バズマン。

健全な漫画の感想ブログ。基本的に面白いマンガだけレビューしてるつもり。

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『干物妹! うまるちゃん』6巻のネタバレ感想。作者はサンカクヘッド。ヤングジャンプ(集英社)で連載中のギャグ漫画。主人公は土間うまるという女子高生。誰もが認める才色兼備なものの、家の中ではグータラ三昧。そんなうまると兄タイヘイとの日常風景を描いたギャグ漫画。

お年玉は二度美味しい?

確か6巻は今年夏頃に発売された気がしますが、マンガの中の時間軸は「お正月」。そこで主人公うまるちゃんは兄タイヘイからお年玉をもらいます。ただタイヘイは寝ぼけてたせいで、うまるの友達にあげようと思ってた年玉をうまるに渡してしまう。

干物妹うまるちゃん6巻 お年玉1
(6巻)
一瞬動揺するうまるだったものの、自販機に例えて「よってこれはお兄ちゃん側のミス!」とガッツポーズ。「ぬわっしゃぁー」なんて叫び声はめったに使いません。

ただ徐々に罪悪感や常識的な良心がふつふつと湧いてくる。やっぱりダメだよ、ちゃんとお兄ちゃんに返そうという気持ちも芽生える。そこで冷静にタイヘイの意図を分析しだす。
干物妹うまるちゃん6巻 お年玉2
(6巻)
でも「最初から2つ渡そうと思っていたに違いない!」という結論を導き出す。とんだ迷推理。やっぱコイツアホ!時間差を作った渡す意味が分からない。夕方頃にサンタさんがやってきて、翌朝に再びプレゼントをもらうようなもん。もうドッキリ感がゼロ。

干物妹うまるちゃん6巻 お年玉3
(6巻)
もちろんオチは、やっぱりタイヘイにしばかれる。知らぬ存ぜぬのフリがあまりに下手くそすぎ。今どき口笛ってw

500円玉を使い切るのは大変だ

とはいえタイヘイも妹思いなので、全額を奪うことはしません。そしてタイヘイの同僚のボンバーなどからもお年玉をもらって、結果的にうまるは3万5千円ゲット。ちなみに余談ですが、年玉を上げる側になって心底思ったんですが、マジで知り合いや親戚の子供に金を上げたくねー!!!!せめて紙幣じゃなくて貨幣だろ…っていう。。。

それは置いとき、うまるは無駄遣いをしないために3万5千円を全て500円玉に両替。財布がパンパンになってしゃーないやろって気もしますが、それは全てブタさんの貯金箱へGO!思わず「偉いじゃないか」とホメるタイヘイ。

干物妹うまるちゃん6巻 貯金箱1
(6巻)
うまるはそれでシメタと思ったのか、ブタさんの貯金箱への寄付をキラキラおめめで無言の圧力。クレヨンしんちゃんか!ホメられたらお金を貰えると思ったら大間違い。確かに子供の無垢すぎる瞳ほど攻撃力が高い武器もないですが。多分こういうときはチューしようとしたら、大体の子供は逃げていきます。

干物妹うまるちゃん6巻 貯金箱2
(6巻)
ただ、うまるは欲望の赴くままに生きる流浪人。使いたい時には使っちゃう。「ぬわーっ!じれったい!」と思わせるほど一体何を買いたかったんでしょうか。あっという間に全額消費。ざっくり計算したら、3万円は500円玉60枚。これだけの枚数を使いこなすって、相当ハードル高いぞ(笑)

干物妹うまるちゃん6巻 貯金箱3
(6巻)
一応うまるにはまだ隠し金があって、その場所がただのデスノートの序盤のやつ。失敗したら1000円が燃えちゃうのリスキーすぎる。

静岡県まで同行する謎の行動力

ある日、タイヘイが静岡県浜松市まで出張へ行くことになる。何故急に登場したのかは不明ですが、きっと作者サンカクヘッドは取材旅行と称して遊びに行ったに違いありません(笑)

そして、うまるはタイヘイと一緒に浜松市まで同行。うまるの住居は多分東京なので、意外に静岡県とは近いっぽい。それでも出不精のヒキコモリのうまるからしてみたら、なかなかの長距離。

その理由が「静岡県名産のうなぎを食いたい」から。まさにTHE動機が不純!好きなアニメやマンガのためなら一切のためらいを厭わないオタク気質全開。

干物妹うまるちゃん6巻 静岡県浜松市へ出張1
(6巻)
でも最初タイヘイに同行を断られた瞬間の、ダダのこね方が効率的。しかも細かく見ると表情が変化。ムダに芸達者すぎんだろ。同じ場所をグルグル回り続けようと思ったら、体型がダルマでもないかぎり不可能。

一応うまるには同行した真の理由が他にちゃんとあって、それがタイヘイの恋愛が気になったから。上司・叶とどういう関係なのかを探りに来てた。健気な乙女心というのか妹心にキュンキュン?
干物妹うまるちゃん6巻 静岡県浜松市へ出張2
(6巻)
ただタイヘイに対する探りの入れ方が、まんま稲川淳二。でも全然怖くないっていう。むしろコッチが「おかしいなー怖くないなーなんでかなー」と聞き返したいぐらい。

総合評価

干物妹うまるちゃん6巻 金剛ヒカリ
6巻のラストでは金剛ヒカリという秀才が若干シリアスふうに登場。ちなみに、うまるは普通科のトップなんですが、金剛ヒカリは特進クラスのトップ。煽り感全開の大げさな登場ですが、7巻以降ではうまるとどんな絡み方をするんでしょうか?

その最新7巻は今月10月19日に発売される予定。



◯展開★3◯テンポ★4
◯キャラ★4◯画力★3.5
◯全巻大人買い★5
◯おすすめ度…86点!!!!

『左門くんはサモナー』1話のネタバレ感想。作者は沼駿。少年ジャンプ43号から始まった新連載漫画。

あらすじ

ヒロインは天使ヶ原桜(てしがわらさくら)。学級委員を務める優等生の女の子。名前からも分かるように優しい。社会科見学の授業でバスで移動中、クラスメートが気分が悪くなったとき、
左門くんはサモナー1話 天使ヶ原
(1話)
まさかのゲロを自分の手でキャッチ。そこから男子からは「マジ天使」や「確実に仏」と影で人気。

そして主人公はそんな天使ヶ原のクラスにやってきた、転校生・左門召介(さもんしょうすけ)。
左門くんはサモナー1話 左門1
(1話)
趣味はまさかの悪魔召喚。実際ことあるごとに色んな悪魔を召喚してくるわけですが、当然そんな左門は「良い人」は嫌い。

左門くんはサモナー1話 左門2
(1話)
だから左門が転校早々、天使ヶ原に対して「君みたいな人は大っ嫌いでさ」と宣戦布告。心の中で天使ヶ原に対して舌打ちした回数は100回以上。センセー、相当キレてます、この子。

左門くんはサモナー1話 左門3
(1話)
果たして、天使ヶ原は左門の魔の手から逃れることができるのか?…みたいな話。

天使ヶ原を欲望まみれにしたい件

ただ左門が天使ヶ原を直接的に攻撃するわけじゃなく、悪魔たちを使役することで天使ヶ原が自分の欲望剥き出しの行動を取ることを誘う。何故なら、左門は善人や偽善者が嫌いだから。

でも左門は何故か他の悪魔に嫌われていて、凶悪な悪魔が次々と襲ってくる。
左門くんはサモナー1話 天使ヶ原がピンチ
(1話)
すっかり左門にまとわりつかれている天使ヶ原は、哀れにも巻き添えを食らってしまう。まさにピンチ。そこで何故か左門が助けに来てくれる。あれ?天使ヶ原のことが嫌いだったんじゃ?

そう嫌い。だからこそ「天使ヶ原みたいな良い人がただの暴力で死んで何が面白い?」。「『好感』の持てる最低最悪の人間になってくれるまで死なせはしない」んだそう。性格が屈折して一周してるだけ(笑)

だから展開としては松井優征の『脳噛ネウロ』に近そう。まさに二人はヤコとネウロの関係性。左門は性格がネジ曲がっていて天使ヶ原をイジメつつも、実は最終的にいつも助けてくれる救世主は左門。画像にはありませんが、天使ヶ原に対する悪魔召喚とは違って、そういう場面で召喚する悪魔がめちゃめちゃ強い(笑)

2話では天使ヶ原の友達が悪魔の被害に合う。でも左門は「善意からの人助けなんて偽善の極み」と救ってくれない。ただ天使ヶ原が「自分が善人とかどうでもいい!それでも助けて欲しい!」と叫ぶ。そこで左門は「やっと欲が出たね」とニヤリ笑顔を浮かべる。

つまり天使ヶ原が欲望を出せば左門は喜んで助けに来るものの、天使ヶ原の欲望は所詮「善き欲望」なわけです。だから結果は「人助け」に繋がるオチになる。天使ヶ原が一見すると欲望剥き出しの人間に成り下がっていくのかと思いきや、むしろ真逆。左門の本心は読み取れませんが、周囲が幸せになるので読後感としては悪くない。

総合評価

最初は絵柄を見て期待はしてなかったものの、いざ読み始めてみると意外に面白かった。コマ割りや構図など含めても見やすくて、キャラの表情も実は豊かで立ち止まることは少なかった。「自分の欲望に従う=人助けに繋がる」というギャップ感ある展開を作れてるのも大きい。

今後はストーリー物として展開することもありそう。とはいえ基本はオムニバス展開が続くはず。作者・沼駿にどこまで引き出しというポテンシャルがあるのか、またそれをどの程度まで持続できるかにも寄りますが、きっと長期連載マンガになる可能性は秘めてると思いました。

◯展開★4◯テンポ★4
◯キャラ★4◯画力★4
◯おすすめ度…86点!!!!

『魔法使いの嫁』3巻4巻のネタバレ感想。作者はヤマザキコレ。月刊コミックガーデンで連載中のファンタジー漫画。かつては月刊コミックブレイドで連載してました。いかにもマイナー雑誌で連載してるっぽいですが、それでも既に200万部突破してるらしい。

あらすじ

不遇の少女・チセが謎の魔法使い・エリアスに引き取られて、「魔法使いの弟子」として成長を遂げていくというストーリー。2巻までのクダリは、ある教会に現れた黒妖犬(ブラックドック)が人にあだなす存在か、エリアスとチセが調査しに行ったところから。

エリアスは人食い?

4巻ではエリアスの過去が少しだけ明らかに。過去が明らかになると言っても、エリアスは記憶喪失のような状態。思い出そうとして浮かんだのが「赤」というイメージだけ。

魔法使いの嫁4巻 リンデルとエリアス2
(4巻)
出会いはかなり唐突なものの、エリアスは魔法使い・リンデルの弟子になる。弟子とは言っても、エリアスとチセとの関係のようにかなりフランクな関係。

魔法使いの嫁4巻 リンデルとエリアス3
(4巻)
そしてエリアスは「にんげんを食べたことがある」という衝撃の告白。3巻でカルタフィルスという敵が「人の肉を得た化け物の分際で」と言ってたので、記憶は曖昧なもののエリアスには何か心当たりがある模様。

でもこういう前フリだと意外に「実はやっぱりそうじゃありませんでした」というパターンも多いですが。実は自分ではなく人間を食べたのは別人で、それを見た記憶と混同していたり、逆に自分が食べられた側の人間だったとか。

魔法使いの嫁3巻 ルールを曲げちゃいけない
(3巻)
「僕らだけは世界のルールを捻じ曲げてはいけないんだ」というエリアスの発言からも、過去に起こした罪悪感や自責の念の裏返しと何となく想像できます。

とはいえ、エリアス的にはチセに知られたくない記憶。ただ結果的に知られてしまう。前述にリンデルがチセに話してしまう。そこでエリアスはチセの記憶から消去しようと試みるも…
魔法使いの嫁4巻 チセがエリアスに抱きつく
(4巻)
チセは「大事な人の記憶だから要らなくないです!」とハグ。ラブラブじゃねーかコイツラ!!(*´Д`)

時間軸は意外に現代に近い?

そのチセは名前からも何となく分かりますが、日本人。正式な名前は羽鳥智世。このチセの過去が少し明らかになります。これまでは「母親に恨まれていた」ことぐらいでしたが、4巻では父親も登場。一家だんらんの光景が見れます。

魔法使いの嫁4巻 チセの過去
(4巻)
ただ昔の日本なのかと思ってたら、時間軸はバリバリ現代。智世という名前からして、そもそも昔ということはなかったか。電信柱や智世が背負ったバックのデザインとか見たら、まさに近現代。世界観がバリバリのファンタジーだったので、強烈な違和感。

この回想の直前にチセが杖を作るクダリがある。無事杖を作ることに成功するんですが、その杖を掴むと別世界へ移動、ネヴィンというドラゴンと再会。悩み相談に乗ってもらう感じになる。チセ的には母親にイジメられ、「産まなければ良かった」と罵られた過去やトラウマがどうしても抜け切れない。

魔法使いの嫁4巻 チセの母親
(4巻)
でもドラゴン・ネヴィンからしてみたら、母親はチセに当たりたくて当たったのではないとアドバイス。実際チセの母親はチセをあやめることはなく、最終的に自分で命を絶ったそう。チセは内心そのことに気付いてる素振りにも見えますが、言葉的には「分からない」と否定。

またチセが家族三人で団欒してた場面に戻ると、チセの母親が妊娠してた描写がある。チセに対しても「お姉ちゃんになるんだよ」と話しかけている。チセが疎ましがられてた理由は、この「妹」の存在に何か原因がありそう。

二人のなんとも言えない距離感

『魔法使いの嫁』の見所は、チセとエリアスの二人の距離感みたいなんが支持されてるのかなーと勝手に思ってます。基本的に二人は両思い。でも弟子と師匠という関係からか、恋愛関係には至らない。エリアスはエリアスで鈍感というか、自分自身の感情に気付かないor言語化できない。

魔法使いの嫁4巻 寂しいエリアス
(4巻)
でも「君がいないとなんだか家が寒いよ」と遠回しに君が必要アピール。他にも「チセがいないと部屋が物静かに聞こえる…チセはあまり喋る方じゃないのに」とか、お前ベタ惚れですやん。ただエリアス自身は特別な感情を抱いてないと思ってるのが、読者的には良いのかも。

前述の「エリアスが人食いだった?」というクダリでも共通の秘密を共有することは定番というか、お互いの関係を深めるのには効果的。たとえ良くない過去だったとしても、男は許されてる安堵感や母性愛を感じ、女は許してあげてる優越感や守ってあげたいという庇護欲が湧くのかも。

魔法使いの嫁4巻 幻想的な描写
(4巻)
また幻想的な世界観をしっかり描き続けることで、先程はチセが現代っ子だったのが強烈な違和感と書きましたが、そのギャップ感が良いアクセントとして機能してます。リアルの日常の延長線上にこういう世界があるんだよー、みたいなこと。だから女性が欲しがる「非日常的な何か」を生むことができてる雰囲気。

総合評価

『魔法使いの嫁』は新刊が発売される度に発行部数が増えてて、正直200万部も売れる内容とは思えませんが、多分それは自分が男だから。

魔法使いの嫁3巻 ブラックドック黒妖・ルツと契約
(3巻)
画像はエリアスと黒妖犬・ルツが契約を結ぶ場面ですが、いかにも女性が男性にしてほしそうな願望がチラ見えします。こういった細部の動作や仕草を見ていくと、きっと今後もじわじわと売れ続けるんだろうなと。自分もこれだけの印税が欲しいです。

魔法使いの嫁3巻 ジョエルと吸血鬼リャナン・シー
(3巻)
ちなみに5巻への展開を説明しておくと、3巻で登場した吸血鬼リャナン・シーが助けを求めてきます。リャナン・シーはジョエルという謎の爺さんのことが好き。画像は若かりし頃のジョエルがバラをふと見たら、リャナン・シー(透明化してる?)と偶然目が合ってホレてしまった場面。「ジョエルはもしかして気付いてる?」とも読み取れる表情に女性はグッと来そう。



◯展開★3.5◯テンポ★3.5
◯キャラ★4◯画力★4
◯全巻大人買い★4
◯おすすめ度…85点!!!!

『死刑執行中脱獄進行中』のネタバレ感想。作者は荒木飛呂彦。少年ジャンプなどで掲載された読み切りマンガを集めたもの。「死刑執行中脱獄進行中」「ドルチ」「岸辺露伴は動かない」「デッドマンズQ」の4作品が収録されてます。

牢屋から脱獄できない理由とは?

まずは「死刑執行中脱獄進行中」。

囚人27号という凶悪犯が裁判で判決が出た後、新しい牢屋に入れられるシーンから。ちなみに男は自分がウソを付くことはあっても、他人にウソを付かれることは大嫌い。

ただ自分が収容された牢屋は違和感だらけだったというもの。例えば、電灯は自分で点灯させられるようにスイッチがあった。疑問に思いながらも、点灯しようとした瞬間、大量の蜂に刺されてしまう。点灯して初めて気付くが、近くには何故かハチの巣がぶら下がっていた。

死刑執行中脱獄進行中1
看守に助けを求めて、男がうろたえていると再び違和感に気付く。牢屋の奥には高級マンションばりの小奇麗な部屋が用意されていた。当然ソファーや家具付き、テレビだってありますわよ。

そしてテーブルの上には魚のフライにスープといった刑務所飯も用意されていた。決して美味そうではないものの、不味そうでもない。腹が減っていた男は魚を食べようとした瞬間、魚の骨が仰け反って顔中に刺さる。その拍子に椅子が壊れて、椅子の破片が更に刺さる。

まさにふんだり蹴ったりといった具合に、男が囚人らしからぬ行動をするたびに、次々と男に不幸が舞い込む。最終的にはソファーのスプリングが全身に絡まり、高圧電流が流れそうになる。でも一応危機は乗り越える。

死刑執行中脱獄進行中2
そして男は壁に穴を開けることに成功。脱獄寸前まで行く。でも男は脱獄できなかった。何故か?

死刑執行中脱獄進行中3
男は穴から飛び出た瞬間、ギロチンの刃がストーンと落ちると考えたから。相次ぐ罠という罠のせいで疑心暗鬼が生まれ、男の心理状態は「逃げる」ことよりも「ダマされない」ことに比重が置かれる。男を「逃がせる」ように仕向けられてるのかと思ったら、精神的にガチガチに縛る。これを考えたやつ、とんでもないドエス。

結果、男は穴をひたすら見続けているだけ。しかも50年間。男は死ぬまで牢屋に居続けることになりそうですが、それに気付いていないのは自分だけ。未だに牢屋から脱獄する気マンマンというのが切ない。

まさに「脱獄進行中だけど死刑も執行中」という話でした。でも男は逃げなかったからこそ50年間も生きられたのかも知れません。ただ、これらが看守によって設定されたかは最後まで明らかになりません。そこは多少モヤモヤ。

故・吉良吉影のその後とは?

最後は「デッドマンズQ」。

電車内で新聞を読んでる兄ちゃんの隣で、それを覗き込んでる変な奴が主人公。でも兄ちゃんは怒りもしない。かと思ったら、本屋では雑誌からページをペリペリとめくる。でも店主は怒りもしない。あれ?コイツなんなん?
死刑執行中脱獄進行中 デッドマンズQ2
…と思ったら、壁をシュルシュルとすり抜ける。まさかの幽霊。ただどこへでもすり抜けられるわけではなく、相手が許可を出した場合のみ。だから一応声だけは発することはできて、他人と会話することは可能。

じゃあコイツが何をしようとしてるかというと、あと数日で時効を迎えようとしてる凶悪犯を仕留めようと画策してる。言っちゃえば、プロの暗殺者。ちなみにコイツは自分から他人は触れられるけど、逆に他人から触れられると体の一部を奪われる。その間に凶悪犯の飼い犬と一悶着あったりします。凶悪犯が今まさに時効を迎えようとした瞬間、コイツがどうやって凶悪犯の許可を出させたのか?というのが見所ポイントだったりします。

死刑執行中脱獄進行中 デッドマンズQ
そしてコイツが一体誰なのかというと、あの吉良吉影!第四部のリーゼント頭・東方仗助が主人公だったシリーズのボス。スタンドはキラークィーン。爆弾操作で攻撃してきたヤツ。ラストは「振り向いてはいけない小道」に引きずり込まれて死亡…と思われていたものの、吉良吉影は結果的に現世を彷徨っている模様。ただ吉良吉影は過去の記憶はすっかり失っています。だから舞台は同じ杜王町なのかも。

「デッドマンズQ」は3話分あって、時効のクダリが終わると「屋敷幽霊」編が始まります。その話は家自体が幽霊化してる家の話で、もともとは軍人が住んでいたものの、過去この屋敷幽霊の付近では大量の変死者。この原因を探ってくれという依頼を吉良吉影が受ける。

吉良吉影は無事、屋敷幽霊を発見。最初は家探しのように探っていたものの、タンスや戸棚を開けると何故か毎回のように卵がポロポロと落ちてくる。とっさの事で吉良吉影は対応しきれず、床に落として割ってしまう。特に意識してなかった吉良吉影だったんですが、これが罠。英語ではトラァップ!

死刑執行中脱獄進行中 デッドマンズQ3
卵を割ってしまうと、そこから謎の生物が生まれる。そして吉良吉影を最期まで排除するまで襲ってくる。果たして吉良吉影はこの謎の生物から逃れることはできるのか!?という展開。

総合評価

4タイトルしかないので、このレビューでは2タイトルだけ。岸辺露伴のネタは『岸辺露伴は動かない』にも収録された作品だったので割愛。しかし作者・荒木飛呂彦は吉良吉影も岸辺露伴も好きですよね。ジョジョリオンにも吉良吉影が登場しますが、一応別人。いわゆるパラレルワールド。でもこの読み切りは話の流れ的には本編の吉良吉影っぽい。

死刑執行中脱獄進行中 ダイ・ハード・ザ・キャット
残りの『ドルチ-ダイ・ハード・ザ・キャット-』のあらすじを説明しておくと、船が難破して遭難した男と猫ちゃんの話。猫の名前がドルチ。でも実はもう一人遭難者の女の子がいたんですが、男がヤッちゃった。しかも女の子を食べようと画策してた。

ただ船が浸水中だから、女の子の遺体は運悪くサメが食べてしまったので「猫 VS 変態男」のバトルが始まっちゃいます。とりあえず、ぬこ強ー!って話。オチを一言でネタバレするなら「フライング・キャット(前田敦子風)」。

10年20年以上前の作品ばかりですが、今読んでも古臭さはありません。絵柄も最近のに近い。吉良吉影や岸辺露伴といった名物キャラを知らなくても混乱なく楽しめます。ただ吉良や岸辺好きなら、おすすめできるスピンオフ。きっと10年後に読んでも古臭さはあまり感じないでしょう。



◯展開★4.5◯テンポ★4
◯キャラ★4◯画力★4.5
◯おすすめ度…85点!!!!

『北欧女子オーサが見つけた日本の不思議』1巻のネタバレ感想。作者はオーサ・イェークストロム。自身のブログで公開していた4コマ漫画を角川書店が書籍化したもの。

スウェーデン女子から見た日本とは?

北欧女子オーサが見つけた日本の不思議1巻1
(1巻)
主人公はオーサ・イェークストロム。スウェーデン(ストックホルム)から日本へやってきた女の子…とは言っても、年齢はアラサー。3年ぐらい前に訪日したという設定。

北欧女子オーサが見つけた日本の不思議1巻2
(1巻)
オーサが日本にやってきた理由が、13歳の頃に母国スウェーデンで観たアニメ「セーラームーン」に衝撃を受けたから。

だから内容はエッセイに近くて、このオーサが送ってる日本での生活がメイン。ありがちっちゃありがちですが、日本とスウェーデンとの生活・国民性の違い、またその戸惑いや驚きをコメディータッチに描いたもの。それをブログへアップロードしたら人気が出て書籍化に至ったらしい。

北欧女子オーサが見つけた日本の不思議1巻 鯨肉を食う
(1巻)
オーサは果敢にもクジラの肉(鯨肉)を食ったりして、それをスウェーデンに帰国して母親に告げると、めちゃめちゃビビられまくります。

ネタはベタ

ウォシュレットに驚くクダリであったり、基本的にネタはベタ。

北欧女子オーサが見つけた日本の不思議1巻 コンビニおにぎり
(1巻)
コンビニおにぎりも正式な開け方に気付くのに半年以上もかかったであるとか、

北欧女子オーサが見つけた日本の不思議1巻 マンガのセリフ
(1巻)
「漫画のキャラクターの話し方は止めましょう」と日本語学校の教師からは注意されたり、目新しさや独自の視点はあまりなくて、オーサというキャラクターがウケてるのかなと思います。ブログやマンガ内でも顔出しされてるようで、実際にキレイなお方。

オーサは意外に下ネタ好き

このオーサは意外に下ネタ好き。

最初は日本女性の「あけすけ」な感じにビビッてたオーサ。何故なら日本女性はお淑やかなイメージがあったから。まさに大和撫子。でも実際に日本女性と接してみると、特に女性ばかりが集まる女子会では「陰毛処理してるかしてないか」というネタで盛り上がったりしてた。一応オーサはしっかり処理なされてる模様。機会があれば是非チェックしてみてください(*´Д`)ハァハァ

こんな日本女性に悪い影響を受けすぎたのか、はたまた眠っていたゲス根性が目覚めてしまったのかは不明ですが、オーサがぶっこんでくる下ネタが豪速球。いや、もうちょっと手加減しようよってレベル。

北欧女子オーサが見つけた日本の不思議1巻 ド下ネタ
(1巻)
男子留学生が女性講師からハンコをもらったとき、「先生のマ◯コはきれいですね」と言ってしまったと大爆笑。日本人だけに限った話とは思いませんが、ほとんど外国語が話せない外国人に対してエグい言葉を覚えさせることはありますが、それとは違って意味を知って発言してるんだろうからオーサもなかなかヤバイ。

北欧女子オーサが見つけた日本の不思議1巻 万年床
(1巻)
オーサは意外に部屋も汚らしくて、万年床をめくってみるとカビだらけ。お前は春香クリスティーンか!なんとなく下ネタぶっこんでくるのも分からなくはないです。

でも考えてみると日本の住宅事情がヒドい。賃貸アパートやマンションでも狭すぎる。あれこれモノを置いていったらどんどん積み重なっていく。だからと言って、すぐ捨てる場所やタイミングもない。結果ゴミ屋敷になっちゃうのも仕方ないと思わなくもないです。…とか必死に擁護しちゃうと、まるで自分の部屋がゴミ屋敷と自白してるようですが(笑)

オーサが外国人美女だからウケてる?

極端なことを言っちゃうと、「オーサが美女だからウケてる」という一言に尽きるかなーと。最近福山雅治が結婚して所属事務所の株価がドーンと下がりましたが、そういうのと同じでオーサが結婚しちゃうと人気がガクンと落ちそう。『中国嫁日記』のように最初から伴侶がいれば別なんでしょうが。

日本マンセー系とまでは言いませんが、ジャンルは若干ホルホル系の臭いはします。実際日本が好きだから来日されたんだろうから、そこにツッコミを入れても仕方ないですが、どうしても媚びてる感じは否めません。だから本人(またそのウラのいる人)がどういう意図で書いてるかは別にして、こういう本の主体はオーサというスウェーデン人よりも「日本」。外国人(単なるハーフ)に日本を褒めちぎらせるというテレビ番組も最近は多い。

あくまで外国人にチヤホヤされてる「日本」を読者は読んでるんであって、所詮オーサは「名無しの可愛いスウェーデン女性」としか認識されていない気がします。もっと言ったら可愛いスウェーデン女性に好かれてる日本カッコイイ、いや日本人である俺が好かれてるグヘヘ…みたいな感じ?

最近カナダ人のアニソン歌手がネットで不満をぶちまけてましたが、「日本はダメだ」みたいなニュアンスを書いただけでめちゃめちゃ叩いてくるネットユーザー(というかネトウヨ)も多い。

北欧女子オーサが見つけた日本の不思議1巻 人種差別嫌い
(1巻)
例えばオーサはマンガ内で人種差別反対と主張。スウェーデンでは外国人排斥を掲げる政党が日本の社民党並に議席を持ってるそう。でもそんなこと言ったら、日本のネット上の差別は世界ワーストじゃね?だからちょっとした表現や言葉一つで「反日扱い」される可能性はなくはないと思うので、危ういっちゃ危ういのかなと勝手に思ってます。

総合評価

キャラクターも可愛らしく、ネタもベタではありますがベタであるがゆえに安定感はあります。全体的にはブログ読者やファンの方が買ってるのかなーという内容。

ただネタ臭い話も多い。例えば下ネタの場面を振り返ってみても、「ハンコがきれい」ってどういう意味?何を思って男子留学生がハンコに対してキレイと言おうと思ったのかが不明。まだ「先生のマ◯コをください」とかだったら言い間違いとして成立してる気はしますが。

他にも、コンビニおにぎりのクダリ。オーサはおにぎりにハマって、その中でもツナマヨが一番好きなんだそう。納豆が嫌い。
北欧女子オーサが見つけた日本の不思議1巻 コンビニおにぎり2
(1巻)
ただ来日当初、オーサが日本語が堪能ではなく、おにぎりの具の名前が分からなかったそう。だからコンビニおにぎりを選ぶのにも、ロシアンルーレット的にハラハラしてたとう話があるんです。

でも「ツナマヨ」は簡単なカタカナの名前。むしろ一番簡単な名前と言ってもよく、そんなに選択に迷うほど難しかった?日本に来るぐらいだからカタカナぐらいは覚えてそう。この日本語力の低さがたった3年前。そんなオーサも今では漢字をブログやマンガの中で使いこなす。え?(笑)そもそも最近はパッケージに写真がプリントされてたり、コンビニおにぎりに納豆って売ってたっけ?という疑問も。

オーサが実母にくじら料理を食べたと報告したクダリも、なかなかウソ臭い。例えば現在では国際的な批判もあって、鯨肉は楽天やAmazonでは取り扱ってない。また鯨肉料理店を探すのも一苦労で、しかも価格は高い。ネットやテレビでワーワー騒がれてるほど、日本で鯨肉料理は浸透してないのが現状だから「鯨の肉を食べた」とサラッと言われても、なかなか信じがたい点はあります。

穿った見方をすればいくらでもできるわけですが、オーサが1人でマンガを描いているというより、背後に誰かがいて協力しながら(or創作しながら)作ってるかなーという気はしました。

北欧女子オーサが見つけた日本の不思議<北欧女子オーサが見つけた日本の不思議> (コミックエッセイ)
オーサ・イェークストロム
KADOKAWA / メディアファクトリー
2015-03-06


◯展開★3◯テンポ★3.5
◯キャラ★4◯画力★4
◯全巻大人買い★3.5
◯おすすめ度…77点!!!!

『カラダ探し』1巻から8巻のネタバレ感想。原作はウェルザード、作画は村瀬克俊。少年ジャンプ+で配信中のホラー漫画。出版社は集英社ですが、エブリスタで配信してる同名の原作小説をコミカライズ化したマンガらしい。

今回は『カラダ探し』が面白いかつまらないか考察レビューを書きたいと思います。内容が結構怖いので苦手な方は注意。


あらすじ・ストーリー

主人公は普通の高校生6人。ただある日、遥という同級生に「私のカラダを探して」と頼まれる。でも言葉の意味を全く理解ができない6人。確かに遥は五体満足で普通に生きてるので、セリフと状況が合致してない。

そこで翔太という男子生徒がある怪談話を思い出す。それが放課後の校舎に現れる『赤い人』の話。『赤い人』を見た者は校門を出るまで決して振り返ってはいけない、もし振り返った者は肉体を八つ裂きにされて校舎に隠される。

そして八つ裂きにされた者は翌日みんなの前に現れて、自分のカラダを探して欲しいとお願いする。頼まれた側は拒むことはできない。カラダ探しの最中にも『赤い人』は現れる…というもの。つまり既に遥はこの世のものではない。

不気味なまま一日を過ごす6人だったが、深夜12時を迎えた瞬間、気付くと全員が校舎の外に集まっていた。そして、遥と思しき隠された肉体を全て見つけるハメになるものの、その間にも『赤い人』が襲ってくる。全ての体の部位を見つけるまで、延々と同じ日がループするという展開。


とにかく遥の表情が怖い

とにかく遥が怖い。肉体は一日で発見することは不可能なので、何回も何回も「昨日」という一日をループする。つまり毎日のように遥が「ワタシのカラダを探して」と懇願してくる。これが夜中学校へ強制的に集めるための一種の合図になってたりもします。

だから、みんな学校にいるときはビクビクしまくり。そこで明日香というキャラクターが教室で前の方に座ってる遥をチラッと見る。ちなみにクラスの同級生なので、こういう状況ではあっても一緒に授業を受けてる。
カラダ探し1巻 遥
(1巻)
そしたら遥は首だけグルンと曲げてコッチを見てくる。何回かあって、時には髪の毛がフワッと浮くぐらい勢いよく首を回す。コエーよ!!「だるまさんがころんだ」やったら絶対勝てへん。しかも明日香以外の生徒も教師も気付いてないのが尚怖い。

そこで6人は考える。遥が話しかけてくるから悪いんだ。つまり遥をヤっちゃえばいいんだ。そして翔太というキャラがその役割を負う。結果的には屋上で遥を…
カラダ探し2巻 遥
(2巻)
でも全然余裕で依頼しに来ちゃいまーす!全く焦点があってませんけど問題ナッシングでーす!

一応ループするとは言っても、肉体の一部を発見するごとに状況が少しだけ変わって、厳密には「昨日」ではない「昨日」が始まります。後述しますが『カラダ探し』はストーリー性もあって、意外に見所はホラー要素だけではありません。

だから今までは教室内で遥が「ワタシのカラダを探して」と話しかけてきたのが、ある時を境にパタッと止まることがある。じゃあ学校内で話しかけない日は、遥は一体どうするのか?
カラダ探し3巻 遥・布団の中からこんにちわ
(3巻)
布団の中から現れちゃいまーす!!THE神出鬼没でーす!あるキャラクターにはお風呂に入ってる最中に遥が登場することもあります。とりあえず黒目デケーよ、っていう。普通は黒目をデッカクしたら可愛くなるもんなんですけどね。


背筋が凍る赤い人との隠れんぼ

でも遥は所詮案内役に過ぎない。本番は学校内に隠された遥の肉体を探すこと。ただ前述のとおり、肉体を探してる間に明日香といったキャラクターを襲ってくる存在が「赤い人」。厳密には「赤い少女」。

カラダ探し1巻 赤い人
(1巻)
少女とは言っても、めっちゃ怖い。そして、めっちゃ強い。武器は持っておらず、ひたすら素手で引きちぎっていく。この「赤い人」は何か喋るわけではないものの、いつも同じ歌を歌いながら襲ってくる。この歌詞も怖い。一応この歌を歌い終わるとゲームオーバー。「口」の描写を見ると、やたらと楽しそう。

カラダ探し2巻 赤い人
(2巻)
キャラクターが部屋に閉じこもっていたとしてもすぐ発見して、ドアをガチャガチャやりまくり。コエーよ。やたらと身体能力も高いので全然逃げられる気がしない。

この「赤い人」も神出鬼没。基本的に走って襲ってくるものの、放送室の中の人が指示した場所へ瞬間移動することも可能。逆に言うと、放送室から流れてくる音声を頼りに「赤い人」の現在位置を把握することも可能。
カラダ探し2巻 放送室の中の人・伏線
(2巻)
じゃあ「放送室で喋ってる奴は誰なの?」というのもストーリーの伏線としてはあります。『カラダ探し』というゲームの首謀者に近しい人物であることに違いはなく、明日香というキャラクターは見覚えがあるという前フリもあるので、今後の展開には期待したい所。

カラダ探し2巻 赤い人・放送室
(2巻)
ただ放送室の中の人を暴こうとしたら、速攻で赤い人を背後に瞬間移動させちゃうわよ(笑)

赤い人はコッチが振り向きさえしなかったらしがみついてくるだけ(それでも怖いw)なんですが、振り向いたらめっちゃシバカれる。それにも関わらず、放送室の中の人は「振り返って確認してください」という無慈悲な命令を明日香に与える。

「赤い人」との鬼ごっこはひたすらスリリング。特別新しい設定を用意してるわけでもなく、展開としてありがちなものの、キャラクターたちの「追いつめられてる感」を描くのが上手い。遥も然り、怖い描写がシンプル。見開きページいっぱいを使った、顔ドーンとかヤバイ。あまり遥や赤い人をゴチャゴチャと装飾させてないのが良いのかも。


背景にある事件とは?

でも闇雲に襲ってくる→逃げる→探すという展開じゃなく、これらの背景には「ある事件」が関係している。

カラダ探し3巻 赤い人・小野山美子
(3巻)
それが50年前に起きた、小野山美子という少女が被害に遭った事件。誰が見ても赤い人が小野山美子。

この少女・小野山はバラバラにされて、その肉片は学校に隠された。でも実は奇怪な事件だった。犯人と思しき山岡泰蔵は知的障害者。しかも事件後に自分で命を絶った。動機や目的も不明。

そもそも小野山という少女がバラバラになったとしても、結果的に探してる肉体は遥のカラダ。整合性が取れない。世の中に対する復讐を兼ねてるのだとしても、ちょっと分からないことが多すぎる。それに放送室にいる人物が誰なのか?という疑問も解消されない。

カラダ探し4巻 健司
(4巻)
最新4巻では、仲間だった健司も「赤い人」化して襲ってくる。まさに四面楚歌状態。ただ二人はタッグを組むのかと思いきや、健司は赤い人にヤラれてしまう。だから赤い人化したとはいえ、健司は赤い人の仲間ではない。

この理由はまだ不明ではありますが、やはり小野山美子の事件が関係してる。犯人と思しき山岡泰蔵には、雄蔵という兄がいた。むしろ弟・泰蔵は温和な人間で、兄・雄蔵に毎日ひどく虐げられていた。だから兄・雄蔵に弟・泰蔵は暴行の末にころされ、小野山美子は偶然その場面を見た。結果、口封じのためにバラバラにされた。

つまり、兄・山岡雄蔵が全ての真犯人。そして、この山岡雄蔵が実は健司の祖父。だから健司が赤い人化して壊れたのも理由があった。だから上質なホラー漫画にありがちなストーリー性もあるので、意外にグイグイ読めちゃう。


総合評価


『カラダ探し』の感想をまとめると、とにかく怖い。むしろ「怖すぎる」のが欠点なぐらいで、小学生が見たらきっとトラウマモノ。遥は案内役は分かったから、いちいち登場するなと言いたい。わざわざ学校へ毎回連れて行ってくれる親切心が激しくウザい(笑)

だからと言って、意外にストーリー性やサスペンス要素があるので飽きずに読める。
カラダ探し3巻 八代先生
(3巻)
八代先生という謎の人物が絡んできたりもするんですが、誰が見ても遥と「同じ目」をしてる。果たしてウラで手を引いてる敵なのか?赤い人の謎を知る味方なのか?という前フリもベタ。それでも不思議に読めちゃう。

カラダ探しというゲーム性と謎解き要素が同時に進行してることが大きく、しっかりゴールに向かってる感じがイライラもやもやさせずに読める原因かなと勝手に推察します。

ただ7巻以降は第二夜・第二章が始まる。ネタバレしておくと遥のバラバラになったカラダを全部集めることはできたんですが、今度は森崎明日香が呪いにかかってしまう。そして森崎明日香のカラダ探しが始まる。相島美雪という新キャラと共に伊勢高広が…ってことなんですが露骨に引き伸ばし感が強い。最近の展開が少しダレて「つまらない」と思わなくはありません。

『甘々と稲妻』1巻から5巻のネタバレ感想。作者は雨隠ギド。good!    アフタヌーン(講談社)で連載中の育児マンガ。


犬塚つむぎという5歳児

主人公は犬塚つむぎ。母親を亡くしたばかりの5歳の女の子。父親である犬塚公平がこれから一人で育てていくことになる。ただ職業は高校教師ということで多忙を極め、つむぎにご飯を作ってやれない日々が続く。でもある日、娘・つむぎが空腹のあまりにテレビの料理番組にかじりついてる光景に出くわす。

これじゃあイカンというときに出会ったのが、教え子の飯田小鳥。母親は割烹料理店か何かを経営していたものの、料理研究家としての仕事が多忙を極めたたため、そのお店を開かない日々も増えた。

甘々と稲妻2巻 飯田小鳥
(2巻)
そこで犬塚公平と娘・つむぎに対して、一緒にご飯を食べませんか?と飯田小鳥が提案。理由は後々明らかになりますが、包丁を握るのが怖いから犬塚公平に料理を作らせようとしてた。そこから犬塚家と飯田小鳥がほっこりした夕食を囲むようになり、「あったか食卓ドラマ」が展開されるそう。


つむぎの表情としぐさ

「あったか食卓ドラマ」ということですが、やはりメインは娘・つむぎ。幼児の仕草や突拍子もない行動で笑いを取っとけ。ざっくり言ったら、そんなことです。

甘々と稲妻2巻 犬塚つむぎの美味い表情
(2巻)
美味しい料理を食べた時のリアクションが「なんっじゃ…こりゃあああ」と松田優作ばり。

甘々と稲妻4巻 サンタVS犬塚つむぎ
(4巻)
クリスマスに初めてサンタさんと出会った時の表情が、まさに目が点。それもそのはず。サンタ役のキャラクターはお面を被ってるので終始無表情。しかも喋らないので、色んな意味でつむぎが呆然として当たり前。

甘々と稲妻5巻 難しいスパゲッティ名1
(5巻)
最新5巻だと、やたらと難しい名前のスパゲッティが大好きな年下の女の子と仲良くなる。でも、つむぎはカッコつけて「私も知ってるし、食べたことあるし」と強がってしまう。要するにウソをついちゃう。そりゃあ大人でも聞いたことがない人も多そうですが、幼児ほど正義感が強かったりもするので、つむぎは罪悪感で押しつぶされそうになる。

甘々と稲妻5巻 難しいスパゲッティ名2
(5巻)
そこで父・公平に「パッ、パルッ、パルッ…パルのやつを食べさせてぇー」と泣きながら懇願する。大げさっ!!でも、こういう場面を見たら、どんどん幼児をからかいたくなっちゃうのは俺だけ?(笑)

甘々と稲妻1巻 吉田沙保里も真っ青のブリッジ
(1巻)
ちなみに、つむぎの身体能力は女子レスリング・吉田沙保里ばり。駄々をこねてる最中なんですが、ブリッジのパワー感がハンパない。子供は首が座って間もない気もしますが、それにしても圧倒的な首のチカラ。

甘々と稲妻1巻 犬塚つむぎの表情・自炊の良さ
(1巻)
作者・雨隠ギドは幼児の表情を描くのがまあまあ上手い。例えば画像のコマであれば、久しぶりに美味しい料理を食べたつむぎの表情。これを見たことで父・公平は「アカン!俺自炊せな!」と決意するわけですが説得力がある。愛娘にこんな表情されたら父親として感情が揺さぶられるのも、実際に子供がいない読者でも理解はできます。

甘々と稲妻1巻 犬塚公平・女が好きそうな表情
(1巻)
あと父親である公平の表情は、いかにも女性読者が好きそう。黒縁メガネの優男が口元に手をヤって、照れを隠しながらも浮かべる嬉しい表情。いかにも狙ってる感がなくもないですが、『おとりよせ王子飯田好実』の主人公が好きだったらきっとキュンキュンできそう。


母親を亡くした悲しみ

ただ笑いよりも泣きの展開の方が、個人的にはグッと来た。

何故なら、つむぎは言っても5歳児。母親の死を理解できてるのか理解できてないのかやや不明。例えば、冒頭でも書いたテレビの料理番組にかじりついてたクダリ。ここでつむぎは「ママにこれつくってっておてがみして(1巻)」と言ってる。

不意に悲しみが襲ってくることもある。それまではコミカルに描かれていたつむぎが、ふと見せる涙が切ない。
甘々と稲妻3巻 犬塚つむぎの悲しみ・腕の感じ
(3巻)
腕をぴーんと張った泣き方がいかにも子供らしいというか、全身を使って悲しみの大きさが表現されている気がします。やっぱりまだまだ5歳の女の子なんだと感じさせます。

でも『甘々と稲妻』最新5巻では、つむぎも成長を見せる。同じ幼稚園にいる「すぐる」という男の子の母親が出産することになった。ただなかなか難産らしくて、ずっと入院してる状態。すぐるのパパも気が滅入って疲労困憊。当然状況がイマイチ把握できないすぐるは、更に精神的に不安。

だから、つむぎが一緒に夕飯を食べようと誘ってあげる。ただ、すぐるはつむぎの母親の遺影をうっかり見てしまう。そこでこれまでに溜め込んでいた感情が一気にブワッと出てきて号泣。「ぼくのおかあさんもしんじゃうんだ」というセリフを聞いたつむぎは、それに釣られて自分の母親のことを思い出す。

甘々と稲妻5巻 犬塚つむぎの強がり
(5巻)
でも涙を必死にこらえながら、すぐるを元気付けようと頑張ってる姿が健気すぎて泣ける。コメディータッチな描写が多いものの、実は切ないしっとり系の方がパンチ力は大きい。また不意に来るってのが、カウンターパンチ的に威力を高めてます。

総括


育児マンガというジャンルが正しいかは一先ず横に置いておいて、小さい子供が登場するマンガが好きならどうぞ。もちろん変な意味ではありません。

大人が考えた「作り物の子供像」の域を出てない気もしますし、笑いの勢いやキャラクターの濃さでは『よつばと!』より劣るとは思いますが、「ほっこり」や「あったか」というテーマを考えたら全体的にはしっくり来ます。あまりリアルのガキっぽく描きすぎても、それはそれで好みは分かれそうですが。

甘々と稲妻5巻 飯田小鳥の父
(5巻)
最新5巻では飯田小鳥の父親が登場します。犬塚家がメインディッシュだとしたら、飯田小鳥は添え物あたりか。

ちなみに甘々と稲妻が面白いか考察した記事はレビュー済みですの良かったらどうぞ。

『東京タラレバ娘』1巻から3巻のネタバレ感想。作者は東村アキコ。Kiss(講談社)で連載中のラブコメ漫画。

あらすじ

主人公は倫子(りんこ)。インターネットドラマなど細々とした脚本家。そして彼氏は絶賛募集中。年齢は気付いたら33歳。スマートフォンのフリック入力はギリできないお年ごろ。でも精神年齢だけは若いまま。

東京タラレバ娘1巻 振り遅れる倫子
(1巻)
ただ実際には周囲の環境も変化して、自分の美貌や体力や感覚的なものもどんどん鈍り、いつの間にか恋愛は三振ばかりを繰り返すアラサー女。でも厳密には33歳はギリギリアラサーではないと個人的には思ってて、だから「まだ20代後半よ」的なノリでアラサーを連呼してる倫子がやたら痛々しく見えます。

そんな結婚できない女が「自分が今よりキレイになっ【たら】、イイ男と結婚できる」「でも、その前に自分がその男を好きになれ【れば】だけど(笑)」などとブツクサと言い逃ればっかして、未婚女子同士で集まっては傷を舐め合い、いつまでも結婚できない話を作者・東村アキコがコミカルに描いてる漫画。

東京タラレバ娘3巻 ゆるキャラ
(3巻)
ゆるキャラっぽいのが登場して、毒舌気味にキャラクターにツッコんでいきます。単行本では悩み相談らしき企画もありますが、基本的に解決はしません(笑)

東京タラレバ娘1巻 実在するまぐちかさん
(1巻)
東村アキコらしいと言えばらしいですが、実在する女性をモチーフにネタにしてる模様。彼女らの許可をもらったのかどうかは知りませんが、変にキャラクター設定にリアリティーはあります。

他にはネイルサロンを経営してる香(かおり)。美人でスタイルがいいものの(年齢の割に)、バンドマンの元カレと再開後は二番目の女として活動中。小雪(こゆき)は居酒屋の娘は好きになった男性が既婚者。二人もご多分に漏れずに、実らない恋愛を絶賛送っている最中。

東京タラレバ娘1巻 モデルKEY
(1巻)
ストーリーとしては、若いイケメンモデル・KEYに彼女たちが翻弄され罵倒され、自らの置かれてる状況の切迫さを認識しつつも、やっぱりどこか浮かれたままで危機感がなく、まともな恋愛ができずに苦しむ姿が描写されます。KEYは東村アキコが韓流ドラマ好きということで、ルックスがいかにも韓国系。でも多分気のせいではありません。

恋のやり方を忘れた倫子たち

倫子は仕事一筋の20代を送ってきたせいか、ほとんど恋愛はしてこなかった。でも見た目のルックスはそこそこ可愛らしく、「頑張ればいつでも恋愛できちゃうよ」と勘違いしちゃいがち。でもいざ恋愛を始めようとしても、始め方が分からない。友達作りでも言えるかも知れませんが、最初がなかなか難しい。

ただ倫子にも久しぶりに彼氏ができる。しかもイケメンで優しい。映画の趣味も合う。そして筋肉質で夜の方では初めて女の喜びを感じちゃう。なんだ倫子はやれば出来る子じゃん…
東京タラレバ娘3巻 倫子の彼氏
(3巻)
とその彼氏は何の欠点もないかと思いきや、映画に出演する女優と倫子を強烈に重ね合わせてる。倫子はセリフを放ってませんが、表情から「え?何言ってんのこの人」という心の声が聞こえてきます。まさに「斜め上からの展開」というやつで、これがマンガなら冨樫博之並に賞賛されるんでしょうが、リアルで出会ったら一番対処に困りそう。

「運も実力の内」とは言いますが、倫子さん男運が全然ありませんでしたー!!

東京タラレバ娘1巻 壊れる倫子1
(1巻)
そりゃあ元カレ・早坂が幸せになろうとしてるのに「ザマアミロ」とか言ってる女に幸せは訪れません。

ちなみに、その大学時代に付き合っていた元カレ・早坂はいつの間にか出世。そして自分が働いている事務所の後輩のピチピチギャルに一目惚れ。でもピチピチギャルには既に彼氏がいる、それを知って勝利を確信してる場面がさっきの画像。

東京タラレバ娘1巻 後輩が元カレ早坂と付き合う
(1巻)
ただ実際の結末は、そのギャルが軽いノリで元カレ・早坂と付き合っちゃいます。倫子ざんねーん!少し同情できなくありません。

東京タラレバ娘1巻 壊れる倫子2
(1巻)
倫子が持ってる唯一の武器が貯金。切ねえ。でも30代の貯金額なんてたかだか知れてるでしょうし、リアルとフィクションを混同しちゃってる彼氏を金銭で解決することはできないでしょう。ちなみに、その彼氏とのクダリは4巻以降にまたぎます。もうイヤなフラグしかピンコ立ちしてませんが、東村アキコは一体どう料理してくれるんでしょうか?

東京タラレバ娘2巻 小雪と既婚者
(2巻)
倫子以外の2人のダメ女っぷりをかいつまんで紹介しておくと、小雪が好きになった男性は既婚者だった。しかも、3巻で子供もいたことが告げられる。

男が黙っていた理由は、「だって子供がいるって言ったら付き合ってくれなかったでしょ?」。子供っぽい理屈だったので小雪はやや唖然とするものの、「もうコイツったら!そこまで私のことを…(笑)」と内心は嬉しい小雪。

そして「バカ、ウソつき、大嫌い」とつぶやきながら、自分から既婚男性に何度もキス。まるで90年代トレンディードラマ風のテンポ感。牛丼風に表現したら、「うまい、安い、早い」の三拍子。ふぅーー!小雪の恋愛偏差値、絶対Fランク大レベルぅぅーー!ふぅーー!

東京タラレバ娘3巻 香が追い出される
(3巻)
ネイルサロンを経営してる香は元カレのセフレ要員として活動してるわけですが、本命の彼女が帰宅するとソッコー追い出される。「ピアスとか落としてないよな?」という元カレのセリフが切なさを倍増。本当にこんなアホな女がいるの?と疑問に思ってしまうぐらいベタな設定。東村アキコがモチーフにした女性が実際にいるようなので、こんな都合の良い便器ちゃんがいるもよう。是非誰か紹介してください。

アラサー女子が結婚できない理由

そもそも年齢を取ったら結婚しにくくなる理由は至って簡単。何故なら、周囲が結婚するから。男とか女とか限った話ではなく、自然と選択肢が消えていく。だから同世代かそれ以上の恋人を探そうとしても、意外に恋愛対象・結婚対象となる異性がいない。

例えば30代男の立場で考えてみても、同世代の女性を探したとしたら東村アキコのように子連れのシングルマザーということもザラ。正直付き合うだけだったらまだしも、結婚相手として考えたら敢えて選ばなきゃいけないメリットをつい考えてしまう。

中でもマンガに登場するような、若い頃は少しチヤホヤされてた、ブスではないそこそこの女は色々とこじらせすぎててヤバイ。土台は決して悪くないから、基本的にモテないわけじゃない。しかも年齢を重ねるに連れて、社会的地位は男と台頭かそれ以上になってくる。人生経験の分だけ、ムダに人を見る目だけは肥えてくる。それ故に自分が求める男に対するハードルも上がってしまう。

とはいえ、あくまで社会人として成長してるだけに過ぎず、恋愛経験という点では、倫子という主人公然り、ほとんど経験値が積み増されてない。もし恋愛経験値をガッツリ稼いでるようだったら、そもそも結婚してるっつー話ですから。社会的地位の高さから自分はまだまだ若いと錯覚して、むしろ「自分が女性としても魅力がアップしてる」とすら思い込もうとする。

また女性は男性と違って、相手に社会的ステータスや経済力も求めてしまいがち。男だったら無職女性でも全然問題ないわけですが、無職男性を求める女性はまずいない。いくら社会的地位が高くなっても、女性はお姫様願望を捨てることはできない生き物。そりゃ結婚できんわなって話。

もちろん「年齢」という武器は30代になったからといって、急激に目減りすることもないですが、少なくとも年齢の中身やスペックは変質はしてる。例えば、20代が「剣」だったとすると、30代は「杖」みたいな感じ。だから剣のノリで敵(男)をガツガツ攻撃しても、実際は杖程度の攻撃力だから全然オトコに効かねぇっていう。20代前半のノリで来られても、多分なんだよこのBBAって話ですから。

余談

そういえば結婚できない女で思い出したのが、今年か去年に放送された深夜のドキュメンタリー。50代で認知症を発症した女性の話。

この女性は結婚願望がめちゃめちゃ強かった。でも偶然知り合った男性と同居をするものの、30代から認知症を発症するまで結婚してくれなかった。男性的には「別に結婚なんて…」というタイプだった。何度か結婚のことで大げんかしたそうですが、それでも最後の最後まで結婚することは頑なに拒否。男性が同居を始めた理由が「独りで済むのは寂しいから」。それで女性とは結婚しないんだから、とんでもない利己的。

そして気付けば認知症になっちゃった。さすがに男性も罪悪感に襲われて、これから介護もしていかなきゃいけないということでやや義務感からようやく結婚する。ただ認知症を発症してるので、最終的に女性は自分が結婚してることすら覚えてない。切ねぇ。

女性は最初自分が結婚できるもんだと思ってたので、そりゃあ男に同居しようと誘われたら誰でも思う、これまで買い溜めていた食器類とかを大量に男性宅に持っていく。出産育児だってする気満々だったので、子供用の小さい食器類とか諸々。

ただ介護のためか引っ越しせざるを得なくなる。当然、女性が持ってきた食器類は不要。そこでゴミとして捨てるため運びやすいように、その大量の食器類をバリンバリンと次々と割っていく。この音を聞いてる時に浮かべてる女性の苦悶の表情がこれまた切ない。最初は認知症は軽度だったので、周囲の状況は少し理解できてる。

一応結婚届は出したものの、「お前は幸せな結婚生活を歩むことができなかったんだぞ!」という現実を視覚的聴覚的にグサグサと突き刺せられる様は泣けてきます。実際子供も何も残せず、最終的にジワジワと女性は死んでいく。多分、タラレバ娘もこんな末路を歩むんだろうなーと思いました。

総合評価

東村アキコが身近な未婚女子をモチーフにしてるだけあって、リアルに痛い女性が登場。「今でもアイツは俺のこと好きなんじゃね?」という錯覚は男でもしがちですが、アラサー女の場合、それがすぐ『結婚』に結びつくのが重すぎて怖い。むしろ結婚したいが余りに見せてしまう妄想に、このまま大人しく成仏してくれ…と拝みたくなる。

また「たられば」で逃げるのは恋愛面だけじゃなくて、仕事面でもありがち。だから途中でおそらく東村アキコの「仕事論」も展開されますどっかのまとめブログで正論すぎ!と取り上げられてた気がします。

テイスト的にはマキヒロチの『いつかティファニーで朝食を』に似てますが、こちらの『東京タラレバ娘』はギャグテイストという逃げもあってか、細かいツッコミ自体はあまりされてない模様。

そういえば浦沢直樹が司会・演出を務めるNHKの番組に、作者・東村アキコが登場してたので何となくレビューしてみた。この番組は漫画の製作現場が垣間見れる貴重な番組。

定点カメラが製作現場にアチコチ配置されてて、漫画家の手元が映ることもあるんですが、東村アキコのお手手が想像以上に丸々としててプニプニ感がハンパなかった。まるでドラえもんのようで、無性にニギニギしたくなった。東村アキコの握手会があれば是非足を運んでみたいと思います(`・ω・´)ゞ



◯展開★3◯テンポ★4
◯キャラ★4◯画力★4
◯全巻大人買い★4
◯おすすめ度…84点!!!!

『ヒナまつり』9巻のネタバレ感想。作者は大武政夫。ハルタ(角川書店)で連載中。ヤーさんの新田と超能力少女・ヒナのなんでもない日常を描いたギャグ漫画。

アンズは良い子ちゃんの巻

ヒナは学校のスキー教室で新田の家を留守にする。一方、アンズ(同じく超能力少女)は住み込みで働いてるラーメン屋の夫婦が旅行。ただ一緒に付いていくことはなく、久しぶりの夫婦水入らずだから気を使って、新田の家へしばらくおせっかいになることになった。

ヒナまつり9巻 アンズ3
(9巻)
でもアンズはめっちゃ良い子。わがままは一切言わない。新田の家事のお手伝いはしてくれるし、一緒に遊園地がどっかに遊びに行っても二人で楽しもうとしてくれる。なんてええ子や。

ヒナまつり9巻 アンズ2
(9巻)
それ故に新田はヒナとの違いに怒りがこみ上げてくる。ただラーメン屋の夫婦に敵意を向けるのはお門違いも甚だしい(笑)

それもそのはず。アンズはテレビを観ても素直に「面白ーい」と楽しんでくれるところ、
ヒナまつり9巻 アンズ
(9巻)
ヒナは鼻をホジホジしながら、「ハハッ!しょーもな!」とオッサン丸出し。股を閉じなさい股を!こういうブツクサ言ってる奴に限って、テレビを毎日かじりつくように観てる不思議。

だから新田はアンズをヒナのように自堕落で、どうしようもない超能力少女にしようと画策。ラーメン屋夫婦にも自分と同じ苦痛を与えてやろうと、アンズを様々な方法で誘惑していく。でもアンズの純真さは微塵も揺らがない。これぞピュアガール。でなきゃ、コツコツとホームレス生活も送ってません。ちなみにアンズはラーメン屋夫婦に引き取られる前はホームレスやってました(笑)

ヒナまつり9巻 アンズ4
(9巻)
最終的に新田は諦めて、アンズの純真っぷりに身を委ねる。そのときの描写がまさに天国と地獄。まさにアンズには「父親の理想郷がここにはある」んだそう。つか、サッカー日本代表の「絶対に負けられない戦いがここにはある」的に言ってくれてんじゃねーよ。

しかし、父親の理想郷に浸っていられたのもつかぬ間。夢が覚めて現実がやって来る。ただアンズが無事ラーメン屋さんの夫婦の元へ帰った後、学校から新田の元へ電話がかかってくる。
ヒナまつり9巻 アンズ6
(9巻)
まさかの冬山でヒナが遭難。新田、ムダに状況を飲み込むのが早すぎ。もっと驚けよ。「なるほど」というセリフは、多分こういう時に使うべきではない。

その冬山遭難シーンは割愛しますが、このときにヒナが超能力を使えることがバレます。というか超能力を使わないと事態を乗り切れません。オチは新田とアットホームな終わり方?

3年後にストーリーが進行するの巻

そして時間軸がいきなり3年後へ進行。ヒナまつり8巻に登場したマオという超能力女が再登場。一度無人島に遭難したものの、ココナッツの実を使ってヒナとアンズの人形を作っていた女。ようやく日本へ帰国することができます。

ちなみにマオはこの3年間何をしていたかというと、中国にある拳法の寺で客寄せパンダとして働かせられていてた。
ヒナまつり9巻 マオ(ジャッキー・チェンのやつ)
(9巻)
でもヒナとアンズはやっぱり人形。無人島に遭難したときはココナツの実だったので、ちょっと進化。つか、これジャッキー・チェンが修行でやるやつー!ヒナとアンズをボコボコにしちゃダメ。

このマオを救ってくれたのが、昔ヒナを使って一世風靡したロック歌手。マオの超能力を体感した時に「これこれー!」と叫ぶシーンが激しくウザい。ただ拳法の寺からしたら客寄せパンダを失うのは経営的に痛い。

だからマオの日本へ帰国させないように必死に止めようとするものの、
ヒナまつり9巻 マオ4
(9巻)
マオは「私の力で門下生は増え、月謝の額もかなりのなったはず。恩は返せたものと思っています」とめちゃめちゃ冷静!アホのくせに現実的。だから拳法のトップ・師父もぐうの音も出ない。

ちなみにマオは心の中で、この師父のことを「シワシワツルツル」と呼んでる。相反する擬音語にも程がある。あと「気が触れてる」というギリギリ攻めまくったワードを多用しすぎ(笑)

結果的に日本への帰国を許されるものの、師父からは「日本に支部を作ることを許そう。とにかくお客をいっぱい入会させるのだ」と強要される。しかもマオは快諾。やっぱりコイツアホ!というか、師父もお金にガメつすぎだろ!搾り取れるだけ搾り取ってやろうという魂胆がえげつない。中国社会の闇を見た気がします。

新田、一般社会に溶けこむの巻

『ヒナまつり』のストーリーは本当に3年後に時間軸が移動します。つまり主人公・ヒナは中学1年生から高校1年生に成長。少しぐらいは成長してるのかと思いきや、全く成長してません。

ヒナまつり9巻 ヒナ
(9巻)
お風呂を沸かすためだけに超能力を使って、新田をリビングまで連れてくる。そして、そのままお風呂へ新田を飛ばす。冷静に考えたら、その能力を使って直接お風呂の沸かせられるやん!二度手間もいいところ。

二人はかつて住んでいた高級マンションを追い出される。昨今はやはりヤクザ屋さんに対する風当たりは強い。そこで一軒家に引っ越しするものの、近隣住民には悟られないようにエリートサラリーマン風を装う。
ヒナまつり9巻 ヒナ4
(9巻)
すっかり父親役も板についている雰囲気。ヒナを育ててる時点で一般人として生活すりゃあいいじゃん、と思わずアドバイスしたくなるぐらい適応能力が高い新田。

ただあまりに市民生活に溶けこむ新田に不安を覚えたのが、お仲間さんの組員たち。有能な新田に組を逃げられたら、もう山口さんちのツカサ君どころじゃないよ~ってことで取った手段があまりに残忍。
ヒナまつり9巻 ヒナ5
(9巻)
新田が近所の家庭と仲良くBBQをしてる最中に、一斉に黒服姿で乗り込む。車はもちろんベンツのメルセデスちゃん。そして「新田さんはみんなの憧れです!」と、何故か小学校の卒業式で在校生がやってる復唱で褒め称える。これじゃあ、新田も自分がヤクザであることを認めるしかないよ~っていう(笑)

ヒナまつり9巻 ヒナ3
(9巻)
その間、イクラを焼き肉で巻く。冨永愛と三角関係で揉めた創作料理家がいましたが、それを髣髴とさせるグロテスクさ。「子供には分からない味だよ…こいつの可能性にはね」とドヤ顔ってるんですが、おそらく可能性の奥行き感は1mmもないはず。多分野良犬ぐらいしか分からない味かも。

総合評価

『ヒナまつり』は何故か3年後に時間軸が進みます。ヒナのキャラクターは12・3歳だったから成立してた笑いという気もしますが、果たしてこのことが吉と出るか凶と出るのか?

そもそもヒナはどうやって高校に入学したんだと。中学校の中間試験では超能力を使ってカンニングしまくり。アンズは正義感が強いので、ちょっとしたバトル展開まで発生(『ヒナまつり』8巻参照)。偏差値は視力検査並のはずだから、絶対自分の力では受かってない。10巻以降で明らかになるのかも?

またヒナが成長してるということは、当然アンズや瞳ちゃんたちも成長してるということ。心底幸せになっていて欲しいと願うばかりですが、真面目なアンズはラーメン店を二店舗ぐらい経営してるかも。

個人的に気になるのは、瞳ちゃん。この9巻ではバーテンに訪れたお客のために、新田の組員たちを使って情報収集を代わりにしてあげる。そのお客は瞳ちゃんの気を引くためウソをつきすぎて、いつの間にか両親を死に追いやったヤクザを追ってる設定になってた。瞳ちゃんはそれを信用した。
ヒナまつり9巻 瞳
(9巻)
でも瞳ちゃんの組事務所に入る姿が板につきすぎ。組員たちが次々と頭を下げる風格がエグい。それだけの実績がある。しまいには米兵の下で培った銃の扱い(8巻)を披露。極道の妻ならぬ「極道のJK」になってたりして?もうただただ嫌な予感しかしない。3年後にストーリーを進めるために、8巻ではわざわざ渡米までさせたのかも

今後の展開がどう描かれるか知りませんが、ギャグマンガというジャンルもあってか、こういう変化があると連載終了の匂いがしないでもないです。もし連載が続くとしても、このままキャラクターが成長していって「母親になったヒナ」とかを描写されても見てられないですけどね(笑)



◯展開★3.5◯テンポ★5
◯キャラ★5◯画力★4
◯全巻大人買い★5
◯おすすめ度…87点!!!!

『インベスターZ』1巻から9巻のネタバレ感想。作者は三田紀房。モーニング(講談社)で連載中の投資漫画。インベスターZ最新10巻が9月23日に発売されたので記事化。

あらすじ

舞台は北海道にある道塾学園という、全国屈指の中高一貫校。しかも入学金ゼロ、授業料もゼロ。何故こんなことができるのか?
インベスターZ1巻 神代圭介
(1巻)
それは裏で学年トップの生徒たちが株や投資でお金儲けしてるから。元手は学園が保有してる3000億円の資産。そこで得た利益が他の生徒たちの授業料の原資といった、道塾学園の運営資金になってる。画像は投資部の部長・神代圭介。高校3年生。

インベスターZ1巻 財前孝史
(1巻)
主人公は中学1年生の財前孝史。大の負けず嫌い。道塾学園に学年トップとして入学。最初は野球部に入部しようと考えていたものの、あれよあれよという間に「投資部」に入部させられる。最初は株に半信半疑で疑問を抱きながらも、次第に投資の魅力にハマっていくというストーリー。部長・神代圭介に憧れという感情と共に、ライバル視している。

だから漫画タイトルは「インベスター=投資家」というそのまんまの意味。「Z」は主人公・財前孝史の苗字の頭文字。ちなみに「インベスト(invest)」は動詞で「投資する」という意味。

最新刊までのストーリーを先にネタバレしておくと、道塾学園を創設したのは藤田金七という資産家。時代は100年以上前に遡って、多分明治時代ぐらい。そして投資部を創設したのが、財前龍五郎という生徒。苗字から察することができますが、主人公・財前孝史の曽祖父。

一方、藤田金七の来孫(玄孫の下)にあたるのが藤田慎司。現藤田家当主の孫。その藤田家当主が金七の孫なので、相当歴史が長いっちゃ長い。ただ藤田家の資産をずっと赤の他人が運用してるわけですから、藤田金七の血を引くものとしては面白くない。
インベスターZ9巻 財前孝史VS藤田慎司
(9巻)
だから藤田家の資産を自分が運用したいと言い出す。つまりイコール投資部の廃止と直結。そこで二人は投資部の存廃をかけた勝負を行う。短期間(1~2ヶ月)でどれだけ運用益を出すか?その勝負が10巻以降で行われる模様。

初心者でも観念的に分かりやすい

主人公・財前孝史は中学1年生で、しかも株初心者ということもあって、誰にでも分かりやすい内容になってます。特に一言でバーンと言い切るシンプルな格言が印象深い。すぐさま理解できるようなこともあれば、説明を聞いて「あー」と納得するものまで。

インベスターZ1巻 格言
(1巻)
例えば1巻だと「株は法則でやれ」。一番初歩も初歩である「利食いと損切り」のことを指してます。要するに確実に利益がなるように株を売って、また逆に損が増えないようにさっさと売れ、みたいなこと。他にも藤田慎司の妹・美雪だと「ラーメン屋に並ばない」(7巻)。世間の評判や他人の意見に左右されないことが大事など。

2巻では「株の売買で議論をするな」。何故なら他人と議論をしてしまうと、変な持論を展開させたくなる。結果、自分だけのこだわりを生んでしまう。ただ、こだわりは所詮こだわり。冷静な判断力を奪って、売れるときに売れない、買えるときに買えない。投資を失敗させる。

同じく優秀な者同士での議論も投資失敗を招くんですが、理由は真逆(6巻)。今度は自分のこだわりを主張するようになるのではなく、意見のすり合わせを行おうとする。AさんとBさんの主張をハイブリッドに混ぜた投資方法に集約されていく。でも、単に妥協の産物に過ぎない。しかも失敗した場合、責任のなすりつけ合いを招くという最悪の展開。

インベスターZ2巻 格言186P
(2巻)
神代圭介曰く、「金を掘ったやつに金はいない」。アメリカでは百年以上前にゴールドラッシュがあった。金脈を掘り当てようとこぞっと労働者たちが集まった。でも金を掘ってた労働者よりも、そいつらを相手に商売をしたヤツが儲けてる。ジーンズを作ったオッサンとか労働者を運ぶための汽車やレールを整備したやつ。そういえば、投資部部長・神代圭介が優秀なだけに、こういった格言を多く喋ってる印象。

最終的に、自分が『インベスターZ』を読んで体得した結論が、「株や投資は売ってナンボ」ということ。商品も製造しただけでは利益は上がらない。それと同じで株を購入しただけでは利益は出ない。むしろ株をいつまでも持ち続けることは「塩漬け」といって、一番利益を損なう行為。「アベノミクスで株価が上がるんじゃないか」と幻想を抱くのも危険。

そして「100万円を儲けることよりも、1万円の損を出さない方が大事」ということ。DMMがCMをバンバン出稿してるFX投資が最たる例ですが、一見するとギャンブルではありますが、やはり元手を減らしちゃダメ。だから他にも「ここで売ってたら100万円の利益を得てたのに、たった30万円しか儲けられなかった…」と悔やんだりするのは危険。確実に30万円の利益を出せたことをしっかり喜ぶべき。

実在する有名社長や有名企業が登場

ただ株や投資ばかりの話が続いても、やはり全く興味がない読者の心はつかめない。そこで実在する有名社長や有名企業がたくさん登場。

インベスターZ9巻 DMM会長・亀山敬司
(9巻)
前述のDMMの社長・亀山敬司や、6巻ではジャパネットタカタの社長が登場します。そこで企業理念やどうやって成功を収めるに至ったかを分析や彼ら自身の口で解説させています。似てるか似てないかは作者・三田紀房の画力(実際には外注してるらしい)から察してください。

インベスターZ8巻 ホリエモン
(8巻)
そして、あのホリエモンも登場。ベンチャー村という場所で主人公・財前孝史たちと出会う。ホリエモンは何故か写真写りにウルサイんですが、この程度でも満足したんでしょうか?はてさて。

ただホリエモンが登場すると途端に安っぽいマンガに見え出したのは自分だけ?所詮は粉飾決算で会社を大きく見せてただけやん…とか書いたら怒られるか。

ストーリーとしてはホリエモンが学生を相手にベンチャーとはなんぞやを指南する。そこで不老不死をビジネスにしたいと言い出す京大生が登場。その京大生は江戸時代と平成時代の平均寿命の差を例に出すんですが、江戸時代の寿命が短かったのは「乳幼児の死亡率が高かった」から。例えば杉田玄白は83歳まで生きてる。ホリエモンの破天荒感を出したかったんでしょうが、さすがになー。

でも企業名は知ってても、社長の名前や人物像を知ってる読者も少ない。ジャパネットタカタやソフトバンクの元社長・孫正義のようにメディアに積極的に登場する方がむしろ珍しい。

例えば、5巻だと朝日印刷という企業が登場。聞き慣れない読者も多いと思いますが、チョコラBBやユンケルといった製薬会社のパッケージをデザイン印刷してる会社、と説明すれば理解できる人も多そう。この朝日印刷がパッケージデザインを担当してから、これらの商品は爆発的にヒットしたそう。漫画の装丁も似たようなことが言えるんでしょうが、パット見の印象は大事。

インベスターZ3巻 セコムのCMの意味
(3巻)
他にもセコムのCMの意図を裏読みした解説は面白かった。女子レスリングの吉田沙保里などが登場してるやつ。ただお客に対してずっと訴求してるのかと思いきや、実は犯罪者に対しても向けられたCMだった。セコムに入ってる家には泥棒を働いても無意味だぞ!と威嚇してる。ある意味、一石二鳥。

株は就活にも役立つ?

だから実は株を始めるということは、同時に様々な企業や業界をリサーチする習慣が身につくということ。企業の詳細や功績を知らないとそこに投資はできない。

つまり株は大学生や専門学校生の「就活」に意外に役に立つ。株は企業とは一瞬の繋がりでしかありませんが、就職するとしたら一生の繋がり。企業リサーチは重要。特に中小企業は知らないことが多すぎる。しかもそこで小遣い稼ぎができたら、まさに一石二鳥。

7巻だと藤田美雪が言った「会社の社是を見ろ」が参考になります。社是を分かりやすく言うと、会社のモットー。多くは掛け声倒れで終わってることも多そうですが、意外に企業ごとに個性が読み取れる部分。

例えば、日清食品は「決断なき上司は無能と思え。社長に直訴せよ」。アメリカ企業やベンチャー企業も真っ青。なかなかすごい。まさに「ハングリー(HUNGRY)?」をウリにする食品企業。

ガソリンスタンドで有名な出光興産だと「人間尊重」。社員は家族だということで「クビ・定年・出勤簿・労働組合」の「四無主義」を2006年まで貫いたそう。逆に言うと、2007年以降は…?というか労働組合を作らせないのはどうなんだって感じもしますが(笑)

他にも身近な出来事で企業の働きも垣間見れることもあります。
インベスターZ2巻 マヨネーズをより多く消費させる
(2巻)
2巻で財前孝史は今まで使っていたマヨネーズの変化に気づく。マヨネーズの注ぎ口は星形の突起をしてることが多いですが、その突起を増やすことでマヨネーズの消費量を増やそうと企業が画策してた。

最近は消費税増税や円安のせいで、食品の材料費が値上がりしてる。だから内容量がかなり少なくなってる食品が実は多い。ポテトチップスも内容を減らしたのをごまかすために、やたらと袋がパンパンだったりします。そこら辺から企業の動向や苦しみが実際に読み取れます。

華やかに見える市場も意外に小さかったりします。例えば映画市場。やたらとテレビCMが放送されていたり、評論家崩れも多い業界だったりするので、ものすごく市場が大きいのかと思ったら日本の映画市場はたった1900億円。マンガ内では100億円市場の紅生姜業界と比較して小さすぎると批判。例えば自動車は60兆円市場。ちなみに自動車のブログ『くるまン。』も運営してるのでチェックしてみてね!

しかもゴリゴリのハリウッド映画や定番のアニメ映画が大半を占めてることを勘案すると、本当に映画市場は小さいと言えます。そりゃあダウンタウン松本のサブい映画を量産してるようじゃあなー…とは言え、マンガの市場も偉そうに誇れるほど大きくはないんでしょうが。

ただ前述のワンマン社長が経営してる企業は、個人的に危険だと思います。確かにワンマン社長は決断力が早く、上から下へのトップダウン型は、会社の規模が大きくなるほど尚更そういうスピード感は大事。でも、そのワンマン社長だっていずれは寿命を迎える。不老不死は現実的に有り得ない。

だから「企業の寿命=社長の寿命」という考え方ができます。実際、城南電機の宮路社長というのが昔いましたが、彼が亡くなったら途端に会社が倒産しましたから。まさに諸刃の剣。その企業への投資することも含めて、少し考慮に入れておいてもいいのかも。

総合評価

今年8月9月の株価の乱高下で大損ぶっこいてる読者も多そうですが、いかがお過ごしでしょうか?川合俊一がボビー・オロゴンは今頃息をしてるんでしょうか、はてさて。

専門用語は少なく、比較的株に興味がない読者でも読める内容。安倍総理が年金の金をブチ込んでることや、アルゴリズムで一瞬で大量の株がばいばいされてることなど、深く物事を知ることは難しいものの投資のための心構えぐらいは身につきます。例えば主人公・財前孝史が明治時代までタイムスリップして、財前龍五郎に会いに行くといったマンガ的な展開もあって飽きはしません。

他にも歴史面からのアプローチも意外に面白い。例えばお金が生まれた経緯やお札に切り替わった経緯などがあって、そして意外にも日本が第二次世界大戦で負け戦を突き進んでいた頃、実は株高だったらしい。

インベスターZ8巻 戦中は政府が市場に介入
(8巻)
その理由は日本政府が市場に介入してたから。株価さえ上がってたら国民や市民の批判を交わせると考えたから。今の安倍政権と同じ。年金のお金を使ってバンバンやって、それが株高を支えてるわけですから。

そして、日本が戦後に経済成長を成し遂げたのは「運」だとまで言い切る。要するに「単なる人口ボーナスがあった」から。日本人が団塊世代が優れているからというより、シンプルに人口が増え続けたからに過ぎない。現在の新興国市場を見れば、おおよそ正しいと言えそう。

他には日本は国土が狭かったからこそ、交通インフラを集中的に投資しやすかった。日本は国境はどこの国とも接していないので紛争という問題も抱えてないなど、それらの要因が複合的に重なっていただけにすぎない。その信ぴょう性はどこまであるかはさておき、面白い理屈で同時に合点がいくものでした。ちなみに、これらの発言は藤田家当主に語らせています。

マネックス証券などが必ずコミックス巻末で投資入門講座を載せるなど、若干のステマ臭は漂いますが、それでも勉強になる部分は多い。そういう意味で「面白い」と評価してみました。



◯展開★4◯テンポ★4
◯キャラ★4◯画力★4
◯全巻大人買い★4
◯おすすめ度…87点!!!!