バズマン。

健全な漫画のネタバレ感想ブログ。基本的に面白いマンガだけレビューしてるつもり。

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『岸辺露伴は動かない』のネタバレ感想。作者は荒木飛呂彦。言わずと知れた「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズで有名なキャラクター・岸辺露伴が主人公。第4部に登場した有名漫画家という設定で、未だに何故か人気。その岸辺露伴を中心とした、これまでの読み切りマンガを集めた短編集。

岸辺露伴のスタンド『ヘブンズ・ドアー』を使って、他人のプライバシーを覗き放題。

描き下ろしはありません

ただ注意したいのは描き下ろしが一切ない点。過去少年ジャンプなどで掲載した読み切りの寄せ集め。10年以上前の作品も載ってます。

その作品をまずは列挙。『懺悔室(1997年)』、『六壁坂(2008年)』、『富豪村(2012年)』、『密猟海岸(2013年)』、『岸辺露伴グッチへ行く(2011年)』の5作品。この中のどれを選ぼうかなーと悩むところですが、とりあえず5つしか無いので全てレビューしていきます。

懺悔室

まずは『懺悔室』。

結構古い作品なので絵柄が変わってるかと思いきや、荒木飛呂彦の容姿と同じくあまり変わらず。設定は岸辺露伴がイタリアのヴェネツィアに旅行した時の話。そこで教会の懺悔室にたまたま入り神父と間違えられ、信者からとんでもない話を聞くという流れ。

ざっくり言うと、その信者が見殺しにした浮浪者から復讐される。これが怖い。自分の幼い娘の舌からコイツが登場する場面はガクブル状態。そこで浮浪者がチャンスをやると、ポップコーンを上に放り投げて三回連続食えるかという勝負をする。これがハラハラドキドキ面白い。そういえば、この読み切りをタイムリーで読んだことがあるかも…と書いてる内に少し思い出してきた。それだけ記憶に残る作品を描ける荒木飛呂彦はやっぱりすごい。

六壁坂

続いて、『六壁坂』。ちなみに「むつかべざか」と読むそう。何故かグーグルのIMEでは岸辺露伴と打つと、必ず「岸辺露伴は動かない-六壁坂-」が候補に出てくるナゾ。それだけみんなに検索されてるワードなのか、それを証明するようにクオリティーも高く、これも結構怖い話。

大里楠宝子(なおこ)というお金持ちの娘がメインのキャラ。この女の子がボーイフレンドを殺害しちゃう話。サスペンスチックな展開になるのかと思いきや、全く違う。むしろ、ボーイフレンドの方から勝手に死んでしまう。というか、そのボーイフレンドは死んでるようで一向に死なない。「何を言ってるか分からないだろう」とジョジョのセリフを借りたいところですが、読んでもらえたら分かります。

そもそも何故この話が岸辺露伴が知ってるか。別にニュースにもなってないし、この大里楠宝子が自身の口で見ず知らず岸辺露伴に話すわけもない。それはもちろん…
岸辺露伴は動かない 六壁坂
ヘブンズ・ドアーで勝手に覗いたから。画像はオチに繋がるその娘に対しての場面なんですが、「芸術追求のためだ許してくれ」と言い訳めいたセリフを岸辺露伴は吐いてるんですが、どういう流れでそうなったのかという記述がない。キレイな女の子を見かけたら手当たり次第にスタンドを発動してるんだとしたら、悪趣味極まりない(笑)

富豪村

2013年に少年ジャンプに掲載された読み切り『富豪村』は、まさにその村へ行くとお金持ちになれる。ただそのための試練が、地味にものすごくハード。とにかくマナーを守らなければいけない。一つでもミスると「お帰り下さい」状態。

岸辺露伴は動かない 富豪村 もろこしの食べ方
例えば、トウモロコシを上品にマナーよく食べるにはどうすればいいでしょう?
この答えを知った時は「ミスリード半端ないやん!」とキレそうになる。

岸辺露伴は動かない 富豪村1
この村を案内してくれる子供がまた不気味。「マナーは『正しい』か『正しくないか』のどちらかです。寛容はございません」と正論をバンバン吐いてくる。こんな感じであまりに容赦がないのでチャンス一回だけしかないのかと思いきや、実は再挑戦できる。ただその代わり、「自分の大切なモノや人を失う」。岸辺露伴は若い女編集者と一緒に村に来たんですが、その編集者の母親や婚約者が死亡。

まさに「ゴゴゴ」状態でピンチに追い込まれる岸辺露伴ですが、そこはヘブンズ・ドアーで見事に乗り切る。荒木飛呂彦はスタンド(能力)の使い方が見事。ちゃんとストーリーの流れにも組み込んでて上手い。

密猟海岸

そして『密猟海岸』。2014年に少年ジャンプでも掲載され、既に自分もレビュー済みなので内容は省略。同じく第4部で登場した料理人・トニオ(スタンドの能力者でコイツの料理を食べると健康になる)に密猟を持ちかけられ、それに岸辺露伴が同意しアワビを密猟したりする話なので、あまちゃんとコラボとか言ってみました。まさに「じょじょじょじょ?」(笑)

岸辺露伴は動かない 密猟海岸
あとがきによると作者の荒木飛呂彦は、この画像のクダリを描きたかったそう。岸辺露伴的には「現代社会のルールより大切なもののために乗り越えていく」んだそう。

岸辺露伴グッチへ行く

『岸辺露伴グッチへ行く』は「SPUR(シュプール)」という女性向けの高級ファッション雑誌に描いたそう。ファンション誌ということもあってか…

岸辺露伴は動かない SPURとコラボ、グッチ
画像のように何故かジョジョ立ちのポーズ(しかも1ページまるまる全部を使ってる)が多めな印象。荒木はページの見た目を特に意識してたのか、トーンをふんだんに使ってる。これ以前の作品とは明らかに雰囲気が違う(笑)

だからと言って、内容的に特別見劣りすることはないので御安心を。最初はグッチのバッグを批判してる。何故かお金を入れると消える。「正直どうなの?」と思って読んでたんですが、最後の最後で大どんでん返し。「グッチのバッグってスゲー」と思わせるオチを持ってくる力。量的には一番少なく15・6ページぐらいしかないんですが、荒木飛呂彦の「まとめる力」が見事。





◯展開…★4.5◯テンポ…★4
◯キャラ…★4◯画力…★4.5
◯全巻大人買い…★-
◯おすすめ度…86点!!!!

『からくりサーカス』全43巻のネタバレ感想をレビュー。作者は藤田和日郎(ふじた・かずひろ)。今まで「わびろう」と読んでたのは内緒。掲載誌は少年サンデー。出版社は小学館。ジャンルは少年コミックのバトル漫画。

最近読んだ・読み終わったので、今更ですが『からくりサーカス』とかいうマンガが面白いか、つまらないか考察してみました。


あらすじ物語・ストーリー内容

主人公は3人。内容的にはかなり複雑。

一人目は小学5年生の才賀勝(さいが・まさる)。お金持ちの御曹司。ただ父親が亡くなったことで、莫大な遺産を相続。ヒロインは、その才賀勝を守るエレオノール。そして、屈強な19歳の加藤鳴海(かとう・なるみ)。他人を笑わせないと死んでしまう病気「ゾナハ病」に罹患。

ただ厳密には、この3人ではない。もっと時代は遡(さかのぼ)って、国境すら超えて、この3人の先祖が抱えてる執念や悲恋や過去が綿々と続いているストーリー。

からくりサーカス27巻フランシーヌ
(27巻)
舞台は200年前の中国。フランシーヌという貧しい少女がいた。この女性を巡る壮絶な戦いを繰り広げたのが、白銀と白金という兄弟。弟の白金はフランシーヌを愛していたんですが、横から結果的に兄・白銀に奪われてしまう。

からくりサーカス27巻兄とフランシーヌを恨む白金
(27巻)
ストーリーの肝はこの『憎悪』一点のみ。愛する兄・白銀がフランシーヌの最愛の彼氏だったからこそショックは大きくて、弟・白金が暗黒面に陥ってしまう。「僕はもう…笑わない」というセリフがシンプルに強烈。

つまり世界中に「ゾナハ病」を撒き散らした張本人は白金であり、『からくりサーカス』のラスボス。この「数百年前の悲恋」を軸に物語が展開していきます。


弟・白金の壮絶な執念が気持ち悪い、切ない、泣ける

だから、弟である白金の執念がとにかくエゲツナイ。錬金術を駆使することで、永遠に近い命を得る。厳密には他人の身体に白金の記憶を移動させて、いわば乗り移っていく感じ。

そこで白金はどうするかと言えば、フラれたフランシーヌの生まれ変わりと恋仲になろうとする。それがアンジェリーナであり、冒頭で紹介したエレオノール。この執念がえげつないし、吐き気がするし、切なすぎる。この計画が何度も破綻しつつ、何度も繰り返される。

そして200年後、冒頭でこれまた紹介した才賀勝に繋がる。父親が亡くなって莫大な遺産を想像したと書きましたが、
からくりサーカス26巻才賀勝に乗り移ろうとする白金
(26巻)
実は、その父親ってのが白金。エレオノールに自分(才賀勝)を守らせることで、徐々に恋仲に発展という計画。

からくりサーカス27巻才賀勝に乗り移った白金
(27巻)
だから、最終的に白金に乗り移られる才賀勝?という展開も。

ただ一方、兄・白銀は死亡してしまうものの、その意志や痕跡も受け継がれていく。それが才賀勝の養祖父にあたる、才賀正二。白銀が作ったカラクリ人形を作る技術など、様々な教えを乞う。
からくりサーカス24巻才賀正二とアンジェリーナ
(24巻)
才賀正二はフランシーヌと瓜二つのアンジェリーナと結婚。弟・白金はディーン・メーストルという人間だった時、そのアンジェリーナの幼少期とパートナーとして働いてた。そうやって恋を成就させようとしてた。

だから兄・白銀はフランシーヌと恋仲になる運命で、弟・白金はフランシーヌと失恋する運命。まさに残酷なDNA。主人公の才賀勝は白金のDNAを引き継ぎ、加藤鳴海は白銀のDNAを引き継ぐ。ラストは、まさに想像通りのオチ。

連綿と壮大に繋がっていく執念と恋。この『からくりサーカス』というストーリーの醍醐味。


熱い名言・名場面が泣ける

からくりサーカス27巻才賀勝のセリフ
(27巻)
主人公・才賀勝のセリフも熱い。もはや名言に言い換えてもいいでしょう。「なんでみんな幸せになれないのさあ?」というセリフは、勝の人間性がもろに現れている名場面。

からくりサーカス32巻才賀勝のセリフ
(32巻)
幸せが似合わない人なんて、いない」というのも、まさに名言でしょう。藤田和日郎は周りくどいストーリーを作りますが、セリフはストレートすぎるぐらいストレート。「夢はいつか必ず叶う」などグッと来る名言が多い。

からくりサーカス最終43巻 しろがねとナルミ
(最終43巻)
ちなみに最終回をネタバレしておくと、才賀勝は白金の失恋DNAを引き継ぎつつも、最後は加藤鳴海(ナルミ)にエレオノールを譲る。最終巻だとマサルとナルミが二人が背中合わせで戦う場面も名シーンだったと言えるでしょう。マサルだけは背中合わせの相手がナルミだと気付いてる。でもエレオノールと一緒にさせるため、自分だけ犠牲になることを決意して気付かせないように動く。

こういう実直なキャラクターだからこそ全員が幸せになる方法を才賀勝は選択できた。もちろん序盤で加藤鳴海との友情を醸成してたことも手伝って、失恋DNAの負の連鎖を引きちぎれた最終話の完結シーンも名場面と言えるでしょう。


キャラクターの関係性が複雑

ただ反面として、あらすじでも書いたようにキャラクターの関係性がかなり複雑。

からくりサーカス26巻白金=才賀貞義1
(26巻)
例えば実はアイツはコイツだった…みたいな演出が多い。例えばラスボスの失恋クソ野郎・白金は、ディーン・メーストル・才賀貞義・フェイスレスの合計3人になりすましてる。また完全になりすましてなくても、その系譜を受け継いでいたというパターンもある。それがあまりに多すぎて、ちょっと理解するのが大変。

からくりサーカス・フランシーヌの系譜Wikipedia
Wikipediaを読むと「よーまとめたな…」と思わず感心しましたが、白金が片思いしてたフランシーヌだけでもこれだけの繋がりがある。これは視覚的にまとめてくれてるので分かりやすいですが、この関係性をマンガを読みながら把握していかなきゃいけない。正直「小学生読者とか大丈夫?」と訊きたくなるレベル。

しかも時間軸は現在から過去、その過去から更に過去といった具合に、時代もアチコチ頻繁に飛び回る。それこそが藤田和日郎作品の醍醐味・真骨頂と言えますが、今回の『からくりサーカス』は読者として付いていくのが大変。自分も偉そうにレビューを考察してますが、まだ完全に把握できた自信がない。このネタバレ感想記事でも間違って記載してる情報もあるかも。

そして、相変わらずフワッとしたワードも多い。「しろがね」というキーワードがあるんですが、これもいろいろ存在。『うしおととら』でも共通したけど、特別な固有名詞が少なくて分かりづらい。作者の藤田和日郎が必死こいて考えた内容だからこそ、それを一瞬で理解するのは不可能。


自動人形を使ったバトルは不発

『うしおととら』や『月光条例』でも言えるけど、アクション描写は良い。

からくりサーカス23巻自動人形
(23巻)
からくり人形(自動人形)を操ることで敵と戦う。ここだけ見ると結構期待できちゃうんですが、バトル漫画的な要素はそこまでない。少年サンデー全般に言えますが「必殺技」に対する意識が不足気味。

『からくりサーカス』はストーリーがメインとはいえ、「自動人形」という設定が抜群だっただけにもう少し活かせなかったものか。こういったバトル描写があるだけで、読者はたとえストーリーに付いていけなくても漫画そのものは読める。良く悪くも「上手な普通のアクション」の域止まりだったのは残念。


壮大ゆえに最後まで読めない?

作者・藤田和日郎が描くマンガは内容自体面白いものの、やたら長ったらしい。この『からくりサーカス』は特に長かった。読めないまま途中で挫折した人も多いでしょう。

ストーリーが壮大に作りこまれてるが故に、いつまでも展開がたたみきれない。もちろん描いてる作者・藤田和日郎が一番大変だったと思いますが、これを読んでて「うわ…まだ続くの?」と何度か感じなかったと言えばウソになります。辛辣なことを言うと、全体的にテンポ感や充実感が欠ける

既に30巻台半ばぐらいで、白金や白銀の過去などおおよその設定は出切ってた印象。それにも関わらず、以降の10巻分ぐらいはグズグズ続いて展開が回りくどかった。『ワンピース』などもムダに長いですが、一つ一つのエピソードは長くて10巻分程度のボリューム程度に収まってる。その一つ一つのエピソードを連結させることで、最後の秘宝ワンピースをゲットするという大オチに繋げてる。

でも、この『からくりサーカス』の場合、一つのエピソードがまるまる43巻分あると言っていい。もう少し要所要所で大きな区切りが欲しい。だから最後の最後で完結した最終話まで読まないと、読後感が一切得られない。良くも悪くも期待通りの結末だっただけに、さすがにオチを勿体つけすぎ。

もっとコンパクトにまとまらなかったのか疑問。正直ここまで長かったら、さすがに読んでる内に冷めていく部分が少なからずある。中規模のオチ(適度な充実感)があるからこそ、読者は継続的に読めるんだと思います。


総合評価・評判・口コミ


『からくりサーカス 全巻』のネタバレ感想をまとめると、クオリティーだけ考えると名作の部類に入るでしょう。

ここまで惨めで悲しいラスボス・フェイスレスは存在しない。まさに誰にも愛されない男の悲哀。ニュースを騒がす大きな凶行に走った犯人も、きっとこんな感じの男のはず。だからこそフェイスレスを嫌いになれない自分もいます。

ラストの最終話でフェイスレスは才賀勝を助ける。そして一人になった時(正確にはグリュポンもいるが)に、ようやく「僕が間違っていたよ。銀兄さん」とポツリ。その時の何とも言えない表情に胸がギュッと締め付けられる。最後の最後まで素直になれない姿勢や性格に涙が出てくる。

ただ少年ジャンプだったら10巻も経たない内に打ち切りコースかも。良くも悪くも、少年サンデーだからこそ連載できてるマンガであり、マンガ家。それが作者・藤田和日郎の良さなんですが、『からくりサーカス』はあまりに自由にやらせてる分だけここまでダラダラ続いてしまった印象も否めません。

プロットがグチャグチャってわけではないですが、さすがに長過ぎる。風呂敷を広げすぎたと言ったら語弊があるが、ストーリーが良かっただけにもっと小気味の良さやテンポ感も欲しかった。また読み直したいかと思うと、ちょっと躊躇しちゃうボリューム。

良くも悪くも手軽には読めない名作漫画。「挑戦」したい方は是非どうぞ。

『うしおととら』全33巻のネタバレ感想をレビュー。作者は藤田和日郎。掲載誌は少年サンデー。出版社は小学館。ジャンルは少年コミックの妖怪バトル漫画。1990年代の初め頃から連載されてたので結構古い作品ですが文庫版(全18巻)が発売されたり、最近また完全版が発売されたらしい。またアニメ化も始まるなど息が長い人気作品。

実際一つ一つのフリが壮大で心が揺さぶられる・響く展開が多め。絵柄の古臭さも含めて好みが分かれそうですが、無骨だけどなかなか楽しめる漫画に仕上がってる。そこで今更ですが面白い漫画かつまらないか考察してみました。


あらすじ物語・ストーリー内容

うしおととら1巻/潮と虎
(1巻)
タイトルの『うしおととら』の意味は、そのまんま。主人公の蒼月潮(あおつき・うしお)という少年と虎(とら)という妖怪から来てる。この潮はお寺の住職の子供だったんですが、ある日秘密の蔵にたまたま入ると封印されてた大妖怪・とらを発見。そしてひょんなことから500年ぶりに虎を復活させてしまう。

うしおととら9巻/潮
(9巻)
とらを封印してたヤリが「獣の槍」。どんな妖怪も駆逐できる最強のヤリ。これを引き抜くことで封印が解かれたんですが、何故かこの獣の槍を潮が扱えた。封印が解けたらトンズラを決め込んでたとらは誤算。

うしおととら9巻/潮と虎コメディータッチ
(9巻)
結果、とらは潮に頭が上がらない生活を送る。潮は熱く真っ直ぐ、正義感溢れる少年。とらは悪態をつくものの、実は潮が好きというツンデレ。普段はツンケン悪口とか言うくせに、性根は優しい。潮はいかにも主人公主人公してて、とらはとらで潮を引き立てるキャラに仕上がってる。

最初はバチバチといがみ合う二人だったが、徐々に友情が芽生え出す。そしていつの間にか凸凹コンビが穴ぼこが見事に合致してて、絶妙なコンビプレイを生む。たまに魅せるコメディータッチな二人のやり取りには思わずほっこり。そんな人間と妖怪の垣根を超えた友情に胸熱で泣けるような内容となっています。


白面の者(九尾)

うしおととら30巻/白面の者
(30巻)
この二人の主人公が戦うラスボスが、『白面の者』。ざっくり言うと、NARUTOでも登場するような「九尾」。ある意味、そういう類いのマンガの先駆者的な感じだろうか。

2000年以上前の中国大陸で生まれる白面の者だったが、それを恐れて日本にやってくる。そして、そのまま日本の地脈に巣食って、あわや日本沈没。ただ、そこで潮の先祖がそのまま地下深くに封印。そして2000年後の現在、その封印が解かれそうになって日本が再び沈没の危機!?的な展開。

うしおととら23巻/白面の者
(23巻)
ただ唯一、恐れるのがとらも封印してた「獣の槍」。それで対抗して戦う潮ととら。


タイムスリップという仕掛け

2000年前の出来事が発端だから、当時を再現するためにちょいちょいタイムスリップする。ここが結構ミソ。「現在と過去との因縁」が効果的に描かれてて、ある部分とある部分が繋がった時に芽生える感情は気持ちが良い。歴史マンガにこそあってほしい連綿と繋がる「何か」が、そこにはある。

うしおととら23巻/潮とギリョウ
(23巻)
例えば、「獣の槍」は白面の者に妹・ジエメイを殺された兄・ギリョウが恨み骨髄で作り上げた。その恩讐が恐ろしいほど込められてる。だから白面の者然り、どんな妖怪も駆逐できる。

うしおととら31巻/シャガクシャ
(31巻)
その白面の者は、インドのシャガクシャという男から白面の者が生まれる。シャガクシャは最愛の女性が殺された復讐心を芽生えさせ、それを糧に白面の者が誕生。つまり、白面の者は「人間の負の感情」を餌に強くなる。

それを潮や虎が見たことで、ギリョウよろしくそんな感情で立ち向かってもダメだということに気付く。
うしおととら33巻/うしおととら
(33巻)
結果ラストは二人の友情パワーで倒すオチは、シンプルで爽快。いかにも少年マンガ的で読後感の良さは言うまでもない。それは決して初期のONE PIECEに引けをとらない。

ちなみに、そのシャガクシャが「とら」。獣の槍を使った人間は。代々そんな風貌の字伏(あざふせ)というバケモノに変わる。その初めの人間。

後付け設定っぽいっちゃっぽいんですが、それがキャラとキャラとの『壮絶な因縁』を描き出してる。それが結果「ストーリーの深さ・壮大さ」を生み出し、良いスパイスを与えてる。

作者の藤田和日郎は、そういった「過去に遡る」演出をメチャクチャ多用する。この『うしおととら』以降の、『からくりサーカス』でも当然見られて、『月光条例』のクオリティーは極まってる印象。まだまだうしおととらは雑な部分も散見するが、先の先を見通した仕掛けやフリは見事で、藤田和日郎作品を週刊誌で毎週見られるのは何気にスゴいこと。


心を揺さぶる名場面が泣ける

そういったストーリーに用いる小細工だけではなく、このマンガの根底に流れてるのは『熱さ』。ラストの展開も然り、潮と虎の友情物語然り、読んでて何か心が揺さぶられることも多い。

「白面の者(九尾)を倒す」という大きなストーリーの軸はあるものの、その間にちょいちょい「雑魚妖怪を倒す」というオムニバスの展開も挟む。例えば、飛行機を乗っ取る衾(ふすま)や霧の妖怪・シュムナなど。基本的に白面の者の手下の妖怪であることも多いんですが。

その中でも泣かせるエピソードもある。

例えば、20巻に登場するさとり。敢えて詳しく説明するまでもなく、心の中が読める妖怪。ある時、失明した子供と仲良くなる。目が見えないからこそ、仲良くなれたんでしょう。

その子供を助けるために、さとりはどうしたか。色んな人間から目ん玉を引き千切ってくる。この描写はなかなかエゲツナイんですが、ただ普通に手術をすればその子供の目は治る。
うしおととら20巻/さとり
(20巻)
それを気付かずに、さとりは人間を襲いまくってた。この時のさとりの描写は切ない。

ただ問題点もあって、それがオムニバスの話数が少し多い。もう少し減らしてコンパクトなストーリーにした方が、マンガ全体のテンポが更に生まれた気がする。またオムニバスが多いということは、同時にモブキャラも多いということ。紙面が限られてる現状、余計な描写は無用。★5キャラに評価してないのは、それが理由。最終的に白面の者を倒すためにみんな集結…っていうのはあるけど。


基本的にちょいダサいデザイン

ただ致命的な問題もあって、この「うしおととら」というマンガは全体的にダサい。

例えば絵柄。画像を見れば何となく分ってると思いますが。これは90年代初頭から後半にかけてのマンガだから…という訳ではない。作者・藤田和日郎の絵柄は、現在でもこんな感じ。良くも悪くも、完成されきってる。

他にもネーミングセンス。「獣の槍」というラスボス白面の者を倒す重要な武器。ハッキリ言って、センスのカケラもない。読み始めは、いずれもっとカッコいい固有名詞が付くんだろうなーと思ってたが、いくら待っても変わらず。物語のキーとなる部分は、しっかりビシッと決まる呼び名が欲しい。サンデー系マンガ全般にも通じるが、決めワードが疎か気味。

うしおととら29巻/武装化した潮と虎
(29巻)
絵柄がダサいってことは必殺技・奥の手のデザインも非常にダサい。後半にかけて、主人公たちの潮と虎は武装化するんですがこんな感じ。虎の顔の上にもう一個顔とか要る?っていう。ただ「古き良き少年コミック」として読むと、その古臭さは却って絶妙にマッチしているという解釈も可能か。


総合評価・評判・口コミ


『うしおととら 全巻』のネタバレ感想をまとめると、いろいろ批判もしましたが「読ませる漫画」で面白い。キャラクターや展開、名セリフにシンプルな熱さがある。うしおととらの熱い友情は、少年誌に必要な要素をほぼ全て満たしている。

とはいえ、相当先のオチまで考えた伏線や前フリなどストーリー作りは綿密。しっかり物語が完成されてる。最終回のラストも白面の者が最後になりたかった存在が「赤ちゃん」という完結・結末も、何か良い。この作品以降の藤田和日郎作品にも通じるマンガとしてのクオリティーの高さ。それらが毎週提供されていた事実は『感服』の一言。

ただ後半の批判にも繋がりますが、少年マンガとして考えた場合は絵柄のダサさはやっぱりキツい。自分も小学生か中学生の頃に友達に勧められたんですが、実際絵柄のダサさがネックで読まなかった。「何故少年誌で連載してるんや?」と詰問したくなるぐらい若い読者を寄せ付けない絵柄。『進撃の巨人』も絵柄も大概ですがそれなりに売れてるので、思ったほど影響もないのかも知れないですが、それでもキャラクターなどを視覚的にカッコ良く描く努力は必要。

でも絵柄はダサいとは言え、画力はそこそこ高い。しっかり「情報を伝える」力が高い。読んでて「これはどんな状況?」と困惑することは薄い。それがマンガ全体のテンポ感の良さにも、ある程度寄与してる。アクション描写もそれなりにカッコいい。

◯展開★5◯テンポ★4
◯キャラ★4.5◯画力★4
◯全巻大人買い…★5
◯92点!!!!

『アストロ球団』全5巻のレビュー。少年ジャンプで1972年から1976年まで連載されてた野球マンガ。作者は遠崎史朗、中島徳博。

あらすじ

『アストロ球団』は元巨人の選手・沢村栄治の遺志を受け継いだ、超人的な野球選手ばかりを集めてたアストロ球団が読売巨人軍やアメリカ大リーグの打破していく物語。

この超人的な野球選手は全員昭和29年(1954年)9月9日生まれで、全員身体にボール型のアザを持ってる。江戸時代の『南総里見八犬伝』をモチーフにしてるそう。かなり使い古されたド定番な設定ということに少し驚き。

非正統派な野球マンガ?

主人公は、宇野球一。他の選手では伊集院球三郎や上野球二、明智球七、明智球八などがいる。読売巨人が許可したのか、長嶋茂雄や王貞治や沢村栄治、江夏豊、川上哲治などが登場する。じゃあ正統派なスポーツマンガ・野球マンガかと言えば、結構ルール無視のハチャメチャな展開が待ってる。

アストロ球団1巻15話 伊集院球三郎のビリヤード打法
(1巻15話)
例えば伊集院球三郎とい選手は、ビリヤードのようにバットのてっぺんで打とうとする。ただ相手ピッチャーが豪速球を投げるので、「甘かった!ビリヤードの方法じゃあてるのがやっとだぜ」と悔し涙。いやいや、当てるだけでもスゴいやろ。

アストロ球団1巻4話 明智球七郎と明智球八
(1巻4話)
明智球七と明智球八という双子は、まさに幽☆遊☆白書の戸愚呂兄弟さながら。きっと冨樫義博は絶対読んでたに違いない。そして想像通り、兄貴の明智球七を思いっきり頭上に放り投げて、どんなライナー性のボールでもキャッチしちゃう。

アストロ球団は基本的にこんな調子でルール無用だから、球場内で殴り合いや殺し合いがちょくちょく発生する。
アストロ球団1巻14話 上野球二が死す
(1巻14話)
例えばグラウンド上で上野球二というキャッチャーは、結構早々に死んでしまう。最期はボールをキャッチしたまま。お前は武蔵坊弁慶か。

アストロ球団1巻12話 パラシュートの糸を切られる・ブラック球団に
(1巻12話)
主人公・宇野球一も思わず「ヌオオーぶっころしてやる!」という物騒な発言もチラホラ。ただ、理由がヒドイ。実は宇野球一が上空からパラシュートで球場に降り立とうとした瞬間、パラシュートの糸を敵チームに切られたから。飛んでくる方も飛んでくる方だし、その糸を切る方も切る方。だからツッコミどころは多い。

ムダにタメを作る野球描写

『アストロ球団』という野球マンガでは、やたらと「タメ」を作りたがる。もちろん「タメ」自体はマンガにしろ映画にしろ、必要不可欠な演出。ただアストロ球団では、その「タメ」が長くてしつこい。聖闘士星矢の車田正美も思わず賞賛。

アストロ球団1巻1話 投げる前がしつこい宇野球一
(1巻1話)
「長島さん行くぞー」と宇野球一が挑発宣言。長嶋茂雄も「オオーこい!」と受けて立つ。じゃあ次のコマで宇野球一がボールを投げ出すかと思いきや…

アストロ球団1巻1話 投げる前がしつこい宇野球一2
(1巻1話)
再びの挑発。いや、そのクダリいいからマジで。一瞬コピペを錯覚させる(笑)

しかも、この後がまたスゴい。さすがにもう宇野球一がおとなしく投げるかと思いきや、「長いグリップ太めのバットときたね!」と何故か語りだす。長嶋茂雄も「すこしさがるか…」とバッティングの位置を気にし出す。全然投げない。

3巻9話でアストロ球団たちを望遠レンズで眺めてる奴のクダリとか、同じ画が続くことがしょっちゅう。宇野球一の登場場面からしてかなり回りくどい。一瞬「あれ?俺ページめくったっけ?」と強烈な既視感に襲われる。家の鍵ちゃんと締めたっけなーレベルの比じゃない。

正直ページの水増しと言われても仕方ないですが、この傲岸不遜ぷりはむしろ賞賛に値するか。

野球のルールをとにかく無視

アストロ球団は野球マンガと言いつつ、基本的に野球のルールは無視。冒頭のあらすじを読んだだけでも分かると思いますが、とにかく無茶苦茶。ただあらすじに書いたことは、まだまだかわいいレベル。

アストロ球団2巻6話 上半身裸でユニフォームを着ない
(2巻6話)
金田ロッテ戦に登場したリョウ坂本というキャラクターは、まさかのユニフォームを脱いで登場。野球のルール以前にスポールのルールとして、ユニフォームを脱ぐという選択肢がありえない。言っちゃえば、大相撲の白鵬がいきなりスーツを着用して取り組みを始めるもん。

伊集院球三郎に至っては、4巻か5巻でいきなり真っ白な死に装束で登場する。さすがにその意気込みは分かるけれども(笑)周りの味方選手は死ぬんじゃねーと必死に止めるんですが、止める部分は他にもっとあるやん。

アストロ球団3巻9話 伊集院大門のヌンチャク
(3巻9話)
伊集院大門というキャラクターに至っては、バットすら持たない。冒頭でも書きましたが、この伊集院大門は陣流拳法総帥。だからもともと野球と全く関係ない。

アストロ球団3巻1話 キック
(3巻1話)
挙句の果てには、ボールを捕球してから投げるんじゃなくて、そのままキック。ハリケーンキックじゃねーよ。せめて百歩譲ってパンチ。

冒頭のあらすじでも書きましたが、アストロ球団では実在する巨人軍の選手や監督が登場する。当時の巨人軍監督だった川上哲治がブラック球団と対峙する場面が結構スゴい。

アストロ球団1巻17話 川上哲治VSブラック球団 巌流島の戦い 動きすぎ
(1巻17話)
ブラック球団のピッチャーが左右に動きまくって、川上哲治を惑わす。一応巌流島の戦いを模してるんですが、さすがにピッチャーマウンドから離れたらアカン。反則という概念を軽くとらわれなさすぎ(笑)

結果的に川上哲治が思いっきりかっ飛ばす。やっぱさすがやなーと思ってたら…
アストロ球団1巻19話 いまさらルールを持ち出す
(1巻19話)
まさかの真っ当なルールを持ち出して、ドヤ顔で批判してくるブラック球団。今更すぎるやろ。川上哲治もガーンちゃうし(笑)

アストロ球団1巻インタビュー庵野秀明
(1巻)
エヴァンゲリオン監督の庵野秀明も巻末インタビューに答えてるんですが、「これ野球のルールを知ってたら、こんなこと描けないよなー」と一言ポツリ。

アストロ球団はギャグマンガではない!

ここまで読むと、アストロ球団はただのギャグマンガにしか思えない。ただ庵野秀明も言ってますが、少なくとも作り手側の遠崎史朗や中島徳博などはギャグマンガと思って描いてないはず。

例えば、宇野球一が魔球を投げるために、自分の手のひらに傷を付けようとする。実際の野球でも変化球を投げるためには、ボールに対して引っかかりが必要。だから指に油をつけたり舐めたりする。

じゃあ主人公の宇野球一がどうしたかと言えば、手の平に溝を掘ろうとする。感覚的には、でっかい指紋を作ろうとする感じ。
アストロ球団3巻16話 宇野球一が変化球を投げるためにドリル改造
(3巻16話)
ただドリルがめちゃめちゃデカイ。小さい溝どころじゃなくて、お前の手が無くなってしまうやろ。ここまで来ると狂気。ギャグマンガをもし描こうとすると、逆にここまでの発想はできないはず。

アストロ球団5巻インタビュー後藤編集者2
(5巻)
アストロ球団の担当編集者だった後藤という人がインタビューで答えてるんですが、作画の中島徳博に対して、「何故面白いネームが描けないんだよ!」と怒りのあまりに頭を殴ったらしい。編集者が思わず漫画家を殴打するって、それだけ作り手側からしてイカレt…もとい『熱い何か』を持っていた。

だからアストロ球団は笑いを狙ったものではなく、あくまで「破天荒さ」みたいなんを狙ったもの。実際、原作者の遠崎史朗曰く、「反権力」というテーマが根幹にあるそう。安保闘争が下火になって、若者がしらけてると言われた時代。そこにブワッと再び大きな火を灯したかったんだそう。

確かに、ややこじつけっぽいですが、まさに既存の価値観をぶっ潰そうという、狂気じみたものをアストロ球団には感じる。少なくとも、当時の社会思想や時代背景が色濃く反映されてたことに違いはなさそう。

まさに一試合完全燃焼。それを体現した野球漫画。「一試合を描ききる」情熱やパワーは今のスポーツマンガに足りない要素であることに違いない。最近のスポーツマンガは良くも悪くも、2巻分前後でポンポン試合が終わっちゃいますから。

ただその割に、2巻の金田ロッテ戦では9回表に一挙大量12点を入れたり、展開が地味に雑な部分もありますが。ラストにしても日米の野球リーグから追い出されて、まさかのアフリカへ向かってマサイ族と戦ったり(笑)

総合評価

アストロ球団は、かなりハチャメチャな野球漫画。今読み返してみるとギャグマンガにしか思えない。ただ考えてみるとサッカーマンガの金字塔と言われるキャプテン翼だって、サッカーのルールを忠実に守ってるかといえば甚だ疑問。それでもサッカーマンガの代表格みたいな扱いですからね。

ちなみに作画の中島徳博が、現在にも受け継がれる少年ジャンプの「アンケート人気至上主義」の導入を編集者に発案したそう。少年ジャンプに限らず、アンケート至上主義は批判されがちですが、逆にこのアンケートがなければ、今日の少年ジャンプはなかったでしょう。

だからアストロ球団は「既存の価値観や常識」を壊すようなマンガではありつつ、脈々と受け継がれるほどの「普遍的な価値観や絶対的な常識」を築いたマンガという矛盾が面白い。ただその「絶対的な価値観」に作画の中島徳博は潰されたようですが。

そんな中島徳博は昨年半ば頃に亡くなったようで、今更ながらお悔やみを申し上げます。もっと早い段階でアストロ球団は記事化したかったんですが、ここまで伸びてしまいました。あと言うまでもないですが、アストロ球団を好意的に評価したがる有名人も多いですが、もし漫画家を目指すなら話半分に聞いて鵜呑みにしない方が賢明。

◯展開…★3.5◯テンポ…★4
◯キャラ…★4◯画力…★3.5
◯大人買い…★3.5
◯おすすめ度…80点!!!!

『20世紀少年』全24巻のネタバレ感想をレビュー。作者は浦沢直樹。掲載誌は週刊ビッグコミックスピリッツ。出版社は小学館。ジャンルは青年コミック。唐沢寿明が主演で実写映画化されるなど人気作品。

あらすじは後述しますが、大阪万博から今年2015年はちょうど45年目の節目の年らしいので、何となく面白いかつまらないか考察してみた。

ちなみに『20世紀少年』はこの全22巻では完結してません。『21世紀少年』という別タイトルに移行してようやく完結した。だから『20世紀少年』の記事ですが、実質的には『21世紀少年』の上下巻分も含めた感想レビューになります。そこでいわゆる「トモダチの正体」も21世紀少年のラストで明らかにされるのでネタバレ込みなので閲覧注意。


あらすじ物語・ストーリー内容

時代はノストラダムスの大予言が流行っていた、1997年。コンビニを経営する主人公のケンヂは、姉の娘のカンナを養っていた。ただ、ある日、小学校時代の同級生ドンキーが死んでしまう。それを堺にケンヂの身の回りだけではなく、世界中で大規模テロが発生。

そしてケンヂは気付く。
20世紀少年3巻 よげんのしょ
(3巻)
それは自分が1970年代に小学生だった頃に同級生たちと描いた「よげんの書」と呼ばれる、空想物語をそのまま具現化したものだった。

20世紀少年1巻 トモダチマーク
(1巻)
世界中で起きる事件を裏で暗躍するのが、「ともだち」と呼ばれる謎の人物。でも、「よげんの書」の存在を知ってるのは、当時ケンヂと友達だった誰かということになる。

じゃあこの「ともだち」とは一体誰なのか?ということを軸に、1970年代の時代背景も織り交ぜたサスペンスが展開されていく。


70年代の世界観を活かしたSFサスペンス

主人公ケンヂが小学生だったのは1970年代。作者・浦沢直樹の小学生時代も、ちょうど1970年代。自分の記憶や経験を元に描いてる部分も多そう。ちなみにタイトルの「20世紀少年」とは、1973年に発売されたT・レックスの「20センチュリー・ボーイ」をオマージュしたもの。

20世紀少年3巻 忍者ハットリくんのお面
(3巻)
だから実在する忍者ハットリくんといったキャラクターも登場。「ともだち」はお面をちょいちょい使い分けてて、この幼稚さが気持ち悪い。また子供だった当時から成長してない未熟さも演出できてる。

外にも、万博などリアルの出来事や時間軸と絡めてたりして、作者の浦沢直樹がリアルに生きた時代だったからこそ描ける「リアル」がある。当時の時代背景や空気感なども読み取れて、浦沢直樹と同年代以上の読者はまた読み方が違ってくるかも。

20世紀少年22巻 ロボット
(22巻)
こういう巨大ロボットが登場してみたり、子供たちが空想・陰謀した荒唐無稽なヒーロー像や世界の終末をそのまま具現化。滑稽すぎる発想だからこそ、それが実現された時の恐怖は顕著でジワジワ来る。

希望に満ち溢れた過去(70年代)と不安に満ち溢れた現在(00年代)が妙に連動して、得体の知れない「悪」がうごめく。そこには自分が思い出せそうで思い出せない記憶が、根源良くも悪くも、モヤモヤした何かを軸に謎を紐解いてていく展開は、気持ち悪いリアリティーもあって、それなりに楽しめた。


トモダチの正体とは?

ただ肝心の「トモダチ」の正体が…もっと言えば、肝心のメインディッシュがひたすら「ポカーン」というオチ。

21世紀少年下巻 トモダチの正体はカツマタ
(21世紀少年下巻)
答えをネタバレしておくと、トモダチは「カツマタ」という少年。理科の実験が大好きだったんですが、フナの解剖授業の前日に死亡したという噂が流れてたキャラクター。実写映画版でもカツマタがトモダチの正体。

ただ1巻から登場してるものの、素性は一切不明。だから意外という驚き感もなければ、妥当という納得感にも欠ける。まず思い出すという作業から入って、結局「ん?」というポカーンしか生まれない。フクベエ、サダキヨ、山根など色んな悪役キャラクターが登場したものの、どこをどう解釈すれば、カツマタという結論しか導き出されないんでしょうか?

20世紀少年10巻カツマタ
(10巻)
10巻では「遠足で一枚も自分が写ってる写真がない」とあるので、そこぐらい?

浦沢直樹は「明快な答えを出すのが正解じゃない」みたいなことを言ってた気がしますが、そこだけ切り取ったら確かに正論。ボヤかしたまま終わった方が余韻が引くということもあります。

でも『トモダチの正体』を煽って煽って、連載を続けてきたわけで、さすがにそういう言い訳はナシだよなーと。このマンガのオチの根幹だったんだから、そこがしっくり腑に落ちなかったら致命的なエラーと言わざるを得ない。

じゃあせめてケンヂの「カツマタくんだろ?」というラストのセリフは要らない。明快な答えを出さないと言っておきながら支離滅裂もいいところ。


総合評価・評判・口コミ

『20世紀少年(21世紀少年)』のネタバレ感想をまとめると、「終わり悪ければ全てダメ」という典型的な漫画かな。序盤は雰囲気だけで読めて面白いんですが、やはり中盤から終盤にかけて最終的な「謎解き」にストーリーが向かい出すと微妙。作者・浦沢直樹の発言を聞いている限り、答えを用意してなかった雰囲気もあって、そのことが如実につまらなさに繋がってる印象がします。

20世紀少年11巻 カンナの超能力
(11巻)
結局、カンナの超能力がなんだったのかも分からず、全体的にまとまり感がなくてモヤモヤ。完結編の21世紀少年ですら、終始ボヤかそうと展開がグズグズしてたぐらいだから、15巻16巻ぐらいから始まる「トモダチ歴」以降はお察し。やっぱり一向に解決に向かわない展開に終始。

20世紀少年16巻 トモダチ歴・地球防衛軍
(16巻)
例えば地球防衛軍のための巨大な施設を作ったり、街中は1970年代風の粗雑なボロ小屋ばかり。でもちょっとスケール感がムダに巨大化しすぎて、ちょっと萎える。序盤は手頃なスケール感で展開してたからハマれたんですが、デスノートでも言えるけど、マンガ家にはもっと「ちょうどいいスケール感」を大事にして欲しい。

トータルの結論をまとめると『20世紀少年(21世紀少年)』は「まともに読んだら負け」。あくまで雰囲気だけ楽しみましょう。

『プルートゥ(PLUTO)』全8巻のネタバレ感想をレビュー。掲載誌はビッグコミックオリジナル。出版社は小学館。ジャンルは青年コミックのSF近未来漫画。作者は浦沢直樹。いわゆる手塚治虫原作の『鉄腕アトム』のスピンオフなんですが、累計発行部数で850万部を突破したらしい。

最近『プルートゥ』の舞台化も決まった模様。背景にCGを投影させる「プロジェクションマッピング」を取り入れた派手な舞台になるんだとか。アトム役が森山未來。主人公のゲジヒト役がドラマ「相棒」でお馴染みだった寺脇康文。天馬博士が柄本明。そしてウランがまさかの永作博美。いろいろ無理ないか?(笑)

とりあえず『プルートゥ』面白いかつまらないか考察してみた。


あらすじ物語・ストーリー内容

世界最高水準のロボット7体の物語。第39次中央アジア紛争に平和維持軍として参加するなど、一体だけでも大量破壊兵器クラスの軍事力を持つ。

Pluto1巻ゲジヒト
(1巻)
主人公はその中の一人ゲジヒト。ドイツでユーロポールの特別捜査官として働いてる。ロボット法なるもんがあって、人権と市民権がある。ロボットにも家族がいたりする。一方ロボットはロボットで、人間を絶対傷つけないようにプログラムされてる。

ただ次々と世界最高水準のロボットたちが破壊される事件が発生。その犯人がアブラー博士によって開発された最強ロボット・プルートゥ。アブラー博士の息子・サハドの人格が中に入ってる。これを主人公・ゲジヒトが追い詰めていく展開。

Pluto2巻ブランドの最期・走馬灯のように家族
(2巻)
世界最高水準のロボットの一人・ブランドが破壊された時には、自分が過ごしていた家族の画像が走馬灯のように流れる。直前に戦ったプルートゥに関する情報をゲジヒトやアトムに送信しようとするものの、家族との思い出が邪魔をして送信できない。

ロボットの人工知能が人間に近づけば近づくほど、それはある意味ロボットとしては「不完全」に近づいていく。実際、初めて人間を殺害したブラウ1589の人工知能はむしろ最高性能だった。果たして、ロボットに心は宿るのか?というのが大きなテーマの漫画。


憎悪が作った憎悪の塊・プルートゥ

Pluto8巻アブラーも天馬博士が作る
(8巻)
実はプルートゥを作ったアブラー博士は、アトムも作成した天馬博士が作ったロボット。もっと言えば、アブラー博士が死ぬ直前の遺言を天馬博士が受け継いだ。ただ高性能すぎて自分がロボットであることに気付いてない。

アブラー博士は60億人以上の人間の人格を詰め込んで生まれた、とにかく超高性能。ただ当初は高性能すぎたが故に、却って起動しなかった。それだけ複雑すぎた。
Pluto5巻怒りの感情をプログラムすることで動く
(5巻)
そこで天馬博士がどうしたかと言えば、怒りや憎しみといった「負の感情」をプログラムすることで起動できた。ある意味、人間の本質こそ「怒りや憎悪」といった感情と言える。

まさに憎悪の塊・アブラー博士が作った、憎悪のみで動くプルートゥを誰が倒せるのか?


憎しみからは何も生まれない

最終的にゲジヒトも殺される。アトムも高性能すぎたが故に、起動しなくなる。そこで天馬博士は、アトムに対しても「負の感情」プログラムを追加。
Pluto8巻プルートに対して怒りに燃えるアトム
(8巻)
結果、アトムも憎悪に支配されてプルートをボコボコにしちゃう。

ただそこで記憶の回路から思い出されるのが、ゲジヒトの最後の言葉。

Pluto8巻ゲジヒト「憎しみからは何も生まれない」
(8巻)
「憎しみからは何も生まれない」。

プルートゥにとどめを刺すことを留まるアトム。一方でプルートゥはプルートゥで、優しかったサハドの人間的な面が蘇る。ゲジヒトの「愛」が、「憎悪」に対して打ち勝つ。
Pluto8巻涙を流すアトムとプルート
(8巻)
二人は号泣、慟哭にくれる。ロボットなのに人間の感情が、涙となって現れる。最終的にアブラー博士が暴走して反陽子爆弾で地球を滅ぼそうとするも、プルートゥ…もといサハドが自らを犠牲にして地球を救う。そしてラストの最終話でアトムが言う。

「博士…憎しみがなくなる日は来ますか?」


浦沢直樹作品としてはまとまったオチ

『PLUTO』のストーリー中盤ぐらいまでは退屈。いかにも浦沢直樹的な風呂敷の広げ方が一方的に描かれてて面白いんだか面白くないんだか微妙なところ。

…というか少し脱線しますが、浦沢直樹最新作の『ビリーバット』はヒドい。全く意味が分からない。下山事件の謎を追求していくのかと思いきや、アインシュタインやらザビエルとか登場して話の軸が見えてこない。なんなんでしょうかアレは。

あと『PLITO』のアクション描写もいまいち微妙。全体的に動きに変化がない。会話にしても何にしても、似たような同じコマが連続しがち。きっと作者に意図はあるんでしょうが退屈。あと文字が小さいので読みづらい。

ただそれでも最終回やラストの結末は比較的まとまってました。だから割りと若干の不満は感じつつも、まさに「終わりよければ全てよし」と思わせてくれるような完結のさせ方。オチも示唆に富んでて、読後感は余韻が引くものとなっています。おそらく作者・浦沢直樹の意図通りの最終話を迎えられたと思うので、そういった意味でもそこまで辛口にレビューするほどではありませんでした。


総合評価・評判・口コミ

『PLUTO(プルートゥ)』のネタバレ感想をまとめると、意外と作品としてまとまっててまぁまぁ面白い。どうしても途中は「読まされてる」感が強いのでつまらないと感じなくないですが、浦沢直樹作品にありがちな「モヤッ」としたまま完結することはない。割りと素晴らしい最終回を迎えた感じで読後感は意外に悪くはありません。巻数も少ないので、まとめ買いもしやすいはず。

ロボットに心は宿るのか?」というテーマは一貫してて示唆にも富んでる。最後までちゃんと読めば、それなりに考えさせられることも多い。最近ソフトバンクが発売した高性能ロボットがいますが、ああいうのを見ると近い将来日本でも同じ結末が起きるのか?

ちなみにゲジヒトが主役でストーリーは進むものの、最後は何故かアトムが締める。ずっとアトムは脇役に徹するのかなーと思ってたので、やや違和感は残った。ただ来年から始まる舞台の主役はアトム(森山未來)だそうなので、その点では違和感はなく観れそう。

『miifa』全4巻のネタバレ感想。作者はひなきみわ。モーニング(小学館)で連載してた下系満載の女の子向けの4コマ漫画。2年ほど最終回を迎えた4コマ漫画ですが、個人的に比較的4コマの中では上位に面白かったかも。

あらすじ

ざっくり説明すると、ミーファという20代前半ぐらいの女の子が主人公。おそらく作者の体験談が元ネタだと予想。雰囲気的には、『江古田ちゃん』に近い。ただあそこまでひねくれてはないので、キャラクターとしてはコチラの方が好感が持てる。同じように乳がポロポロしてるんですが、キューピーちゃん人形のようで悲壮感や卑猥さもない。だからお子様でも安心して読め…るかどうかは知りません。

アホすぎる男ども

このミーファが付き合う男たちがアホな男ばっか。要するにダメンズ(表現古いか)。クズ男と呼んでも構わないんですが、可愛らしい絵柄も相まってそこまでガチっぽさが伝わってこない。だから心配や怒りが先に来ないので、基本的に笑いに繋がってることが多い。

miifa1/アホ男4
(1巻)
マンションの壁をよじ登ってくる元カレ。男の自分でも思わず「怖ッ!」。まだこれには続きがあって、それを読むと「おそらく実体験だろうなー」と感じるリアリティーがある。この後玄関に移動したコイツは「別れを撤回しないと死ぬ!」と叫ぶ。ただ、何故か冷静になって「友達に笑われるからやっぱ止める」とすぐさま前言撤回。

その後、警察を呼んで対応してもらうんですが、その時警官が無線で本部に連絡したセリフが「いや、好青年でした」の一言。ミーファは思わず「騙されてる!」とツッコミ。いろいろと笑っちゃうんですが、こんなにムダに世渡り上手な男を想像だけでとても描けるとは思えない。

miifa1/アホ男5
(1巻)
ミーファの中学時代の卒アルを見てた、別のゲスい元カレは「クランキーチョコの後ろみたいな顔してんな」の一言。上手い表現やけどもっていう。そういえば言い忘れてましたが、この主人公…もとい作者は関西に住んでる。だから出てくる舞台や設定も、基本的には『関西ベース』の関西弁オンリーです。

このミーファは男運がつくづくない。付き合ってる男の3・4割は犯罪者。彼氏の家に行ったら警察が家宅捜索中であったり、自分がオキニのバッグを翌日にはネットオークションで売られてたり、リアルに描いたら結構悲惨。100円玉貯金をしてたら、彼氏にやっぱり盗られる。その手口が巧妙すぎて笑う。それが…
miifa3/アホ男2
(3巻)
50円玉と入れ替える。逆に50円玉をコツコツ集めるんも大変やろって感じですが。

ただ女の子も変なのを引き寄せる。
miifa3/2
(3巻)
彼氏との行為後の自分の膣の匂いを友達に嗅がせようとする女。まだ可愛らしい絵柄なので救われてる部分がありますが、エグい。こういうド直球な下ネタは、何気に女性の方が好んでバンバンしてますよねー。

ミーファもアホ

元カレばかりアホ呼ばわりしてますが、肝心の主人公のミーファもアホ。乙女系のゲームでめちゃくちゃ必死になって卑猥なワードを言わせようとしたり、そのゲームで失恋した傷を三次元の男に癒してもらったり。普通逆やろっていう。

基本的に生き方が明るい。悪く言えばどっかズレてる。中学生の頃ケータイに男のイチモツ全開のメールが送られてくる。それを見て、その時には「よーしこれはラブレターだー」と喜んでみせる。どちらかと言えば、アホ男の部類かも知れませんが、一方的に男を責めるんではなく『ボケをボケで返す』ノリの良さや性格の良さが全体的に伝わってきて、このキャラクターを含めて全体的に好感が持てる。

miifa2/
(2巻)
お団子ヘアがトレードマークだから、ヘルメットをかぶると案の定こんな感じ。軽い道交法違反やろって話なんですが、何か愛おしさを感じてしまう。

ただやっぱりアホなんで男を褒めようとしたことが却って裏目に出ることもある。かす汁(関西以外の読者に伝わる?)を好きでよく作ってる男に対して…
miifa3/
(3巻)
じゃあ『カス汁男子』やねっ!
何でも男子を後ろに付けたらいいもんではないと教えてもらった気がする。これを女の子版に言い換えると、「干しブドウ女子」とかになるんかな。そういえば「マン臭きつ子」というアラフォー漫画家がいたようないなかったような。

総合評価

総括すると、基本的に面白い。男でも楽しめますが、女の子の方がより笑えるかも。基本的に4コマ漫画はセリフを詰め込みすぎたりする漫画家も多くて読みづらいんですが、これは基本的に『1コマに一行ポン』という簡素さ。

だから、セリフが短いのですごく読みやすい。キャラクターもノリが良いので、漫才の掛け合いを見てるような感じで面白い。4コマの醍醐味や魅力を最大限引き出してて、「4コマ漫画を描きたいならコレを見ろ!」というお手本の一つ。誰かをコケ下ろすことも少ないので、むしろミーファ自身が悪者になるオチが多いので、読後感も悪くない。

ただジャンルが「下ネタあるある」「ビッチあるある」に近いので、そこらへんは人を選ぶ要素かな。だから、そこそこリア充を経験したことがあるなら読んだらハマるかも。

miifa(1)
ひなきみわ
講談社
2012-11-12




◯展開…★3.5◯テンポ…★4
◯キャラ…★4◯画力…★3
◯全巻大人買い…★4
◯おすすめ度…82点!!!!

『しろくまカフェ』全5巻のネタバレ感想をレビュー。作者はヒガアロハ。月刊フラワーズ(小学館)で連載してた動物ギャグ漫画。

しろくまカフェの1巻から4巻までは「すごないマンガがすごい!」の初期頃にレビューしたんですが、一向に5巻以降の新刊が発売されないなーと思ってたら、いつの間にかアニメ化にあたって小学館ともめて連載がストップしてた模様。ちょいちょい出版社と漫画家ってもめますよね(;´Д`)

結果的に打ち切りというか、作者・ヒガアロハは現在「Cocohana」という集英社の少女漫画誌に移って、昨年2014年から再び連載を再開したらしい。ちなみにタイトルは『しろくまカフェ today's special』に改名してるよう。


あらすじ物語・ストーリー内容


ちょっと大人のドロドロした嫌な部分が垣間見えた感じがしましたが、この『しろくまカフェ』はそれとは違ってものすごくゆるーいギャグ漫画。

「しろくまカフェ」と呼ばれる喫茶店でマスターをやってる白熊が主人公。
しろくまカフェ1巻 センチで小ボケをかましまくるシロクマ
(1巻)
何故かやたらとダジャレ好き。しかも見事に全部くだらない。それを冷静にツッコんでるパンダが常連客。

しろくまカフェ1巻 パンダの理想体型
(1巻)
ちなみにパンダは理想体型は逆三角形らしいんですが、それを実行したらめちゃめちゃキモい。あのフクヨカな体型だからこそパンダが愛されてるんだろうなーと強く実感。

しろくまカフェ4巻 バイトと正社員
(4巻)
このパンダは動物園で働いてるんですがバイト。正社員パンダに対して、「常勤パンダさんおはよー」と格差社会を物ともしない明るさが憎めない。


動物と人間との奇妙な共存っぷり

あらすじを読んでもらったら分かるように、『しろくまカフェ』に登場するキャラクターはみんな普通に喋る。しかも、人間社会にムダに溶け込みすぎてる。その違和感があるんだかないんだかという絶妙さが良い。

動物園ではパンダだけではなく、色んな動物が働いてる。
しろくまカフェ4巻 パワーポイントを扱うペンギン
(4巻)
例えばペンギンだと余裕でパワーポイントを扱う。そこら辺の大卒サラリーマンよりも優秀。そんな手でどうやってキーボードを打つねんというツッコミをしてしまいがちですが、乙武さんも平気でTwitterやブログをやってるぐらいですからご愛嬌。

ちなみにチョコット写ってるパンダの飼育員が、その名も半田。

しろくまカフェ2巻 トヨタFJクルーザーに乗る熊
(2巻)
他にもトヨタのFJクルーザーを乗りこなす熊。排気量4000ccのV6エンジンですからね。お前シブすぎやろ。ただFJクルーザーの室内空間は案外狭いので、こんな巨大なクマさんたちが乗りこなせるかは正直微妙ですが。

ゆる~いキャラの独特の個性

とにかく『しろくまカフェ』はゆるーい動物たちが魅力の漫画。

しろくまカフェ5巻 うり坊を可愛がるパンダ
(5巻)
うり坊を見て「かっわいい~」と喜ぶパンダですが、お前の方がもっと可愛いやんけっていう。

しろくまカフェ5巻 駄々をこねるパンダ
(5巻)
マスカラを欲しいと駄々をこねるパンダ。お前、もう目の周り真っ黒やんけ。分かりやすい笑い。

しろくまカフェ3巻 ラッパー風のシロクマ
(3巻)
シロクマがラッパーを気取ってみたり悪ノリもすぎる。469MAって軽いMCAT的なノリでしょうか。

しろくまカフェ2巻 パンダを装うシロクマ
(2巻)
悪ノリといえば、パンダの代わりに出勤したシロクマは全然違和感がない。一瞬新種のパンダかな…と納得してしまう。


総合評価・評判・口コミ

『しろくまカフェ 全巻』のネタバレ感想をまとめると、ゆるい動物モノの漫画って、どうしてもエッセイ風の中身が多い。実際に起きた出来事を律儀に描く。せいぜい少しデフォルメする程度。

でもこのしろくまカフェを読んでると、人間と同じように喋らせる演出もアリだよなーと。そこまで大胆なことを描いたとしても、そういうのも全然許容されるゆるーい空気感がある。漫画家さんほど学べる点が多いかも。

『しろくまカフェ today's special』の連載が始まって8ヶ月程度なので、そろそろしろくまカフェの新刊が発売されるんじゃないかと思います。

『告白』のネタバレ感想。作者は湊かなえ。2008年ぐらいに販売された小説。たまには漫画以外での感想も書いちゃいます。

主演が松たか子で実写映画化もされました。しかし、松たか子は年齢を重ねる度に色気が増してる印象。はー結婚して養って欲しいー。はー社会的地位の高い女性のヒモになりたーい。…つか、もう結婚してるのか。やっぱり年収4・5000万円の浜田ブリトニーやな(;´Д`)ハァハァ

あらすじ

森口悠子(もりぐち・ゆうこ)という、中学校の女性教師が主人公。その娘・愛美(まなみ)がクラスのある生徒たちに殺される。渡辺修哉(わたなべ・しゅうや)という中二病全開のエリート中学生と、下村直樹(しもむら・なおき)という平凡な生徒。

その二人に対して、女教師森口が復讐を果たすという話。詳しくはウィキペディアに載ってるので割愛。

中二病的なライトノベル

内容は全体的に、中二病的。設定や展開を含めて、リアリティーや真実味は薄い。

森口の復讐してやろう的な魂胆が、いかにも幼稚じみてる。しかも復讐の仕方も幼稚で、恋人・桜宮の「HIV血液を飲ませる」というもの。結果、感染はしないんですが、小学生レベルの発想力。まず恋人が運良く(?)エイズに感染してたなんて、どんだけご都合主義的。

渡辺修哉は渡辺修哉で中二病をこじらせすぎるのはいいが、いかにもアホなマスコミが描きそうな『犯罪少年像』丸出し。さすがに露骨すぎて笑う。そこそこ悲惨な過去を持ってるので、どう犯罪に結びついたかを掘り下げれば、作品としての深みは出たはずだが、そういうのは一切ない。

しかも渡辺は、最終的に遠隔操作の爆弾を作って全校集会で他の生徒たちもろとも自爆しようとする。「爆弾て!しかも遠隔操作て!」と、いろいろ現実離れしすぎ。そして森口は森口で、その遠隔操作の爆弾を一時的に止めたり、余裕で扱える。

ツッコミどころは多々ありすぎ。

ただエンタメ作品としてはオッケー

ただ素直にエンタメ作品として読めば、そこまでツマラナイってことはない。

どんだけダラダラ読んでも3日もかからない小説。ラノベ自体を読んだことないので何とも言えないんですが、おそらくそんなんに近い。サラッと読める。ランク的に「小説>>ラノベ」と言われがちですが、こんな小説が売れてるなら案外小説というジャンルも大したことない(若干褒めてる)。

オチをネタバレしちゃうと、森口は上記の爆弾を渡辺の母親が働く大学の研究室にセットしちゃう。渡辺が爆弾のスイッチを入れた瞬間、母親ごとボーン。ちなみに、だから、松たか子はCMで「バーン!」だの「ドーン!」だの叫んでたんだと思う。

あくまでラストは森口が渡辺に対して、その事実をとうとうと告白するだけ。その爆発した瞬間や、マザコン渡辺の表情や態度などは描写されてない。

それが却って想像力をかき立てさせ、スカッとした読後感と共に、後味が悪いモヤモヤ感も残させる。森口が最終的に罪に問われないオチの無責任。しょうもない女子中学生が得意そうな陰湿さも、いかにも中二病的なラノベ。

総合評価

至って内容はシンプル。小学生から60代70代の爺さん婆さんまで、それなりに読める。平易な文章で、ストーリーの構成も複雑じゃないので、「読みづらい」ことはほとんどないはず。だから映像化もすごくしやすかったんだろうなーと、素人ながらに思う。

ただ、こういう読みやすい小説でも、やはりマンガ10冊分以上の時間はかかる。逆に言えば、小説は一冊でそれだけ「ヒマ潰し」ができるということだから、むしろコストパフォーマンス的には高いとも言える。

やっぱり小説にしろライトノベルにしろ、何か起きそうで起きない展開が漫然と続いて、最後にボーンと大ドンデン返し的な作品が多い。お化け屋敷に入ったはいいものの、ほとんど誰も脅かしに来ない。何も無いのかなーと思わせといて、ラストの出口で「ウワーッ」と登場して恐怖を倍増的な?

だから、当たりハズレが結構ラストの方にならないと分からないことも多い。個人的にレビューを続けようと考えると、小説やラノベはかなり『非効率』だと改めて痛感。マンガだと極端な話、最初の1ページ、もっと言えば、一番目のコマで「面白いか・つまらないか」が分かりますからねー。

ただ「時間つぶし」を、個人的にそこまで最優先してないので、残りの百田尚樹の小説は大便拭きにでも使おうかしら。

湊かなえ「告白」中島哲也監督インタビュー
あと映画のメガホンを取った監督・中島哲也のインタビューが載ってたりもする。名前を聞いたこともない、どこぞの評論家がグダグダ語ってるよりかは、こういうインタビューを載せた方がまだマシ。本当ああいうのでピンと来た試しがない。

告白
湊 かなえ
双葉社
2008-08-05

◯展開★4◯テンポ★4
◯キャラ★4◯画力★-
◯80点!!!!

『アイシールド 21』全37巻のネタバレ感想をレビュー。掲載誌は少年ジャンプ。出版社は集英社。ジャンルは少年コミックのアメフト漫画。作者は稲垣理一郎(原作)と村田雄介(作画)。

『アイシールド21』は10年以上前に連載されていたスポーツ漫画ですが、今更ながら面白いかつまらないか考察してみました。


あらすじ物語・ストーリー内容

主人公は小早川瀬那(セナ)。私立泥門高校に通う一年生。気が弱くて、不良生徒たちからパシリの扱いを受けてる。でもパシリ経験が長いせいか、人混みをかき分けて高速で走り抜けることが身に付く。それに目をつけた蛭魔妖一(ヒルマ)たちによって、ほぼ強制的にアメフト部へ入部させられる。

アイシールド21・8巻小早川瀬那(セナ)
(8巻)
ただ身元がバレないように、グラサンのようなアイシールドを着用して試合に出場させられる。そこから『アイシールド21』としての選手生活が始まる…みたいな話。主人公のセナがフィールドを駆け抜けて巨漢選手たちを圧倒していく姿が、この『アイシールド21』という漫画の醍醐味。


魚眼レンズ的試合描写が圧倒

現在『ワンパンマン』を作画してる村田雄介だって、試合描写は迫力たっぷり。ただ個人的に線がキレイすぎて、こういうスポーツ漫画ではどうかと思ったりしますが、マンガ家の中でもトップクラスではないだろうか。

アイシールド21・33巻魚眼レンズ的
(33巻)
特徴的なのが、魚眼レンズ的な描写。後ろの背景を見ると、グニュッとちょっと曲がってる。そのことで全体的に奥行きが広がって、限られた紙面の中で効果的な役割を果たしてると思う。

アイシールド21・25巻試合描写タックル
(25巻)
タックル描写はこんな感じ。

アイシールド21・31巻試合描写キャッチ
(31巻)
キャッチ描写ではコマからはみ出て、迫力あり。

アイシールド21・27巻試合描写キャッチ
(27巻)
ジャンプしてキャッチした後の描写も手抜かりなし。ズザーッと地面とこすれる感じは、むしろ描かなきゃいけない部分。

アイシールド21・27巻試合描写タッチダウン
(27巻)
タッチダウンの描写はこんな感じ。やや魚眼レンズ的。迫力がある。

ただ見開きが多くて、ちょっとスキャンしづらかった。「何であのコマ貼ってないの?」と言われそうですが、大体そういうのって見開きなことが多いので悪しからず。主人公のセナが相手選手を抜いてる場面とか。

そもそも見開きページは「影」ができて読めなくなる部分が増えるので、あまり多用しないで欲しい。ましてやちょうど真ん中の部分に、キャラクターを描写したり重要なことを描写したりして、「おい!」と思うこともしばしば。このことは前からずっと考えてて、機会があれば個別記事化したいと思う。


チームカラーを表現した登場人物やキャラデザが見事

アイシールド21では、色んな個性的なキャタクターが登場。特にデザインが秀逸。明確なチームカラーがそれぞれの高校にあるんですが、それを如実に表現出来てる。

アイシールド21・5巻太陽スフィンクス
(5巻)
例えば、太陽スフィンクスだったら、選手全員がエジプトチックなキャラデザ。でも普通デザインを似通らせてしまうと、キャラの見分けが付きづらくなる。ましてやヘルメットみたいなんを被って髪型を隠してしまうと、なおさら識別が困難になる。

でも、このアイシールド21の場合、そういうことが少ないのがスゴい。

見た目のデザインだけではなく、試合描写にも反映。
アイシールド21・14巻ポセイドン
(14巻)
例えば、巨深ポセイドンではタックルandパスカットする描写だと『大津波』のように表現。こういうのが随所に見られて、アメフトというスポーツを知らなくても、視覚的に楽しめる仕掛けが作れてる。

アイシールド21・20巻ナーガ阿含1
(20巻)
個人的に好きだったキャラクターが、神龍寺ナーガの阿含。めちゃめちゃ反応が早い。身体能力もかなり上。でも天賦の才に恵まれすぎてて、努力や練習はしない。だから試合よりオンナを取るような、絵に描いたように悪いヤツ。まさに中二病がホレそうなキャラ。

アイシールド21・20巻ナーガ阿含2
(20巻)
ヘルメットから飛び出たドレッドヘアーがなびく感じが、素敵。描くのは難しいんでしょうが、「躍動感」を表現できる道具として髪の毛ほど優れてるもんはないのかも。

魅力的な敵キャラクターが多いスポーツ漫画の一つだと思う。


早めに全国大会編を始めるべし!

ただ後半になるにつれ、読むテンションは下がっていく。アイシールド21に限らず、どうしてもスポーツ漫画や部活漫画は、最初の県予選1回戦あたりからコツコツ丁寧に描きたがる。でも、それだと色んな意味で「引き出し」が無くなっちゃう。

アイシールド21・35巻ミスタードン
(35巻)
最後は、アメリカ代表のミスタードンというラスボス的なキャラクターが登場するも、ヒゲもたくわえてリムジンを乗り回すは、さすがに無茶苦茶。却って陳腐で意味不明。もっと言えば、それ以前の日本編の我王というキャラもヒドイ。相手選手を次々と骨折させていって、もはやスポーツちゃうやん、とかなり興ざめした。

どうしても予選の段階で強敵ばっか登場させすぎると、え?全国大会編ではモンスターや宇宙人が出てくんの?みたいにハードルが上がりまくる。こんな有能な選手たちが予選の段階で登場する日本って、どんだけアメフト先進国やねんと笑ってしまうほど。

先日連載が完結した『黒子のバスケ』の場合、最初からキセキの世代という「限界点」を作ってるので強敵は言うほど必要ない。その「限界点」を最低限作者の中で作ってないと、無制限に広がって際限がなくなる。スポーツ漫画はモタモタと律儀に予選を描くな!と言いたい。


試合以外の展開がつまらない

冒頭で「試合描写がスゴい」と書きましたが、ただその試合を読み終わった読後感はフツー。想像以上に「何か」が残らない。なんと表現すればいいか難しいですが、「読み物」としてはちょっと物足りない。画はスゴいけど、展開としては「?」という疑問符。

試合前(試合外)のクダリがあーだこーだ結構長くて、なかなか試合が始まらない。時間を掛けて下地作りを頑張った割に、肝心の試合のボリューム感は薄い印象。見開きページや大ゴマも多用してるので尚更そういう風に感じるかも知れませんが。少年マガジンで言えば、『ダイヤのエース』みたいな感じ。

もっと言えば、展開の煽り方も、やや稚拙。

武蔵や真のアイシールド21(大和猛)といったキャラクターも引っ張って登場させた割に、そんなに大したことない。武蔵の場合だと、高校を退学(実際は休学扱い)した理由もすごい過去が待ってるかと思ったら、単なる父親の怪我。しかも、そこそこピンピンしてて、肩透かしもいいところ。重大なトラウマ的なもんがあるかと思いきや、結構ありがちな理由。蛭魔妖一がいれば、お金という現実的な問題はどうにでもなりそう。

ストーリー展開も付け焼刃的で、話の整合性も気になった。関西の高校は、主人公たちがいる関東よりも強いと言ってたのに、アメフトワールドカップで日本代表に選ばれてるのは、ほぼ関東のメンバー。

主人公のセナが日本国内で最後に戦うのが、真のアイシールド21・大和猛が率いる帝黒アレキサンダーズ。それが関西大会では、無失点の完勝で勝ち上がってくる。あまりに雑すぎる設定で、そこにドラマがない。そんな相手に勝利しても達成感は少ない。なんか違うなーって感じ。ドラマを作ろうとしてるんですが、そのドラマを作れてない印象。


最終回のその後

ちなみに全巻のネタバレ感想記事ですので、簡単にラストの結末を書いておきます。ネタバレが嫌な方はスクロールをズバズバっとお願いします。もう忘れてる人もいるかも知れませんが、最終回はワールドカップユースでアメリカと引き分けという決着から2年後から物語が始まります。

雷門(モン太)や甲斐谷陸たちは炎馬大学へ進学。一足早く入学していたのは、栗田。再び同じようなアメフト人生が始まるのかと思いきや、蛭魔妖一は最京大学へ進学。また武蔵は社会人チーム・武蔵工バベルズへ入団。それぞれ別々の道を歩んでいた。

他にも炎馬大学には金剛雲水、最京大学には金剛阿含や大和猛や本庄鷹、武蔵工バベルズには蛾王力哉にキッド。他にも進清十郎が率いる王城大学など、再びライスボウルを巡っての戦いが始まる。特に最京大学が最強・最凶すぎる。

そしてクリフォードから誘われてアメリカ留学してたセナが最終話で日本へ帰国し、炎馬大学に合流。一網打尽に敵選手を追い抜いて、そのまま完結を迎えます。いわゆる「俺達の物語はまだまだ続くぜ」的なノリのオチ。

ちなみに姉崎まもりは蛭魔妖一と同じく最京大学へ進学してるっぽいです。


総合評価・評判・口コミ


『アイシールド21 全巻』のネタバレ感想をまとめると、序盤の方は毎週リアルタイムで読んでただけあって「面白いマンガ」でした。アメフトという激しいけれども、日本ではマイナーなスポーツをここまで激しく描いた漫画は史上初でしょう。その圧倒的な描写が魅入られます。リアルタイムで読んでいた当初はあまり高く評価されてなかったことに軽く憤慨してたぐらいです。

ただ少年ジャンプそのものを読まなくなったと同時に、『アイシールド 21』も途中から読まなくなりました。連載そのものが続いてたのは知ってたので、あの調子で面白いままかなーとてっきり思い込んでた。

ただ改めて全巻まとめて読み直してみると「あれ?」。試合が始まるまでは期待できる雰囲気だけど、いざ試合が終わると「うん?単調?つまらない?」。作者の村田雄介は画力が高く絵が上手いし、キャラクターデザインなども良いはずなんですが、何故かあまり面白くない…という不思議な感想も同時に抱きます。どこが具体的に悪いかを問われると答えづらいんですが、ちょっと物足りないかなーとも感じます。

『All You Need is Kill』全2巻のネタバレ感想。ヤングジャンプ(小学館)で連載されてたSF漫画。作画は小畑健で、原作は桜坂洋の小説。2014年にトムクルーズ主演で実写映画化もされたマンガ。

あらすじ


あらすじを簡単に説明すると、「ギタイ」と呼ばれる化け物に侵略されそうになる近未来。人類は統合防疫軍結成して、対抗。そこで主人公のキリヤ・ケイジも兵士として任務にあたっていた。

そして戦地に駆り出されるも敢えなく死亡…したかに見えた。ふと気付くと、戦地に駆り出される直前の朝だった。そこから「タイムループ」を繰り返すこととなるケイジ。これがギタイたちを殲滅するまで続く。こんな話。

AllYouNeedIsKill1巻ひたすら繰り返す地獄
(1巻)
100回200回と、ただただ繰り返す。ちょっとグロい描写も多め。

アクションゲーム的進化!

ちなみにこのタイムループの原因は、軽くネタバレするとギタイのせい。ギタイはタキオン粒子を放つことで、何度も同じバトルを繰り返す。その結果、人間たちよりも強くなることが可能。それが地球を侵略できた理由。

でもそのタキオン粒子をケイジが浴びたことで、今度は人間である自分もそこに巻き込まれた。ある意味、どっちが先に強くなるのかみたいなこと。

だからアクションゲーム的な進化が描写されてて、単調な展開ではありつつもそれなりに読ませる。徐々に強くなっていく感じが、まさに少年漫画チックでもある。

とは言えストーリー的には、やはり単調な繰り返しだから飽きてしまう。ただケイジだけではなく、実はもう一人はタイムループを繰り返してる女性兵士が現れる。そのタイミングがちょうどいい。
AllYouNeedIsKill1巻リタ・ヴラタスキ2

(2巻)
それがリタ・ヴラタスキ。むしろリタの方がタイムループは先に経験してる。だからコイツがめっちゃ強い。

AllYouNeedIsKill2巻キリヤとリタでバトル
(2巻)
同じタイムループしてるってことで、意気投合。一緒にギタイを駆逐していく。その過程で…とは言っても二人は初対面の状態を繰り返すだけなんですが、距離感が縮まっていく。当然良い歳した男女ですから、ケイジとリタはそういう関係になっていく。その描き方が自然。

実は恋愛マンガ?

だからギタイという敵に目が行きがちですが、SFアクション漫画でありつつも実は恋愛漫画。

AllYouNeedIsKill2巻キリヤ・ケイジ
(2巻)
「ジャパンのレストランでは確かにグリーンティーは無料だ」というケイジのセリフなんかは、結構オシャレな演出。このセリフはある小説の一節。リタはずっとそれが本当かを不思議に思ってた。リタは出会っても毎回記憶がないので、それは本当だよとケイジが教える。

そこでハッとリタは気付く。そして安堵して、ブワッと泣き出すリタ。なんかハリウッドとかめっちゃ好きそー(笑)

AllYouNeedIsKill2巻キリヤとリタがバトル
(2巻)
最終的には二人で殺し合う羽目になるんですが、これが切ない。

あまりネタバレしすぎても怒られそうなので控えますが、やはりギタイの影響。「何故ギタイを殺してもタイムループし続けるのか?」を考えると…って感じ。作者・桜坂洋の設定・伏線作りの上手さが光る。最後の「お前が死ぬまで一緒にいよう」というセリフもしびれる。

総合評価


2巻とボリュームは少ないですが、展開としては飽きさせない。オチの読後感も良かった。色んな設定や伏線を用意しつつも、しっかりコンパクトにまとまってる。

恋愛要素もあるので、実は女の子にもオススメ。グロ描写に耐性があるのが、ある程度前提ですが。作画を担当してるのが小畑健ということもあって、画もキレイ。SFの世界観を壊すどころか、しっかり表現できてる。

欠点が少なく、純粋に作品としての完成度が高い。「集めやすさ」も考慮して90点。



◯展開★4.5◯テンポ★5
◯キャラ★4.5◯画力★5
◯全巻大人買い…5★
◯90点!!!!

『かもめ☆チャンス』全20巻のネタバレ感想。作者は玉井雪雄。ビッグコミックスピリッツ(小学館)で連載されてたロードレース漫画。

あらすじ

かもめ☆チャンス1
(1巻)
シングルファーザーの営業マンがひょんなことからロードレース用の自転車にハマって、ツール・ド・フランスまで目指しちゃおうか…みたいな漫画。

かもめ☆チャンス14/空気が硬い
(14巻)
この漫画の大部分が自転車レースで占められてる。その描写自体には迫力があって、見所はあると言えばある。画像は選手に当たってくる空気・風の硬さを表現してる場面。他にも自転車が勢い良く走る「滑走感」もシャッシャッという線の描写で表現されてる。

ストーリーの軸が不明

ただ色んなエピソードを盛り込みすぎてて、全体的には「話の軸」が見えてこない。妻が事故で死亡、その原因が主人公?、娘も小さくやかましいだけで邪魔、営業という仕事は大変、それでもフランスを目指します、etc。そのエピソード自体もストーリー性がなく、例えば妻が死んだのではお涙頂戴の展開が待ってるわけでもなく、その設定には意味自体持たない。

しかも最終的にそのほとんどが目的を達成できずに終わって、回収しきれてない。オチとしては「次世代に全てを託すんだ!」とそれっぽく終わるんですが、「いやまだまだお前若いやん」と主人公にツッコミたくもなるし、次世代と言っても自分の子供は女の子。これが男の子なら10年後20年後も想像できるが的外れもいいとこ。

レースに関しても、いまいち動機や目的が分からないので感情移入しにくい。例えば、高校野球の漫画であれば地方大会の準決勝なら「次は決勝…そしてそこで勝てば全国大会の甲子園!」と想像もつく。でも描写されてるレースの大会が、具体的にどうツール・ド・フランスに繋がってるのか分からない。結局何のために走ってるのか物語性がない。

総合評価

かもめ☆チャンス9巻
(9巻)
全てにおいてどっちらけ。主人公が9巻で「全てを取り戻す」と意気込むんですが、娘を捨ててレースに邁進するかと思いきや、「娘も取る!レースも取る!」というまさかの二足のわらじを選択。結果やはり何も実らず終わるので、読後感は決していいものではない。じゃあ「子供って大好き・素敵」という展開になるのかと思いきや、それもあまりない。むしろ「子供はお荷物」という印象しか与えない。

シングルファーザーに夢や勇気を与えるわけでもなく、子育ての楽しさを教える内容にもなっておらず、最終的に何を描きたかったのかが分からない漫画。

かもめ☆チャンス4/娘のふく
(4巻)
また、この娘が不思議ちゃんで意味不明な内容ばかりを話す。それも若干狙いすぎててキャラクターとして魅力に欠ける。主人公の父親よろしく鬱陶しいとしか思えない。普通の可愛らしい女の子を描いて、それに応援してもらってツール・ド・フランスで初めて日本人が(それもしがない元営業マン)優勝するというシンプルな展開で良かったんじゃないかと思う。

そういうゴチャツキが全体を通しての読みづらさに繋がってる。レースの描写も主人公の主観的なセリフよりも周囲からの解説が多く、描写の割に迫力にも欠けた。





◯展開…★2◯テンポ…★3
◯キャラ…★2.5◯画力…★4
◯全巻大人買い…★2.5
◯おすすめ度…68点!!!!

なかなか毎日は更新できてませんが、いつも拙ブログを閲覧してくださってありがとうございます。

ただ漫画コミック一冊の価格は400~500円とあまり大した価格ではありませんが、長期連載マンガなどをまとめてレビューしようと思うとなかなか大変。そこでできるだけ継続して更新するために、みなさまのご協力をお願いできれば嬉しいなと思います。

さすがに直接現金を求めるというのはアレなので、アマゾンギフト券でカンパしてもらえたらそのまま購入の足しにできるのかなと思います。結果的にマンガ家さんや出版社さんなども少しは潤うかも。

操作は簡単。送りたい相手のメールアドレスを入力するだけ。「dorj.robinson@gmail.com」宛に送ってくだされば、こちらにギフト券が届きます。便利な時代になりました。どちらかと言うと精神的なモチベーションの維持につながってるので、わずかばかりのご支援でも助かります(*´∀`*)

ちなみに最近割りと本気で「世の中のマンガを全てレビューしてやろう」と考えてます。Amazonの商品ページでもレビューすらされてないコミックはたくさんあります。その感想を知りたくても知れない人は世の中に多いはず。そこで自分がその役割を果たせたらいいなとおこがましくも思ってます!!(`・ω・´)

でもそのためには自分には足らない部分が数多くあるのが現実です。もし支援してもらえたら、このブログの血肉となりアクセスとなって必ず活かされるはずでありますッッ!もはやアクセスの大半はアナタ様のカンパと言っても構いません!きっと一日10万PV…いや100万PVを達成することだって可能なはずッ!!Σヽ(`д´;)ノ うおおおお!

あとカンパとは別に、レビューのリクエストも募集してます。必ずしもレビューするとは限りませんが、まだまだ知らないマンガも多いので「こういうマンガが面白いよ」「スポーツマンガのレビューを増やしてほしい」と気軽に教えてもらえれば喜びます。コメント欄ではなく前述のメール宛でも構いません。