バズマン。

健全な漫画の感想ブログ。基本的に面白いマンガだけレビューしてるつもり。

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『百舌谷さん逆上する』全10巻のネタバレ感想。作者は篠房六郎。月刊アフタヌーン(講談社)で連載されてたマンガ。ジャンルは不明ですが、おそらくコメディー要素が多めかな。

あらすじ

百舌谷さん逆上する1巻転校してきた百舌谷
(1巻)
金髪の女子小学生の主人公・百舌谷小音が「ツンデレ」。しかも親から受け継いだ遺伝。主人公・百舌谷はツンデレたくないのにツンデレてしまう自分に悩んでる。その百舌谷がある小学校へ転校してきたところからストーリーは始まる。

でも結論から言ってしまうと、そこまで面白い内容ではない。

ツンデレに対する典型的な勘違い

まず作者はツンデレに対して典型的な誤解をしてる。

百舌谷さん逆上する6巻百舌谷のドロップキック
(6巻)
主人公はとりあえず他人に対して攻撃的。そこさえ満たしてればツンデレが成立すると思ってる節があって、肝心の『デレ』の部分がない。

百舌谷さん逆上する1巻セリフが多い1
(1巻)
本当にただただ口汚いだけ。ツンデレ喫茶もそうだけど、『ツン=サディスト』ではない。そもそも「サディスト=暴力をふるう・罵倒好き」でもない。口汚いセリフも空々しくて、いちいち知性も愛嬌も感じさせない。

だから平たく言えば、主人公の百舌谷に『好感』が持てない。キャラクターとしても人間としても魅力に欠ける。ツンデレって、基本的に「デレる」部分が大半を占めててナンボ。常識的に考えて、こんなに攻撃的なだけのキャラを好きになれる訳がない。

ツンデレのツンは、無視する「ツーン」。結局恥ずかしいから、構いたくないし、構われたくもない。それなのに何故、そんなに汚い言葉がスラスラ口から飛び出るのか。またツンデレである、お前の方からグイグイ来てくれてんねん。

ツンデレ自体が既に使い古されてるアイテムだから今更アレコレ指摘しても仕方ないですが、『ツン2割・デレ8割』ぐらいの配分でちょうど良い。またセリフを多用することよりも、態度や行動で表現させた方が良い。

全体的にセリフが多い

上記の画像を見ても分かるようにやたらセリフが多い漫画。

百舌谷さん逆上する1巻セリフが多い2
(1巻)
もはやページのほとんどがセリフと吹き出しで埋め尽くされてる勢い。

せめてセリフが多い部分と少ない部分にメリハリがあればいいんですが、全体的にこんな調子。だから読んでても疲れるだけで苦痛。「この漫画は暇つぶしや気晴らしにだらだら読むものではなく、ガッツリ読む人向けといった印象」というAmazonのレビューがあったが、まさにその通り。

せめてガッツリ読みごたえがある『凝縮された中身』が詰まってればいいんですが、ひたすら主人公が脈絡なく暴れてるだけ。ページをめくる度に「俺は何を読まされてるんだろう…」という疑問が頻繁に頭をよぎる。テンポ感はゼロ。

脇役キャラも魅力に欠ける

脇役キャラも魅力に欠ける。
百舌谷さん逆上する2巻樺島番太郎
(2巻)
例えば、樺島番太郎。百舌谷のペット的な扱い。ちょっとしたメイン脇役。性格はいわゆるドM。

でもやはり「M(マゾヒズム)」についても、作者は勘違いしてる。コイツは一方的に、殴られてるだけ。これでは単なるイジメっ子とイジメられっ子の関係でしかない。百舌谷の行為に愛を感じないし、コイツが気持ち良くなる部分の描写もない。だから、二人の関係性を見てても心地良くはない。

全然反応しない大人向けのビデオを観てるよう。監督はしっかり要求通りのことをしてるものの、肝心の監督が『フェチ』の意味を理解できてないので、「なんか違うんだよなー(´・ω・`)」と全然ピンコ立ちしない。

そもそも、「ツンデレ好き=M男」でもない。むしろツンデレ好きとは、本当は堂々とデレデレしたいクセにツンツンした態度しか取れない女の子を見て、ニタニタ楽しんでるようなサディスト。閉ざされた心の扉を開けてあげようとする能動的な性格。

総じて全般的にコミカルに描こうとしてるものの、あまり笑いには繋がってない。

シリアス展開?ギャグ展開?

だからといってギャグ展開が多いと思いきや、シリアス展開もたまにある。冒頭でも説明したように主人公の百舌谷のツンデレは遺伝。それに苦しむ過去描写のクダリもあるんですが意味不明。

百舌谷さん逆上する3巻シリアス展開
(3巻)
何故か、主人公を巡って父親がマフィアと戦う。笑わせたいのか泣かせたいのかなんなのか、作者が「何を狙ってるのか」が見えない。だから読者としても何を読み取ればいいのか分からない。それが結果的に『読むのが苦痛』という部分に繋がってる。

百舌谷さん逆上する4巻ムダに丁寧なケンカ描写
(4巻)
そして殴り合う描写も結構多くて、これが地味にグロテスク。作者の篠房六郎は画力がある方だと思うが、そこまでアクションに派手さを感じない。ただ不快なグロさだけが残ってる印象。

総合評価

全体的に笑えるわけでもないし、泣けるわけでもないし、キュンキュンするわけでもない。作者が色んな試みをしようとする意図は伝わってくるが、何一つとして成功してない印象。セクシー描写があるならまだしも、全体的に見所を探すのは難しいマンガの一つ。

無駄にセリフが多い割に、あんまり共感できる部分も少ない。自分の価値観や意図を一方的に伝えようとしてるだけで空回りしてる。しかも読んでる人に伝わらなくても、「アホな読者の方が悪い」とすら作者が思ってそうな感じ。


◯展開★2.5◯テンポ★2
◯キャラ★3◯画力★4.5
◯全巻大人買い★2
◯67点!!!!

『WxY』全7巻のネタバレ感想。作者はマドカマチコ。ヤングジャンプ(集英社)で連載されてたマンガ家漫画。タイトルから想像付くように、少しだけセクシーなマンガ。中学生ぐらいでWXYの意味を知った時軽く感動を覚えたのは内緒。

あらすじ

主人公・横田たかしは漫画家。ただしセクシーな内容。大手のヤングジャンプで連載はしてるものの、創作に駆り立てるものが工口以外に存在しないので、もはや自らを「エ口マンガ家」と自負。

ただ内容はフツーのエ口マンガではなく、ずっと自分の幼い姪・愛美をネタにセクシーなマンガを描いていた。しかもマンガのタイトルが「あいみのつぼみ」。完全にアウトー!

WxY1巻/横田たかしと姪の愛美
(1巻)
ただ血筋のおかげか、実は愛美も自分でマンガを描くようになってた。しかもその漫画がそこそこ面白かったので、ひょんなことから叔父と姪がタッグを組んでマンガを描くようになるというストーリー。

好感が持てる主人公?

主人公の横田たかしは、典型的な非モテなオタク。描いてるマンガからして痛い。オタクだからって訳でもないんですが、どっか憎めない。不器用な誠実さが共感を呼ぶし、また卑屈な弱さが良い感じに同情を誘う。そして、たまに見せる男らしさ・前向きさがカッコいい。

WxY4巻/キモいと言われる横田たかし
(4巻)
ただルックスは少し狙い過ぎ。明らかに女子ウケはしないだろうし、男のオタクからしてもむさ苦しい男を延々と見せられても困るのが正直な本音のはず。

とりあえず、こういうルックスのキャラクターを描いておけば、同じ大勢のオタクが共感を呼ぶに違いと思ってるとしたら勘違い。もちろんカッコ良く描く必要もないですが、早い段階でマシなルックスを施す処置があって良かったかも。

ダラダラ読める

『WxY』のストーリーはダラダラ読める。大きな山場も特にないんですが不思議と読める。主人公・横田たかしのキャラが成せるワザかは不明ですが、読んでて苦痛ということはなかった。

WxY1巻/若月
(1巻)
ギャグ展開を描くのも上手く、クスッと来る笑いがちょいちょい挟んであるので読みやすい。シリアスな展開もあるが、それが程よく中和してくれてる。日常マンガとして読めば、それなりに評価して問題なさそう。

ヒロインは誰?

でもマンガの狙いやストーリーの大きな軸はあるに越したことはない。

例えば、ヒロイン。主人公・横田たかしは姪の愛美とも美人編集者・鷲尾とも、いかにもな関係に発展しそうな描写がある。5巻か6巻からは、ザネリという天才オンナマンガ家も登場。横田たかしは若い頃、お互いがセ◯レみたいな関係だった。

結局、誰と主人公を近づけたいのかが見えてこない。オチを先に書いておくと、最終的に主人公は美人編集者の鷲尾をくっつくんですが達成感は弱い。立ち位置の曖昧さがマンガのクオリティーを押し下げてた。「オタクの不器用な愛」を重点的に描いてるのに、軽くハーレム。でもセクシー描写も実用性という点では見劣りする。全てにおいて中途半端。

WxY3巻/編集者・鷲尾
(3巻)
しかもマンガ家としての成り上がり感も薄い。画像は編集者の鷲尾に叱咤されてる主人公・横田たかし。愛美が親バレしてみたいな感じで、最終的には打ち切り気味に連載終了。だから愛美と二人三脚で売れていくという展開がなかったのは残念。結局は「お、おう」みたいな読後感。

ポコニャン先生

個人的にツボったキャラクターが、ポコニャン先生。主人公とは昔ながらの仲間。だから当然100%女性ウケしない。男から見てもかなりキツいキャラクター。主人公と同じ系統のはずなんですが、全く逆で人間性が腐りきってる。同期のマンガ家の結婚式で、嫁さんをブス呼ばわりしたりする。

WxY4巻/ポコニャン先生
(4巻)
例えば、風俗嬢にも思いっきり説教。「お前のしみったれた身の上話なんか知ったこっちゃねーよ!」。男が聞いてもヒドい(笑)

WxY5巻/ポコニャン先生
(5巻)
BLマンガ家との口論バトルもヒドい。「男のケツを描いて喜んでる女が偉そうに、男のエ口を批判してんじゃねーよ」。相手のワカメというBLマンガ家もかなり痛いんですが、史上最低の口げんか。

ちなみに常に帽子をかぶってるのは、やくみつる的な理由。中身だけではなくルックスもキツいんですが笑えた。

総合評価

『WxY』というマンガはそれなりにダラダラ読めて面白いものの、強く買いたいと思わせるほどの「何か」に乏しいのも事実かなぁ。セクシー描写ならセクシー描写、ストーリー展開ならストーリー展開、キャラならキャラ。どれもが基本的には突出した部分は少ない。

ただ作者・マドカマチコはそこそこ実力があると思うので、あまり目的を作らずダラダラ展開するマンガを描いた方が作風的には合うのかも。ストーリーものを描きたいなら、目的や設定を作ってしっかり展開させないと、いくらキャラが良くても画力があっても駄作になりがち。


◯展開★3.5◯テンポ★4
◯キャラ★4◯画力★3.5
◯全巻大人買い★4
◯83点!!!!

『どうぶつの国』全14巻のネタバレ感想。別冊少年マガジン(講談社)で連載されてた漫画。作者は雷句誠。少年サンデーで「金色のガッシュベル!!」を連載してた漫画家。小学館といろいろ揉めたようだから、講談社に移っちゃった感じか。

あらすじ

人間が死に絶えた星「どうぶつの国」。動物たちが暮らす「弱肉強食の世界」だった。そこにたった一人だけ「人間」が存在した。

どうぶつの国3巻全ての鳴き声が理解できるタロウザ
(3巻)
それが主人公・タロウザ。全動物の言葉を理解できる人間。でもそんな弱肉強食の世界につねづね疑問を強く抱いてた。

どうぶつの国4巻弱肉強食ハンタイ
(4巻)
むやみに小動物を殺めるライオンたちに対しては「くだらないことで生命を奪おうとするなぁぁ!」と激怒する。

どうぶつの国5巻2
(5巻)
ただ「動物を食べなきゃいけない現実」も存在。一方ではそれを受け入れる成長さも見せる。凶悪な動物同士によるアクション描写がありますが、どちらかと言えば「メッセージ性」に重きを置いたストーリー展開がメイン。いわゆる、お説教系。

動物に命の重さを問う無意味さ

しかし面白いか面白くないかで言えば、やはり微妙。

表紙から可愛らしいキャラクターが登場するので、『金色のガッシュベル』のようなポップな展開を期待してしまった。でも中身を開けば、めんどうくさいテーマの内容。またリアルな動物しか登場しないので、画的に地味な印象。金色のガッシュベルと比較すると、肩透かし感がハンパなかった。

あと『命の重さ』などを問いかけるのは構わないんですが、ただし「動物相手に説得して意味ある?」というのが正直な感想。逆に動物たちが人間に問いかけるならまだしも、例えば飼い犬相手に「何故、こんな所でオツッコするの!?」と説教してるようなもん。また動物が動物を殺すことにしても、自然の摂理だから仕方なくね?としか思えない。

中盤以降はカオス

しかも中盤の青年編以降は更に「カオス」としか表現できない。序盤の世界観も取っ付きにくいんですが、そこへ更に意味不明な展開が始まる。

どうぶつの国7巻意味不明な敵
(7巻)
例えば、それまで普通の動物が登場してたのに形容しがたい敵が登場。悪い意味で「斜め上」的なSF要素がどんどん追加。設定としては、今の世界は大昔の人類が作ったということらしい

そして、派手なバトルアクションがバリバリ展開されていく。序盤では主人公のバトルらしいバトルは見られなかったものの、途中から「金色のガッシュベルのようにしてください」と編集者に要求されたとしか思えないほど後半の展開はバトル三昧。

どうぶつの国14巻壮絶なバトルアクション
(14巻)
例えば、かめはめ波ーー!!

どうぶつの国13巻壮絶なバトルアクション
(13巻)
レーザー光線がビュインビュイン!!

読者としてもはやこの展開の振り幅に付いて行けない。一体作者はどうしたいんだ!?状態。

描き込み頼み

画像を見てもらったら分かるように描き込み自体は細かくて丁寧。悪く言えば、よく分かんないストーリーの「罪滅ぼし」と言わんばかりに作者アシスタントが懸命に頑張ってくださってる。

どうぶつの国12巻緻密な描き込み
(12巻)
例えばライオンの数とかめっちゃ多い。徹夜で頑張ったんだろうなーと、素人目にも直感できる大変な作業っぷり。

どうぶつの国9巻緻密な描き込み
(9巻)
巨大なビルの断面も、かなり細かく描写されてる。画質を落とした画像では伝わりづらいかも知れないですが、見てるだけで目が痛くなってくる。

つくづく涙ぐましい努力を感じるんですが、逆に言えばそれ以上でもそれ以下でもない。頑張って時間を掛けて描いた以上の価値を見出すことはできず、この「緻密な描写」以外に見所を探すのも難しい。言っちゃえば、頑張ったら平凡な人でもこれぐらいは描けそう?というレベル。

総合評価

金色のガッシュベル!!のような漫画を期待すると失敗します。ホメる所を探すのが難しかった。

Amazonの擁護レビューではやたら「難しいテーマ」という言葉が散見されましたが、個人的には批判の言葉としても聞こえた。テーマ自体は手垢にまみれて、目新しさには欠ける。普遍性もあるテーマですから、そこだけをもって言い訳とするのは難しそう。

また色んな賞を取ったみたいですが、その小難しいテーマを採用したことだけをもって評価された可能性が高そう。逆に考えると、商業漫画としては駄作という裏返し。

どうぶつの国(1)
雷句誠
講談社
2012-11-30

◯展開★2.5◯テンポ★2.5
◯キャラ★3◯画力★3.5
◯全巻大人買い★2.5
◯76点!!!!

『マンホール』全3巻のネタバレ感想。作者は筒井哲也。ヤングガンガン(スクウェアエニックス)で連載されてたパニック漫画。

あらすじ

ある日、爆発的な感染力を持った寄生虫によって、日本がパニックに陥れられるというストーリー。設定の掴みはかなり上手い。

マンホール1巻マンホールから1
(1巻)
初っ端からその感染源である男がマンホールが突如として現れる。画的に怖すぎ。考えてみると、マン+ホールを直訳したら人間+穴((((;゚Д゚))))ガクブル

マンホール1巻感染した男
(1巻)
この男がキッカケでどんどん感染していく。思わず「何故?どういうこと?」と一瞬グイーっと引き寄せられる展開。

出し惜しみが下手

ただ作者の筒井哲也は出し惜しみが下手。

マンホール1巻黒川宏
(1巻)
結構早い段階で、感染源の張本人・黒川宏が登場しちゃう。アフリカから致死率の高い寄生虫を持ち込んで、ヒトスジシマカを使って感染を拡大させる。日本でもデング熱が一時蔓延しましたが、まさにその感染源。

だからオチが見えてる状態でストーリーが展開していくので、ちょっと読み物としては退屈。大ドンデン返しがあると期待して最後まで行くんですが、何もなし。

良く言えば、闇雲に風呂敷を広げすぎないってことが言えるんですが、さすがに意外性がなさすぎる。ジャンルはサスペンスやパニックホラーにあたると思うので、もう少し含みや出し惜しみを増やして、良い意味で裏切って欲しかった。

感染描写はリアル

作者・筒井哲也の描写は他の作品でも言えますが、描写が緻密。

マンホール2巻防護服
(2巻)
某福島原発事故で彷彿とさせるような防護服。

マンホール2巻ヒトスジシマカ
(2巻)
ヒトスジシマカに大量に刺された女性の腕。作者が描く絵柄に派手さはないものの、思わずウワーっとはなる。これが原因かは知らないですが、長崎県では18禁扱いだそう(;´Д`)ハァハァ

総合評価

筒井哲也の作品は設定は面白いんだけど、展開が長続きしない。この『マンホール』もご多分に漏れない。最初こそ手応えは感じるものの、早い段階でその手応えはなくなっていく。全体的に下手さを感じないから、自分としても不思議。3巻しかありませんが、退屈さがちょいちょい顔を覗かせる。

主人公は溝口という刑事(キンドル版の表紙のハゲ)。途中で感染してしまうものの、結局は死にそうで死なない。挑戦的な設定を用いたはずなのに、完全にしっかり煽りきれてない。肝心な部分はご都合主義的。喜多嶋というハッカー刑事も3巻でそれっぽく登場するも、活躍するのは線香花火並に一瞬。


◯展開★3◯テンポ★4
◯キャラ★3◯画力★4
◯大人買い★3.5
◯80点!!!!

『ももそら』全1巻のネタバレ感想。スーパージャンプ(集英社)で連載されてた日常漫画。カテゴリ的にはスーパージャンプの後継誌・グランドジャンプに設定。作者は現在「銀のニーナ」を連載してるイトカツ。作風的にはほぼ同じ。

あらすじ

ある三人家族の話。シングルファーザーだった父親が再婚するのものの急死。そこで子供たちは新たに義母のモモと暮らすことになったんですが…
ももそら1巻3
そのモモは見た目は完全なチビッコ。小学五年生の弟よりも小さい。いわゆる合法的ナントカというやつでしょうか。

ももそら1巻2
でもしっかり自動車の運転ができるなど完全な成人女性。ただちゃんと前方が確認できてるかはやや疑わしいですが。

このモモを中心としたほのぼのするような日常漫画。

表情が可愛らしいモモ

ももそら1巻母性の表情
銀のニーナでも言えますが、小さい女の子(モモ)の表情が可愛らしい。

ももそら1巻4
お酒を飲むとコロッとすぐ倒れる描写も可愛らしい。大袈裟でもなくリアルすぎるわけでもなく、ちょうどいいデフォルメ。

総合評価

ももそら1巻1
モモは見た目よろしく家事もまともにできないんですが、それでも二人の子供たちは家族になろうと奮闘。子供たちの頑張りやセリフがわざとらしくなくて、距離感の縮め方がなんかいい。

最後は三人が「一つの家族」としてまとまっていく感じの終わり方で、日常漫画の割には読後感は悪くない。

ただ終始まったりしてるので、合わない人はとことん合わないかも。それは日常漫画全般に言えますが。


◯展開★3◯テンポ★4
◯キャラ★3.5◯画力★3
◯82点!!!!

『おしえて!おじいちゃん』全1巻のネタバレ感想。まんがくらぶで連載されてた4コマ漫画。作者は佐藤ゆうこ。

あらすじ

主人公は、藤山幸吉。おそらく70代前後。そしてヒロイン(?)は孫のミーちゃん。『おしえて!おじいちゃん』の見所は、この二人のなんてこたーない会話がメイン。

ある時、こたつで暖を取ってるおじいちゃん。そこに孫のミーちゃんが外で遊ぼうと誘う。
おしえておじいちゃん1巻孫を脅すおじいちゃん
ただ寒いのは嫌だから「こたつはじーちゃんの充電器だから、お外に行くと死んじゃうんだよ」と脅す。ミーちゃん涙目。冷静に考えると怖い内容。そういう純真無垢な孫をからかう笑いがベース。

孫のミーちゃんはミーちゃんでアホ。ガムを使って、どっちの手に入ってるでしょう?ゲームをおじいちゃんにする。
おしえておじいちゃん1巻アホな孫ミーちゃん
ただ、まさかの噛んだ後のガムを使う。さすがに幼児でも違和感に気付くやろって感じですが、孫も孫で子供らしいアホ。

とんち

おじいちゃんの笑いはやや冷笑的なんですが、結構とんちに富んでる。

ある日、耳毛ワッサー生えてるおじいちゃんを見て、孫のミーちゃんが理由を尋ねる。
おしえておじいちゃん1巻とんち1
どんな汚い言葉もおじいちゃんには優しく聞こえるんじゃよ」と切り返した後、息子の嫁から叱責されてもスルー。

その息子の嫁がミーちゃんから「スッピンでも可愛い」と褒められる。それを見たおじいちゃんが、「ミーちゃんは心がきれいだから本当の美しさが分かる」と上乗せで絶賛。
おしえておじいちゃん1巻綾小路きみまろ
ただ「外の世界は心の汚い人ばかりだからお化粧するんだよ」というオチ。綾小路きみまろか。

おしえておじいちゃん1巻とんち
もちろん、オヤジギャグだっていけますわよ。

総合評価

それなりに面白い4コマ漫画。

ただ主人公は孫の女の子ではなく、あくまでおじいちゃん。孫に翻弄される祖父に焦点が当たってるので、子供の可愛さをメインに期待するとやや失敗する。ちょっと斜に構えた態度や風刺が好きな方ならどうぞ。


◯展開★3◯テンポ★3.5
◯キャラ★4◯画力★3
◯大人買い★4
◯83点!!!!

『くるみのき!」全2巻のネタバレ感想。作者は青木俊直。コミックバンチで連載してた漫画。めちゃイケを見てたら、ふなっしーが岡村と相撲をとってた。ゆるキャラの中の人も大変だなーと思って、旧ブログで記事化したレビュー。

あらすじ

主人公は野木くるみ19歳。自分の殻に閉じこもってる、根暗なフリーター。その殻はクルミのように固い。毎夜、子供向け番組のいっちぃ・はっちぃというキグルミたちに癒やされてた。しまいには、踊りや振り付けも完コピするほど。

くるみの木1巻/野木くるみ
(1巻)
そこでひょんなことから、キグルミで子供たちを楽しませる劇団「くるみの木」に誘われて、自分がそのキグルミの中に入ることに。

くるみの木1巻/3
(1巻)
そして徐々に自分の殻を破っていく野木くるみ。みたいなストーリー。

総合評価

とりあえず勢いで記事化してみましたが、何一つとして見所はない。絵柄は可愛らしく、画力もそこそこ。80点以上の実力のマンガ家が60点以下の画を描いてる感じ。だから余裕のある画ではある。

ただやっぱり面白くはない。キャラクターの年齢も年齢で、そこそこ良い大人。でも悩みは青春真っ盛り。ややチグハグ。「キグルミを着る」という解決方法も、やや稚拙。とは言え、独特すぎるので共感しにくい上、参考もしづらい。

作者の青木俊直には才能を一見感じさせますが、それはなかなかしぶとく開花しないだろうなーという印象。

くるみのき! 1巻
青木 俊直
新潮社
2012-09-01

◯展開★2◯テンポ★3
◯キャラ★2.5◯画力★4
◯全巻大人買い★2
◯68点!!!!

『レベルE』全3巻のネタバレ感想。作者は冨樫義博。少年ジャンプ(集英社)で不定期連載されてたSFギャグマンガ。

ハンターハンターの連載が再開されるのを祝して、旧ブログで2014年4月頃に更新したレビュー記事です。ちなみに『レベルE』は何年か前に唐突にアニメ化されてたという。おそらくハンターハンターのアニメ人気で、冨樫義博の過去作品が再びクローズアップされた的な?

あらすじ

ジャンルがSFということで(多分その位置付けでオッケーのはず)、キャラクターの多くは宇宙人や異星人。そして主人公も異星人。それがドグラ星という惑星の王子様。ただ、めちゃめちゃトラブルメーカー。

レベルE1巻ドグラ星第一王子
(1巻)
最初の登場シーンから、いきなり高校に入学したばかりの筒井雪隆の部屋でくつろぎまくり。そして最初に発した王子様のセリフが、「君…誰?」。いや、お前こそが誰やねんっていう。

レベルE2巻カラーレンジャー4
(2巻)
そういうノリからも分かるように、全体的にはコメディータッチな展開が多め。アホなんだけど、ムダに頭が回る王子様に、同じ異星人も含めて地球人たちが巻き込まれるカタチで、色んなアホな展開が描写されてる。

例えば、凶悪な異星人たちに襲われる王子様と筒井雪隆たち地球人。それをドグラ星の護衛達と共に逃げまわる。
レベルE1巻3
(1巻)
でも、その計画が王子様発案の、ちょっとしたドッキリ。いやいや、大概にせーよっていう。

レベルE3巻誰かの潜在意識に閉じ込められた野球部員
(3巻)
ジャンルがSFということで、誰かの潜在意識の中に野球部員たちが閉じ込められたり…みたいな回もある。

ただ王子様が積極的に展開をかき回していくというより、ワチャワチャさせられてる周囲の人間を描くことで、王子の存在を描写しようとしてる雰囲気。最近で言えば、ウシジマ君のようなテイストで、あまり主人公が登場してこない。

冨樫義博のゲーム好きの原点

基本的には、ストーリーの前後に脈絡はあまり関係なくて、数話で完結してるようなオムニバス形式が多め。今のハンターハンターと同じで、ある程度原稿が溜まったら掲載して…を繰り返してたのかも。

その中でも2巻が、現在のハンターハンター…もっと言えば、グリードアイランドに繋がる原点が描写されてる。王子様が5人の地球の少年を拉致って、カラーレンジャーを名乗らせる。そこである惑星をRPGゲームそのものに作り変えて、攻略させる。

レベルE2巻カラーレンジャー2
(2巻)
それが魔法が使えたりする。

レベルE2巻カラーレンジャー5
(2巻)
ただ詠唱が早口言葉ばりに難しい。

まんまグリードアイランドの世界観と同じで、カード集めやビスケとの修行などを思わず連想させることも多い。例えば、「魔王護衛軍」などもいるんですが、それは明らかにキメラ=アント編に繋がってる。

ハンターハンターの着想の原点は、このレベルEというマンガにある…というより、ゲーム大好き冨樫義博の中に常にあったモノを体現してるんだろうなーと思わせてくれる。

レベルE2巻カラーレンジャー6
(2巻)
ちなみにオチは、ゲームの目的を大ボスの魔王にインプットするのを忘れてたというオチ。魔王が実はメチャメチャ良い奴っていう。

絵柄が古くさい

レベルE2巻カラーレンジャー3
(2巻)
強いて言えば、かなり昔に連載されたということもあって、やや絵柄が古臭い。古臭いというより写実的。今のポップな絵柄を想像して読むとかなり違和感があるはず。幽☆遊☆白書の絵柄も今見ると大概だと思いますが、それを更に劇画チックにした感じ。

良く言えば、今読んでも大して風化してない絵柄とも言えますが。

総合評価

自分が小学生だった頃に『レベルE』がちょうど連載されてた記憶ですが、子供ながらにも地味にハマってた記憶。ハンターハンターほどではないものの、不定期に連載されてたので前後の関係を覚えてませんでした、掲載されてたらとりあえず読んでた印象。

絵柄が気持ち悪かったので最初は敬遠してたものの、やっぱり小学生はヒマを持て余してる。そこであるとき、今まで読んだことがなかったタイトルもテキトーに読んだりする。そしたら結構ハマった記憶。

冨樫義博にはジャンルや老若男女問わず、「読ませる」チカラが昔から高かったと言えるのかも。実力はもてあましているけど、性格はグータラでぷらぷらしたい。まさに『レベルE』の主人公であるテキトー王子様よろしく、自分自身(冨樫義博)を思いながら描いてたのかも知れない。


◯展開★4◯テンポ★4
◯キャラ★4◯画力★4
◯全巻大人買い★4
◯85点!!!!

『マンけん。』全7巻のネタバレ感想をレビュー。作者は加瀬大輝。掲載誌は月刊サンデージェネックス。出版社は小学館。ジャンルは青年コミックの漫画家漫画。ちなみにタイトルの意味は「漫画研究部」の略。面白いか面白くないか全巻まとめて考察してみた。


あらすじ物語・ストーリー内容

主人公は、日笠倖(ひがさ・さち)。担当編集者が付くなど、既にプロ漫画家デビュー一歩前の女子高生。ただ家庭の事情などから、学校でもそのことは隠し通してる。言っちゃえば覆面漫画家。

でもひょんなことから、漫画研究部に入るハメになる。その漫画研究部は全員女子で、曲者ぞろいのキャラクターばっかりだった…的な感じの内容。


展開に期待をもたせるが

マンけん。1巻 日笠倖 漫画描写
(1巻)
作者の加瀬大輝は画力があって、ちょいちょい見せる机上での漫画描写は魅せる。ただどこかがで見たような既視感がしなくはないですが。

だから展開でもちょっと期待感を持たせるフリも少なくない。ただ悪い意味で、それをことごとくサラッと見事に裏切る。巻数の割に、何も生んでない。


大きなストーリーの軸がないのでつまらない

肝心の内容が面白くない理由が、主人公の日笠が一体どうしたいのか、またこの漫画では一体何を伝えたいのか、全く見えてこない。プロ漫画家を目指すのか、部活ものとして展開していくのか、軸足が定まってない。

言っちゃえば、ストーリーの大きな軸がない。文化祭でコスプレやってみたり、コミケに行ってみたり、細かい脱線があちこちあるものの、一体「何がテーマなのか」という肝心の部分がない。

マンけん。1巻 豊崎アリス
(1巻)
一話目で将来のライバルになりそうな豊崎アリスが登場。漫画好きな日仏ハーフだけど、てんで実力が伴ってない。ただ「漫画好き」という根性だけで、実力をメキメキ伸ばす的なフリ。

マンけん。4巻 アノス
(4巻)
でも途中から部活内の謎の実力者・アノスが登場したり、プロ漫画家ではライバルであり姉妹である平野心が登場してみたり、豊崎アリスがそうそうに空気キャラ化。結局、主人公・日笠のライバルは誰やったん?


総合評価・評判・口コミ

キャラクター作りや画力は悪くないものの、それを上手く使いこなすことは最後までムリだった。行き当たりばったりの展開が多すぎる。その割に画力がそれなりに高いのでちょいちょい魅せる良い部分が、却って小賢しく見える。

『アオイホノオ』のようにギャグに割り切るならアリだが、本格的な漫画家漫画を描くとしたら、それなりに実力が伴ってないと厳しい。まずお前ができてへんやんけ!とツッコまれるのがオチ。この『マンけん。』もその好例。

『新宿スワン』全38巻のネタバレ感想をレビュー。作者は和久井健。ヤングマガジン(講談社)で連載されてた漫画。新宿のスカウトマンを設定にしてるので、ヤクザが絡んだりアングラ系のネタが全部詰まってるような内容。

旧ブログの「すごないマンガがすごい!」で2014年春頃に更新した記事を移行させたレビューになります。2015年5月からは主演・綾野剛(主人公・白鳥タツヒコ役)で実写映画も公開されるそうですが、とりあえず面白いかつまらないか・面白くないか考察してみた。


あらすじ物語・ストーリー内容

主人公は、白鳥タツヒコ19歳。成り上がるために上京するも一文無し。歌舞伎町でブラブラと歩いていたら、そこで真虎というスカウトマンに出会う。その真虎にホレた白鳥タツヒコが同じようにスカウトマンを目指して、新宿歌舞伎町にひしめく水商売や風俗の世界で自分の生き方を探すという話。

スカウト会社同士の抗争や、そのバックで管理(ケツモチ)してるヤクザの権力争いなど、スカウト(女性をダマす)という行為を通じて、どんどん裏社会の薄汚い部分が表出。新宿・歌舞伎町の「見ちゃいけない」部分がリアルに描かれてる。

ただ後半になるにつれ、徐々にそういう「スカウト」に関する描写…というより主人公の存在感がみるみる減っていく。そして主人公タツヒコをスカウトの世界に引き入れた『真虎』の復讐にテーマが移っていく。


真虎の壮絶な復讐


新宿スワン38天野修善
(38巻)
真虎が復讐しようとしてる相手が、紋舞会の天野修善というヤクザ。日本最大級の暴力団・柚木組のトップになろうと画策。表情からしてまさに極悪。

じゃあ、何故天野を狙ってるのか。主人公のタツヒコが真虎にスカウトマンを誘われたように、真虎もまた辰巳(たつみ)という男に誘われた。

この辰巳を天野が部下を使って殺害。
新宿スワン33巻山城兄弟に殺される辰巳
(33巻)
この時の描写がかなり鬼気迫って、「手に汗を握る」とはまさにこのこと。スカウトマン同士、ヤクザ同士のイザコザも緊張感があったんですが、この時だけは別格。

山城兄妹は真虎が大好き。それでも天野修善の恐怖が勝って、強い葛藤に襲われながらも行動を起こす。真虎は真虎で信頼していた部下に突然さされる。お互いの何とも言えない感情が、この一瞬に全て現れてる。

復讐の鬼と化した真虎は、その後その山城兄弟という男たちの下で働くようになる。そして復讐の機会を虎視眈々と狙う。
新宿スワン31巻復讐に躊躇する真虎
(31巻)
ただ次第に、山城兄弟のことを好きになっていく真虎。躊躇してためらうものの、それでも心底尊敬してた辰巳への復讐心が勝る。そして山城兄弟の命を奪う。真虎の揺れ動く心理描写は切ない。


ストーリー構成力の高さ

『新宿スワン』はとにかくキャラクターがたくさん登場する。個人的に、そういうマンガは苦手。何故なら人数に比例して、ストーリーもゴチャゴチャしがち。結局今どこへ向かって、進んでるのか迷うことも多いから。

ただ不思議と、このマンガはそこまで戸惑うようなことはない。途中から、「真虎の復讐」がメインの軸になることも大きいんだろうが、複雑な人間関係を巧みに操る作者のストーリー構成力の高さが伺える。もっと言えば、キャラクター作りも上手く、まさに「人間模様が鮮やかに描かれてい」た。


天野など表情の迫力

一方画力は序盤だとかなり微妙。同人誌上がりと表現しても構わないかも。絵柄も90年代チックで、若干古くさい。ただ巻数を重ねることに、それは目に見えて改善・進化していく。絵柄も、この作者しか描けないオリジナルに仕上がっていく。まさに、これぞ「伸び代」。

序盤から片鱗は少し見せてたものの、特に表情のドアップが秀逸。前述の天野修善が好例。
新宿スワン34巻堀田
(34巻)
堀田というヤクザの表情。既に天野修善の画像を見ても分かると思いますが、とにかく「オッサンの悪い顔」を描かせたら天下一品。


ラストのオチは慌てた印象

ストーリー自体は悪くないと思いますが、ラストの結末は慌てて風呂敷を畳んだ印象。最終的に真虎は天野修善を追い詰めるんですが、最終回では自分の手で下さない。「オマエを殺すのに武器などいらない」と自害させる方向に持っていく。

ただ真虎は天野修善の息子・タイガや山城兄弟の命を奪ってきた以上、勧善懲悪的なスカッとしたオチを期待してた。天野はヤクザだから派手に殺されない方が却って惨めで残酷な死に方だったとも言えますが、やや拍子抜けだった。

新宿スワン38巻死ぬ真虎
(38巻)
そして最終話で真虎は天野のもう一人の息子・レオの手によって命を落とす。

真虎が死ぬというオチ自体は構わないですが、ただタイミング的に不自然。何故なら真虎がビルから出てきた直後。レオがビルの外でずっと待ってたとしか思えず、もし真虎が現れるのを外で待っていたとしたら、何故父親である天野を助けに行かなかったのか?という疑問。仮にギリギリ急いで来たのであれば、ピストルではなくナイフの方がリアリティーはあった気がする。あと真虎はその時に頭を撃たれてるのに、タツヒコと一言二言喋ってる。これも不自然に見えました。

ラストの展開にはもっと丁寧な描写さがあっても良かった。最後の最後で気になる部分も目立った。


描き下ろしの新たなオチ

新宿スワン38巻ラストのオチ
(38巻)
そして最終巻38巻のオチは主人公タツヒコが、まだまだスカウト続けるぜ的なオチ。これも悪くはないものの、現実を振り返ってみると新宿は条例によって規制が強化されてスカウトマンがいなくなった。もっと言えば、東京全体での規制が年々強まってる。

だから結局、真虎が復讐を果たしたことで、新宿の中で一体何が残ったんだろうという素朴な疑問。それを考えると虚しいっちゃ虚しい。ある意味「残らなかった」ことが残ったとも言えるので、これを人によっては『余韻』と言い換えることもできるのかも。

ただ個人的には、真虎のこれまでの経緯を考えると、もう少し何かハッピーエンド的な要素があっても良かった。これじゃあ誰も・何も報われない。最新作の『セキセイインコ』を連載したいがために足早に終わった印象。

新宿スワン38巻ハッピーエンド
ちなみに最終38巻の単行本コミックには、描き下ろしのエピローグが追加されています。タツヒコと昔登場したアゲハと付き合って、ハッピーエンドを(唐突に?)迎える。白鳥タツヒコは新たな人生を歩み出したというオチ。ここでは一種救われたのかも知れない。


総合評価・評判・口コミ


『新宿スワン』の序盤ストーリーは、新宿の風俗街をしっかり写し出したルポチックなマンガ。作者の和久井健自身が実際にスカウトマンとして働いていたらしく、その描写は結構リアル。「へー」「マジ?」みたいな楽しみ方ができて、それなりにダラダラ読める。

ただNARUTOと同じように、いつの間にかサブキャラ(カカシ)がメインになっちゃう。終盤のNARUTOではそうでもなかったですが、いつの間にか主人公・白鳥タツヒコの空気感がハンパない。それぐらい真虎の物語が鮮明に描かれる。

でも別にそれが悪いということではなく、後半にかけてサスペンスチックな展開も面白い。真虎VS天野の戦いには緊迫感があって、後半の展開の方が面白い。良い意味でスカウトマンのマンガだったことを忘れさせる。絵柄は独特ですが、ストーリーの完成度も高く面白かった。

新宿スワン38巻 白鳥タツヒコ
(38巻)
ちなみに、この記事ではほとんど真虎に関するレビューが占めましたが、主人公・白鳥タツヒコはめちゃめちゃ良い奴。誰にも嫌われないキャラクター。見た目はイカツイものの、性格は優しく純真無垢で、なおかつ芯は熱い。新宿という汚い世界でも、白鳥のように白く輝く。まさに好青年を絵にした、本当に稀有な主人公。果たして、綾野剛はどんな演技を見せてくれるのか?