する。その原因は、現在の行き過ぎた環境美化の結果。

時坂さんは僕と地球に厳しすぎる1巻時坂
(1巻)
そこで未来から現在の地球環境を破壊しにやって来た少女・時坂。

時坂さんは僕と地球に厳しすぎる1巻空木(うつぎ)
(1巻)
主人公は、空木(うつぎ)という環境美化一筋の高校生。この二人が出会って、一悶着あるというストーリー。

目的やゴールが見えない

最初は画もキレイで面白いかなーと思ったんですが、一巻目の半ばぐらいでほぼ挫折。

「一体何がどうなったらゴールなのか」というストーリーの目的が見えてこない。時坂と空木が反目してバトルが始まったりする訳でもなく、時坂の環境破壊の行為も地味な嫌がらせレベルの域も超えないし、正直どこをメインで読めばいいのか戸惑う。

時坂さんは僕と地球に厳しすぎる3巻メイドカフェ
(3巻)
文化祭でメイドカフェをやったり、何の緊張感もない、ただダラダラ描写してるだけの、なんでもない学園漫画。ラストは何故か恋愛チックなオチで、最後までどういうマンガかが見えてこなかった。

画力が高い作者の特徴

時坂さんは僕と地球に厳しすぎる4巻画力
(4巻)
作者・田中ほさなは、まあまあ画力が高い。

ただ画力がある作者に限って、ストーリーや設定で奇をてらいがち。内心、展開を作る力がないと理解できてるからこそ、「普通のマンガ」から無意識に逃げてるような印象。実力相応の中身を描こうとして、やっと長期連載に繋がるのかなと。

総合評価

サンデー系でもすぐ連載が終了するようなレベルなので、漫画の内容は推して知るべしという感じ。言っちゃえば、出オチでアイデア止まり。そこから展開が始まることもなく、特に見所はないマンガ。




◯展開★2◯テンポ★3
◯キャラ★3◯画力★4.5
◯全巻大人買い★2.5
◯72点!!!!

『チャンネルはそのまま!』全6巻のネタバレ感想。作者は佐々木倫子。ビッグコミックスピリッツ(小学館)で不定期連載されてた、コメディー要素が満載の仕事漫画。

あらすじ

あらすじを簡単に説明しておくと、北海道のローカルTV局「北海道☆テレビ」が舞台。そこで地方のTV局の裏側を映し出してる。報道番組からバラエティー番組まで、その津々浦々が抱えてる問題点であったり、一つの番組を作り上げていく過程、ライバル局との火花、などなどの要素がてんこ盛り。

そして、とにかく主人公である雪丸花子という新入社員が面白い。天然炸裂で、いちいち行動が破天荒。思わずブハッ。まさにドタバタコメディーの典型的な主人公。漫画の大きな軸とも言えて、なかなか読めちゃう漫画。

雪丸花子という天然女

主人公・雪丸花子は今風の表現で言うと、天然。ただ天然を通り越して、もはや『破天荒』。

チャンネルはそのまま1巻/3
(1巻)
例えば☆テレビの入社試験に遅れるんですが、まさかのヒッチハイクで局まで駆け付ける。肝心の試験でも粗相に近いことを散々やらかせる。ただそれなのに何故か採用された雪丸花子。その理由が、☆テレビには代々『バカ枠』というのが存在してる。

チャンネルはそのまま1巻/4
(1巻)
小倉というディレクター曰く、「バカは失敗を恐れない!化けてストライカーになることがある!」。

ちなみに、この小倉自身がバリバリのバカ枠で言動が面白い。
チャンネルはそのまま5巻/2
(5巻)
こんなマリーアントワネット的なコスプレをしたことも。地味にイライラさせる感じが素敵。

その枠で採用された雪丸花子は、まず一番初めに報道番組のレポーターをさせられる。その初っ端からやらかす。大雨で川が増水。そこへ板に乗ったサルが現れ、助けようとするも…
チャンネルはそのまま1巻/2
(1巻)
思いっきり格闘。他にもオオトカゲを捕獲してみたり、お前はイモトアヤコか!

他にもヘリコプターから事故を中継してる最中、高速道路のインターチェンジでトラックが横転。大量の魚を撒き散らす。それを見て雪丸花子は「まるで、ちりめんジャコのようです!」と一言。確かにそれっぽいだろうけど!

同期の山根一には笑顔で、
チャンネルはそのまま5巻/1
(5巻)
「連続放火犯の再現ビデオに出て!犯人役で!」
ここに悪気がないのが素敵。

中継局のアンテナが吹雪で凍った時には、
チャンネルはそのまま6巻/1
(6巻)
思いっきりタイマツで溶かそうとする。おそらくアンテナは繊細な器具だから、きっとこんなことをしたら壊れるんでしょう。そしたら全世帯に電波が届かなくて、もう番組を制作するどころじゃない。あな恐ろしや。

この一つ一つに全部悪意がないだけに、巻き込まれる周りに同情しか禁じ得ない。しかもハプニング要素も満載で、雪丸花子がいる時にだけ何故かちょうどタイミングよく起きる。例えば大地震が起きると、監視カメラから撮影したようなTV局の内部映像が流れがち。雪丸花子がタイミングよく遭遇。だから、その時の雪丸花子の一連の不可思議な行動が全北海道に放送される。

まず地震になかなか気付かない。そして気付いた時に最初に取った行動が、コーヒーをゆっくり飲み干す。慌ててどこかに移動するも、しばらくして焼き芋を取りに戻る。これが東京のキー局を通して全国に流れちゃうっていう。雪丸花子の天然っぷりが豪快で。でも狙ってる感は少なく、すごく自然で良い。

根底にあるTVマン魂!

こういう天然さだけだったら、ただのギャグ漫画っぽく終わりがち。でも、雪丸花子には純粋無垢な「TVマン」としての熱い魂がこもってる。だから、すごい好感が持てる。

最終6巻だとお店を取材した時、テレビ局のスタッフたちは「放送日を教えない」らしい。もし撮影した情報がライバル局に流出すると、先んじて同じ放送をされるのを防ぐためだとか。同期の山根一も「誰のために番組を作ってるのか」と悩む。

ただ、それを雪丸花子は「だって是非見て欲しいから」とアホ面丸出しで、アチコチに教えまくる。基本的に社会人としてはアウツなんですが、職業人としては全然アリ。むしろそのルール自体が無機質で冷たく、間違ってんじゃねーかと思わせるバカのパワーが凄まじい。

そういう仕事に立ち向かうシンプルな姿勢・魂が根底にあるので、この「天然さ」が世相を切るような気持ち良さも伴う。最初に「笑い」がありきの天然ではなく、結果的に「笑い」に繋がってる天然。だから良い。それらが雪丸花子というキャラを作り上げてる。


◯展開★4◯テンポ★3.5
◯キャラ★5◯画力★4
◯全巻大人買い★4
◆86点!!!!

『葛本さんちの四兄弟』全3巻のネタバレ感想。作者は木下聡志。ジャンプスクエア(集英社)で連載されてた超能力マンガ。

ただ3巻で終わったことからも分かるように、内容は陳腐以下。まさに「典型的な打ち切り漫画」だと思うので、一体何がダメだったのか理由を考察したいと思います。だから『葛本さんちの四兄弟』のレビューというより、マンガ作成の考察に近いかも。

新キャラクターを増殖させる理由

とにかく全てにおいて行き当たりばったりな漫画なんですが、その最たる例がキャラクターの増殖。

葛本さんちの四兄弟1巻キャラ増える2
(1巻)
タイトルから想像付くように、主人公たちは4兄弟。全員超能力者。でも二話目から思い出したかのように、新たに3姉妹が追加される。だったら最初から七兄妹とかにしとけや。まさに、行き当たりばったり。しかもみんな名前が覚えづらくて、とにかく萎える。

じゃあ何故、ついつい新キャラを増やしてしまうかと言えば、作者に『話の展開力』が圧倒的に不足してるから。展開させることができないから、新キャラを登場させてページを埋める。要するに安直な逃げ。他のマンガでも、何でいきなりコイツが登場したの?と分からないことが結構ありますが、まさにそんな状態。

ましてや展開力がないのに、どんどん新キャラクター・設定を追加させたらどうなるか?答えとしては、ストーリーの収拾がつかなくなる。仮に連載が少し長引いたとしても、あとあとの展開でいろいろ帳尻合わせができなくなって、結果マンガの寿命(打ち切り)を早めるだけ。

スランプに陥ったら簡単な逃げ道に流れたくなる気持ちも分かりますが、しっかり展開で苦悩することが実力を高めるはず。そもそも3巻4巻のボリュームで内容に挫折してるような漫画家は、自分の中の引き出しの数が圧倒的に少なすぎる。

タイトル=目的・方向性

またタイトルからして、読者を惹きつける要素が乏しい。

四兄弟だから何?ということに率直に尽きる。せめて9兄弟ぐらいだったら、大家族ものとして期待できそうですが、絶妙に中途半端。おそらく周りでも探せば、半径3キロ以内に1世帯ぐらい存在するレベル。そんなんをアピールして何になるの?タイトルだけを見てこれからどんな風に展開していくか、読者の誰一人も見当が付かないはず。

改めて、このマンガの設定を軽く説明しておくと、4人兄妹全員が超能力を使える。だったら、「超能力」というテーマをタイトルに盛り込めよって感じ。マンガの売りになるとしたら、まずそこやん。例えば「葛本4兄弟の超能力的日常」みたいなタイトルだったら、ラノベ風だし世界観も伝わってくる。どんな展開が繰り広げられるマンガかも、良い意味で予想できる。

敢えて参考にするなら、例えば『宇宙兄弟』。おそらく読者の大半は、宇宙飛行士の兄弟の話だと直感できる。他にもラノベ風に新たに作るなら、『葛本兄弟の因縁』もアリかも知れない。仲の悪い兄弟がバチバチ戦っていくマンガか、サスペンス風の展開が繰り広げられるのかもと容易に想像が付く。

だからタイトルを付けてる時点から、作者はビックリするぐらい何も考えてないことが分かる。

画力は月並みに見えますが…

マンガのテーマやキャラクターの多さ以外でも、気になったのが画力。一見すると月並みな画力に思えるんですが、描き慣れてない絵では下手くそさを一気に露呈。

葛本さんちの四兄弟1巻不自然な手
(1巻)
例えば主人公が必殺技を繰り出す場面ですが指なっが!

関節が5個ぐらいありそうで、ちょっとした心霊写真。また必殺技を繰り出す右手を左手で掴んで支えてるんですが、掴んでる感じが全然表現できてない。絶妙にヘタクソ。それまでの人生で好きな絵しか描いてこなかったタイプ。もし漫画家を目指すなら、嫌いな絵や苦手な絵でも逃げずに頑張って練習すべきという好例。

総合評価

ここまで何も考えてない漫画も珍しい。

葛本さんちの四兄弟1巻ケータイ
(1巻)
例えば忍者の敵が、何故かケータイを使用。この無意味なミスマッチ感。忍者だったら手紙とか使えよ。ケータイをわざわざ使うなら、もはや見た目が忍者である必要がないやん。マサイ族がケータイを華麗に使いこなしてるぐらいに意味不明。

葛本さんちの四兄弟3巻作者あとがき
(3巻)
作者がラストのあとがきで自白してますが、まさに見切り発車感がハンパない。「次はもっとちゃんと考えて漫画描く努力をします」というセリフには思わず笑っちゃった。そもそも何故デビューさせたんだ!?レベル?

もしこれからプロマンガ家を目指す人は『反面教師』として読んでみるのもアリ。どうしても面白い漫画だけを参考にしがちでしょうが、それより自分のレベルに近い打ち切り漫画を読んだ方が経験値がアップするかも。一体何をしたらダメなのか、また自分に何が足りないのかが現実感を持って体得できそう。

ただ改めてになりますが、もし漫画家になるのであれば、序盤に用意した数人のキャラクターで2巻3巻分ぐらいを余裕で消化できる『話の展開力』が欲しい。最低限それが備わってないと、いくら新キャラで突貫工事しようがすぐ潰れてしまう気がする。もし付け焼刃的な対応を取らざるを得なくなった場合、その時に自分に足りない「モノ」が何であるかは明白でしょう。


◯展開★2◯テンポ★3
◯キャラ★3◯画力★3
◯全巻大人買い★2
◯70点!!!!

『ゾンビッチはビッチに含まれますか?』全6巻のネタバレ感想。作者は柊裕一。月刊ガンガンJOKERに連載されてたゾンビ+セクシー漫画。ハロウィン+元モー娘。の矢口真里さんが芸能界復帰されたということで、昨年2014年11月頃に旧ブログでアップした記事。

あらすじ

主人公は二階堂サキナ。高校1年生。初野小春という男子生徒に片思い中。しかしある日、二階堂サキナはトラックに轢かれて死んでしまう。

ただ走馬灯が初野小春とチョメチョメする妄想だったおかげで、鼓動がドクドク心臓が再起動。その日以来、妄想しまくらないと突然死してしまう体になった。まさに二階堂サキナはゾンビッチ!…的な感じのギャグ漫画。

小ネタの連続!!

基本的に、この漫画の狙いはシンプル。主人公の二階堂サキナが、延々と妄想を垂れ流してるってだけ。とにかく二階堂サキナのエロフィルターがえげつない。

ゾンビッチはビッチに含まれますか1巻二階堂サキナの妄想1
(1巻)
男子生徒がカバンから財布を探す仕草をしただけで、まさかの立ち◯ック!?
普通に「ええと財布は…」とか男子生徒は言ってますけどね。

ファーストフード店で店員に「お持ち帰りされますか?」と尋ねられた時は、
ゾンビッチはビッチに含まれますか1巻二階堂サキナの妄想2
(1巻)
自分がお持ち帰りされるかも知れないとガクブル。

美容室に行った時も酷くて、美容師がチョキポーズで自信ありげに「任せて下さい」とドヤ顔。
ゾンビッチはビッチに含まれますか2巻二階堂の妄想3
(2巻)
ただ、まさかの加藤鷹的な妄想を全開。いや、場所的にどうやって吹かすの?的な。

ゾンビッチはビッチに含まれますか2巻二階堂サキナの妄想1
(1巻)
ありがちな影絵で妄想してみたり。仮にそこまでデカかったとしても、もはや興奮を通り越してただの恐怖でしかないやん。

ゾンビッチはビッチに含まれますか2巻二階堂サキナの妄想2
(2巻)
学校の視力検査では、Cがdのポッチをクリクリ摘む的な妄想。ここまで来ると呆れるしか無い。まさに二階堂サキナによる妄想の応酬。

読むのが疲れる

ただその反面、ボケの量に圧倒されて読むのが疲れる。フードコートのことを風俗コートと聞き間違えたり、さすがに無理あるやろ的なネタも多い。良くも悪くも、際限なく隙間なくボケ倒してくれてる。

下ネタ全開のワンパターンさも手伝って、もう少し休憩できる部分・余裕があっても良かったのかも。

総合評価

系統的には、週刊少年マガジンで連載中の『生徒会役員共』の氏家ト全の作風に近い。終始一貫して下ネタオンリー。

だから氏家ト全の作風が好きだったら、この『ゾンビッチはビッチに含まれますか?』も肌に合うはず。作者・柊裕一は氏家ト全より画力もあってキャラクターの絵柄も可愛らしいので、むしろそれよりオススメ?

ただ個人的には1巻2巻読めばそれで十分かなーという内容。だから大人買いの★は3.5ぐらいに採点してみた。

◯展開★3.5◯テンポ★3
◯キャラ★3.5◯画力★4
◯大人買い★3.5
◯82点!!!!

『帰宅部活動記録』全5巻のネタバレ感想。作者はくろは。ガンガンオンラインで配信されてた日常ギャグマンガ。

ややツッコミ多し

『帰宅部活動記録』というギャグ漫画に特徴があるとしたらツッコミが多い。

帰宅部活動記録3巻ツッコミ
(3巻)

帰宅部活動記録4巻ツッコミ
(4巻)
「どんな武器」で読者を笑わせたいかという狙いはハッキリしてる。要するに「セリフ」で笑わせてくる感じで比較的笑えるか。

帰宅部活動記録1巻ノリ
(1巻)
全体的な笑いのノリやテイストは『てーきゅう』に近い印象。ただカオス度はそれより薄め。

ややパロディー多し

あとはパロディーネタがやや多い。

帰宅部活動記録1巻ドラゴンボールのパロディー
(1巻)
帰宅部活動記録4巻ドラゴンボールのパロディー
(4巻)
ただ今更ドラゴンボールってのも、やや古臭さや無難さを感じなくもない
とりあえずDBネタやってりゃ鉄板だろ、的な安直さは感じる。

オチとキャラが弱し

ただギャグ漫画として評価すると、キャラクターが弱い。5巻分読んだが、キャラの顔と名前を一切覚えてない。キャラさえ良かったら、それだけで購入できるのがギャグ漫画だったりするので、案外致命的かも。

また一話8ページしかないからか、話の流れに唐突感を感じなくもない。センスはそれなりに感じるので、もう少しページ数が多ければ…といった感じか。とにかく8ページというボリュームを使いこなせてはない。

帰宅部活動記録2巻作者のあとがきが凝り過ぎ
(2巻)
カバーの作者あとがきを読むと少し分かりますが、ちょっと凝り過ぎ。それが漫画でも全体的に言えてボケにボケを重ねてくる感じがややウザい。もう少しシンプルさがあると良い。

総合評価

ナンセンス系か王道系か、やや不明のギャグ漫画。比較的笑える箇所もあるが、「お金を出す」決定打に欠けるのが事実。

セリフで笑わせる傾向が強いが、全体的なセリフの質は高くない。ちょっと量が多いので、ページ数の少なさも手伝って「詰め込み」を感じる。だから読んでる内にやや疲れてくる。次回作頑張ってくださいって感じか。

帰宅部活動記録1巻 (デジタル版ガンガンコミックスONLINE)
くろは
スクウェア・エニックス
2013-06-21

◯展開★3.5◯テンポ★3
◯キャラ★3◯画力★3
◯全巻大人買い★3
◯78点!!!!

『厨二くんを誰か止めて!』全2巻のネタバレ感想。月刊ドラゴンエイジで連載されてたマンガ。作者はサンカクヘッド。現在ヤングジャンプで『うまるちゃん』を連載中。

あらすじ

主人公は本間厨二。高校一年生。厨二と書いて「ちゅうじ」と読む。その名前の通り、中二病丸出しの行動しか取らない。ただあまりにそれが度を越してる。

厨二くんを誰か止めて1巻1
(1巻)
自己紹介からして痛々しく、いきなり包帯グルグルで登場。よしんば「シリウス」という名前はカッコいいから認めたとしても、前半の「真羅・螺旋剣」ってなんやねん。どっちかといえば必殺技の類い。「気円斬・クリリン」的なノリ。

厨二くんを誰か止めて1巻2
(1巻)
でも身体はめっぽう弱いのか、その包帯でまさかの酸欠。むしろ包帯ってそこそこ通気性いいぞ。どんだけ体弱いねん。

厨二くんを誰か止めて1巻3
(1巻)
しかもその包帯を巻いてた理由が「俺のパワーを抑えるため」。だったらなおさら包帯というチョイスにツッコミを入れたくなる。

厨二くんを誰か止めて2巻1
(2巻)
他にも、コーヒーのブラックを飲んだだけで大人気分。むしろ中二病というより、もっと幼い小二病っぽい感じもしますが。

厨二くんを誰か止めて2巻2
(2巻)
最終的には大雨の中を踊り狂う。どっこいしょという掛け声も意味不明。もはや中二病とか関係ない。

じゃあ周囲の学校の友達はどういう風に厨二(ちゅうじ)を見てるかと言えば、
厨二くんを誰か止めて1巻5
(1巻)
残酷すぎるほど冷たい。いや、これぞ生温かく見守ってるというやつか。

キャラクターを狙いすぎ

ちょっとあからさまに笑いを狙いすぎてて、却って主人公の「厨二」に個性がなくなってる。中二病エピソードをただ羅列してるだけのように見えて、厨二ならでは個人的エピソードが少ない。だから思ったほど魅力的な主人公には仕上がってない印象。

また男子高校生という設定が微妙。性別的にも年齢的にも可愛げがない。うまるちゃんみたいに女子高生だったらアリなんでしょうが、単に痛いキャラクターだけで終わってる感じ。そっから先の『何か』が足りない。「痛いから何なの?厨二は一体どうしたいの?」という疑問に落ち着く。そもそも中二病を扱ってるんだから、中学生でいいやん。

もし小学生という年齢設定だったら、ちゃんと微笑ましく写ったかも。

総合評価

作者はサンカクヘッドということですが、うまるちゃんレベルを期待すると失敗するかな。主人公のキャラは悪くないんですが、どこか没個性的でパッとしない。「巷に溢れてる中二病エピソードをそのままマンガで使いました」という域を出てない。他人のギャグをそのままパクってる芸人、みたいな感じか。

ただ2巻というボリュームを考えると集めても損はしないかも。『うまるちゃん』ファンだったら気が向けば。


◯展開★3◯テンポ★3
◯キャラ★4◯画力★3.5
◯全巻大人買い★2.5
◯75点!!!!

『シバのヨル』全2巻のネタバレ感想。作者は松枝尚嗣。漫画サンデー(小学館)で連載されてたマンガ。ジャンル的にはサイコサスペンス。ただ、あんま面白くないっす。

あらすじ

主人公は紫葉拓未(しば・たくみ)。警視庁の健康維持管理を担当する部署の臨床心理士。

シバのヨル1巻薬で人格矯正1
(1巻)
ただ裏の顔は、イケナイ薬を使って悪人を成敗するヒーロー気取りの男。ギースベルト・リザーバーという器具を悪人の脳ミソにぶち込んで思考を操作する。

シバのヨル1巻薬で人格矯正2
(1巻)
ギースベルトを頭に突っ込まれた悪人は、こんな感じに脳みそがアロホレリー!

罪と罰のバランス

ストーリーとしては主人公が悪人を退治するという体なんですが、全体的に罪と罰のバランスが合ってない。前述の画像の悪徳弁護士も、無罪判決を出したのは結局裁判官。制裁すべき悪意の対象がズレてる。浪費癖の激しいオンナに対しても、罪と罰のバランスが合ってない。

読んでてもそこまで主人公にされなきゃいけないか?って気持ちの方が強い。所詮は『怨み屋本舗』レベル。ただあそこまで下劣にも描けてない。だから主人公に対して、共感や好感を持つことはほぼ不可能。

テンションが意味不明

あと全体的に紫葉のテンションやノリがよく分からない。一見シリアスな展開が続くのかと思いきや、たまに緊張感を台無しにする描写が描かれる。

例えば、主人公・紫葉は実は女の子と付き合ったことのないDT。
シバのヨル2巻女の子の部屋は初めて
(2巻)
主人公の年齢は20代30代にも関わらず、女子の部屋に初めて入ったという設定。しかもその程度でルンルン気分。お茶目っぷりも発揮。悪人を成敗するというアンチヒーローにも関わらず、欲望剥き出し。

ある時、主人公・紫葉は同僚の多摩という女に惚れた。
シバのヨル2巻1怒るタイミング
(2巻)
ただ色んな事があって、多摩は昔かなりお股が軽かった過去を教えられてブチギレ。ショックだったのは分かるが、そんな殴りかかるほど怒る?みたいな。いまいち怒るタイミングが分からない。

シバのヨル1巻2
(1巻)
他にもワイワイ騒いでる同僚を見て、「いつかコイツらにも薬をぶち込んでやろう(ニヤリ)」。え?そんな仕打ちをされなきゃいけないことをした?みたいな。紫葉の善悪の基準が全く意味不明。中二病がそのまま大人になっただけで、実に幼稚。

そもそも、こういった描写が必要だったのか甚だ疑問。紫葉の多面的な部分を見せたかったのかも知れませんが、おそらくサスペンス漫画で主人公の内面や弱みは一番描いちゃいけない気がする。恋愛マンガだったらいざ知らず、主人公の奥手っぷりを描くことで何の意味をもたらしたかったのか。

総合評価

結局、どういう漫画だったかは最後まで分からなかった。テーマや目的が見えてこず、展開も付け焼刃的。ストーリーが情緒不安定もいいとこ。

「サイコサスペンスの主人公がピュアボーイってどうなん?」という一言に尽きる。組み合わせとして最悪。正露丸とショートケーキを一緒に食べてる気分。絶妙に不快。

画力が中途半端にプロレベルなだけに、中身の陳腐さだけが際立つ。主人公が悪人を成敗する動機や目的に共感できる部分が少なく、ただ「悪趣味」なだけ。スッキリした読後感とは程遠い。『駄作』ってこういう漫画のことを言うんだろうなと。

シバのヨル
松枝 尚嗣
実業之日本社
2013-07-10

◯展開★2◯テンポ★3
◯キャラ★3◯画力★3.5
◯全巻大人買い★2
◯69点!!!!

『ラストニュース』全7巻のネタバレ感想。原作は猪瀬直樹、作画は弘兼憲史。1990年代前半にビッグコミックオリジナル(小学館)で連載されていた報道漫画。何年か前に猪瀬直樹がこの作品のパクってると、どこかのテレビドラマの脚本家を批判してました。

あらすじ

主人公は、CBSというTV局の報道番組「ラストニュース」のプロデューサーを務める日野。それが自戒を含めて、「報道の責務とは何か?」みたいなことを掘り下げて、既存の新聞やTV局を痛烈に批判してる内容。個人的には的を射た正論ばかり書かれてると思う。

既存マスコミに対する批判

例えば1巻だと、ラストニュースのスタッフが疑惑の人物に対して、カメラを向けてしつこく取材を行う。未だに報道番組や情報番組で見られる手法ですが、当然その人物は激昂。カメラを蹴ろうとする。

でも、ラストニュースのスタッフはその映像を使用。更にこき下ろす番組を作ろうとした。でもそんな部下に対して、主人公の日野が叱責。
ラストニュース1巻/おとり取材
マスコミは問題提起する義務はあっても、人を裁く権利はない」。

最近実名・顔写真報道をした朝日新聞が訴えられて、残念ながら被告は負けてしまいましたが、誤認逮捕に対しても日野は言及。
ラストニュース1巻/誤認逮捕
その容疑者を顔写真入りで報道したマスコミは全く責任がないと言えますか?
個人的にコレはつくづく思う。まだ事実が明らかになってない段階で、新聞やテレビは何の権限があって実名や顔写真を報道するのか。

ただ書類送検の場合は実名報道をしない。でもこの書類送検は、警察官が犯罪を犯したとされる場合に多い。そのことに繋がる批判も展開されてる。

ラストニュース5巻/警察発表を鵜呑み
それがマスコミは「警察発表を鵜呑み」してるところ。「速報性」という美名の下、朝日新聞だけに限らず読売・毎日も含めて、特に事件報道については丹念な取材もなく報道されてるのが現実。未だに自省が一切見られないのは残念。

ラストニュース7巻/無批判に政府の情報を垂れ流す
最終7巻ではマスコミが政府の情報を垂れ流すことについても批判。例えば福島原発事故では、そのまま政府民主党の情報を垂れ流してだけだった記憶。最近だと自民党の特定秘密保護法について、ほとんど批判的な報道をテレビで見かけることはなかった。

特にNHK。これまでは「強行採決」という表現を普通に使ってたのに、今回の自民党の強行採決では「成立」という表現を使ってた。NHKは放送法の影響下にあって、「不偏不党」という表現が権力側によって恣意的に用いられがち。そのことについて、猪瀬直樹はこんな見解を作中で述べている。
ラストニュース5巻/放送法
不偏不党とは、権力者の意見に左右されないこと
権力者とは、基本的には議席を持ってる『与党側』。安部総理が百田尚樹あたりを経営委員に任命したことも影響してるのか、正直NHKの報道はポンコツそのもの。いや、民放テレビ局でも同じか。

もちろん、そういう左側の側面からのアプローチだけではなく、例えば4巻だと「声高にハンタイハンタイと叫ぶのはただの正義の商品化」みたいなことも書かれてる。

予想はハズレ

ストーリーとしては最終的に日野がCBSを追われる。

ラストニュース7巻/衛星テレビ放送
そして衛星放送を利用したケーブルテレビ局でニュース専門チャンネルを作る。要するに猪瀬直樹的には公共の電波を利用した、TV局以外のニュース番組やニュースコンテンツが隆盛を誇るだろうという予想(願望も含む)を立ててた。一応最近はTV局もケーブルテレビを利用した報道番組を作ってるようですが、結果的にはハズレ。

やはり、この漫画が連載されてた時期を考えると、1990年代初め頃にはインターネットという存在がなかった。厳密にはパソコン通信はあったんですが、10年ちょっとでここまでネット環境が整うとは猪瀬直樹も含めて誰も予想してなかったはず。

だから予想が外れたとしても、そこらへんは許容範囲内かなと思う。掲載時期がもう数年だけズレていたら、また違ったオチになってた気もする。

言論の自由とは何か?

猪瀬直樹と言えば、なにかとお騒がせだった元都知事。5000万円をカバンに詰め込むのを失敗するコントには爆笑しました。でも本来の職業は物書きだった。1990年台はまさに物書きとしてバリバリ働いていた時期。その猪瀬から弘兼憲史に対して熱烈なラブコールを送ったことで実現したのが、この『ラストニュース』という漫画。

だから作品的には20年以上前だから相当古い。でも、内容的には現在のマスコミに通じる批判も多くて、また弘兼憲史の絵柄も相まってそこまで「古臭さ」は感じさせない。正直あまり共作したマンガは面白くないんですが、これは二人が見事にシンクロして良い相乗効果を生んでるマンガ。

じゃあこの漫画の根底に何があるかと言えば、「言論の自由とは何か?」という猪瀬直樹なりの疑問。1巻のあとがきで猪瀬直樹が語ってるので軽く紹介。

メディアは公権力の検閲・監督されるものではない
先進国では安易にメディアを規制して解決する方策は取らない
などなどすごく共感できる内容。画像を貼ろうと思ったんですが、ムダに縦長のサムネイルになったので止めました。作品では終始こういったテーマ性が眠ってて、読んでていろいろと考えさせられるものはたしかにある。

総合評価

でも、だからこそ猪瀬直樹は副都知事時代に『青少年非実在ナンチャラ条例』を作ったんだという疑問は強く覚える。そのあとがきが書かれたのは、たった10年ちょっと前。

『権力は蜜の味』と言いますが、副知事となり都知事となり政治家として権力を得たことが、猪瀬直樹という一人の人間をここまで変えてしまうのか。改めて権力の恐ろしさとともに、権力を抑えこむチカラや勢力の必要性も痛感させられる。

自ら表現の自由や言論の自由の大切さを謳っておきながら、自らが率先的にそれを蹂躙する。また新聞やテレビ局など大手マスコミを痛烈に批判しておきながら、その新聞の王道とも呼べる『朝日新聞』にすっぱ抜かれて寝首をかかれる始末。

猪瀬直樹の政治家としての経歴や一連の顛末が、この作品のクオリティーを全て台無しにしてしまってる。もはやそれは「無様」以外のなにものでもない。皮肉を込めるなら、そういった茶番劇もこの漫画があってこそ喜劇として更に面白くなったと言える。


◯展開★4◯テンポ★4
◯キャラ★3◯画力★3
◯全巻大人買い★4
◆85点!!!!

『ノノノノ』全13巻のネタバレ感想。作者は岡本倫。ヤングジャンプ(集英社)で連載されてた漫画。かなりふざけたタイトルだから一見何のジャンルか分かりづらいですが、スキージャンプがテーマの漫画。

ノノノノ5巻/空へはじけ飛ぶ
(5巻)
主人公の名前がノノだからだとは思いますが、滑空するためのジャンプ台を模してる気もする。現在同じくヤングジャンプで連載してる『極黒のブリュンヒルデ』の一つ前の作品にあたります。

あらすじ

主人公は、野々宮ノノ。父親からスキージャンプの英才教育を受け、めきめきと才能を伸ばした。ただ兄も同じスキージャンプの英才教育を受けてたものの、ノノほどは才能には恵まれなかった。そして結果的には死を選ぶ。その兄の遺志を継いだノノが、オリンピックで金メダルを取るために奮闘するという話。

ノノノノ8巻/ノノ
(8巻)
でもノノが何故男装をして、自分が女性であることを隠してるかと言えば、当時オリンピックで女子の種目がなかったから。調べてみると2014年のソチ五輪から、ようやく競技として女子の正式参加が認められたそう。画像は岸谷という同級生に看病されてる場面。コイツはノノが女性であると自分が知ってることを隠して、セクハラまがいのことをいっぱいしまくるっていうやつ。

ノノノノ6巻/父親の暴言
(6巻)
野々宮ノノの父も同じようにスキージャンプで五輪に出場するも、自分のミスで金メダルを取り逃がす。そして日本中から総バッシングを食らって、その怨恨に近い感情で兄をスキージャンパーとして育てる。しかしジャンプの能力は女である妹に全部持って行かれて…どうのこうの6巻に描かれてるんですが、ここらへんのクダリが結構壮絶。

個性的なキャラクター

そして、キャラクターが個性的で魅力的。

ノノノノ3巻/尻屋
(3巻)
主人公の奥信高校の主将を務める尻屋(通称皇帝)が強烈。めちゃくちゃケンカも強くて、もちろんノノ以上に飛べる選手。ちょっと変態だったりもするんですが、めちゃくちゃメルヘンで男気のある奴。なんだかんだ最終的には好まれるキャラクター。

ノノノノ11巻/禰宜田
(11巻)
秋田県の高校の禰宜田(ねぎた)という選手は、尻屋と同様にケンカも強くてというタイプなんですが、何故かメッチャいかついフェイスガード。ちょっとした死神。「敵」という点で見れば、十分すぎる及第点。

ノノノノ11巻/テラシ
(11巻)
他人の負のオーラをパワーに変えるテラシというキャラクターがいたり、見た目も含めてキャラクターとしてはハッキリ立ってるのも多い。

ややゴチャゴチャ感のある展開

ただ最終盤にかけてそれらが駆け込み的にドバーッと出てきた印象なので、ちょっとゴチャゴチャしたかな。13巻という文量を考えるとあまり十分ではなく、その全員が個性を全て発揮することなく終わったイメージ。

もっと言えば過去編のストーリーもそうですが、全体を通してみると少し行き当たりばったり。最初は「兄に恨まれてる」という設定なので、ノノは兄の亡霊を見るとジャンプを失敗してしまったりする。

でも6巻を読む限りは、兄が妹のノノに「僕の代わりに金メダルを取ってくれ」と頼んでる。だったら何故兄の亡霊を見るの?っていう甘さはある。
ノノノノ8巻/兄「飛べ」
(8巻)
とりあえず最終的には兄は応援してくれて、っていうキレイなまとめ方にはなってるけども。

兄の焼死体が女性の遺体と検死されたのもナゾのまま。兄に成りすましてノノは男として生きるんですが、男の兄の死体が何故女性として処理されたのかその疑問は最後まで解決されず。そこらへんはサラッと済ませておけばおそらく何の疑問も持たれずに終わったのに、敢えてそれを描写した意図が分からない。


最終13巻で岸谷との因縁も付け加え(回収?)てみたり、オリンピックを目指してる割にそこへ行く直前で話が終了したり、ハンス・シュナイダーという外国人キャラはどこ行ってんっていう、結構忙しい感じのまとめ方をしてるので「打ち切り臭」がどうしてもしてしまう。ただ、その割りにはキレイにオチはまとまってたけど。

何故長野五輪を選んだのか?

そしてストーリーで一番意味が分からなかったのが、時代設定が何故か「長野オリンピック」のころ。つまり時間軸は1990年代半ばから後半にかけての時期。

作者のあとがきを読んでると「当時学校のポスターか何かを見てカッコイイと思ったから題材にした」と語ってるので、おそらくそれが理由かと思われますが、マンガとしての必然性は感じない。長野五輪以降に女子が正式に参加できたのかとも想像したが、少なくとも『ノノノノ』というマンガが連載していたタイミングでも女子は五輪に出場できなかったはず。

長野オリンピックをテーマにしてるからといって、1990年代頃の時代考証をしてるわけでもない。もし1990年代に流行った事柄や音楽を入れたら、当時青春時代を送っていた30代40代読者には響くものもあったはず。だから読み進める上で混乱のもとになっただけ。残念の一言。

総合評価

ただ何やかんや言いましたが、それなりに面白いマンガかも。こんなに読者に読ませる気がないタイトルは相当珍しいと思いますが、10巻以上も続いたということはそれだけ中身が面白い裏返し。

文字量は適度に少なくコマ割りも適度な大きさなので、まさにスキーで滑り降りるようなテンポの良さでスイスイ読みやすくスポーツ漫画としては十分及第点。でもスポーツ漫画としてはあともう一歩。天津とのライバル関係であるとか、もう少し熱い何かがあれば良かったと思いますが、ぎりぎり80点台に採点してみた。


◯展開★3◯テンポ★4
◯キャラ★4◯画力★3.5
◯全巻大人買い★3.5
◯おすすめ度…80点!!!!

『スラムダンク』全31巻のネタバレ感想をレビュー。作者は井上雄彦。掲載誌は少年ジャンプ。出版社は集英社。ジャンルは少年コミックのバスケットボール漫画。

改めて説明するまでもなく、1990年代に爆発的に売れたバスケ漫画の火付け役。2013年に入ってようやく読んだんですが、まー面白い。そこで今更ですが改めて「スラムダンクが面白いかつまらないか」を考察してみました。


バスケ描写が秀逸!!

最初にバスケ漫画を開拓した先駆的な存在なので、試合描写であったりバスケをしてる一つ一つの動作や所作の見せ方が上手い。

スラムダンク29巻 桜木が走る時のコマ割り
(29巻)
例えば、主人公の桜木花道が走る場面のコマ割り。右の方を狭めることで、桜木が左に向かって勢い良く走る感じがアップしてる。他にも随所にテンポよく読みやすくなる配慮や工夫がされてて、それがバスケットというスポーツの躍動感を表現出来てて、「そりゃハマるわな」と思わず納得してしまう。

スラムダンク14巻 ボールと選手の構図
(14巻)
他にも、ゴールが決まった瞬間と選手の構図。こういう見せ方を開発したのは、井上雄彦が初めてじゃないでしょうか。普通ならシュートを放った選手のバックからボールがゴールに入った瞬間を同時に描くとか、そんなありきたりな構図になりがち。

スラムダンク14巻 牧のパス
スラムダンク14巻2
同じく14巻から、パスしたボール。コマからはみ出ることで、思わず読んでる方からすると迫力を感じる。

スラムダンク26巻  バスケ描写 ボールの周りが白い
(26巻)
シュートを放つシーンでもボールの周りを白く塗りつぶすことで、単純に見やすい。相手選手のシュートなので「やられた感」も出る。この場合は「当たり前に近い配慮」ですが、あるとないとでは全然違う。どうしても屋内競技である以上は屋根がすごく邪魔でかぶる。だからと言って、屋根を描かないと屋外感が出てしまうジレンマ。この配慮が出来てないバスケ漫画は、相変わらず多い。

スラムダンク27巻 山王戦の沢北
(27巻)
山王工高の選手・沢北にダンクを決められる場面は、何故かおしゃれ。同時にゴールを決められる湘北高校の絶望感も見事に描写。全員のキャラクターをいい按配にページの中に収めつつ、キャラクターの向きを全員変えることでそれを見てる位置の違いも現してる。構図も単調にならない。

これも全部作者・井上雄彦の「バスケを普及させたい」という『愛』に近い強い熱意から、色んな工夫が考え出され生み出され体現されてるんだろうなと。漫画を描きたい人には、ものすごくヒントになる描写が詰まってる。むしろ参考になる描写しか無いと言ってもいいぐらい。


山王戦が熱すぎる!神すぎる!

そして最後にして最大の佳境、25巻の山王戦ぐらいからスラムダンクのみんなが思い描くような熱さやカッコよさがやっと噴出し始める。スラムダンクのまさに本髄。およそ6巻分ぐらいの量があるんですが、もう一気に読めちゃう。

スラムダンク31巻 山王戦のラスト セリフが一切ない
最終31巻のラスト数話のセリフと吹き出しが一切なしの描写が圧巻。鳥肌モン。リアルタイムでつくづく読みたかったと思わず後悔。キャラクターの動きの描写だけで、ストーリー・展開を伝えるのはすごく難しい。しかもテンポよく読めるんだから、なおスゴい。HUNTERXHUNTERのメルエム編の終了直後にも同じような演出がありましたが、こういうことが描ける人はつくづく才能の塊なんだと思います。

スラムダンクが終了直後は周りが騒いでた記憶があるんですが、「こういう終わり方は確かに物議を醸すわな」と今更ながら確かに思った。ましてやインターハイの2回戦で負けるとか、ファン心理からすればもっと描けよとはなるよなーと。

しかも漫画の中の時間軸ではたった「4ヶ月間」の話なんですよね。つまり試合の長さが単行本に占めてる比重がいかに多いかが分かるはず。スポーツ漫画では「どれだけ試合描写が大事」であるかも如実に物語ってる。

最後の山王戦がなければ、スラムダンクと言えどもここまでチヤホヤされる漫画にはなってないはず。それぐらい神がかってた。最近のスポーツ漫画はすぐ試合が終わるので、相手選手の名前を覚えられない。どうしても物足りなさが残る。それがいつまでも過去の作品であるスラムダンクに勝てない理由の一つなのかも。


総合評価・評判・口コミ

『スラムダンク 全31巻』のネタバレ感想をまとめると、冒頭でも書きましたが今読んでも面白い。確か17年ぐらい前の作品ですが、絵柄も含めて全然「古臭さ」を感じさせない。桜木花道というキャラクターは、「熱い」まんまずっと生き続けてる。なにか不変的な面白さがあって、今年読んでも来年読んでも面白い漫画。スラムダンクはずっとバスケ漫画のお手本であり続けるだろうなと思った。

自分はバスケットボールが嫌いだった(今でもですが)。また子供時代は井上雄彦の絵柄が受け付けなかった。要するに食わず嫌い。ただ周りのみんなはスラムダンクを読んでて、アニメも当然視聴してた奴が多い。クラスでは軽く売国奴扱いを受けたのは懐かしい思い出。

だからある意味痛いファンのせいで、なおさら当時の自分は「何でバスケマンガごときにハマんねん…アホらし」と斜に構えてた。でも現在では、それが間違いだったとようやく気付いた。正直リアルタイムで読んでなくて後悔したマンガはスラムダンクが初めてかも。それぐらい面白かった。