バズマン。

健全な漫画の感想ブログ。基本的に面白いマンガだけレビューしてるつもり。

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『ももそら』全1巻のネタバレ感想。スーパージャンプ(集英社)で連載されてた日常漫画。カテゴリ的にはスーパージャンプの後継誌・グランドジャンプに設定。作者は現在「銀のニーナ」を連載してるイトカツ。作風的にはほぼ同じ。

あらすじ

ある三人家族の話。シングルファーザーだった父親が再婚するのものの急死。そこで子供たちは新たに義母のモモと暮らすことになったんですが…
ももそら1巻3
そのモモは見た目は完全なチビッコ。小学五年生の弟よりも小さい。いわゆる合法的ナントカというやつでしょうか。

ももそら1巻2
でもしっかり自動車の運転ができるなど完全な成人女性。ただちゃんと前方が確認できてるかはやや疑わしいですが。

このモモを中心としたほのぼのするような日常漫画。

表情が可愛らしいモモ

ももそら1巻母性の表情
銀のニーナでも言えますが、小さい女の子(モモ)の表情が可愛らしい。

ももそら1巻4
お酒を飲むとコロッとすぐ倒れる描写も可愛らしい。大袈裟でもなくリアルすぎるわけでもなく、ちょうどいいデフォルメ。

総合評価

ももそら1巻1
モモは見た目よろしく家事もまともにできないんですが、それでも二人の子供たちは家族になろうと奮闘。子供たちの頑張りやセリフがわざとらしくなくて、距離感の縮め方がなんかいい。

最後は三人が「一つの家族」としてまとまっていく感じの終わり方で、日常漫画の割には読後感は悪くない。

ただ終始まったりしてるので、合わない人はとことん合わないかも。それは日常漫画全般に言えますが。


◯展開★3◯テンポ★4
◯キャラ★3.5◯画力★3
◯82点!!!!

『おしえて!おじいちゃん』全1巻のネタバレ感想。まんがくらぶで連載されてた4コマ漫画。作者は佐藤ゆうこ。

あらすじ

主人公は、藤山幸吉。おそらく70代前後。そしてヒロイン(?)は孫のミーちゃん。『おしえて!おじいちゃん』の見所は、この二人のなんてこたーない会話がメイン。

ある時、こたつで暖を取ってるおじいちゃん。そこに孫のミーちゃんが外で遊ぼうと誘う。
おしえておじいちゃん1巻孫を脅すおじいちゃん
ただ寒いのは嫌だから「こたつはじーちゃんの充電器だから、お外に行くと死んじゃうんだよ」と脅す。ミーちゃん涙目。冷静に考えると怖い内容。そういう純真無垢な孫をからかう笑いがベース。

孫のミーちゃんはミーちゃんでアホ。ガムを使って、どっちの手に入ってるでしょう?ゲームをおじいちゃんにする。
おしえておじいちゃん1巻アホな孫ミーちゃん
ただ、まさかの噛んだ後のガムを使う。さすがに幼児でも違和感に気付くやろって感じですが、孫も孫で子供らしいアホ。

とんち

おじいちゃんの笑いはやや冷笑的なんですが、結構とんちに富んでる。

ある日、耳毛ワッサー生えてるおじいちゃんを見て、孫のミーちゃんが理由を尋ねる。
おしえておじいちゃん1巻とんち1
どんな汚い言葉もおじいちゃんには優しく聞こえるんじゃよ」と切り返した後、息子の嫁から叱責されてもスルー。

その息子の嫁がミーちゃんから「スッピンでも可愛い」と褒められる。それを見たおじいちゃんが、「ミーちゃんは心がきれいだから本当の美しさが分かる」と上乗せで絶賛。
おしえておじいちゃん1巻綾小路きみまろ
ただ「外の世界は心の汚い人ばかりだからお化粧するんだよ」というオチ。綾小路きみまろか。

おしえておじいちゃん1巻とんち
もちろん、オヤジギャグだっていけますわよ。

総合評価

それなりに面白い4コマ漫画。

ただ主人公は孫の女の子ではなく、あくまでおじいちゃん。孫に翻弄される祖父に焦点が当たってるので、子供の可愛さをメインに期待するとやや失敗する。ちょっと斜に構えた態度や風刺が好きな方ならどうぞ。


◯展開★3◯テンポ★3.5
◯キャラ★4◯画力★3
◯大人買い★4
◯83点!!!!

『くるみのき!」全2巻のネタバレ感想。作者は青木俊直。コミックバンチで連載してた漫画。めちゃイケを見てたら、ふなっしーが岡村と相撲をとってた。ゆるキャラの中の人も大変だなーと思って、旧ブログで記事化したレビュー。

あらすじ

主人公は野木くるみ19歳。自分の殻に閉じこもってる、根暗なフリーター。その殻はクルミのように固い。毎夜、子供向け番組のいっちぃ・はっちぃというキグルミたちに癒やされてた。しまいには、踊りや振り付けも完コピするほど。

くるみの木1巻/野木くるみ
(1巻)
そこでひょんなことから、キグルミで子供たちを楽しませる劇団「くるみの木」に誘われて、自分がそのキグルミの中に入ることに。

くるみの木1巻/3
(1巻)
そして徐々に自分の殻を破っていく野木くるみ。みたいなストーリー。

総合評価

とりあえず勢いで記事化してみましたが、何一つとして見所はない。絵柄は可愛らしく、画力もそこそこ。80点以上の実力のマンガ家が60点以下の画を描いてる感じ。だから余裕のある画ではある。

ただやっぱり面白くはない。キャラクターの年齢も年齢で、そこそこ良い大人。でも悩みは青春真っ盛り。ややチグハグ。「キグルミを着る」という解決方法も、やや稚拙。とは言え、独特すぎるので共感しにくい上、参考もしづらい。

作者の青木俊直には才能を一見感じさせますが、それはなかなかしぶとく開花しないだろうなーという印象。

くるみのき! 1巻
青木 俊直
新潮社
2012-09-01

◯展開★2◯テンポ★3
◯キャラ★2.5◯画力★4
◯全巻大人買い★2
◯68点!!!!

『レベルE』全3巻のネタバレ感想。作者は冨樫義博。少年ジャンプ(集英社)で不定期連載されてたSFギャグマンガ。

ハンターハンターの連載が再開されるのを祝して、旧ブログで2014年4月頃に更新したレビュー記事です。ちなみに『レベルE』は何年か前に唐突にアニメ化されてたという。おそらくハンターハンターのアニメ人気で、冨樫義博の過去作品が再びクローズアップされた的な?

あらすじ

ジャンルがSFということで(多分その位置付けでオッケーのはず)、キャラクターの多くは宇宙人や異星人。そして主人公も異星人。それがドグラ星という惑星の王子様。ただ、めちゃめちゃトラブルメーカー。

レベルE1巻ドグラ星第一王子
(1巻)
最初の登場シーンから、いきなり高校に入学したばかりの筒井雪隆の部屋でくつろぎまくり。そして最初に発した王子様のセリフが、「君…誰?」。いや、お前こそが誰やねんっていう。

レベルE2巻カラーレンジャー4
(2巻)
そういうノリからも分かるように、全体的にはコメディータッチな展開が多め。アホなんだけど、ムダに頭が回る王子様に、同じ異星人も含めて地球人たちが巻き込まれるカタチで、色んなアホな展開が描写されてる。

例えば、凶悪な異星人たちに襲われる王子様と筒井雪隆たち地球人。それをドグラ星の護衛達と共に逃げまわる。
レベルE1巻3
(1巻)
でも、その計画が王子様発案の、ちょっとしたドッキリ。いやいや、大概にせーよっていう。

レベルE3巻誰かの潜在意識に閉じ込められた野球部員
(3巻)
ジャンルがSFということで、誰かの潜在意識の中に野球部員たちが閉じ込められたり…みたいな回もある。

ただ王子様が積極的に展開をかき回していくというより、ワチャワチャさせられてる周囲の人間を描くことで、王子の存在を描写しようとしてる雰囲気。最近で言えば、ウシジマ君のようなテイストで、あまり主人公が登場してこない。

冨樫義博のゲーム好きの原点

基本的には、ストーリーの前後に脈絡はあまり関係なくて、数話で完結してるようなオムニバス形式が多め。今のハンターハンターと同じで、ある程度原稿が溜まったら掲載して…を繰り返してたのかも。

その中でも2巻が、現在のハンターハンター…もっと言えば、グリードアイランドに繋がる原点が描写されてる。王子様が5人の地球の少年を拉致って、カラーレンジャーを名乗らせる。そこである惑星をRPGゲームそのものに作り変えて、攻略させる。

レベルE2巻カラーレンジャー2
(2巻)
それが魔法が使えたりする。

レベルE2巻カラーレンジャー5
(2巻)
ただ詠唱が早口言葉ばりに難しい。

まんまグリードアイランドの世界観と同じで、カード集めやビスケとの修行などを思わず連想させることも多い。例えば、「魔王護衛軍」などもいるんですが、それは明らかにキメラ=アント編に繋がってる。

ハンターハンターの着想の原点は、このレベルEというマンガにある…というより、ゲーム大好き冨樫義博の中に常にあったモノを体現してるんだろうなーと思わせてくれる。

レベルE2巻カラーレンジャー6
(2巻)
ちなみにオチは、ゲームの目的を大ボスの魔王にインプットするのを忘れてたというオチ。魔王が実はメチャメチャ良い奴っていう。

絵柄が古くさい

レベルE2巻カラーレンジャー3
(2巻)
強いて言えば、かなり昔に連載されたということもあって、やや絵柄が古臭い。古臭いというより写実的。今のポップな絵柄を想像して読むとかなり違和感があるはず。幽☆遊☆白書の絵柄も今見ると大概だと思いますが、それを更に劇画チックにした感じ。

良く言えば、今読んでも大して風化してない絵柄とも言えますが。

総合評価

自分が小学生だった頃に『レベルE』がちょうど連載されてた記憶ですが、子供ながらにも地味にハマってた記憶。ハンターハンターほどではないものの、不定期に連載されてたので前後の関係を覚えてませんでした、掲載されてたらとりあえず読んでた印象。

絵柄が気持ち悪かったので最初は敬遠してたものの、やっぱり小学生はヒマを持て余してる。そこであるとき、今まで読んだことがなかったタイトルもテキトーに読んだりする。そしたら結構ハマった記憶。

冨樫義博にはジャンルや老若男女問わず、「読ませる」チカラが昔から高かったと言えるのかも。実力はもてあましているけど、性格はグータラでぷらぷらしたい。まさに『レベルE』の主人公であるテキトー王子様よろしく、自分自身(冨樫義博)を思いながら描いてたのかも知れない。


◯展開★4◯テンポ★4
◯キャラ★4◯画力★4
◯全巻大人買い★4
◯85点!!!!

『マンけん。』全7巻のネタバレ感想をレビュー。作者は加瀬大輝。掲載誌は月刊サンデージェネックス。出版社は小学館。ジャンルは青年コミックの漫画家漫画。ちなみにタイトルの意味は「漫画研究部」の略。面白いか面白くないか全巻まとめて考察してみた。


あらすじ物語・ストーリー内容

主人公は、日笠倖(ひがさ・さち)。担当編集者が付くなど、既にプロ漫画家デビュー一歩前の女子高生。ただ家庭の事情などから、学校でもそのことは隠し通してる。言っちゃえば覆面漫画家。

でもひょんなことから、漫画研究部に入るハメになる。その漫画研究部は全員女子で、曲者ぞろいのキャラクターばっかりだった…的な感じの内容。


展開に期待をもたせるが

マンけん。1巻 日笠倖 漫画描写
(1巻)
作者の加瀬大輝は画力があって、ちょいちょい見せる机上での漫画描写は魅せる。ただどこかがで見たような既視感がしなくはないですが。

だから展開でもちょっと期待感を持たせるフリも少なくない。ただ悪い意味で、それをことごとくサラッと見事に裏切る。巻数の割に、何も生んでない。


大きなストーリーの軸がないのでつまらない

肝心の内容が面白くない理由が、主人公の日笠が一体どうしたいのか、またこの漫画では一体何を伝えたいのか、全く見えてこない。プロ漫画家を目指すのか、部活ものとして展開していくのか、軸足が定まってない。

言っちゃえば、ストーリーの大きな軸がない。文化祭でコスプレやってみたり、コミケに行ってみたり、細かい脱線があちこちあるものの、一体「何がテーマなのか」という肝心の部分がない。

マンけん。1巻 豊崎アリス
(1巻)
一話目で将来のライバルになりそうな豊崎アリスが登場。漫画好きな日仏ハーフだけど、てんで実力が伴ってない。ただ「漫画好き」という根性だけで、実力をメキメキ伸ばす的なフリ。

マンけん。4巻 アノス
(4巻)
でも途中から部活内の謎の実力者・アノスが登場したり、プロ漫画家ではライバルであり姉妹である平野心が登場してみたり、豊崎アリスがそうそうに空気キャラ化。結局、主人公・日笠のライバルは誰やったん?


総合評価・評判・口コミ

キャラクター作りや画力は悪くないものの、それを上手く使いこなすことは最後までムリだった。行き当たりばったりの展開が多すぎる。その割に画力がそれなりに高いのでちょいちょい魅せる良い部分が、却って小賢しく見える。

『アオイホノオ』のようにギャグに割り切るならアリだが、本格的な漫画家漫画を描くとしたら、それなりに実力が伴ってないと厳しい。まずお前ができてへんやんけ!とツッコまれるのがオチ。この『マンけん。』もその好例。

『新宿スワン』全38巻のネタバレ感想をレビュー。作者は和久井健。ヤングマガジン(講談社)で連載されてた漫画。新宿のスカウトマンを設定にしてるので、ヤクザが絡んだりアングラ系のネタが全部詰まってるような内容。

旧ブログの「すごないマンガがすごい!」で2014年春頃に更新した記事を移行させたレビューになります。2015年5月からは主演・綾野剛(主人公・白鳥タツヒコ役)で実写映画も公開されるそうですが、とりあえず面白いかつまらないか・面白くないか考察してみた。


あらすじ物語・ストーリー内容

主人公は、白鳥タツヒコ19歳。成り上がるために上京するも一文無し。歌舞伎町でブラブラと歩いていたら、そこで真虎というスカウトマンに出会う。その真虎にホレた白鳥タツヒコが同じようにスカウトマンを目指して、新宿歌舞伎町にひしめく水商売や風俗の世界で自分の生き方を探すという話。

スカウト会社同士の抗争や、そのバックで管理(ケツモチ)してるヤクザの権力争いなど、スカウト(女性をダマす)という行為を通じて、どんどん裏社会の薄汚い部分が表出。新宿・歌舞伎町の「見ちゃいけない」部分がリアルに描かれてる。

ただ後半になるにつれ、徐々にそういう「スカウト」に関する描写…というより主人公の存在感がみるみる減っていく。そして主人公タツヒコをスカウトの世界に引き入れた『真虎』の復讐にテーマが移っていく。


真虎の壮絶な復讐


新宿スワン38天野修善
(38巻)
真虎が復讐しようとしてる相手が、紋舞会の天野修善というヤクザ。日本最大級の暴力団・柚木組のトップになろうと画策。表情からしてまさに極悪。

じゃあ、何故天野を狙ってるのか。主人公のタツヒコが真虎にスカウトマンを誘われたように、真虎もまた辰巳(たつみ)という男に誘われた。

この辰巳を天野が部下を使って殺害。
新宿スワン33巻山城兄弟に殺される辰巳
(33巻)
この時の描写がかなり鬼気迫って、「手に汗を握る」とはまさにこのこと。スカウトマン同士、ヤクザ同士のイザコザも緊張感があったんですが、この時だけは別格。

山城兄妹は真虎が大好き。それでも天野修善の恐怖が勝って、強い葛藤に襲われながらも行動を起こす。真虎は真虎で信頼していた部下に突然さされる。お互いの何とも言えない感情が、この一瞬に全て現れてる。

復讐の鬼と化した真虎は、その後その山城兄弟という男たちの下で働くようになる。そして復讐の機会を虎視眈々と狙う。
新宿スワン31巻復讐に躊躇する真虎
(31巻)
ただ次第に、山城兄弟のことを好きになっていく真虎。躊躇してためらうものの、それでも心底尊敬してた辰巳への復讐心が勝る。そして山城兄弟の命を奪う。真虎の揺れ動く心理描写は切ない。


ストーリー構成力の高さ

『新宿スワン』はとにかくキャラクターがたくさん登場する。個人的に、そういうマンガは苦手。何故なら人数に比例して、ストーリーもゴチャゴチャしがち。結局今どこへ向かって、進んでるのか迷うことも多いから。

ただ不思議と、このマンガはそこまで戸惑うようなことはない。途中から、「真虎の復讐」がメインの軸になることも大きいんだろうが、複雑な人間関係を巧みに操る作者のストーリー構成力の高さが伺える。もっと言えば、キャラクター作りも上手く、まさに「人間模様が鮮やかに描かれてい」た。


天野など表情の迫力

一方画力は序盤だとかなり微妙。同人誌上がりと表現しても構わないかも。絵柄も90年代チックで、若干古くさい。ただ巻数を重ねることに、それは目に見えて改善・進化していく。絵柄も、この作者しか描けないオリジナルに仕上がっていく。まさに、これぞ「伸び代」。

序盤から片鱗は少し見せてたものの、特に表情のドアップが秀逸。前述の天野修善が好例。
新宿スワン34巻堀田
(34巻)
堀田というヤクザの表情。既に天野修善の画像を見ても分かると思いますが、とにかく「オッサンの悪い顔」を描かせたら天下一品。


ラストのオチは慌てた印象

ストーリー自体は悪くないと思いますが、ラストの結末は慌てて風呂敷を畳んだ印象。最終的に真虎は天野修善を追い詰めるんですが、最終回では自分の手で下さない。「オマエを殺すのに武器などいらない」と自害させる方向に持っていく。

ただ真虎は天野修善の息子・タイガや山城兄弟の命を奪ってきた以上、勧善懲悪的なスカッとしたオチを期待してた。天野はヤクザだから派手に殺されない方が却って惨めで残酷な死に方だったとも言えますが、やや拍子抜けだった。

新宿スワン38巻死ぬ真虎
(38巻)
そして最終話で真虎は天野のもう一人の息子・レオの手によって命を落とす。

真虎が死ぬというオチ自体は構わないですが、ただタイミング的に不自然。何故なら真虎がビルから出てきた直後。レオがビルの外でずっと待ってたとしか思えず、もし真虎が現れるのを外で待っていたとしたら、何故父親である天野を助けに行かなかったのか?という疑問。仮にギリギリ急いで来たのであれば、ピストルではなくナイフの方がリアリティーはあった気がする。あと真虎はその時に頭を撃たれてるのに、タツヒコと一言二言喋ってる。これも不自然に見えました。

ラストの展開にはもっと丁寧な描写さがあっても良かった。最後の最後で気になる部分も目立った。


描き下ろしの新たなオチ

新宿スワン38巻ラストのオチ
(38巻)
そして最終巻38巻のオチは主人公タツヒコが、まだまだスカウト続けるぜ的なオチ。これも悪くはないものの、現実を振り返ってみると新宿は条例によって規制が強化されてスカウトマンがいなくなった。もっと言えば、東京全体での規制が年々強まってる。

だから結局、真虎が復讐を果たしたことで、新宿の中で一体何が残ったんだろうという素朴な疑問。それを考えると虚しいっちゃ虚しい。ある意味「残らなかった」ことが残ったとも言えるので、これを人によっては『余韻』と言い換えることもできるのかも。

ただ個人的には、真虎のこれまでの経緯を考えると、もう少し何かハッピーエンド的な要素があっても良かった。これじゃあ誰も・何も報われない。最新作の『セキセイインコ』を連載したいがために足早に終わった印象。

新宿スワン38巻ハッピーエンド
ちなみに最終38巻の単行本コミックには、描き下ろしのエピローグが追加されています。タツヒコと昔登場したアゲハと付き合って、ハッピーエンドを(唐突に?)迎える。白鳥タツヒコは新たな人生を歩み出したというオチ。ここでは一種救われたのかも知れない。


総合評価・評判・口コミ


『新宿スワン』の序盤ストーリーは、新宿の風俗街をしっかり写し出したルポチックなマンガ。作者の和久井健自身が実際にスカウトマンとして働いていたらしく、その描写は結構リアル。「へー」「マジ?」みたいな楽しみ方ができて、それなりにダラダラ読める。

ただNARUTOと同じように、いつの間にかサブキャラ(カカシ)がメインになっちゃう。終盤のNARUTOではそうでもなかったですが、いつの間にか主人公・白鳥タツヒコの空気感がハンパない。それぐらい真虎の物語が鮮明に描かれる。

でも別にそれが悪いということではなく、後半にかけてサスペンスチックな展開も面白い。真虎VS天野の戦いには緊迫感があって、後半の展開の方が面白い。良い意味でスカウトマンのマンガだったことを忘れさせる。絵柄は独特ですが、ストーリーの完成度も高く面白かった。

新宿スワン38巻 白鳥タツヒコ
(38巻)
ちなみに、この記事ではほとんど真虎に関するレビューが占めましたが、主人公・白鳥タツヒコはめちゃめちゃ良い奴。誰にも嫌われないキャラクター。見た目はイカツイものの、性格は優しく純真無垢で、なおかつ芯は熱い。新宿という汚い世界でも、白鳥のように白く輝く。まさに好青年を絵にした、本当に稀有な主人公。果たして、綾野剛はどんな演技を見せてくれるのか?

『男たち』全2巻のネタバレ感想。作者はちばてつや。モーニング(講談社)で連載されてた漫画。2014年にちばてつやが文化功労者に選ばれたことを記念して、旧ブログでレビューした記事。

あらすじ

主人公は、新一というエリートサラリーマン。会社から転勤を命じられて、田舎から上京せざるを得なくなった。そこで頼ったのが東京に住む叔父・一色留次(いっしきとめじ)。彫金師で生計を立ててる、通称ダルマ。ただ性格は極めて粗暴で、とことんテキトー。

男たち1巻叔父ダルマ
(1巻)
例えば毎晩毎晩、仲間たちと麻雀に明け暮れてる。その中でもダルマはリーダー的な存在で、気に喰わないことがあるとすぐ暴力。新一の母親が送ってくれてた荷物を勝手に自分のモノとして使ってたり、上京したばかりの新一から万札を抜いたり、むちゃくちゃ。

その仲間もノミ屋をやってたり胡散臭い連中ばっか。性格や態度もガサツで、ダルマに負けないぐらいチャランポラン。新一曰く、「とても人間がすむ場所じゃありませんよ」。

だから日常的に金銭的にモメることも当たり前。その中でも倉橋というノミ屋が莫大な借金を背負う。
男たち1巻倉橋
(1巻)
そこでタケちゃんという取り立て屋とのクダリもハチャメチャすぎる。

最終的に倉橋は、いわゆるタコ部屋労働送り。ただそこは極寒の地で、いかにも悪徳業者が運営してる。壮絶なイジメも受けた結果、倉橋は肉体的精神的に疲弊しまくる。
男たち2巻倉橋
(2巻)
でも、チャランポランで粗暴な叔父ダルマが助けに行く。男気も見せれてくれて熱い。

個性的な男たち

叔父ダルマ然り、それぞれのキャラクターが個性的。特に主人公は新一はいかにも清廉潔白な性格で、その描写の対比が結構面白い。

新一はエリートサラリーマンだからといって、結構ナヨナヨしてるかと思いきや、自己主張はしっかりする。最初麻雀に熱中して、一向に新一の部屋に案内してくれないダルマ。
男たち1巻新一が激怒
(1巻)
それに痺れを切らして、激昂する新一。思わず胡散臭いダルマの仲間たちも、一瞬止まる。

ダルマの仲間たちはテキトー。だから共同トイレでタバコを吸っては、そこら辺に捨てる。でも新一は我慢ならない。
男たち1巻神経質な新一
(1巻)
だから空き缶を用意して、母親のように「吸い殻はちゃんと捨てましょう」と注意。それにタジタジするダルマの仲間たち。このギャップ感が面白い。

他にも、オカマのツネというキャラがいる(一応男w)。新一に対して恋心を抱いてるんですが、決して叶わないそれが切ない。最終的に新一はロンドン支店へ異動を命じられる。新一を見送るクダリでダルマの仲間たちといい感じに別れて、新一はやっとまともな人生を歩める雰囲気。

ただオカマのツネだけは新一が乗ってる飛行機にコッソリ乗りこんでる。まさに時限爆弾。また新一に悲惨な生活が待ってるっていう終わり方が、良い感じに後を引く。

総合評価

作者ちばてつやが「人間くさい男たちを描いちゃった漫画」と述べてるように、まさに「THE下町の男たち」という無骨でチャランポランなキャラクターが登場。だからこそ一人一人のキャラに味があって、最近の漫画には「ないモノ」が詰まってる。80年代に連載してた漫画らしく、その雰囲気もまた味があって良いかも。

ちなみにラストの新一が乗った飛行機が飛び立つコマで、飛行機の煙が文字っぽい。これが何を意味してるか、微妙にモヤモヤして仕方がない。

男たち (1) (ちばてつや全集)
ちば てつや
ホーム社
1996-11

◯展開★3.5◯テンポ★4
◯キャラ★4◯画力★3.5
◯大人買い★4
◯82点!!!!

『キートン動物記』のネタバレ感想。作者は浦沢直樹。ビッグコミックオリジナル(小学館)で短期集中連載されてた漫画。最近リマスター版が発売された『マスターキートン』のスピンオフ漫画。いわゆるシートン動物記をパロったタイトル。

動物ネタを絡めた図鑑的オムニバス

キートン動物記の主人公は、マスターキートンと同じく平賀=キートン・太一。考古学者でありつつ、傭兵経験があったりする武闘派。本編では保険組合の調査員をしつつ、ドンパチもありつつの波乱の多い事件に巻き込まれていく。

ただキートン動物記では、父親の平賀大平が動物学者ってことか知りませんが、基本的に動物ネタオンリー。
キートン動物記11P
(11P)
様々な動物をモチーフにした、キートンの知り合いたちの悩みを解決するという、結構ゆるい展開。

またオムニバス形式のマンガとはいえ、一話が4ページ前後と短いので読みやすい。オールカラーだからページ数を増やせない事情もあったんでしょうが、
キートン動物記80P
(80P)
その割に起承転結がしっかりしてて面白い。オチも思わずクスっと来るような、また唸ってしまうような読後感の良さがある。

キートン動物記27P
(27P)
そしてマンガの後は、動物の解説。勉強になる情報も多い。ただ作者の浦沢直樹がべらべら解説してるという設定ではなく、キートンがサブキャラと会話してるという体だからファンにはたまらない。

総合評価

ページ量は決して多くない。ちゃんとそれぞれの動物たちの生態や特徴を捉えてて、それが上手いことマンガに絡んでて読み応えはたっぷり。マスターキートンを読んだことがなくても、それなりに楽しめるスピンオフマンガとして評価したい。敢えてフルカラーにする必要があったのかは知りませんが。

昨年に発売されたリマスター版のマスターキートンが結構人気だったので、なんとなくレビューしてみた。さすがに20年以上のマンガだから絶版でしょうが、もし中古店で見かけたら読んでみてください。


◯展開★4◯テンポ★4
◯キャラ★3.5◯画力★3
◯大人買い★4
◯85点!!!!

『終末のラフター』のネタバレ感想。作者は田辺イエロウ。少年サンデー(小学館)で短期集中連載されてたのをコミックス化。

あらすじ

終末のラフター1
内容は悪魔退治をする男の話。主人公の名前はないのか作中では出てこず。妹のハルと各地を転々としながら悪魔を倒して、お金を稼いでるみたいなストーリー。

でも、実はこの男自体が悪魔(厳密には不死者)。

高い画力で魅せる

終末のラフター2
画像は街を襲ってくる悪魔。

終末のラフター1
主人公の冒頭画像も見てもらえれば分かりますが、模様などの書き込みも秀逸と表現していい。作者の田辺イエロウの頑張ってる感は強くする。

悪魔祓いがテーマなのでバトル展開もつい期待しがちですが、残念ながらそれは少ない。もはや「無い」と断言しちゃってもいいぐらい。一応ゴトーというラスボスがいるものの、知らん間にフワッと終わってるのはモッタイナイ。

本質的なテーマ

ストーリーの本質的なテーマは、ラストのオチにある。

主人公は町長や町人から依頼を受けてゴドーを倒すものの、主人公が悪魔ということで契約を反故。主人公に解決金を支払うのを拒否する。そして言うに事欠いて、「いつまでも恐怖で縛れると思うな!」と主人公を批判。

でもそこで主人公は諭すように言う。
終末のラフター3
恐怖はあんたの持ち物・飼い犬だ

恐怖という感情は自分の中で勝手に育つもの。それは正常な思考を奪う。自分から動かないうちにはそれが消えることはないみたいなこと。

実はゴトーは理性的な悪魔だった。厳密に言うと、不死者。その不死者は完全な悪魔として堕ちるまでは、実は一応人間としての理性を保ってる。街に棲み着いたのも自分の故郷だったから。人質の少女たちに対してもしっかりお墓も作ってた。むしろゴトーが暴れるように仕向けるように追い詰めたのは、恐怖に怯えた住民たち自身だった。

テーマ性自体は悪くないと思います。

総合評価

でも主人公が何故妹と一緒に戦ってるのか不明。過去編も書いてくれてるんですが、いまいちピンと来ない。子供時代に妹と一緒に悪魔に襲われました。そこで二人とも悪魔になりました。

でもだから何?っていう。「悪魔を倒さないと生きられない」という描写が弱い。二人が敢えて戦う必要性が乏しい。あと主人公である兄がどういう過程で悪魔になったのかも不明。

不死者を迫害する住民を批判したいのか、不死者としての主人公の過去を掘り下げたいのか、また妹との未来を描きたいのか中途半端。濃密な内容に見えて、実は微妙。



◯展開★3◯テンポ★2
◯キャラ★2◯画力★4.5
◆72点!!!!

『翠星のガルガンティア』全3巻のネタバレ感想。原作はオケアノス、作画は三途川ワタル。キャラクター原案は鳴子ハナハル。ニュータイプエース(角川書店)、ニコニコ静画(角川ニコニコエース)で連載されてたSFマンガ。既にアニメ化もされた模様。

翠星のガルガンティア3巻2
(3巻)
SF漫画だからロボットなどが登場してアクション描写も展開されますが、比重的にはストーリー部分が高め。ボリュームは3巻と少なめですが、起承転結が比較的しっかりしてた印象。だからどちらかというと、物語性を重視して読むマンガ。

あらすじ

主人公は少年兵・レド。人類は寒冷化した地球を飛び出し、アヴァロンという理想郷に移り住んでいた。そして、知能に乏しく凶暴なだけの「ヒディアーズ」と呼ばれるイカ・タコのような敵と長年戦闘を繰り広げる。

しかしヒディアーズとの戦闘で苦境を強いられ、ワームホールの崩壊でアヴァロンより遥か彼方に飛ばされる主人公・レド。ただその行き着い先は、かつて人類が捨てた故郷・地球だった。

翠星のガルガンティア1巻チェインバー
(1巻)
そこでチェインバーと呼ばれる高度な知能を持つロボットと共に、船団ガルガンディアに住む地球人たちと共生しつつレドは故郷アヴァロンへの帰還を模索する…というストーリー。

作品としてきれいにまとまってる

冒頭でも書きましたが、比較的しっかり作品としてまとまってた印象。3巻分というボリュームでありながら、一つのストーリーとしてちゃんと完結してたと思う。

翠星のガルガンティア2巻1
(2巻)
アヴァロンの進んだ文明で暮らしていたレドと、行進的な文明である船団ガルガンディアに住む地球人たちとの間には考え方などに深い溝がある。それは単に高性能な道具の有無だけではなく、『心』の有無を対照的に描写。

文明が進めば進むほど、人間からは温かい心情が失われていった。レドが住んでいたアヴァロンでは戦闘に使えない病人はすぐ殺される。敵であるヒディアーズ撲滅のための『効率』だけが徹底されてた場所。さもありなん。

翠星のガルガンティア2巻2
(2巻)
ただお互いが交流を深めることで、そのギャップ感が徐々になくなり打ち解けていく。レドは次第に人間としての感情を取り戻し、彼らに情が移っていく。

そしてレドは憎き敵「ヒディアーズ」の正体を知ってしまい愕然とする。実はヒディアーズは元々人間だった。遠い昔、寒冷化した地球では過酷な環境に耐えるため、人体実験を繰り返した。その結果生まれたのが強靭な肉体をまとったイカ人間・ヒディアーズ。

だからレドは因縁の敵だと思ってたが、実はずっと人間同士で殺しあっていた。その事実を地球で知ってしまい、強い葛藤を覚える。そこへ同時期にはぐれた中佐クーゲルが地球に現れる。そして船団ガルガンディアをアヴァロンのような場所にすべきと持ち掛けてくる。

翠星のガルガンティア3巻1
(3巻)
でもすっかりヒディアーズと戦うための『大義』を見失い、心も取り戻したレドはクーゲルに抵抗。地球人たちと共に戦い、撃破。ラストはレドの相方だったチェインバーが自爆するんですが、最期に見せたコイツの『粋』がシビれる。

そしてレドは地球人として生きて、子供たちはクジライカ(ヒディアーズ)と現在残ってる人類が歩んできた歴史を学ぶ。「これからどう生きていくのか・いけばいいのか」みたいなポジティブなオチは、読後感は決して悪くない。

総合評価

ありきたりっちゃありきたりな設定ですが、示唆に富んだテーマが根幹にあった作品。大げさに言えば「進化一辺倒に対する人類」に対する警鐘。

そういうテーマ性を強く前面に出したい場合、どうしても作者・制作者側の一方的な自己主張に終わりがち。漫画に限らず。それは自己満的なお説教にも聞こえて、読者側が素直にそれを受け取れないことも多い。

でも、比較的嫌味なく表現できてる感じがして良かったと思う。巻数の少なさが功を奏したのか、却ってウダウダと主張することなくスッキリコンパクトにまとめられたのかも。作品としてしっかり完成させたことは評価したい。

ただ大して気にするほどでもないですが、偶然ワームホールだかワープホールだかが崩壊して、主人公が地球に辿り着いた設定はいささか強引。数万数億とある惑星の中、かつての上官も同じく地球に…とはややご都合主義的な展開という気はした。


◯展開★4◯テンポ★3.5
◯キャラ★3.5◯画力★4
◯全巻大人買い★4.5
◯85点!!!!