バズマン。

健全な漫画のネタバレ感想ブログ。基本的に面白いマンガだけレビューしてるつもり。

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『描かないマンガ家』全7巻のネタバレ感想をレビュー。作者はえりちん。掲載誌はヤングアニマル。出版社は白泉社。ジャンルは青年コミックの漫画家漫画。絶賛AmazonのKindleでもダウンロード購入・無料で試し読みが可能です。

特に今のタイミングでレビューしたくなった理由はありませんが、何となく『描かないマンガ家』全7巻まとめて面白いのかつまらないのか考察してみました。購入の参考にしてみてください。『描かないマンガ家』最終話については後半にレビュー。


描かないマンガ家のあらすじ物語 ストーリー内容

主人公は26歳の渡部勇大。大学を中退して現在マンガ専門学校に通っている、いわゆる漫画家志望の青年。他は20歳前後と若い生徒たちも多く、周囲からは「ナベさん」などと呼ばれてる。

ただマンガ家としての能力はからっきしにも関わらず、態度だけはすっかり一人前。ペンネームも既に考えていて、それが「器根田刃(きねだやいば)」。明らかにつまらなさそうな臭いがプンプン。ちなみに以降、主人公名は渡部勇大ではなく器根田刃で統一。

描かないマンガ家1巻 あらすじ アルバイトの面接
(描かないマンガ家 1巻)
まだ自分の中だけで留めてるならまだしも、ブックオフらしき古本屋でアルバイトしてる時などにも、既に周囲に自分がマンガ家であるかのように吹聴する痛い奴だった。だから口癖も「プロは甘くない」。

描かないマンガ家1巻 あらすじ アルバイトの面接2
(描かないマンガ家 1巻)
もちろん気分はプロ漫画家ってことで「オレが命を削って描いた作品を中古で流すだとぉ!?」と、発売されてもいない自分の漫画コミックが中古店で流通してる光景を妄想して激おこ状態。アルバイトする前にいろいろと気付けただろうし、他人の漫画やったらいいんかいと。

でも、まだまだ器根田刃の質の悪さはこんなもんじゃなかった。同じマンガ専門学校から小沢という男が、誰よりもいち早くプロデビューを果たす。この男と飲みに行ってる時も高慢な態度を取り続け、小沢の画力はまだまだ足りないと酷評する。

描かないマンガ家1巻 あらすじ 小沢
(描かないマンガ家 1巻)
ただ小沢は反論することなく、「自分が想像した物が下手なりにも形になっていくのは楽しい」とマンガ家として歩むべき道を真摯に見つめるが、視線の先は器根田刃よりはるか遠く先。意外と売れてるマンガ家は人格者が多いらしい。

さすがに器根田刃もクズとはいえ同じ漫画家を志す者同士、どうやら下のコマを見る限りはなにかしら触発されたような雰囲気。

描かないマンガ家1巻 あらすじ 器根田刃
(描かないマンガ家 1巻)
しかしながら、そこは器根田刃。漫画を描くことはなく、真っ先に自分のブログをカタカタと更新。そう改めて説明するまでもなく、『描かないマンガ家』はまさにタイトル通りの内容。「漫画を全く描かない男・器根田刃」の物語である。

描かないマンガ家2巻 あらすじ 器根田刃 編集者
(描かないマンガ家 2巻)
学校にマンガ編集者が出張してくれたときですら、まさかの長々としたプロットを披露するだけ!!!プロ・アマ問わず、つまらない漫画にありがちな設定だけゴチャゴチャパターンの典型例。

果たして、主人公・器根田刃はプロ漫画家デビューすることはできるのか?いや、そもそも漫画を少しでも描く日は来るのかッッッ?!


器根田刃のクズすぎる言い訳集

とにかく主人公・器根田刃がクズ。「怠慢」や「なまけ」「現実逃避」と表現した方が正確なのかも知れませんが、ある意味、そこが『描かないマンガ家』のメインになりそう。まさに言い訳のオンパレード。

描かないマンガ家1巻 クズ 器根田刃 アシスタント
(描かないマンガ家 1巻)
例えば、器根田刃は絶対に漫画家のアシスタントにならない。理由は「アシスタントは2年以上やると漫画家になれない」という迷信を信じてるから。確かにくすぶってる感はなくはないですが、それでも「実戦から得られる経験値」は多いらしい。

描かないマンガ家1巻 クズ 初恋の藤井
(描かないマンガ家 1巻)
また初恋の人と遭遇して恋愛漫画を描こうとインスピレーションが来た時は「肖像権の侵害」を理由に漫画を描くのを止める。身近な人だから…ということを理由に描けないなら、かなり漫画作りが制約されそうです。

あまりにマンガ原稿を描かなさすぎて(周囲から評価を受けなさすぎて)、器根田刃のプライドや自信はまさにプロクラス。「自分は投稿さえしたら連載される」と思い込む始末。

描かないマンガ家3巻 クズ 器根田刃
(描かないマンガ家 3巻)
だから「26歳までにジャンプで連載する」という目標を掲げてた器根田刃は、27歳の誕生日を目の前にして、すっかり少年ジャンプ作家入りしてる気分。

でも漫画家に限らず、勉強やスポーツ・恋愛でも「挑戦すれば既に成功したも同然」と思い込んでる奴は世の中に多そう。自分もブラック芸能事務所レプロエンタテイメント所属の新垣結衣に告白すれば、本気で結婚できるんじゃないかと思ってます。

描かないマンガ家3巻 クズ 帝塚先生の墓の前
(描かないマンガ家 3巻)
器根田刃の不遜さは留まることを知らず、はてには手塚治虫と思しき墓の前で「嫉妬でジタバタさせる作品を描いてみせますよ」と勝手に杯を返す。天国の手塚治虫からしたら「え?おまえ誰?」と必死で頭をジタバタもたげさせるだけでしょう。

他にも一切漫画を描いてないくせにスランプに陥ったり、新連載漫画の内容が自分のアイデアをパクったと騒いでみたり、しかも一周回って「原作者として嬉しい」と歓喜してみたものの、その新連載漫画がすぐ打ち切りになるという。


無精卵はいくらなんでもヒドすぎるよ、おっかさん

もちろん周囲は器根田刃は無能だと気付いてるものの、器根田刃は意に介さず。

描かないマンガ家3巻 クズ のあん
(描かないマンガ家 3巻)
でもたまに根拠のない自信に勇気付けられる人もいる。画像はのあんというメンヘラ漫画家志望者。ただ「絵も下手でなんの武器が無くても一心不乱に漫画に突き進むその気持ち心の底から尊敬します」とホメ言葉なのに、なぜか辛辣。

さすがにここまで言われたら自分の才能の無さに気付きそうなもんですが、器根田刃は年中現実逃避というトリップ状態だから気付かない、何故か器根田刃は色んな女性にモテる。最たる例が枝野カンナという、きっと中村光あたりをモチーフにした売れっ子女性漫画家。

描かないマンガ家4巻 枝野先生
(描かないマンガ家 4巻)
その時も器根田刃はプライドから「同業者やライバルと付き合わない主義」と最初拒否するものの、枝野カンナは「あたしもだよ」と言ってキスを交わす。このまま二人は付き合うものの、この意味は言うまでもなく「枝野カンナはハナから器根田刃を相手にしてない」ということ。

当然枝野カンナの意図を読み取れないのが器根田刃センセー。一方、枝野カンナは終始器根田刃は冗談を言ってると思い込んでる。結果、悲劇が生まれる。

描かないマンガ家4巻 枝野先生2
(描かないマンガ家 4巻)
器根田刃が少年ジャンプ一の売れっ子漫画家を超えると豪語すると、その元カノでもある枝野カンナは「そんなの無理に決まってんじゃん!そんなの待ってたら二人とも老衰で死んじゃうってー」と笑顔で笑われる。一瞬にったじゅんのHマンガを彷彿とさせます。

描かないマンガ家5巻 無精卵
(描かないマンガ家 5巻)
そして挙句の果てには器根田刃を「無精卵」扱い。無精卵の意味は、受精できない卵のこと。つまり「お前の夢はどうあがいても一生叶うことはない」と暗にディスってる。こんな感じで『描かないマンガ家』の後半は、徐々に器根田刃はライフゼロよ状態が続きます。


クズだけど、意外に多い名言シーン

ただ器根田刃はクズはクズなんですが、言ってること自体は意外と正論。もはや名言の域に達する勢い。

描かないマンガ家1巻 名言 岡田 器根田刃
(描かないマンガ家 1巻)
元漫画家志望でOLだった岡田に対して、器根田刃は「好きなことで失敗したら立ち直れないって?オレなら失敗したらそれをネタに漫画を描くだけよ」と一言。確かに漫画家は失敗も話のネタになる。どうしてもエッセイ系が多いですが。

描かないマンガ家1巻 名言 山の中で遭難
(描かないマンガ家 1巻)
だから山の中で自分が遭難した時も、「この壮絶な体験を本にするまでは絶対に死ねないという作家の性がエネルギーとなり生還へと導くんだ」と生への渇望を強くにじませる。

え?もちろん器根田刃はこの経験をネタにすることも、その後も漫画を一度も描いてませんよ。そんなん当たり前じゃないっすか!やだなーもう(笑)

描かないマンガ家2巻 名言 枕営業
(描かないマンガ家 2巻)
前述の岡田がうさんくさい編集者に無理やり枕営業させられそうになった時には、ヒーローのように助け出して「デビューするために編集と寝ることだけは絶対に許さない」とバッサリ。優しくもあり厳しくもある態度は、まさに男の鑑。

アイドルや声優だけではなく、マンガ業界にも実際にリアルであるんでしょう。キッカケは何でもいいとはいえ、それでも最初のデビューすら実力で掴み取れない人間が長期連載・人気漫画を作ることなど不可能。でもヤングジャンプのように編集者の権力があれば、アイドルだって抱けますからね…うらy…けしからん話です。

描かないマンガ家5巻 マンガ専門学校の暗部
(描かないマンガ家 5巻)
『描かないマンガ家』は実際のマンガ業界でありそうなネタをベースにしてる節も強く、マンガ専門学校に対しても「就職率100%なんてウソっぱちだ!」とマンガ専門学校の闇もバッサリ。さすが器根田刃、ムダに知識だけは豊富。

描かないマンガ家2巻 名言 三井 デリヘル
(描かないマンガ家 2巻)
他にも三井という会社で働きながら漫画家を目指すものの、金銭的な理由でデリヘルをやってる女に対しては、わざわざ自分が予約して「オレが買ったこの90分をお前にくれてやるから、今すぐ漫画を描いてみせろ」と一言。男なら一度は言ってみたいセリフ。

描かないマンガ家4巻 名言 長妻悩み
(描かないマンガ家 4巻)
そして、いち早くプロデビューする長妻という女が持ち込みで悩んでいると、器根田刃は一言。「雑誌や出版社は一つじゃない。必要ならば裏切りと言われても、オレだったらジャンプも切り捨てる」とキリリ。マンガ編集者もピンきり。もし全員有能なら出版不況なんて起きてませんからね。

え?だから器根田刃は一度も漫画の原稿を描いたことはありませんって(笑)


ラスト最終回の結末はどうなった?

ということで『描かないマンガ家』のラスト最終回のネタバレ。ネタバレが嫌な方はスルー推奨。

描かないマンガ家6巻 最終回
(描かないマンガ家 6巻)
当然、一切漫画を描いてない器根田刃は周囲からどんどん置いていかれる。気が付けば「雑魚だった知り合いがことごとく結果を出している」現実に思わずわなわなと震える。『描かないマンガ家』は全7巻しかありませんが、いつの間にか時間が数ヶ月数年経過してることもあって、努力した人間が一定の結果を残すのは当然といえば当然の流れ。

描かないマンガ家6巻 最終回 羽田
(描かないマンガ家 6巻)
かつてトレースパクリで漫画業界から半ば追放された羽田という男ですら、着々とプロデビューへの道を歩んでる。それにも関わらず、器根田刃は相変わらずペンすら握ろうとしてない状況に対して、羽田も思わず「先輩は人に助言するだけですよね」とバッサリ。

さすがに色んな現実が見えてきた器根田刃。つまりは残酷な現実にようやく打ちのめされ始める。気付けば30歳を超えていた。しかし枝野カンナや小沢などの助けや助言などもあり、遅ればせながら真剣に漫画に向き合う器根田刃。

そしてコツコツとマンガを描き初めて7年後。

描かないマンガ家7巻 最終回 器根田刃
(描かないマンガ家 7巻)
ついに器根田刃は本名の「渡部勇大」として、ようやく一冊のコミックを発売することができた。つまりは漫画家プロデビュー。決して売れっ子でも人気でもない世間から見たら三流漫画家。それでも今の現実に満足する「渡部勇大」。何故なら大好きなマンガを仕事にできてるから。

そして「渡部勇大」の傍らには触手マニアだった山井真琴。さすがに長妻とは結婚しなかった模様。長妻や小沢、かつてトレパクした羽田も再び中塚として人気作家として既に定着。プロ漫画家としての「渡部勇大」の漫画家としての日々はささやかながらも続いていく…という、ややしんみりしたオチ。

だから序盤こそギャグ展開っぽく始まってますが、完結間近の展開は『描かないマンガ家』は良くも悪くもシリアス調。

描かないマンガ家5巻 長妻 ランキング
(描かないマンガ家 5巻)
さすがに「描かない」という前提だと展開を作れなかったのか、後半はプロデビューした長妻のクダリも多め。

画像は世にはびこる「おすすめ漫画ランキング」系の雑誌を手にして、長妻の作品も名前に挙がったものの、逆に名指しで特定の作品より面白くないと批判されてるように感じる場面。意外と実際の漫画家も意外と気にするんでしょうか?

ちなみに自分も「ガチでおすすめの面白い漫画ランキングBEST100」を作ってるので、あとで良かったら御覧くださいませませ。漫画「東京グール」のどこが面白いのか考察記事トヨタ・C-HRとホンダ・ヴェゼルの比較記事も良かったらどうぞ。


描かないマンガ家 全7巻の総合評価 評判 口コミ


『描かないマンガ家』全7巻のネタバレ感想をまとめると、漫画家マンガとしてはそこそこ面白い

ただ、これが連載していたタイミングを考えると『バクマン。』に便乗しました以上でも以下でもないかなぁ。個人的にはクズはクズのまま終わらせて欲しかった。さすがに器根田刃ぐらいのクズだったら、惨めに野垂れ死ぬのがお似合い。帝塚先生のお墓の前で自害とかすれば(ry。

それっぽく無難に完結してるものの、それまで一切何の努力も成長も見せなかったクズが結局商業誌デビューできましたってのは、やはりご都合主義的なオチとしか思えない。せいぜい山井真琴のアシスタントとして奮闘してる程度のオチでも十分だったはず。

仮に成功の結末を持ってくるなら、どうやって器根田刃が「渡部勇大」に成長するまでの過程こそもう少し描くべきでした。もう少し完結するまでに好感が持てるキャラに仕上げてほしかった気がする。

あと更に言えば、器根田刃はただ痛いだけ(痛い発言を紹介してるだけ)のキャラで終わってしまってる。器根田刃に直接的な天罰が下ることが少なく、読後感としてあまり溜飲が下がらない。『ドラえもん』ののび太のようにポンコツキャラクターは、やはり都度都度痛い目に合わないとマンガ的には面白くない。痛い目に合うから同情心も生まれる。

『描かないマンガ家』は漫才でいえばボケたらボケっぱなしでツッコミが不在な状態。だからギャグとしてやや尻切れトンボの中途半端感もあります。

『ジンメン』1巻のネタバレ感想をレビュー。作者はカトウタカヒロ。掲載サイトはサンデーウェブリ。出版社は小学館。ジャンルは少年コミックのサバイバル漫画。絶賛AmazonのKindleでもダウンロード購入・無料で試し読みが可能です。

昨年末にようやく自分はスマートフォン(XperiaXZ)に機種変更しました。今更パズドラというスマホアプリにハマってたりします。つい先日、そのパズドラが少年サンデーとコラボしてたんですが、そこで知ったのが『ジンメン』という漫画。衝撃的なバナー広告だったので、少し気になってたものの買うことはありませんでした。

ただ一日100~200PVかそこらの某漫画ブログで『ジンメン』が紹介されてたので、お恵み(カンパ)の意味も込めてポチッとしてあげました。いつの間にか、自分よりアクセスが多い漫画ブログがすっかり見当たらなくなりましたが、そこらへんは暗黙の持ちつ持たれつ(ギブアンドテイク)の関係ですよね?(笑)

ということで少し前置きが長くなりましたが、『ジンメン』が面白いマンガなのかつまらない漫画なのか軽く考察してみました。楽天KOBOや楽天ブックス、eBookなどで購入する時の参考にしてみてください。


ジンメンのあらすじ物語 ストーリー内容

主人公は神宮マサト。どこにでもいる高校生だったが、たった一つ秀でた能力があった。それがどんな動物からも好かれること。

マサトは両親の仕事の都合で引っ越したが、幼い頃は不二動物園に足繁く通っていた。でも不二動物園近くの高校に進学したことを機に一人暮らしを始め、再び懐かしの飼育員・中田と交流を始める。中田はマサトが特に可愛がっていた象のハナヨを飼育していた飼育員だった。

ジンメン1巻 あらすじ1
(ジンメン 1巻)
そしてマサトは同級生だったヒトミと共に久しぶりに再開し、再びかつてのように不二動物園に遊びにやって来た。ヒトミは幼い頃とは違って、すっかり大人の女性に成長。マサトは少しデートめいた気分で浮足立っていた。

ただ、マサトのルンルン気分もすぐに終わる。何故なら動物園には人っ子一人おらず、動物すら檻(オリ)の中に一匹もいなかったからである。いぶかしがる間もなく、絶叫する声。目の前には動物たちに襲われる飼育員の姿。動物たちは脱走したのか?

そこでマサトは助けを求めるために、馴染みの飼育員・中田の元へ向かう。

ジンメン1巻 あらすじ2
(ジンメン 1巻)
しかし、そこに立っていたのは中田と同じ顔をした象のハナヨ。暴れまくるハナヨの傍らには、何故か意識を失って倒れている中田。なんとか命からがら中田を助け出し、不二動物園からの脱出を試みるマサトとヒトミの二人…

ジンメン1巻 あらすじ3
(ジンメン 1巻)
…だったが、その背後には人間の顔をした無数の動物たちが襲い掛かってくる。果たしてマサトとヒトミは中田を連れ出して無事不二動物園から脱出することはできるのか!?という内容のマンガになります。だから『ジンメン』のジャンルはさしずめサバイバルホラー的なところか。


「人面」というアイデアは面白い

『ジンメン』を一言で表現するなら、まさに「人面」に尽きます。

ジンメン1巻 カンガルー
(ジンメン 1巻)
例えば人面カンガルーだと、画像のように驚異的な跳躍力で飛びかかってくる。カンガルーは腕も意外と使えるので人間を掴みながらもオッケー。

ジンメン1巻 シカ
(ジンメン 1巻)
車内に入り込んでこようとする人面シカだと、もはや顔面アップすぎて何の動物かパッと見分からない(笑)

ジンメン1巻 ヤギ
(ジンメン 1巻)
人面ヤギだとノソっと横から登場して、「うるせぇな」と一言。個人的にはこのシーンが地味に一番が良かった気がする。この不意打ち感と何でもない一言の、合わせ技一本でインパクトが大きかった。

だから『ジンメン』は、シンプルイズベストなアイデア勝利。動物の顔に人間の顔を持ってくるという発想は、まさに違和感の象徴。1990年代に流行ったものの、今だからこそ新鮮な不気味さがある。意外と穴場だった「掘り出し物」と呼べるのではないか。

またジンメンに噛みつかれた動物は、更にジンメン化していく。今流行りのゾンビ漫画テイストもあって、売れ線要素はビンビン丸。リアルでも人面疽や人面竹など実際にありますが、意外と無機物にも応用できるか。

ジンメン1巻 クソ警察官
(ジンメン 1巻)
人面動物の襲撃だけではなく、警察官の裏切りといった展開もあります。


ジンメンたちがフツーにめっちゃしゃべる件

画像からも分かるように、人面動物は見た目のルックスがおどろおどろしい。ただジンメンたちがちょっと変に喋りすぎ。黙ってたらそれなりに不気味で怖いものの、途端に喋りだすとマヌケに写る。

ジンメン1巻 ハナヨ めっちゃ喋る
(ジンメン 1巻)
例えば、主人公・マサトが可愛がっていた象のハナヨは特に喋る。「そんなことどうでもいいわ。わたし頭が最高にハイなの。こうなってから今までにない感覚がいっぱい出てくるの!」と、ちょっとした中二病全開。しかもハナヨのお喋りはまだまだ続いて、このあと合計見開き2ページ分もある。

お前、どんだけしゃべんねん!!!…と思わずツッコミを入れてしまった(笑)

もちろん人面化してる以上、別に喋ること自体は構わないと思うんですが、所詮ベースは動物。まだ人間→象に変化したなら分かりますが、これだと「人間の顔」が「人間の言葉」を発してるだけ。もっと動物だからこそ話せるような、ちょっとしたギャップ感があるセリフが欲しい。そこで更に得体の知れない不気味感を演出できたはず。

進撃の巨人』の巨人たちを見てると、もっと「人語にならない人語感」があるセリフはセンスがいるよなーとつくづく思います。『ジンメン』の人面動物は単にセリフを平仮名にしてるだけで、アイデアが足りない。


ジンメンの顔が全部同じに見える

『ジンメン』にもう少しダメ出しをしておくと、ジンメン動物たちの顔が全部同じに見える。前述の『進撃の巨人』を例にすると、巨人たちは執拗なぐらい顔が全部別人。全部同じ顔だとさすがに飽きてくる。

【人間】と【野生動物】の顔の違いは色々とあると思うんですが、最たる部分が実は「白目」。

実際、野生の動物は天敵に襲われないように、白目が露出してない。何故かと言えば、視線の動きで自分の動きが天敵に把握されるから。逆に人間はコミュニケーションの生き物だから、相手に自分の感情を伝えるためにも白目部分が多い。

つまりジンメン動物を描くにあたって、最も強調すべき部分があるとしたら白目。『ジンメン』に登場する動物たちはもちろん白目がないってことではないものの、意外と白目部分が充血してくすんでることが多い。ホラー漫画的な描写ではあるものの、今作ではしっかり白目を描くべきだと思います。

あとジンメンたちの「顔感」を出すのであれば、もっと「鼻」はクッキリ描いてほしい。鼻ぺちゃばっかり。他にも「睫毛(まつげ)」や「髪の生え際」も人間と野生動物を大きく分ける部位なのかなと。

また逆に人間の顔なのに動物の要素を前面に出しても面白そう。例えばキリンだと、人間の顔なのにやたらと舌が長いとか。


設定は面白いものの、ちょいちょい残念

だから『ジンメン』の設定は面白いと思うんですが、ちょいちょい残念な部分も散見されます。

ジンメン1巻 要らないコメディー
(ジンメン 1巻)
例えば、最初にマサトとヒトミが人面化したハナヨに遭遇した場面。うろたえるヒトミにマサトがビンタするものの、何故かちょっとしたコメディー要素を入れる。場の雰囲気を壊すだけで、このシーン明らかに要らない。

ジンメン1巻 キリン1
(ジンメン 1巻)
そしてマサトとヒトミがリヤカーに乗せた中田を引いて逃げてる場面では、隣の庭木のような樹木から「おーい」と話しかけてくる人。嫌な予感しかしないベタな前フリ。これは良いと思うんです。高さ的には牛とか馬あたりかな?

ただそこから飛び出してきたのは…

ジンメン1巻 キリン2
(ジンメン 1巻)
まさかの人面キリン!!!さすがに身長差ありすぎるやろッッッ!!!しかもキリンは人間の腕らしきものをくわえてる始末。これでどうやって喋ったんだと!!

表現したいネタは理解できるものの、ちょいちょい詰めが甘い。前述の人面シカにしても、最初のコマでは顔の大きさが中田の両足サイズなのに、2コマ目ではシカの顔が巨大化してる。

ジンメン1巻 中田
(ジンメン 1巻)
『ジンメン』のストーリーのカギを握ってそうなのが、中田(ナカタ)。主人公・マサトと仲が良かった飼育員。象のハナヨと同じ顔であり、ハナヨたちの気持ちに同調を見せる。これも伏線や前フリとして悪くないと思います。

ジンメン1巻 独立国家 動物公国
(ジンメン 1巻)
でもジンメン動物たちは最終的に独立国家「動物公国」を樹立しちゃう。百歩譲って人間たちから独立するのはオッケーだと思うんですが、不二山という市一帯に巨大な穴ができあがる。もっと言えば、関東一円ぐらいの規模を取り囲むほどの穴。さすがに突拍子がなさすぎるやろ(笑)

似たような展開に『ハカイジュウ』という突拍子もない漫画がありますが、コチラはSF漫画だからまだ許容できる。巨大な宇宙生物や進化した宇宙人が巨大な穴を作ったとしても、そこに違和感はありません。

でも『ジンメン』はオカルト要素が強いゾンビ漫画に近いわけですから、スケール感が全く合ってない。ジンメンたちが健気に穴を掘ったのか?というツッコミを入れたく成る。正直、作者は編集者は何も考えてないとしか思えませんでした。


北海道あたりで独立国家を樹立すればよかった

もしアドバイスできるとしたら、例えば既に周囲というか本州から隔離されている北海道や四国をジンメンたちが支配する方が合理的で自然でした。北海道だとオットセイやクジラといった海の生物も人面化できる上、人間化したことで冬眠動物も真冬でも動けるようになる。

流行りの中国やロシアも巻き込んで、ジンメンが各国に飛び火しないように世界が北海道を完全に武力で封鎖してしまう。まさに主人公・マサトたちは四面楚歌の隔離状態。そこでジンメンたちを相手にしながら、どうやって脱出するかを模索。これぐらいの規模の展開だとリアリティーがあって面白い。

そしてストーリーを更に進めていけば、小魚やプランクトンまで人面化してしまって、ついには本州や中国ロシアにも魔の手が及ぶ。そうすれば(商業的に)展開を更に引き伸ばすことも可能。正直、いきなり街中に巨大な穴ができて、そこにジンメン動物が国を作る…なんてのは話が飛びすぎてチンプンカンプン。

1990年代のブームを合わせて考えると、結局人面動物の面白さや魅力は「身近感」が根本にあると思うんです。例えばドラゴンやアフリカのライオンが人面化しても、そこまで怖くない。だから日常生活の範囲内の狭い世界感で展開した方がリアリティーがあるはず。


ジンメンの総合評価 評判 口コミ

ジンメン(1)
カトウタカヒロ
小学館
2017-01-12

『ジンメン』のネタバレ感想をまとめると、アイデアや設定の面白さと展開の面白さが比例してるとは個人的に評価しづらい。まだ設定の新鮮さもあって1巻では大きくハズレとも言いませんが、2巻3巻以降は微妙かな。

全体的に少し雑。個人的には「惜しい」という感想に尽きます。とはいえ一巻程度ならどんなもんか読んでみて損はしないと思います。

『背筋をピンと!鹿高競技ダンス部へようこそ』全10巻のネタバレ感想をレビュー。作者は横田卓馬。掲載誌は少年ジャンプ。出版社は集英社。ジャンルは少年コミックのスポーツダンス漫画。絶賛AmazonのKindleでもダウンロード購入・無料で試し読みが可能です。

この感想をレビューしてる時点ではまだ完結してないものの、どうやら最終回を迎えてしまう模様。そこで一足お先に『背筋をピンと!鹿高競技ダンス部へようこそ』が面白いかつまらないか総括的に考察してみました。

結論から書くと個人的にそこそこ面白かったです。それだけに打ち切り気味に終わったのは残念の一言。とりあえずまだ最終巻は発売されてませんが、ざっくりレビューしたいと思います。Amazonや楽天ブックスなどで『背筋をピンと』を購入する場合の参考にしてください。

ちなみにクルマ総合ブログ「くるまン。」では新型インプレッサ vs トヨタ・プリウスの比較記事なども書いてるので、自動車のフルモデルチェンジなどに興味がある方はあとでご覧くださいませ。この比較記事だと家族連れのファミリー層に役立つかも知れません。


背筋をピンとのあらすじ物語 ストーリー内容

舞台は鹿鳴館高校。通称、鹿高(しかこう)。

主人公はその鹿鳴館高校に入学したばかりの新一年生・土屋雅春(つっちー)。土屋には小学生の頃にトラウマがあった。それが運動会のフォークダンスの時に好きな女の子に「手汗びっしょりじゃん」と言われて以降、女子と接するのがちょっぴり苦手になってしまった。

その土屋雅春が部活動紹介で衝撃的な部活に出会う。

背すじをピンと 鹿高競技ダンス部へようこそ1巻 あらすじ
(背すじをピンと! 鹿高競技ダンス部へようこそ 1巻)
それが「競技ダンス部」。いわゆる社交ダンスをスポーツに昇華させたスポーツ競技。舞台上で繰り広げられるそれは激しく、きらびやかだった。思わず見入ってしまう土屋。

もちろん競技ダンス部は男女の密着度は高いスポーツであり、手汗びっしょり王子の土屋雅春は入部する気などサラサラなかった。でもそこは男子。露出度の高い女子生徒の姿を見て、スケベ心がうずかないはずがない。

他の男子生徒たちと共に興味本位で競技ダンス部をのぞく。ただそれが運の尽き。

背すじをピンと 鹿高競技ダンス部へようこそ1巻 あらすじ2
(背すじをピンと! 鹿高競技ダンス部へようこそ 1巻)
競技ダンス部の部長・土井垣真澄に捕まってしまう。見るからにアレですが、一応性別はオス。

この土井垣真澄の強引に勧誘されてしまい、あれよあれよという間に競技ダンス部に入ることとなった土屋雅春。そして同じく競技ダンス部に惹かれた、引っ込み思案の亘理英里(わたり)も土屋と一緒に入部することに。

背すじをピンと 鹿高競技ダンス部へようこそ6巻 あらすじ
(背すじをピンと! 鹿高競技ダンス部へようこそ 6巻)
『背筋をピンと!』の内容は、そんなどこにでもいる大人しい若者の土屋雅春と亘理英里がステージ上で輝く物語である。観客の注目を奪え!審査員よ俺たちを見ろ!!競技ダンスで青春よほとばしれ!!!

だから漫画タイトル「背筋をピンと」は社交ダンスや競技ダンスで最低限必要な「姿勢を良くしろ」という意味が込められてるタイトル。


かわいい登場人物たちのホノボノしたノリは意外と面白い

『背筋をピンと』の登場人物は見た目が可愛らしい。そのかわいい絵柄に合ってるというのか、ノリもホノボノしてる。

例えば、ヒロイン・亘理英里と主人公・土屋雅春とのクダリ。合宿の夜に抜け出して自分たちの必殺技を考える。

背すじをピンと 鹿高競技ダンス部へようこそ5巻 亘理英里
(背すじをピンと! 鹿高競技ダンス部へようこそ 5巻)
でも、そこで思わず亘理はクスクスと笑い出す。何故なら夜中にフツーの高校生が物騒なことを考えてるから。10代は箸が転んだだけでも笑う世代とも言われてますが、二人の仲の良さも伝わってホッコリさせられます。

そして結果的に土屋と亘理は必殺技「つちわたブースト」を編み出す。言うまでもなく、二人の名字を取ってつけた必殺技名。脅威感がゼロ。

背すじをピンと 鹿高競技ダンス部へようこそ5巻 土屋雅春
(背すじをピンと! 鹿高競技ダンス部へようこそ 5巻)
この必殺技「つちわたブースト」に手応えを掴んだ主人公・土屋雅春は「つちわたブーストのエジキになってもらおう…クックックッ」と不敵な笑みを浮かべる。ノリがいい感じにくだらない。ちなみに亘理英里は背後で「フフフ」と微笑むだけ(笑)

この亘理英里が何とも言えない可愛らしさがある。服装も含めて、本当に性的な匂いが一切しない「妹感」がハンパない。キャラクターとしては魅力的ではあるものの、悪く言えば女性的な魅力には欠ける。

背すじをピンと 鹿高競技ダンス部へようこそ5巻 藤田ひらり
(背すじをピンと! 鹿高競技ダンス部へようこそ 5巻)
個人的に面白かったキャラクターは、途中から参加したモブ臭もハンパない藤田ひらり。でも良い感じにちょいちょい目立つ。きっと一緒に居たら楽しそう…という雰囲気が好き。画像は途中で参加したが故に、ダンスパートナーがおらずにうろたえる藤田ひらりの図。


ダンス描写が熱い!熱すぎる!!

ただ普段のホンワカしたノリには反して、『背筋をピンと』はダンス描写が熱い。あらすじに貼った画像からも分かるように荒々しさすらある。

背すじをピンと 鹿高競技ダンス部へようこそ4巻 椿秋子 八巻
(背すじをピンと! 鹿高競技ダンス部へようこそ 4巻)
2年生部員の椿秋子と八巻章の踊りは、まさに荒々しさの体現。社交ダンスや競技ダンスには様々なジャンルがあるそうですが、二人が得意としてるのはラテンダンス。椿秋子は空手を習ってて、気性も荒い。さながら軽いバトル描写

背すじをピンと 鹿高競技ダンス部へようこそ9巻 椿秋子 八巻
(背すじをピンと! 鹿高競技ダンス部へようこそ 9巻)
現時点での最新9巻のダンスでは椿秋子と八巻章のテンポ感が見事。足さばきとコマ割りだけでここまで熱すぎるダンスを表現できる。思わず軽快なBGMも自然と聞こえてくるのは、きっと錯覚ではないはず。

背すじをピンと 鹿高競技ダンス部へようこそ8巻 土井垣真澄 綾辻理央
(背すじをピンと! 鹿高競技ダンス部へようこそ 8巻)
3年生の土井垣真澄も負けてない。見た目からして存在感がハンパないですが、それは競技ダンス時でも圧巻の存在感を発揮。

画像はパートナーの綾辻理央は競技ダンスから足を洗おうとしていたものの、最後の大会で全てを吹っ切れる。まさに二人の「感情がほとばし」った場面が、熱気と汗とで表現されてるシーンではなかろうか。

背すじをピンと 鹿高競技ダンス部へようこそ7巻 土井垣 綾辻
(背すじをピンと! 鹿高競技ダンス部へようこそ 7巻)
ただ熱すぎるダンス描写だけではなく、華麗できらびやかなシーンも多め。画像はデータサイズなどを圧縮して見づらいですが、星のキラキラ感が表現されていて鮮やか。

背すじをピンと 鹿高競技ダンス部へようこそ4巻 ダンス描写
(背すじをピンと! 鹿高競技ダンス部へようこそ 4巻)
他にも「楽しく踊る」というダンスの根源も表現されているのが良い。

画像を見るとキャラクターの配置などが上手く、しっかり一つのコマの中にたくさんの登場人物を収めてる。作者・横田卓馬の構図の上手さなども伝わります。キャラクター(パートナー同士)の視線も色んな方向を向いてるので飽きさせない。

背すじをピンと 鹿高競技ダンス部へようこそ4巻 宮大工勇太
(背すじをピンと! 鹿高競技ダンス部へようこそ 4巻)
宮大工勇太という冷徹な社交ダンスロボットが、主人公・土屋雅春たちに感化されて、「絶対に僕の方がダンスを楽しんでいるッッッ!!」と対抗心むき出しで覚醒する場面など、しっかりドラマも描写されてて面白い。


チャンピオン・咲本譲治の魔王的ダンスを刮目せよ!!!

学生競技ダンス界では不動のチャンピオンがいる。

背すじをピンと 鹿高競技ダンス部へようこそ6巻 咲本
(背すじをピンと! 鹿高競技ダンス部へようこそ 6巻)
それが咲本譲治(さきもと)。見るからにオッサンですが、これでも一応高校生。あまり学生同士の大会には出場しないのを揶揄されて、「人を単位の足りないサボり魔みたいに言うなよ」と軽くあしらってる場面。

背すじをピンと 鹿高競技ダンス部へようこそ6巻 咲本2
(背すじをピンと! 鹿高競技ダンス部へようこそ 6巻)
咲本は圧倒的に強いだけではなく、まさに情熱の男。楽しい踊りや目立つ踊りがとにかく大好き。観客を楽しませてナンボの思想のもと、結果は二の次。だから大会に出場するたびに、咲本は他の選手を煽りまくる(笑)

背すじをピンと 鹿高競技ダンス部へようこそ8巻 咲本
(背すじをピンと! 鹿高競技ダンス部へようこそ 8巻)
それでも咲本がチャンピオンで居続けられるのは、何度も言うように圧倒的な実力を持っているから。画像のシーンでは燃えるように回転。それだけ咲本の熱さがビンビンに伝わってくる。その間も「もっともっと良くなるぞキミらのダンスは!」と相手選手を煽りまくり。

背すじをピンと 鹿高競技ダンス部へようこそ9巻 咲本 ダンス描写
(背すじをピンと! 鹿高競技ダンス部へようこそ 9巻)
もはや咲本の表情は、ただのサタンか悪魔。楽しそうな「チャチャチャ」というリズムをここまで破壊し、再生し直した選手もおりますまい。

背すじをピンと 鹿高競技ダンス部へようこそ3巻 金龍院貴正
(背すじをピンと! 鹿高競技ダンス部へようこそ 3巻)
この咲本のライバルがいる。それが前述の土井垣真澄と、もう一人・金龍院貴正という選手。顔の真ん中だけイケメンのポッチャリさん。アゴのタプタプ感が割りと好き。実際こんなおデブちゃんいますよね。

でも実力は咲本や土井垣と同様に、「黄金世代」と呼ばれる一角に鎮座する。

背すじをピンと 鹿高競技ダンス部へようこそ7巻 ダンス描写
(背すじをピンと! 鹿高競技ダンス部へようこそ 7巻)
だから咲本・土井垣・金龍院が同時に踊った瞬間は、まさに良い意味で地獄絵図。背景も禍々しすぎる(笑)

『背すじをピンと』という漫画ではまさに競技ダンスという世界観をあまねく表現されてると言ってもいい。それでいて作者・横田卓馬のオリジナリティーも含んでるので、同じ競技ダンス漫画である『ボールルームへようこそ』と比較しても二番煎じ感は薄くて面白い。


個性的なキャラクターは多いが…

『背筋をピンと』はまさにダンス描写に関しては文句のつけようがない面白さがあると思います。

ただ強いて言えば、キャラクター。もちろんこれまで貼った『背筋をピンと』の画像を見たら分かるように、登場人物はかなり個性的。キャラデザも秀逸。キャラの描き分けも上手くて、見分けが付かないなんてことはない。

だからキャラも基本的に文句のつけようがないんですが、いかんせん読者に感情移入させるためにページを割けてない気がする。登場してもフワッとさわりを説明しただけで終わってたり、表面だけなぞってるだけが多かった印象。

背すじをピンと 鹿高競技ダンス部へようこそ1巻 御木 ターニャ
(背すじをピンと! 鹿高競技ダンス部へようこそ 1巻)
例えば御木清斗とターニャ。見た目はかわいらしいものの、元ジュニアチャンプという触れ込みで実力は十分。だから『背筋をピンと』序盤では多く登場するものの、この二人もいまいち活きてない。ずっとターニャはロシア語を喋ってたり目立つものの、あれ?っていうまま何も始まらない。

もっと言えば、別にいなくても成立してしまう登場人物が多い。他にも朝黒の畔田満影(パートナー仙崎)や代官山83というアイドルグループの御木恵実や花園亮(ゾノきゅん)など、やや総花的。前述の金龍院にしても強烈なインパクトで登場したものの、後半になってようやく掘り下げられる。

『背すじをピンと』は競技ダンス漫画である以上、作者・横田卓馬こそがもっと感情むき出しで、もっと独善的にワガママに描くべきだった。ストーリーを読んでも誰を中心に添えて、誰に物語の焦点が当たってるのかいまいちフワッとしてる。

あと個性的な登場人物は男子ばかりが目立ったので、もっとパンチが効いた女子キャラを出しても良かったかなと思います。


「鹿高競技ダンス部へようこそ」はタイトルに必要だったか?

あともう少し『背すじをピンと』のダメ出しをしておくと、個人的に気になったのは漫画タイトル。この感想記事では略して書いてますが、フルタイトルは『背すじをピン!と 鹿高競技ダンス部へようこそ』。

ただ正直うるさい。つまらない漫画ほどタイトルやキャラ名をゴチャゴチャさせたがりますが、「鹿高競技ダンス部へようこそ」の部分は完全に不要。

何故なら、作中では高校同士で戦う場面が皆無。だから「ようこそ」と書いてるにも関わらず、高校に対戦相手を招いてダンスを踊る場面も皆無。つまり『背すじをピンと』を読んでても、「鹿高(鹿鳴館高校)」という舞台をまず意識させられることがほとんどない。作者や編集部が読者に分かりやすいようにという配慮で付けたんでしょうが、かえって分かりづらいだけ。

そのまま漫画タイトルは『背筋をピンと』で良かった。敢えて補足するのであれば、「背筋をピンと胸を張れ」や「背筋をピンと笑え」などで良い。もしくは社交ダンス用語を語尾に付けるなど、もっと工夫のしようはあった。

でも、そもそも『背すじをピン!と』からしてダメ。「!」の位置が甚だしく面倒。何故タイトル途中に入れるのか。また記事をアップロードする直前に気付いたんですが、ずっと「背筋をピンと!」にしてた。画像ファイル名など全部書き直すというハプニング。ただ修正箇所があまりに多いのでもう途中で止めました(てへぺろ。

「鹿高競技」などバリバリ漢字を使ってくるくせに、何故中途半端に平仮名を使ってみるのかも意味不明。子供を「子ども」と表記してみたり、そういうのは要らないっす。「ピンと」の部分もそこで終わってるんで、かなりの確率で「ピント」に変換されてしまって意外とうっとうしい。インターネットが当たり前の時代、何故一発で変換しやすい命名をしないのか?


最終回・最終話の結末はいずれレビュー

この感想記事を書いてる時点ではまだ完結してませんが、『背すじをピンと』83話以降は全国大会が修了して一気にストーリーが二年後に進む。そして主人公の土屋雅春たちは3年生に進級。そうするといきなりみんな身長がグイッと伸びる(笑)

そして土井垣真澄や綾辻理央たちは海外へ戦場を移して…という展開。『背筋をピンと』の最終回については後ほどレビュー予定。


背すじをピンと 全10巻の総合評価 評判 口コミ


『背すじをピンと!鹿高競技ダンス部へようこそ』全10巻のネタバレ感想をまとめると、非常にレベルが高いダンス漫画。弱々しい主人公・土屋雅春が「ダンスの楽しさ」に目覚めて、人間的にも成長していく展開はまさに王道。マンガとして弱点が少なく、『背すじをピンと』の内容は全体的に手堅く面白い

ただ「弱点が少ない」というメリットは裏を返せば、ダンス描写以外では「コレという強み」がないとも言えそう。

良くも悪くも、『背すじをピンと』には毒がない。作者・横田卓馬は社交ダンスに真摯に向き合って描いたんだと思いますが、それ故にめちゃめちゃ「健全」な社交ダンス漫画に仕上がってしまってる。結果、本来は少年コミックでは欲しい「エロ」が見事に消されてる。社交ダンスは少なからずそういう側面がある以上、残念。

また少年コミック誌だと主人公はカッコ良くてなんぼ。強くてなんぼ。でも土屋雅春は成長こそ見せますが、結局は「楽しい」だけで終わってしまってる。それがどんなジャンルの漫画でも面白ければ基本的には人気が出てくれる「ヤリマン体質の少年ジャンプ」でいまいち『背すじをピンと』がハマらなかった理由か。

だから、もしかすると『ちはやふる』のように少女漫画で連載してた方が、『背筋をピンと』は人気が出たかも知れない。ちょっとしたキャラのホッコリした会話や掛け合いも面白いものの、どちらかと言えば女子が好きそうなノリ。ヒロイン・亘理英里にしても前述のように性的な匂いがせず、ややもするとダンス描写以外の雰囲気は幼稚。

背すじをピンと 鹿高競技ダンス部へようこそ9巻 椿秋子 八巻
それでもダンス漫画で10巻も続けば大成功か。全10巻だとかえって集めやすいボリューム感ではあるので、あれこれ批判的な感想も書きましたが購入して損したと感じる人も少ないはず。

『ジョジョリオン』13巻14巻のネタバレ感想。作者は荒木飛呂彦。ウルトラジャンプで連載中の、いわゆるジョジョシリーズの最新作。出版社は集英社。この13巻14巻の感想はタイトルにもあるように、主に「吉良吉影と空錠仗世文が主人公・東方定助に融合するまで」をざっくりネタバレしたいと思います。

ちなみに最近「ガチで面白いおすすめ人気漫画ランキング100選」を作ったので良かったらどうぞ。またジャガー新型E-PACEの最新情報スズキ次期ジムニーのフルモデルチェンジ情報なども記事化したので、もし自動車に興味がある方は是非どうぞ。


キラークイーン vs ビタミンC

不思議な果物・ロカカカ。これを食べるとどんな病気でも根治する(しかし実際には何かを治すと何かを失う等価交換の性質を持つ)。そこで難病の母親・ホリーを抱える吉良吉影と、その吉良の母親に助けられた過去を持つ空条仗世文はロカカカを奪うことを決意。

ジョジョリオン13巻 空条仗世文がロカカカ盗む
(ジョジョリオン 13巻)
そしてロカカカの運び屋・大年寺山愛唱を襲う。吉良吉影が目の前で交通事故を起こさせて注意を引き、その間に空条仗世文が自身のスタンド・ソフト・アンド・ウェットを使って、ロカカカの枝を奪う。具体的にはロカカカの枝を別の枝を使って接木した。「奪われた」ことに気付かない。

ただ、これに気付いたものがいた。それがロカカカの元締めらしき男・田最環(だもたまき)。

ジョジョリオン13巻 田最環 ビタミンC
(ジョジョリオン 13巻)
田最環のスタンドはビタミンC。自分が付けた指紋に触れた人間を溶けたビニール素材のようにドロドロにしてしまう。スタンド能力も封じる。画像の被害者は東方憲助。生きた魚を体に落とされて、体内でピチピチと跳ね回ってる場面。

当然周囲に誰かの指紋が付いてるか付いてないかなんてフツーは気付かないので、いや指紋は付いてて当たり前なので、ある意味最強のトラップ型のスタンド。吉良吉影と空条仗世文は自分たちが所有する船で悠悠自適に「ロカカカをそろそろ収穫しようか」と談笑してる最中に、田最環に襲われ、気付いたときには全て手遅れ。

ジョジョリオン13巻 空条仗世文 田最環
(ジョジョリオン 13巻)
空条仗世文は頭に千円札をスーッと刺し込まれる。田最環は吉良吉影の母親・ホリーのために命を落とす必要はないと、ロカカカのありかを尋ねるものの、空条仗世文はホリーの命の恩人。ある意味、自分の母親より大事。それでも自分は死にたくない…という間で大きく揺れる。

ただ逆に吉良吉影は吉良吉影で、自分の都合で空条仗世文を巻き込んでしまったと後悔してる。

ジョジョリオン13巻 吉良吉影 シアーハートアタック
(ジョジョリオン 13巻)
そこでカレラにキラークイーン・シアーハートアタックを使うことで応戦。冷静に考えると吉良吉影の酷さったらないですが、周囲は大爆発。やや自爆気味に田最環の追撃から逃れる。しかし吉良吉影はそこで死亡。

結果的に吉良吉影のキラークイーンと田最環のビタミンCのどちらが勝利したんでしょうか、はてさて。

ジョジョリオン13巻 空条仗世文 吉良吉影 ロカカカ
(ジョジョリオン 13巻)
そして空条仗世文はロカカカの元へ向かう。空条仗世文は自分の命を差し出し、吉良吉影の延命に図ろうとするも、結果は空条仗世文ベースに融合された。また運が良いのか悪いのか、ちょうど東日本大震災が発生。慌てて逃げる田最環や八木山夜露。

…という流れが『ジョジョリオン』1巻に繋がる。当然、ロカカカは等価交換。何かを得れば何かを失う。しかし結果的に何も失うことなく、空条仗世文は吉良吉影と融合し、「東方定助」ができあがる。今の今まで田最環の追撃を逃れることができたのは、そういう理屈。


東方鳩のウォーキングハートでハートブレイキング

ということで現在。田最環は東方定助を引き取っている東方憲助家を襲撃。

ビタミンCのスタンド能力を使って、東方家のほとんどがドロドロ状態。田最環はロカカカ仲間たちが次々と消息を絶っている(東方定助がフルボッコした)原因を「東方家にある」と突き止めて、長女・東方鳩の彼氏になることで潜り込んだ。

ジョジョリオン13巻 田最環 東方鳩
(ジョジョリオン 13巻)
ただ結果的に田最環は東方鳩もドロドロに溶かしてしまう。東方鳩はハゲでも田最環のことが好きだった。それに対して「どけ!私が歩くのに邪魔だろうがー!」と田最環は一蹴。ハゲのくせに生意気な野郎です。

ジョジョリオン14巻 東方鳩 ウォーキングハート
(ジョジョリオン 14巻)
そして何やかんやがありまして、東方鳩のスタンド能力・ウォーキングハートで田最環をぶっころ。女の恨みは怖い…と言いたいですが、東方鳩の目には涙。まだ田最環には未練があったのか何なのか、ウォーキングハートはハートブレイキング(失恋)。

もう少しネタバレしておくと、スタンド能力・ビタミンCには弱点があって、それが田最環から離れるとドロドロ→正常に戻ってしまう。つまり遠隔攻撃には弱い。でも、どうやって東方鳩が田最環から離れたのかは『ジョジョリオン』13巻14巻を読んでみてください。

ということでロカカカ一味で残っているのは、東方家の長男・東方常敏ただ一人っぽい。果たして常敏は一体どういう行動を選択するのか?…という場面で、VS田最環のクダリは終了。


東方常秀、ミラグロマンにとりつかれるの巻

続いて14巻は少し閑話休題。

ジョジョリオン14巻 ミラグロマン 東方常秀
(ジョジョリオン 14巻)
次男・東方常秀が謎のミラグロマンというスタンドに襲われる。本体は不明。まさに呪いのようにミラグロマンに取り憑かれると、不思議と所持金が増え続けていく。

例えば食事しようと思っても髪の毛が入ってて、その慰謝料として1万円を新たにもらったり、ボッタクリバーですらカバンいっぱいの札束を無理やり入れ込まれる。まさに、一方的にただただ貯まっていくだけ。

ミラグロマンの起源はどこかの国の武器商人の家系。世界中の戦争に武器を売り歩いたことで莫大な富を築くものの、あるとき莫大な500億ドルもの賠償金を背負ってしまう。さすがの大富豪も賠償金を支払えず、一家全員で焼身自殺。

そこに残っていたのが燃えかけの紙幣一枚と強力な呪いというわけ。このミラグロマンの紙幣の番号は必ず末尾が「13」。まさに呪いof呪い。

ジョジョリオン14巻 東方常秀 ナット・キング・コール
(ジョジョリオン 14巻)
ただ東方常秀のスタンド「ナット・キング・コール」で見事にミラグロマンの打破。しかしサラッと流されている気がしますが、前述の東方鳩然り、いつの間にか雑魚家族がスタンド能力を扱えるようになってる不思議。


ついにママン・東方花都が登場


そして『ジョジョリオン』14巻では東方家の母親(離婚済み)が登場。

ジョジョリオン14巻 東方花都
(ジョジョリオン 14巻)
その名も東方花都(ひがしかた・かあと)。なんつー名前。しかも、このルックスで52歳だそう。作者・荒木飛呂彦のルックスからして、年齢という概念は存在しないのか。

じゃあ今まで花都はどこにいたかというと、刑務所。なんと他人の子供を殺害したという殺人の罪で長期間拘束されていた。しかも悪びれることもなく、「自分は正しいことをした」と自負。離婚した父親・東方憲助に対して憎悪も抱いている様子。

この花都が長男・東方常敏の手引で東方家に乗り込んでくる。果たして花都の過去とは?一体東方家に何をもたらすのか?東方常敏は何を企んでいるのか?…という場面で『ジョジョリオン』15巻に続きます。

ジョジョリオン14巻 東方花都と東方常秀
(ジョジョリオン 14巻)
ちなみに前述の東方常秀が割りとゲスい。曲がりなりにも実の母親・花都に対して、「おやおやおや!ケッコーあんた巨乳じゃんかよォォォォ!!てめー吸わしてみろよ!!」と『北斗の拳』に出てくるモブ雑魚ばりの悪態をついてて笑った(笑)

『競女-ケイジョ-』1巻から15巻のネタバレ感想をレビュー。作者は空詠大智。作者名の読み方は「そらよみだいち」。前作に『揉み払い師』という漫画を描いてた方。

『競女』の掲載誌は少年サンデー。出版社は小学館。ジャンルは少年コミックのスポーツ漫画。絶賛AmazonのKindleでもダウンロード購入・無料で試し読みが可能です。

『競女-ケイジョ-』は現在アニメ放映中。だからもっと早めに感想をレビューしたかったんですが、世の中マンガの数が多すぎて…。とりあえずいつものように面白いかつまらないか考察してみました。結論から書くと色んな意味で面白いマンガ。是非『競女-ケイジョ-』購入するときの参考にしてみてください。


競女のあらすじ登場人物 ストーリー内容

舞台は日本。2003年に法改正されて、競馬・競輪・競艇に続いて導入された公営ギャンブルがあった。その名も「競女(けいじょ)」。女同士が水の上で蹴落とし合う、というまさに過酷な勝負が繰り広げられる。お客はその勝敗予想をしてお金を儲ける

競女ケイジョ3巻 あらすじ 神無のぞみ
(競女 ケイジョ 3巻)
主人公は神無(かんなし)のぞみ。オリンピック出場も間違いなしと将来を嘱望されるほど、有能な体操選手。高校卒業後の進路は当然体育大学を目指すと、誰もが思った。しかし神無のぞみは貧乏だったため、将来お金を稼げない体操に魅力を感じなかった。

競女ケイジョ4巻 あらすじ 神無のぞみ
(競女 ケイジョ 4巻)
そこで神無のぞみが目指したのが「競女」の選手。圧倒的な身体能力を生かし、次々と水上で相手選手をなぎ倒していく。

競女ケイジョ5巻 あらすじ 宮田さやか
(競女 ケイジョ 5巻)
そして神無のぞみには永遠のライバルであり、友達の宮田さやかがいた。画像からも分かるように動きが素早い。神無のぞみがパワータイプだとしたら、宮田さやかはスピードタイプ。まさに相反する二人。

果たして神無のぞみと宮田さやかは競女界でトップを目指すことはできるのか?…という内容のスポーツ漫画。だから内容はややセクシーお色気要素があります…いや「やや」どころではないか。それについては後述(笑)


格闘・戦闘シーンで使えるのはケツのみ!!!!!

既に説明したように「競女」は水上で戦う。テレビ番組の企画でも見られるような、プールに浮かばせた不安定なステージの上で選手たちが落とし合う。ただ相撲のように手足を使うのは一切禁止。じゃあ選手たちは一体どこを使えるのか?

競女ケイジョ5巻 六堂鈴 尻ガトリング
(競女 ケイジョ 5巻)
それが「おシリ(おケツ)」。画像は六堂鈴が尻ガトリングという必殺技を使ってる場面ですが、競技の内容は尻相撲に近いノリ。

競女ケイジョ4巻 河合花火 尻ギロチン
(競女 ケイジョ 4巻)
他にも「シリギロチン」といった必殺技も。画像は河合花火というキャラクター。

もちろん本当の相撲のように倒れたりヒザを付けば負けになります。だから「ケイジョ(競女)」というより「ケツジョ」とタイトルを改名した方が分かりやすいかも知れない(笑)

競女ケイジョ6巻 藤崎琴音
(競女 ケイジョ 6巻)
トップエリートの選手まで上り詰めると、あまりに自分のケツが進化しすぎて相手選手の水着を挟むことも可能。「ウソ!挟まれた!?」と相手選手も思わず驚愕。画像のシリは藤崎琴音。

競女ケイジョ7巻 神無のぞみ ケツ 月下うさぎ
(競女 ケイジョ 7巻)
主人公・神無のぞみは振り子のようにシリを左右にゆらりゆらりと動かすことで、最小限の動きでケツに加速力とパワー感を増すことが可能。しかも何度も連射できる。相手選手は月下うさぎ。「何?これは…」というセリフはコッチが言いたいですが。

前述のあらすじを読んでもらった方が伝わると思いますが、『競女』はアクション風味満載。構図なども比較的工夫されていて、意外としっかりスポーツ漫画してるなど見所はあります。でもそれゆえに「競女」は極めて激しいスポーツ。サッカー選手でもユニフォームが破れることもしばしば。

競女ケイジョ5巻 セクシーハプニング 真空裂尻
(競女 ケイジョ 5巻)
そこで何が起きるかといえばセクシーハプニング。画像は主人公・神無のぞみの必殺技「真空裂尻(しんくうれつけつ)」の威力が凄まじすぎて、他の選手の衣装がはだけてしまった場面。リアルでも女子水球ではこういったハプニングが起きるとか。

おそらく男性読者が想像するような展開が100%待ってると言っていいと思います。


名言ならぬ名ゲツのオンパレード

主人公・神無のぞみや宮田さやかなど、競女の選手たちはあまりにケツ中心の生活を送っているせいか、日常生活に飛び出てくる言葉もとにかくケツと絡めたがる。

競女ケイジョ10巻 尻磋琢磨 名言
(競女 ケイジョ 10巻)
例えば切磋琢磨ならぬ「尻磋琢磨(けっさたくま)」。マンガ内のセリフでは「尻研琢磨」と表記されてますが、おそらく誤字だと考えられます…って何をもって正解と呼ぶかは分かりませんが(笑)

競女ケイジョ12巻 ブ尻 名言
(競女 ケイジョ 12巻)
競女の選手内では「ブケツ」という言葉が悪口として使われてる。確かに競女の選手からしたら商売道具。それを批判されるとショックか。いや男でもケツが汚いと罵られると少し傷付くかも知れません。

競女ケイジョ12巻 案ずるより尻が易し 名言
(競女 ケイジョ 12巻)
神無のぞみの発言だと「案ずるより尻が易し」「尻は道連れ世は情け」。他にも『競女』11巻の銀夜萌子だと「尻は口ほどに物を言う」や、10巻だと「名尻、危うきに近寄らず」といった名言も連発。

正直何を言ってるかよく分かりませんが、まさに名言ならぬ「名ゲツ」のオンパレード。


もはや一周回ってただのギャグ漫画

以上、既に『競女』はツッコミどころ満載だと感じてる人も多いと思いますが、一周回ってギャグ漫画に近い。ケツ重視のスポーツ漫画ってのは分かるんですが、真剣すぎるからこそバカバカしい。だから『競女』は面白くないというより、実にくだらない。

競女ケイジョ3巻 神無のぞみ お尻の雰囲気
(競女 ケイジョ 3巻)
例えば、主人公・神無のぞみが競女養成学校の入学試験で本気を出した瞬間。そこで試験官が「おシリの雰囲気が変わった!まるで獲物を待ち構えるハンターのよう」と驚愕する。でも、おシリの雰囲気ってなんやねん。周りのジャングルもなんやねん(笑)

競女ケイジョ5巻 尻 光る
(競女 ケイジョ 5巻)
無事、神無のぞみや宮田さやかたちは競女養成学校に入学するものの、途中でクラス替えレースが発生。選手たちはエリートクラスにはい上がるチャンス。まさに展開の山場とはいえ、この場面で神無のぞみのケツを光らせる意味(笑)

競女ケイジョ5巻 宮田さやか くいこみ技2
(競女 ケイジョ 5巻)
宮田さやかの必殺技が「K Acceleration(Kアクセラレーション)」。ただでさえスピードに特化してる宮田さやかが、更にスピードを高めることができる必殺技。でも画像を見たら分かるように、嫌な予感しかしません。

競女ケイジョ5巻 宮田さやか くいこみ技1
(競女 ケイジョ 5巻)
実はKの意味が「Kuikomi」。だから宮田さやかが必殺技を発動する瞬間が、そのまんまグイッと食い込ませるだけ。なんというダサい技。この瞬間の無様さったらない。

このKアクセラレーションという必殺技は一応理にかなってる。水着が張り付く部分が減ることで足や関節の可動域を広がる。結果、動きが素早くなる…という理屈。でも、だったら最初からTバックみたいなんをはいとけよって話(笑)

しかも、このあと宮田さやかは勢い良く食い込ませすぎて水着が破れる。もちろん更にスピードアップ。マッパが最強ってどういうことやねん(笑)


まだまだツッコミどころは止まらへんでぇ~~~~

まだまだ『競女』のツッコミどころは止まりません。途中で物足りなくなったのか、作者が色々とヤリすぎ。正直頭がおかしいとしか思えない描写もチラホラ。ちなみにホメ言葉。

競女ケイジョ7巻 白雪 vs 神無のぞみ
(競女 ケイジョ 7巻)
例えばフツーに相手選手をケツで押し出すだけかと思いきや、ランクが上位の選手だとダメージが強力すぎてめっちゃ吹っ飛ぶ(画像の被害者は神無のぞみ)。水切りの石でもここまで跳ねへんで。

もはや、ここまで来るとただのバトル漫画。競女は年に数人死者が出るスポーツってのも頷けますが、逆にここまでやっても死なない主人公・神無のぞみは一体何なんだと。

しかも白雪という選手が繰り出した必殺技名が「対地尻ミサイル」。やっぱりここでも無理やり「シリ」を絡めてくる。他にもひどい必殺技だと「カンチョーミサイル」。さすがにここまで来ると笑うしかありません。

他にも『競女』では、やたらとケツを硬くできる「金剛尻」という技がある。まだ百歩譲って金剛という表現は理解できる。この金剛を超えてくる必殺技が「精霊尻」。まさか自分のケツに精霊を集めて、更に硬くできるという技。

ただ超常現象的な必殺技かと思いきや、実はただの思い込み。「自分のケツに精霊が集まってる」と思い込んで固くさせてるだけ。いや、ここまで頭がぶっ飛んだ内容だったら、そこは素直にスピリチュアルな理由でいいやんと(笑)

ケツを左右に振るだけで砂煙を発生させてみたり超常現象満載な展開も多いんですが、何故いきなり現実的な判断が出てくるんだと。だから『競女』に登場する必殺技がやっぱりツッコミどころ満載。

競女ケイジョ14巻 小矢理薫 尻香
(競女 ケイジョ 14巻)
例えば、尻香(しりが)。小矢理薫という選手の必殺技ですが、自分のケツをひたすらスパンキングして、何かしらの煙を発生させる。でも単なる屁(おなら)にしか見えない。

この煙は催淫性が高く、これを嗅いでしまった画像の神無のぞみは「ヤバイ…意識が…」とゴーゴーヘブン状態。やっぱり屁。

しかもシリ香の香りは引火性が強くて、このあと大爆発します…って、まさにやっぱりただの屁やないか!!!!(笑)

競女ケイジョ9巻 室町光 森本緑
(競女 ケイジョ 9巻)
個人的に強烈だったのが、室町光と森本緑という選手が合体する連ケツ技の「二人一水着(ヒップップトレイン)」。名前からしてツッコミどころ満載ですがどう考えても動きづらいだけ!!!作者ゼッタイアホ。「イッツショータイム」ってやかましいわ(笑)

最強の競女選手が全国で5人いるらしい。それが「五尻(ごけつ)」と呼ばれる選手たち。でもやっぱりゴケツたちもツッコミどころ満載。例えば剣ふゆゆ。

競女ケイジョ12巻 剣ふゆゆ 五尻
(競女 ケイジョ 12巻)
キャラクター名通り、割りとデッカい剣を自分のケツに刺してる。「東日本のイメージをおとしめることを!」と剣ふゆゆは仲間選手を批判してるものの、お前が一番おとしめてる張本人やろと。ケツに何かを刺したらいよいよだぞと(笑)

他にも「挟めない尻はただの尻だ」など、やたらとパロディーも多い。正直ジブリと日本テレビ怒ってくるでって話ですが、『進撃の巨人』ならぬ「進撃の巨尻」なんてパターンも。

そもそも『競女』に限らず、少年サンデーのマンガは他誌をネタにすることが多い気がする。『うしおととら』から「白面の尻」や「白尻の者」などパロったらダメなのか。藤田和日郎や高橋留美子、あだち充あたりは意外と気難しいのか。


下手したらムネやB地区の方がめたくそ強い

ただ、これでも『競女』の本領はまだまだ発揮されてない状態。何千タイトルという漫画を読んだ自分としても、「尻磋琢磨」ごときでは驚きません。まだまだ色々とヤリすぎちゃっててアホ丸出しなシーンは止まりません。

今までケツばっかりを焦点にあててきましたが、実は競女内では胸も使える。シンプルな戦闘シーンだと胸同士で押し合ったりする。もちろんそれは常人が思いつく範疇のレベル。ただやはりケツ以上に頭がぶっ飛んでるというか、作者は色々と頭が狂ってる。

競女ケイジョ6巻 日下位美桜 5円玉が古い
(競女 ケイジョ 7巻)
例えば、日下位美桜(くさかいみお)の必殺技だと「チチ催眠」。自分の胸を左右に揺らすことで相手を惑わせる。日下位は強さ的にはかなり上位の選手だから、割りと姑息な必殺技。というか、いまどき5円玉って…というツッコミはあるものの、まだまだ序の口。

競女ケイジョ8巻 鳳凰院 必殺技
(競女 ケイジョ 8巻)
鳳凰院というキャラクターだと、自分の胸を思いっきりねじりまくる。その名も「パイ・パイル・パイパー」。驚異的な回転力を使って相手を倒すわけですが、シンプルにねじりすぎ。男読者のオレでも見てて痛々しい。何故こんなに涼しい表情をしていられる!?(笑)

競女ケイジョ11巻 桜木すみれ 銀夜萌子
(競女 ケイジョ 11巻)
先程、ケツで相手の水着を挟めると紹介しましたが、それは胸でも同じ。画像は神無のぞみのお姉さん的師匠の桜木澄玲(すみれ)。相手の銀夜萌子相手にバックドロップをかましてる場面。『競女』ではまさになんでもあり。でも上手に勢いを付ければ、まだ相手を投げられなくはないかも知れない。

競女ケイジョ9巻 坂城真夜
(競女 ケイジョ 9巻)
ただ更にぶっ飛んだ最強選手になれば、相手をそのまま持ち上げる。画像は坂城真夜(カヤモード)。

被害者の六堂は思わず「シリが…わ…割れるぅぅ」と絶叫。でも冷静に考えるまでもなく、ケツはもともと割れてる。更にどこ割れんねん…みたいな細かい部分が『競女』では気になってしょうがない(笑)

ただ競女で使えるのは谷間だけだと思いました?ノンノノン!その考えは甘いです。『競女』の作者・空詠大智の妄想力をなめてもらっちゃ困ります。

競女ケイジョ10巻 氏部凪 名言
(競女 ケイジョ 10巻)
山の谷間があれば、山の頂上があるじゃない。競女養成学校のセンセイ・氏部凪も「B地区、立たざる者、プロにあらず」という名言を残してるほど。『競女』ではこのB地区の強さがハンパない。とにかく強い。

画像こそ貼れませんが、主人公・神無のぞみだとピンッッッと立たせた瞬間、自分のB地区を相手選手のおでこに当ててめっちゃ吹っ飛ばすなんてことも。宮田さやかだと自分のB地区に相手の水着を引っ掛けて、そのまま一本背負いをかますシーンは笑うなって方が無理。ゼッタイ引きちぎれるやろ(笑)

だから宮田さやかは割りとまともな登場人物かと思いきや、割りとヒドい。

競女ケイジョ13巻 ロイヤルフェザータッチ
(競女 ケイジョ 13巻)
例えば宮田さやかの「ロイヤルフェザータッチ」という必殺技。仮面ライダーのような変身前の構えっぽいですが、この両手が直後どこに及ぶかというと自分の胸。そしてコリコリカリカリ優しく立たせながら、そのまま突入してくる!!

男でも言えますが、やはり生理現象。想像力だけで立たすのは難しいので、そこで人力の出番ということ。つまり、ただの相武紗季。もう少年コミック誌で何してくれてんのと(笑)

競女ケイジョ9巻 河合花火の乳秘孔
(競女 ケイジョ 9巻)
B地区は万能性にも優れてる。河合花火の「チチ秘孔」と呼ばれる必殺技だと、画像の神無のぞみの背中をB地区で押し当てる。そうすると秘孔効果でまさかの覚醒。「次はウチが相手や」というセリフもカッコイイんだか、カッコ悪いだか(笑)

B地区関連だと「しげ夫の網パンツ」など頭おかしくて笑えます。


スポーツ漫画を根底から否定する隠されたルール

だから『競女』は基本的にポロリしまくり。完全に最近の少年サンデーはやけっぱちになってるとしか思えないほど、最近の展開は常に露出してるような状態。

『競女』のアニメ版では一体どう処理されてるのか激しく気になりますが、『競女』はスポ根漫画と定義付けてもいいほど激しい競技だから仕方ない。だって、これが競女というスポーツ。何も見せたくて見せてるわけでもないし、別にクリクリしたくてクリクリしてるわけでもない。いわば不可抗力。

ただビックリしたのは、その不可抗力を作者自身が根底からくつがえしたこと。

競女ケイジョ13巻 審判 エロすぎ イエローエロ
(競女 ケイジョ 13巻)
主人公・神無のぞみと宮田さやかの宿命の戦いが繰り広げられた時、あまりの激しい戦いに水着が破れる。そこで審判のオッサンが登場して、突然「エ口すぎ」とイエローエロカードを出す。

ええええ!!!今更ぁぁぁぁぁぁーーーーー!!!???


御存知の通り、競女ルールにおいて水着の80%以上の破損はレース続行不能とみなされ…」なんて白々しくアナウンスが流れるものの、今までそんなルールの兆候やカケラを一切描いたことなかったやん!!!(笑)

宮田さやかに至っては、さっきまで自分のB地区コリコリしながら突撃してきたくせに「ポ口リ負けするかも知れない」と聞いた瞬間、恥じらいながら自分の胸を隠す。お前も今更かよ。

それこそこのルールを悪用するなら最初からヒモみたいなん来ていけばいいわけですから、まさに本末転倒。とんだ穴だらけなルール。誰もが「スポーツという設定だから…」とスルーしていた概念を、まさか作者自身が持ち込むという暴挙。せめて他にもっともらしい理由があったやろ。


競女の総合評価 評判 口コミ

『競女 ケイジョ』は1話目のレビューでは、単なる工ロ要員の一発屋で終わると思ってましたが、意外と長期連載が続いてる。明らかにフザケてるとしか思えないひどい展開なのに、終始真剣なノリがくだらなくて笑える

きっと作者は何も考えてないからこそ、ストーリーはテンポよく進むので展開は意外と小気味良い。知らない間にあのキャラクターが消えてるなんてこともしばしばですが、良くも悪くもグダグダしてないので読み味は良い。まさに『競女 ケイジョ』は深く考えて読んだら負け。

『競女 ケイジョ』をギャグ漫画として読むと、15~20巻程度のボリューム感は長め。それでもセクシー描写など「抜き」といった実用性を考えると、意外と全体的な惰性感などはそこまで強くない。セクシー描写に股間が反応して、このくだらないノリが面白いと思える読者だったら、飽きずに15巻以上は読めると思います。

史上最強の弟子ケンイチ』などが少年サンデーで連載してたことを考えると、『競女 ケイジョ』は完結するまで連載が下手したら30巻40巻まで続く可能性も。個人的には『競女 ケイジョ』の最終巻は長くて25巻前後と予想してみますが…。

今時ここまでコテコテに頭おかしいスポーツ漫画も少ないので、そういった意味でも『競女 ケイジョ』は一読する価値はありそう。電子コミックだと数巻分程度は無料で配信してることもあるので、気になった方は是非試し読みすべき。

まさにスポ根マンガならぬ「スポ尻マンガ」を召しりあがれ

『Whim(ウィム)』のネタバレ感想をレビュー。作者は黒木渉。掲載誌は少年ジャンプ。少年ジャンプ8号に掲載された読み切り漫画。

『Whim(ウィム)』はなんでも第92回手塚賞準入選を果たしたマンガらしい。そこで審査員だった漫画家さんや編集者さんたちの目に狂いはなかったのか?簡単にこの感想をレビューしてみました。

トランプ大統領がTPP脱退する影響ちきりんの日本の自動車産業に対する批判が間違いだらけな件といった自動車コラムも書いてるので良かったらどうぞ。別の漫画ブログでは「乙嫁語り9巻のネタバレ感想」や「七つの大罪24巻のネタバレ感想」もレビュー済みなのでご覧ください。


あらすじ物語 ストーリー内容

主人公はどこにでもいる高校2年生・神宮春。クラスでは一人本を読むなど比較的大人し目の男子。それ故にどこか斜に構えた性格をしている。

ある日、「こいつらは自分が今日死ぬなんて夢にも思ってないんだろうな。今日死ぬと分かったらどんなに瞬間を大切に生きるのだろうか。今夜8時きっかりに巨大な隕石がこの辺り一面に降り注ぐ」と中二病丸出しの終末論的な妄想を全開…かと思いきや違う。

Whim ウィム1
(Whim ウィム)
何故なら、神宮春は「神様」だったから。あくまで神宮春は何十度目かの転生で生まれ変わったにすぎない、いわば仮初の姿。もちろん神様は未来を見通す力があり、当然隕石を簡単に止める力もある。

ただ神宮春は一切誰も救う気がない。このままこの街の人間が滅びたとしてもいいや、どうせ別の生物に俺生まれ変われるし…と、別に憎しみの感情があるわけではないものの、まさに現代人特有の「無関心」から来るもの。

Whim ウィム3
(Whim ウィム)
しかし隕石が襲来する直前、神宮春は朝原ミキという同級生に「今の超能力?もしかして神様?」と見抜かれる(?)。果たして神宮春こと神様は、その後一体どういう行動を取るのか?…みたいな内容の読み切りマンガ。

ちなみに漫画タイトルの「whim」は英語で「気まずい」という意味。神様こと神宮春が今まさに置かれてる状況を示してるタイトルらしい。別に新しい外国人のミュージシャン名とかではありません…って、このボケ伝わるかな。


ストーリーの構成力が高い

『Whim(ウィム)』はTwitterでも既に触れましたが、ストーリーの構成力が高い。

話の軸が一本あるので読みやすい。起承転結、主人公・神宮春が朝原ミキに翻弄されながらも、徐々に「生きたい」と思わせる流れがちゃんと表現できてる。読み切り漫画という尺度や長さを理解してる手練感すらあります。

限られたページの中でしっかりストーリーをまとめ上げる力が評価され、「手塚賞準入選」に至ったことは容易に想像されます。設定もオリジナリティがあって、会話のテンポ感も小気味良い。絵柄はさすがに独特すぎる感じもしますが、コマ割りも割りと工夫されていて絵的に飽きさせない。

Whim ウィム2
(Whim ウィム)
序盤、神宮春が超能力を使ってツッコんでくる乗用車を浮かせるシーンがある。車体下部や影の感じなど違和感は少なく、作者・黒木渉は意外と画力もある。今後は少年ジャンプで連載を持つのかどうかは知りませんが、バトル漫画など幅広いジャンルに対応できそうな漫画家さんかも知れない。

Whim ウィム 朝原 可愛くない
(Whim ウィム)
強いて言えば、やはりやや劇画チックな絵柄的に女子キャラクターがあまり可愛くない点。こういった部分が少年ジャンプ読者にどう評価されていくのか。作風的にヤングジャンプあたりの方が活きそうな感じもします。『ワンパンマン』のONEのように原作者として活動するのもアリか。

『オールラウンダー廻』全19巻のネタバレ感想をレビュー。作者は遠藤浩輝。掲載誌はイブニング。出版社は講談社。ジャンルは青年コミックの格闘漫画。絶賛AmazonのKindleでもダウンロード購入が可能です。マンガタイトルの読み方は「おーるらうんだー・めぐる」。「まわり」とは読みません。

『オールラウンダー廻』は2008年から連載が開始。2016年初頭に最終回を迎えたらしい(もしかすると2015年末かも)。だから割りと昔に完結してるんですが、今更ながら「オールラウンダー廻が面白いかつまらないか」を全巻まとめて考察してみた。

ちなみにマツダ新型CX-6の最新情報なども書いてる総合自動車ブログ・くるまン。もクルマ好きの方なら後でチェックしてみてください。


オールラウンダー廻のあらすじ物語 ストーリー内容

主人公は高柳廻(メグル)。小学生時代にタカシという幼馴染がいた。二人はタカシの祖父が運営する空手道場で切磋琢磨しあっていたが、タカシは自分が負けることを許せない性格だった。

メグルは6年制に進級する前に親の都合で引っ越しすることになった。しかし、タカシは見送りに来てくれなかった。何故なら、タカシの父親は元ヤクザ。暴力団から1億円を盗んだことで報復される。どうしようもない父親だったが、タカシにとってはやっぱり父親は父親。

オールラウンダー廻1巻 あらすじ 瀬川喬 タカシ
(オールラウンダー廻 1巻)
タカシは暴力団に小学生ながら敵討ちを目論む。画像は大人のヤクザ相手に飛び膝蹴りをかます場面。ヤクザの親分は「ガキだから…」と見逃してくれるものの、タカシの中の復讐の炎は更に燃えたぎる。

そして7年後。メグルは高校生になり、アマチュア格闘技・修斗を習うため格闘技ジムに通っていた。半年ほど経ったある日、試合に出てみないかと誘われる。最初は断っていたものの、半ば強制的に参加。

オールラウンダー廻1巻 あらすじ メグルとタカシ
(オールラウンダー廻 1巻)
そこでメグルは山吹木喬という選手と対戦することとなる。そう、小学生の時に別れたっきりの、あのタカシだった。肩には入れ墨。明らかにカタギではない雰囲気。メグルは案の定、ボコボコにされる。

果たしてメグルとタカシが再会したことに何か意味があるのか?果たしてメグルはアマチュア修斗の選手として成長することはできるのか?…みたいな内容の格闘技漫画。

ちなみに漫画タイトルは主人公の名前そのもの。そして「オールラウンダー」の意味は、おそらくアマチュア修斗が寝技も打撃もありの「総合格闘技(MMA)」から由来してるんだと思います。


お手本のような格闘描写・格闘シーンが良い

『オールラウンダー廻』はとにかく格闘描写のレパートリーが豊富。総合格闘技のアマチュア修斗を扱った格闘漫画だけあって、立ち技から寝技まで色んな格闘シーンが要求される。作者・遠藤浩輝はほぼ全てに巧みに対応できてる。

オールラウンダー廻4巻 格闘描写 タックル
(オールラウンダー廻 4巻)
例えば、タックルの描写だとこんな感じ。効果線が多くもなく少なくもなく、非常に見やすい。右下にタックルした側、された側の表情を描くことで、状況を的確に説明。それなりに派手であり、淡々としてる。

オールラウンダー廻4巻 格闘描写 タックル2
(オールラウンダー廻 4巻)
そして今度は逆の選手が同様にタックルを見せる場面。一番上のコマでは足元に衝撃波みたいなんを描くことで、よりタックルの衝撃度が表現されています。またタックルをさばこうと中空に浮く描写などは意外と好き。

オールラウンダー廻11巻 格闘描写 つかみ蹴り
(オールラウンダー廻 11巻)
立ち技の表現だと、相手選手の首を持ちながらのヒザ蹴り。地味にエグい。足の動き・軌跡も衝撃波で表してて、意外と使い勝手が良い表現。

オールラウンダー廻16巻 格闘描写 パンチ vsシュウ
(オールラウンダー廻 16巻)
他にも立ち技(パンチ)だと、こんな感じ。主人公・廻とシュウという選手の格闘シーン。シュウが蹴りを入れようと瞬間のカウンターパンチ。画像だと伝わりませんが、直前の足を上げながら倒れていくシュウがリアル。

オールラウンダー廻7巻 マキ 殴り合い
(オールラウンダー廻 7巻)
『オールラウンダー廻』では男性ばかりではなく、女性同士の格闘シーンも多め。画像はマキと長峰という選手。色気やセクシーさがあるかといえば、そこら辺はお察し。

オールラウンダー廻2巻 格闘描写 寝技
(オールラウンダー廻 2巻)
特筆したいのは、やはり流れるような動作やコマ割り。画像は試合シーンではないものの、肉体の動きや筋肉の見え方など違和感が一切なし。丁寧そのもの。作者の生真面目さが伝わってくるってもんです。

だから「どんな場面の格闘描写を描かせても上手い」という点では、まさに作者・遠藤浩輝こそがオールラウンダー選手と言えそう。

ややもするとマンガ的な表現には欠け、遠藤浩輝は絵の才能があるからこそ読者としてはもっと大げさなデフォルメを求めたくなるものの、非常に見やすいそれは漫画家初心者や志望者には参考になるはず。いや、きっとプロの漫画家も参考になるはずです。


オールラウンダー廻のストーリーはつまらない

ただ『オールラウンダー廻』のストーリーは面白くない。

あらすじを読むといかにもっぽい感じで始まりますが、肝心のタカシがあんまストーリーに登場しない。最終回が若干打ち切り気味に完結してることもあって、終盤こそタカシが駆け足気味に登場するものの、『オールラウンダー廻』はストーリーの軸が不明瞭。作者がストーリーのどこにゴールが設定してるのか、何をどう進めていきたいのか分からない。

そして社会人の登場人物も多い。主人公・廻やタカシこそ高校生(の年齢)ですが、どうしても地味になりがち。『オールラウンダー廻』の内容は、いかんせん社会人が休日にフットサルや草野球してる日常の延長線上に近い。まったりしてるというのか、なんというのか。

また「試合」そのものにも「意味」「目的」がない。勝ったからどうなんだ、負けたから何なんだ、という点に尽きます。勝負の先に一体何が待っているのか、それを用意できてないので格闘描写こそ上手いですがイマイチ熱くなれない。ずっと練習試合を見ているような感じで、やや達成感には乏しい。

だから『オールラウンダー廻』は一応ダラッとは読めるものの、内容は薄い。ストーリーはつまらないと表現していいのかなーと思います。


オールラウンダー廻の最終話の結末をネタバレ

「つまらない」と言ったばかりで若干の忍びなさはあるものの、簡単に『オールラウンダー廻』の最終回をネタバレしておきます。

『オールラウンダー廻』18巻で高柳廻(メグル)と山吹木喬(タカシ)が再び相見える。まさに因縁の対決。前回とは違ってメグルはタカシを追い詰めるものの、最終巻19巻でタカシが再び勝利。メグルはタカシの後ろに回り込んでチョークスリーパーを決めようとするものの、逆にタカシからカウンターを食らってバックチョークを決められる。

ただメグルは最後までタカシに勝利することはできなかったが、二人の距離は急速に縮まる。

タカシは体が大きくなったことで70kgのウェルター級に階級を上げる。そして、国内で無敗のままアメリカへ行こうと決意。一方、メグルは修斗のチャンピオンを目指す。二人は別々の道を歩むものの、再び友達関係が復活する。

『オールラウンダー廻』のストーリー始まりが「メグルvsタカシ」だったことを考えると、構成としてはキレイな収まり方・締め方。

オールラウンダー廻7巻 マキちゃん
(オールラウンダー廻 7巻)
一方、神谷マキ。可愛いと言えばかわいいですが、格闘描写でも紹介した女子高生。腹筋バキバキ。ただRENAあたりを見てると、もう少しマキは肉(贅肉)を付けても良かったか。

メグルは神谷マキが自分のことを好きだと知らされて、急激に意識し始める。そしてマキへ告白。マキは「甥っ子たちとヨーグルト体操を踊るし」と嬉し恥ずかし照れながらも拒否すると、「いいんじゃない?かわいいよ?」とメグルは謎のゴリ押し。そして二人は付き合うことに…という結末。

ただ確かに全体的には打ち切り臭しかしないフワッとした結末。最終話は慌てて処理した感も否めず、もう少しメグルとタカシの先を描いてほしかったのが本音。『オールラウンダー廻』は中途半端にダラダラ続いてた気がするので、もっとカチッと完結するのかと思った。

ちなみに『オールラウンダー廻』最終19巻には数話ほど番外編が収録されていて、この内容が謎すぎるほどエグい下ネタが展開されてます。


オールラウンダー廻の総合評価 評判 口コミ


『オールラウンダー廻』全19巻のネタバレ感想をまとめると、作者の画力が高いので格闘シーンや格闘描写は見せられるものの、あくまでマンガとしては可もなく不可もなく。フツーにありがちな格闘技漫画かなぁ。

随分昔に『オールラウンダー廻』をFC2の漫画ブログ「すごないマンガがすごい!」でレビューした時も似たような感想を書いた気がしますが、基本的に自分の中での評価は大きく変化せずそのまま完結を迎えた感じ。やはり読み物として面白いものに仕上がっているかは微妙。『オールラウンダー廻』のトータルの読後感としては、全体的に物足りない。

『オールラウンダー廻』は良くも悪くもリアル。例えば、観客席もしっかり描写してくれてる。ただアマチュア格闘技だからこそ客がガラガラ。選手同士の戦いは熱くても、その背後に写る観客席が対照的に冷めてる。

だから変に格闘シーンでも盛り上がりに欠ける。「そこまでリアルに描かんでも…」という要素を敢えて描く必要があったのか。せっかく格闘描写が上手いゆえに、少しもったいない気がしました。実は『オールラウンダー廻』は2016年夏頃にはサクッとレビューしようと思ってたんですが、ようやく全巻まとめて感想・考察を書けて良かったです。

そんじゃーね。

『透明なゆりかご 産婦人科医院看護師見習い日記』1巻から4巻のネタバレ感想をレビュー。作者は沖田×華(おきたばっか)。掲載誌はハツキス。出版社は講談社。ジャンルは少女コミックの医療漫画。『透明なゆりかご』は絶賛AmazonのKindleでもダウンロード購入・無料で試し読みが可能です。

つい先日、初めてXperiaXZというスマートフォンに機種変更しました。他にも新しくパソコンを買い換えるなどしてなかなか新しい環境に慣れておらず、まだまだレビュー力が衰え中。自動車ブログ【くるまン。】でも「ノートe-POWERの新車販売がまさかのプリウス超え」や「新型2代目CX-5の試乗インプレッション」という記事を書くなどして現在も肩慣らし中。

だから文章力や考察力に鈍りがあるのは否めませんが、とりあえず『透明なゆりかご』が面白かったので、どうおすすめできるか考察してみました。『透明なゆりかご』はガチで面白いおすすめ漫画ランキング100にも選出した漫画なので是非購入の参考にしてください。


「透明なゆりかご」のあらすじ物語 ストーリー内容

舞台はとある産婦人科医院。主人公はその病院でアルバイトとして働き始めた、高校3年生の作者・沖田×華。だから『透明なゆりかご』のジャンルはほぼほぼエッセイ漫画と言っても構わないのかも知れません。

高校生が産婦人科でアルバイトとして働くってオッケーなん?と思っちゃいますが、作者・沖田×華は准看護科がある高校に通ってた。卒業後も准看護師になる予定だったらしく、医療行為こそ法律で禁止されてるものの、一応沖田×華は最低限の医学知識を身に着けてたから問題なしってことのよう。

『透明なゆりかご 産婦人科医院看護師見習い日記』が描かれてる時代は1997年ってことで現在でもオッケーなのかどうかは不明ですが、とりあえず漫画タイトルまんまの内容。ただ産婦人科という設定から心を打つような出産シーンが多いのかと思いきや、基本的に真逆。

透明なゆりかご1巻 あらすじ1
(透明なゆりかご 1巻)
いわゆる堕胎(だたい)や中絶シーンが多く描写される。『透明なゆりかご』初っ端の1話目から衝撃的。作者・沖田×華が「命だったカケラを集めるシーン」から始まる。コマ割りの使い方がどこか映像的で上手い。ピンセットの先に掴んでるのはもちろん…。

透明なゆりかご1巻 あらすじ2
(透明なゆりかご 1巻)
しかも「命だったカケラ」が詰め込まれるのは、カメラのフィルムのような小瓶。それだけ赤ちゃんの体がグチャグチャに千切られてから、母親の胎内から無理やり引きずり出された光景が目に浮かびます。作者・沖田×華の「この世に出てきておめでとうって言ってもらえない子がこんなにいるなんて」というセリフも印象的。

透明なゆりかご1巻 あらすじ3
(透明なゆりかご 1巻)
ただ単に残酷な描写で終わってるんじゃなくて、どこか前向きなメッセージ性も込められてる。作者・沖田×華のどこか淡々としてるものの、「またこの世界に戻ってきたら、今度はずっとここにいられますように」というセリフが心を打ちます。

だから『透明なゆりかご』の意味としては、中絶で消えた赤ちゃんを「透明な子供」に例えてて、ゆりかごとはさしずめガラスの小瓶。まさに日本の病院から日々儚く消えていく命や、その選択に苦悩する母たちに焦点が当たってる。まさに『透明なゆりかご』は産婦人科で繰り広げられる人間ドラマが詰まったような医療漫画。


作者・沖田×華の不愉快なほどリアルな描写

だから『透明なゆりかご』は絵柄の軽いタッチとは相反して割りとヘビーな内容が多い。何故なら、とにかく作者・沖田×華の描写に遠慮がない。それゆえに「不快」と感じる読者も少なくないか。

その理由は作者がアスペルガー症候群だから。実際、自分をネタに『アスペルガーで漫画家で毎日やらかしてます。』という漫画も発売済み。いわゆる空気が読めてない人。

透明なゆりかご1巻 アスペな沖田×華1
(透明なゆりかご 1巻)
例えば初めて中絶・堕胎に立ち会った時も、全然うんともすんとも言わない。思わず院長先生も「大丈夫?度胸あるねー」と一言。何かに共感する力が弱いのかも知れない。

透明なゆりかご1巻 アスペな沖田×華2
(透明なゆりかご 1巻)
あらすじでも説明したように、取り出された胎児だったモノは瓶の中にエタノール漬けされる。割りと忠実に描写されててエグいんですが、血液が鮮やかな朱色で太陽光が差し込むとキラキラと光り輝く。そこで沖田×華は思う。「死んでるのにキレイだ」とポツリ。

今の時代、もしナース見習いやナースさんがTwitterなどでつぶやけば大炎上間違いなしの不謹慎な表現ですが、それだけ作者・沖田×華は下手に配慮せずにボカさず描写してくれることで「産婦人科や堕胎の現実」を克明に切り取ってるのでインパクトが大きい。

またアスペルガー症候群はムダに記憶力が良いらしい。だから当時の体験した記憶を鮮明に覚えてる。それだけ一つ一つのエピソードが未だに色褪せずに「リアル」に描写されてる。作者が意図してるかどうかは不明ですが、そういった病的な側面が『透明なゆりかご』という漫画作りに良い意味で効果的に働いてる気がします。

ちなみに上記の画像は、死してなお赤ちゃんの生命はキレイで美しい気高い存在、とでも言いたかったのかなーと勝手に自分は解釈してます。


圧倒的な命の現場

だから実際に作者・沖田×華が病院で働いていたからこそ、些細なちょっとした描写がリアル。

例えば、ある怒りっぽい妊婦のダンナが盲腸の手術をするハメになった。ただ麻酔の事故が起きてしまって植物状態。一向に意識が戻ることはないものの、そのダンナに生まれた赤ちゃんを初めて抱かせる場面。

透明なゆりかご2巻 旦那麻酔事故で植物状態
(透明なゆりかご 2巻)
植物状態だと当然まぶたを動かせないので乾燥しないように、ダンナのマブタの上にテープが貼ってある。目が乾いてるから涙が出たのか、実は脳で意識だけはハッキリしてるから泣いたのか、そこが分からないのが何とも涙を誘う感動的な場面。

植物状態の患者のマブタにテープを貼るという描写は、実際に長年病院に働いてないと漫画家がちょっと病院に取材しました程度だと描けない。他にもダンナはもともと太ってたものの、いつの間にかガリガリになってたり、医療従事者が描いてるであろうと思わせる「説得力」がそこかしこにある。

透明なゆりかご2巻 壮絶な出産現場2
(透明なゆりかご 2巻)
他にも沖田×華が働いていた産婦人科クリニックで初めて死亡事故が発生。このときは凄惨の一言。あえてグロく大げさに描こうとしてないからこそグロい。散らばったガーゼなど、きっとアスペルガー症候群の記憶力があるからこそのリアリティ。

やはり小さい病院だと医療機器や設備が知れてるので、母体の急変に対応するには限度がある。あくまで産婦人科は「出産」するための病院。妊婦さんが大量に出血して止まらないといったケースまで想定してない。

透明なゆりかご2巻 壮絶な出産現場1
(透明なゆりかご 2巻)
もちろん院長先生は大きな病院から要請を頼むものの、救急車は渋滞に巻き込まれて間に合わない。そこで院長先生は目が血走りながら「もう遅いよっ!!」と怒鳴りつけて、顔を手で覆う。この後、ダンナさんがブチ切れて暴れまくるんですが、そのことが何ともしがたい虚しさや悲しさが読者の中でもこみ上げてくる。

一見するとマヌケな絵柄からは想像できないほど、『透明なゆりかご』には「圧倒的な命の現場」がある。沖田×華の描写力は的確で、絵は一種の「記号」かなにかと思えば全然気になりません。


それぞれの死産中絶・それぞれの葛藤

『透明なゆりかご』は漫画タイトル通り、中絶といったエピソードが多い。

ただ人工的に赤ちゃんを取り出すだけではなく、他にも赤ちゃんが死産するケースもあります。まだまだ医療が発達したといっても所詮は知れていて、現実として原因不明の病や事故でお母さんの母胎内でいつの間にか亡くなってることも多い。

死産だと既に赤ちゃんがかなり成長してる場合が多く、そのケースでは普通の人間と同様に「火葬」されるんだそう。

透明なゆりかご1巻 母胎内で死亡 赤ちゃん 燃やされる
(透明なゆりかご 1巻)
母胎内で死産したあるお母さんの話では、自分の赤ちゃんの亡骸を抱えながら「ねぇ息をして?目を開けて?じゃないと燃やされちゃうんだよ?」と語りかけるシーンは泣けます。これは作ろうと思って作れるようなセリフじゃない。

だから現実は「中絶してハイ終わり」「出産してハイ終わり」ってことにはならない。当然、母親や父親の人生はその後も続いていく。『透明なゆりかご』はその後の人間ドラマを描写できてるのが稀有であり面白い。

透明なゆりかご1巻 他人の子供を傷つける中絶1児ママ
(透明なゆりかご 1巻)
例えば経済的な負担を理由に二人目の子供を中絶した母親の話。自分の中では納得してたつもりだったものの、ダンナからは「ウソでもいいから産んでほしいって言ってほしかった」と精神的なトラウマを抱えてる。

思わず感動できちゃいます…と言いたいんですが、画像下に警察官が描かれることからも何となく分かるかも知れませんが、この母親は直前で他人の子供をフルボッコしてます。自分は子供を産めなかったからこそ他人の子供が憎い。意外と女性の方が怖いという(笑)

透明なゆりかご3巻 植物状態の息子 天使の会 おならで返事
(透明なゆりかご 3巻)
他にも息子さんが原因不明の突然死症候群(SIDS)で植物状態になってしまう、お母さんのケース。もちろん息子を生かしたいとお母さんは考えるものの、薬の投与だけでなんとか生き長らえさせてる状態。これを小さい体に強いるのは酷。

そこで息子の死を選択するものの、母親の中では死をいつまでも受け入れられない。結果、画像のように空(から)のベビーカーを引いて街中を徘徊する。「息子は体がなくなっただけで、ここにいるんだから。ベッドもおもちゃも息子の匂いがするもの…死んでなんかいない」とポツリ。

なかなか衝撃的なエピソードで読者がトラウマになってしまいそうですが、最後は少し笑えて泣かせるオチに仕上がってます。このエピソードは後の「天使の会(天使がくれた出会いネットワーク)」と呼ばれる子供を亡くした母親をサポートする会の代表者さんのお話らしい。

だから前向きにさせてくれるストーリーも多い。

他にも死産したケースとは少し違いますが、エコー検査で赤ちゃんに重度の心臓病が発覚したケース。出産前に赤ちゃんが命を落とす可能性も高く、そこ医者は中絶も選択肢の一つとして提案してくる。親のエゴでムダに生きさすのは残酷。そこで赤ちゃんのためと思って、その夫婦は中絶の予約を入れる。

でも、そんな単純な話じゃない。何故なら、現実として胎内で少なくとも赤ちゃんは元気に生きてる。中絶を選択することこそが親のエゴってもん。

透明なゆりかご3巻 母胎の中で死亡
(透明なゆりかご 3巻)
最終的に父親が「子供を産んでみないか?」と提案する。短い時間でもいいから、一度も家族らしいことをしたい。同じ亡くなるという結果でも、何か思い出を持って天国へ旅立つのと何の思い出もなく天国へ旅立つのとでは大きな違いがある。

結果的にやはり一週間で赤ちゃんは亡くなるものの、母親と父親も自分の子供を看取ったことで前向きに現実を受け止められた。これが中絶(殺す)という選択だと絶対に不可能。結末をもう少しネタバレしておくと、そして二人は数年後新たに子供を出産して幸せに暮らす。


堕胎や中絶は絶対悪?

だから『透明なゆりかご』を読んでると、中絶や堕胎に対する嫌悪感がどうしても芽生えてしまう。経済的な理由など安直すぎるといえば安直。そんなこと言い出せば、将来仕事がどうなるかなんて誰にも分からない。じゃあ失業したら自分の子供を?…って話にも飛躍します。

実際、漫画内でも批判的に描かれてる部分が多いのかなーと思います。ただ主張は押し付けがましくない。

透明なゆりかご3巻 院長の名言
(透明なゆりかご 3巻)
画像の院長のセリフがまさに象徴してる。

「ボクはできませんって言っても、その人は別の病院に行くだけ。中には中絶はどんなにひどい行為なのかを説明して、精神的苦痛を与える医者もいる。それは相手のことを思っているんじゃない。医者個人が思うことを押し付けているだけ。だからボクはこう思うようにしている」

次に自ら望んだ妊娠ができるよう。最低限体に負担のかからないための手術をしていると。今度は元気な赤ちゃんが産めるように。中絶も分娩もボクにとっては同じこと。新しい命を生むためにやっている」。

まさに産婦人科は対照的な「生と死」が同時に存在している場所だからこそ言える名言。そういった両極端なジレンマを抱えているからこそ主張に深みがある。やはり誰も好き好んで中絶する女性はいない。それぞれがそれぞれの事情を抱えてる以上、画一的に中絶の方法も拒否できない。果たして次の命を生ませないことが医者の仕事なのか?いろいろと考えさせられます。


出産前後にも様々な人生模様が待っている

透明なゆりかご1巻 出産シーン
(透明なゆりかご 1巻)
もちろん『透明なゆりかご』は産婦人科が舞台なので、無事出産されるケースもあります。画像は作者・沖田×華が初めて分娩シーンに立ち会ったところ。決して絵が上手いとは言いませんが、それでも読者も思わずジーンと感動させてくれるシンプルな描写が良い。

でも無事出産できるケースでも、やはりいろいろある。

例えば、義母がおせっかいをかけすぎたせいで、妊婦の若妻が自分の子供を愛せなくなったエピソード。義母は決して悪い人間ではないからこそ、ずっと若妻は拒否できずにいた。挙句の果てには、義母は赤ちゃんを命名しようとする。さすがにストレスで若妻は倒れてしまう。

透明なゆりかご3巻 義母がおせっかい
(透明なゆりかご 3巻)
そして最終的に誰にも立ち会わせずに一人で産もうと若妻が決意するものの、空気の読めない義母がしれっと出産直前にやって来る。THEストレス。結果、優しかった若妻は大暴れ。女性は出産すると人が変わると言いますが、それもむべなるかな。

ちなみにオチをネタバレしておくと、最終的に義母は自ら一歩引くことで、若妻とは仲直り。再び仲良く同居して「本当の家族」になったという結末。読後感は良い。

他にも不倫の末にオトコの子供を出産する女性の話。オトコは当然妻がいるので大反対。「今まで上手くいってたのに何考えてるんだ」と動揺。女性は「男の子がほしいって言ってたクセに」と泣きわめく。女性的には出産したら本妻を捨ててコッチを選んでくれると思い込みがちらしい。

そして女性は自分の赤ちゃんを見て「誰にも似てない。想像してた子供と違う」と呆然。あくまで女性にとってはオトコを振り向かせるためのツールでしかなかった。

透明なゆりかご1巻 赤ちゃんの匂い
(透明なゆりかご 1巻)
このまま児童相談所や施設に赤ちゃんが送られるのかなーと思いきや、女性は自分の息子を抱くとほんのり良い匂い。赤ちゃんが無条件で持つ魅力に加えて、何やかんやで自分で産んだ子供は可愛い。そして「いい匂い…赤ちゃんってこんな匂いするんだ…ごめんね…」と一人で育てていこうと決意する。オンナが母親になった瞬間。

このエピソードも割と感動的で泣かせてくれるんですが、残念ながら「マジか?」というオチが待ってる。完全なフィクションの医療漫画だと、きっとこういう切なすぎるオチは描けないでしょう。

透明なゆりかご2巻 母死亡 父自殺を考えるも
(透明なゆりかご 2巻)
また赤ちゃんが無事出産できた場合でも、逆に母体の母親が亡くなってしまうケースもある。最初は父親は自暴自棄になって死が一瞬頭をよぎるものの、双子の赤ちゃんの真っ直ぐな眼差しを見て父親としての自覚や責任感が芽生える。改めて「出産はゴールじゃない」ことを気付かされます。

日本の産婦人科では、年間数十万件近くの命があまりに粗雑に扱われて消えていくそうですが、その無機質な数字の一つ一つの裏には「母親たちが抱える葛藤」や「苦悩」といったリアルな事情やドラマが背景としてある。

本当に『透明なゆりかご』では妊娠や出産、中絶にまつわるリアルな人生模様が想像以上に丹念に描かれてる。あまりに生々しいエピソードも多いので、おそらく『透明なゆりかご』の実写ドラマ化や実写映画化はしんどそう。まさに「経験」は漫画制作の武器と言えましょう。


衝撃的なエピソードが面白い

だかあ『透明なゆりかご』では本当に衝撃的なエピソードが描かれてる。そこで最後は中でも個人的に衝撃的なエピソードを軽く2・3個ピックアップして紹介したいと思います。

透明なゆりかご4巻 金髪碧眼の赤ちゃん1
(透明なゆりかご 4巻)
例えば、明らかに黒髪黒目の日本人同士なのに、その夫婦が産んだ赤ちゃんが金髪碧眼(青い目の金髪)。ここだけ読めば奥さんが外国人と不倫かよ…とか思っちゃうんですが、実は全く違う。

透明なゆりかご4巻 金髪碧眼の赤ちゃん2
(透明なゆりかご 4巻)
オチをネタバレしておくと、実はダンナの家系をさかのぼるとロシア人の血を引いてた。いわゆる隔世遺伝とか呼ばれるヤツ。自分の祖父母がどういった人生を歩んできたかなんて普通は知りませんから、急に青い眼の子供が生まれたらびっくりして当然。

確かブラックマヨネーズの小杉もロシア人の血を引いてたり、意外と祖父母世代がハーフやクォーターってパターンも世の中には多いらしい。まさに事実は小説より奇なり。想像やフィクションだけでは作れない面白いエピソード。

透明なゆりかご4巻 つっちー
(透明なゆりかご 4巻)
他にも、ずっと床下に住んでいる男の子(つっちー)の話も驚愕。結末をネタバレしたいところですが、実は作者・沖田×華もつっちーの居所はつかめず。

ある日、沖田×華が遊びに行くと床下が全部コンクリートで埋められていたんだそう。嫌な予感しかしませんが、しかも、その後つっちーの存在は誰も知らないし、突き止めようともしない。忽然と消えてしまった、まさに「透明な子供」。

いろいろと「えぇぇぇ!!!」と叫びたくなりますが、沖田×華の幼少期に出会った不憫な子供たちのエピソードも多数収録されていて、これが衝撃の数々。床下の子供以外だと、ゴミ山で育つ外国人の女の子のエピソードもひどい。地面に首だけ出した状態で埋められたり散々な扱いを受けた上に、オチが胸糞全開。

他にも見捨てられた捨て子の話も多くて、「日本どうなってるんや?」と思わず自民党さんを問い詰めたくなります。全部はネタバレしませんが未熟児のエピソードなど、本当に語り尽くせないほど色んなエピソードが収録されてるので是非読んでほしい。


「透明なゆりかご」の総合評価 評判 口コミ


『透明なゆりかご』は不思議と読めて面白い。衝撃的なエピソード満載だけれども、意外と変に笑えて読み味としては軽妙で小気味良い。美化や脚色がゼロとは言いませんが、エッセイをベースとしてるからこそ女性漫画家の強みが最大限発揮してる。

軽いタッチの語り口とヘビーすぎる内容の重さのギャップ感から生まれる「違和感」の応酬がボディーブローのように腹に響く。この振り幅の大きさこそが『透明なゆりかご』の面白さではあるものの、同時に「漫画だから…」と割り切れない残酷な現実に鬱になる。

それゆえに心が弱い読者が読むと結構しんどいはず。個人的にはおすすめしたい医療漫画ではあるものの、それゆえに全員におすすめできないジレンマも抱えてる。女性が妊娠したら当たり前のように赤ちゃんが生まれて育ってくれることが、これほど「当たり前ではない」んだと思い知らされるマンガも存在しない。

現時点で『透明なゆりかご』は4巻分しか発売されてませんが、ボリューム的には20巻分ぐらいに感じるほど内容が濃く、これほど濃密な医療漫画も存在しないかも。「新しい命」との向き合い方をいろいろと考えさせてくれます。

産婦人科は誰しもが一度は経験したことがあるからこそ、『透明なゆりかご』は幅広い年齢の方に読んでほしい。

『不滅のあなたへ』1巻のネタバレ感想をレビュー。作者は大今良時。掲載誌は少年マガジン。出版社は講談社。ジャンルは正直なんと表現していいかは分かりませんが、強いて言えばSF漫画の少年コミック。絶賛AmazonのKindleでもダウンロード購入・無料で試し読みが可能です。

『不滅のあなたへ』1話のネタバレ感想は「すごないマンガがすごい」で既にレビュー済み。最初の1話目ではどうなるか皆目見当がつきませんでしたが、やっぱりそこは作者の大今良時。2話目3話目としっかり作品として仕上げてきた印象。

最近、新刊の単行本コミックが発売されたということで、改めて『不滅のあなたへ』が面白いのかどうか考察してみました。


あらすじ物語 ストーリー内容

『不滅のあなたへ』1話目のネタバレ感想で既にあらすじは書いたようなもんですが、改めてバズマンでも軽くあらすじめいたものを説明しておきたいと思います。

主人公は得体の知れない「不死身のなにか」。最初は球体だったものの、それは徐々に苔から岩、そして極寒の地に生息するレッシオオカミに姿を変えた。最初は意思など持たなかった、それは次第に「意識」や「感覚」を獲得した。

どうやらそのレッシオオカミは飼い犬だったらしく、記憶を頼りに移動すると飼い主のもとへ辿り着いた。飼い主は一人きりで、村の住民たちの帰りを待っていたが、ついには自分も旅に出る。しかし願いも叶わぬまま死んでしまった。

不滅のあなたへ1巻 あらすじ
(不滅のあなたへ 1巻)
飼い主は「それ」に対して最期に言った。「僕のこと。ずっと覚えていて」。そして「それ」は今度は飼い主にカタチを変える。言語を理解したかどうかは疑わしいが、まるで飼い主の遺言を叶えるかのように旅に出る。

不滅のあなたへ1巻 あらすじ2
(不滅のあなたへ 1巻)
ただ「それ」は何の知恵や知識も持たず、言うまでもなく何の防衛策も持たない。途中で凶暴な熊に襲われたり、苛烈な環境に耐えきれず、何度も死んだ。何度も蘇った。痛みは「それ」を成長させた。

不滅のあなたへ1巻 あらすじ3
(不滅のあなたへ 1巻)
その過程で「それ」はある少女・マーチに出会う。果たして二人の出会いは「それ」に一体何をもたらすのか?といった内容のストーリー。1話目のレビューでも触れましたが、やはり『不滅のあなたへ』1巻を読み終わっても思うのは、テーマとしてはやや取っ付きにくくて観念的で難しいか。


マーチが可愛らしい

『不滅のあなたへ』の評価は1巻の段階で評価は難しいものの、現時点ではマーチのキャラクターが面白い。

不滅のあなたへ1巻 マーチ1
(不滅のあなたへ 1巻)
マーチは大人に対する強い憧れを持つ。小さい子供だとありがち。画像はマーチが食事中に父親と母親に詰め寄ってる場面ですが、口に食べ物がわんさか。いかにも幼児らしい。

不滅のあなたへ1巻 マーチ2
(不滅のあなたへ 1巻)
そこで父親は「大人しくしないと大人になれないんだぞ。大人だけにな」と小ボケをかますと、マーチは「なにそれいみわかんなーい」と言ってケラケラ笑い出す。思わず母親も「この子が大人になるのが想像できないわ」。

『不滅のあなたへ』をもう少しネタバレしておくと、マーチは村の掟に従って生け贄にされる。オニグマという凶暴な熊が村や畑を襲ってくるため、誰かの命を捧げることで平和を保とうとする。日本でもかつては洪水や天災を回避しようと犠牲になった村人もいます。いわゆる「人身御供(ひとみごくう)」とか呼ばれるもの。

不滅のあなたへ1巻 マーチ3
(不滅のあなたへ 1巻)
言ってしまえば、しょうもない宗教儀式や土着信仰ですが、マーチにとってみたら「死にたくないんだけど」と断固拒否。「だから死にたくないんだけど」と何度も拒否するものの、それを頑なに拒否される。マーチの無表情が良い。

そしてしまいには「なんでマーチのことかってに決めるのよ!!」と殴りつける。まさに激情の塊。それ故に儀式が始まる前に逃亡することに成功し、その後にあらすじでも説明した「何か」に出会う。言語すらまともに理解できない「何か」と、激情的な幼女の組み合わせ。嫌な予感しかしません。

不滅のあなたへ1巻 マーチ4
(不滅のあなたへ 1巻)
甘い果物をめぐって、まさかの大げんか。このマーチの泣き顔。

ただ立場ではやはり知性に勝るマーチが上。木の上に成る甘い果物を取ってこれるのはマーチだけ。地上だと体格差から奪われてしまうので、木の上からぽいぽいと果物を投げつける。それがマーチにとっては心地良い。

不滅のあなたへ1巻 マーチ5
(不滅のあなたへ 1巻)
そして、このマーチの勝ち誇った表情よ。さっきまでの泣き顔どこ行ってん。『聲の形(こえのかたち)』で登場した永束(ながつか)がフラッシュバックしたのはきっと自分だけではないはず。

不滅のあなたへ1巻 マーチ6
(不滅のあなたへ 1巻)
結果、「何か」はマーチを餌をくれる人と理解して、マーチがどこへ行こうとも付いていく。そこでマーチは「もうマーチはあんたのママじゃないんだからね」とすっかり母親顔。ただ最終的に再びマーチは囚われてしまう時にも、「何か」に対して「じゃあママ行くね。なんちゃってありがとう」と言って立ち去る場面も泣かせます。

短い期間ではあったものの、マーチの成長も読み取れます。


手塚治虫の「火の鳥」のように周囲の人間を描くことで…

『不滅のあなたへ』の話の構成をネタバレしておくと、主人公の得体の知れない「何か」がストーリーを動かしていくというよりかは、その「何か」を中心として周囲の人間が主体的に動いていく感じなんだと思います。少なくとも序盤においては。

だから手塚治虫の『火の鳥』と比較されることもあるそう。実際、『火の鳥』も同様に「不死身の不死鳥(火の鳥)」を軸として、その周囲の人間の葛藤や悩みを描写することに焦点が当たってるなど、あらすじやストーリー構成は『不滅のあなたへ』と似てる。

『不滅のあなたへ』の2話目以降から登場するマーチという少女は、前述のように村の掟に従って人柱として「生け贄」にされそうになるものの、マーチは幼いながらも残酷な運命や理不尽な世の中に抗おうと立ち向かう。

そこからは人間が持つ力強さやダイナミズムが読み取れます。マーチは幼いからこそ、その意思は純粋であり真っ直ぐだからこそ、シンプルに読者の心に響くもんがあります。

不滅のあなたへ1巻 ヤノメの国の女
(不滅のあなたへ 1巻)
ストーリーをネタバレしておくと、結果的に「何か」の助けによってマーチは生け贄にならず済む。そしてヤノメの国へ舞台を移す。もちろん「何か」はただ進行上は流されてクッついていくだけで、最終的に「死ぬか生きるか」という運命や人生を決断していくのはマーチやパロナ(隣の女)。

もし『火の鳥』をモチーフにしているのであれば、あくまでマーチも数多くいるキャラクターの一人であり、今後は様々なキャラクターの人生模様が「何か」を軸に展開されていく可能性はありそう。それ故に『不滅のあなたへ』は壮大なスケール感を伴った作品になるのではないかと期待されています。

不滅のあなたへ1巻 言葉を覚えるそれ
(不滅のあなたへ 1巻)
『火の鳥』との違いを強いて挙げるとしたら、『不滅のあなたへ』の「何か」は成長を見せること。画像は「何か」が言語を一つ覚えた場面。火の鳥は時空も時代も飛び越えるような、まさに神のような存在。

ただ「何か」は不死身ではあるものの、脆弱そのもの。いや脆弱というと語弊があるか。実際レッシオオカミの姿で巨大な熊を倒してるわけですから。「何か」が不死であること、成長を見せること、様々な姿にカタチを変えること。

それらが展開にどう反映され活かされていくのか、ってのが『不滅のあなたへ』が面白くなるか面白くならないかカギを握ってそうです。


「不滅のあなたへ」の総合評価 評判 口コミ


『不滅のあなたへ』のネタバレ感想をまとめると、正直評価はしにくい。少年マガジンだから打ち切りはないと思いますが、どこがどうめっちゃ面白いかは説明しづらい。

やはり作者・大今良時は才能溢れた漫画家さんであることを誰しも疑う余地はなく、自ずと『不滅のあなたへ』も期待を持てるマンガだと思うんですが、それでもストーリーのゴールが見えない。これを言い換えると、「どんな風に面白くなっていくのか?」が良くも悪くも読めない。

だからどういう風におすすめすればいいかも難しい。この考察レビューでこそマーチのキャラをホメてみましたが、もちろんそこが決してメインとなるようなマンガでもないはずなんです。それ故に『不滅のあなたへ』は完結してようやくどうだったか評価できる…いや完結したところでどう面白いかを説明するのも難しい漫画だと思います。

不滅のあなたへ1巻 アクション描写2
(不滅のあなたへ 1巻)
もちろん最終回を迎えるまでもなく現時点でもアクション描写などが非常に卓越してて、絵的にも読み応えはあるので『不滅のあなたへ』を買って損はしない気がします。

『蜘蛛ですが、なにか?』1巻2巻のネタバレ感想をレビュー。作者はかかし朝浩(原作)と馬場翁(漫画)。掲載サイトはヤングエースUP。出版社は角川書店。ジャンルは少年コミックのファンタジー漫画。『蜘蛛ですが、なにか?』は絶賛AmazonのKindleでもダウンロード購入・無料で試し読みが可能です。

今からレビューする『蜘蛛ですが、なにか?』は同名小説をコミカライズ化したものなんですが、割りと面白かったので色々と考察したいと思います。他にもクルマブログ《くるまン》では「4代目アクセラのフルモデルチェンジ情報」、「レクサス新型LSのフルモデルチェンジ情報」も書いてたりするので自動車好きの方は良かったらどうぞ。


「蜘蛛ですがなにか」のあらすじ物語 ストーリー内容

主人公はどこにでもいる、さえない女子高生。休み時間には友達としゃべらず、居眠りをしているようなTHEスクールカーストの底辺。今日もまた何でもない学校生活を過ごしていると、国語の授業中に突如として天井がバリバリバリ。女子高生は激痛に襲われて意識を失う。

蜘蛛ですがなにか1巻 あらすじ1
(蜘蛛ですがなにか? 1巻)
そして気付いた時には、何故か異世界で女子高生は「巨大な蜘蛛」に転生してしまった。思わず「イヤァァアアア!ナンデ!?蜘蛛ナンデェェ!?」と絶叫。そりゃそうだ。せめて女子的にはハーピーやサキュバスあたりがお好みでしょう…ってそういう問題じゃないか。

それよりまず蜘蛛の戦闘力のなさが問題。森羅万象、卵をたくさん産む生物ほど一匹一匹の個体は極めて脆弱と決まってる。確かに見た目こそ女子とは程遠いが、中身の弱さという点で実は「蜘蛛」に転生したのはあながち間違ってない。

蜘蛛ですがなにか1巻 あらすじ2
(蜘蛛ですがなにか? 1巻)
何故なら女子高生が蜘蛛に転生した場所は奥深いダンジョン。いかにも凶悪そうなモンスターばかりがひしめき合う。たかだか蜘蛛ですら人間大サイズに巨大化されてるのに、鹿やコウモリがフツーであるはずがない。

蜘蛛ですがなにか1巻 あらすじ3
(蜘蛛ですがなにか? 1巻)
思わず「ホギャアア!!」とやっぱり絶叫。果たして、どこにでもいるうら若き(?)女子高生は
理不尽な弱肉強食のダンジョンで生き抜くことはできるのか?…という内容のストーリー。

つまり『蜘蛛ですが、なにか?』の設定はいかにもラノベらしい設定といったところで、何故いきなり唐突にファンタジーの世界に転生するんだ?みたいなツッコミをしたら負けです。『名探偵コナン』や『サザエさん』が一向に進級しないのと同じようなもんです。


蜘蛛の主人公のキャラクターが良いw

まず主人公のキャラクターが良い。あらすじを読む限り、どう考えても人間時代は陰キャラっぽい女子高生。当然圧倒的にピンチな状況が状況だけに、不平不満をウジウジタラタラ垂れるのかと思いきや全く真逆。

蜘蛛ですがなにか1巻 主人公 ノリが軽い
(蜘蛛ですがなにか? 1巻)
ウジウジするの終了!はい切り替えていこう!!」とまさかのアッケラカン。往年の子役マジシャン・山上兄弟ばりの美しい「はいっ」。お前どんだけポジティブ少女やねん。人間時代の根暗さはどこ行ったんだ。確かにスパイダーマンはスパイダーマンになったことで少し性格が明るくなった気がしますが、そんな感じ?

蜘蛛ですがなにか2巻 主人公 中二病全開のノリ
(蜘蛛ですがなにか? 2巻)
敵を目の前にして「ご名答…ようこそ私の結界へ…さあ殺戮の宴を始めようか」と自分の蜘蛛の糸を「結界」と表現するなど中二病全開。しかも画像は単なる妄想。弱いくせにイキってるのが、ちょうどいい感じにウザくていい。

蜘蛛ですがなにか2巻 主人公 バイオハザード パロディー
(蜘蛛ですがなにか? 2巻)
主人公がスキルアップして毒合成ができるようになった場面では、まさかのバイオハザードパロディー。他にも『BLEACH(ブリーチ)』の名言「なん…だと…」など、ノリが良い感じにしょうもない。しかし「なん…だと…」の汎用性の高さがヤバイですな。

だから主人公は見た目は蜘蛛そのものですが、中身はしっかりノンキな女子高生。一人きりの状況特有の変なキャピキャピ感もあって、このノホホンとした間の抜けた性格につい親戚のおじさん目線で応援したくなる。

ただ主人公はノリが軽いだけじゃない。

蜘蛛ですがなにか1巻 主人公 ギャップ感
(蜘蛛ですがなにか? 1巻)
強敵のモンスターや悪辣な環境に四苦八苦しつつも、しっかり「力強く生き抜こう」とするギャップ感が良い。主人公の「いらっしゃいませ!死ね!」という決めセリフもどこか女子的で良い。緩めるところは緩める、締めるところは締める。このことが展開にもメリハリをつけられてて面白い。

ちなみに「蜘蛛(くも)」と聞くと虫嫌いの方はどうしても敬遠しそうですが、フォルムやキャラデザ的には可愛らしさが6割7割を占めてるのできっと問題なし。また主人公のキャラクターや性格も相まって、そこまで苦手意識を持つ必要はなさそうです。


王道RPGゲームってレベルアップしてナンボやん?

『蜘蛛ですが、何か?』の設定は転生ものではあるんですが、世界観的にはどっかの「ゲームの世界」っぽい。

蜘蛛ですがなにか1巻 レベルアップ
(蜘蛛ですがなにか? 1巻)
だから主人公が敵を倒すとレベルアップしていく。面白くないバトル漫画にありがちな特徴だと、例えば変に出し惜しみ感が強すぎてなかなかキャラクターがレベルアップしないこともザラ。でも『蜘蛛ですが、何か?』はポンポンとレベルアップしていくので読み心地が良い。

本当にテンポ感が絶妙で、それがストーリーや展開にも勢いをつけてる。コンシューマーゲームやスマホゲームでもそうですが、やっぱりレベルが上がってナンボ、上げてナンボ。まさにゲーム的な王道の面白さがある。

またRPGゲームだとレベルアップしていけば、普通は必殺技や魔法やスキルを体得する。面白くないバトル漫画だとやはり必殺技が覚えにくかったり、スキルを覚えても結局使う機会がなかったり、といった特徴が見られます。

蜘蛛ですがなにか2巻 バトル描写 繰糸 一本背負い
(蜘蛛ですがなにか? 1巻)
『蜘蛛ですが、何か?』ではちゃんとスキルや必殺技、耐性が次の展開やバトルの中で活きる。画像は操糸(そうし)。糸の周りだけスクリーントーンを削ってるのがミソ。後述しますが『蜘蛛ですが、何か?』では作者・馬場翁が描くバトル描写も上手い。

蜘蛛ですがなにか2巻 スキルアップ 地龍アラバ
(蜘蛛ですがなにか? 2巻)
例えばボスクラスの地龍アラバを遭遇した場面では、主人公の「恐怖耐性スキル」がグングンと上がっていく。先程のレベルアップとは違って、まさに悲壮感あふれる連続スキルアップ。演出としても巧みで面白い。

だから『蜘蛛ですが、何か?』では淡々とレベルアップさせてるだけではなく、しっかり「意味のあるレベルアップ」を描写できてる。他にも深手を追って絶体絶命のピンチなものの、タイミング良くレベルアップしたことで負傷したダメージが修復されて形勢逆転するなど、ストーリーの中に必殺技やスキルも組み込めてる。

最初は弱い主人公が徐々に強くなっていく王道的な生き様やプロセスは、まさにゲームの中の勇者そのもの。主人公のキャラや性格の良さも手伝って、『蜘蛛ですが、何か?』は読み応えがあって面白い。「さえない女子高生」という設定だからこそ同世代の読者は共感を覚えて、そんな若者が「どうすれば生き残れるか」を必死に考えて生き抜こうとする様に中年世代の読者は思わず応援したくなる。若者が頑張ってる姿に中年世代はきっと触発されがち。


鑑定スキルがゲーム実況的な面白さをうむ

主人公は「蜘蛛」である以上、特に腕力があるわけではないので当然にして弱い。ましてや中身は女子高生ということからもお察し。

蜘蛛ですがなにか1巻 鑑定スキル
(蜘蛛ですがなにか? 1巻)
そこでスキルポイントを使って、最初に身につけたのが「鑑定」というスキル。これが地味に漫画全体の面白さを下支えしてる要素。蜘蛛は弱者だからこそ、周囲の状況把握が必要。でも画像のように最初は「石」は「石」とだけしか表示されない。洞窟内を鑑定しても「壁」だけ。

でも徐々に鑑定のスキルレベルがアップしていくことで、自分の個体の種別名は何なのか。ここは何と呼ばれている洞窟なのか。モンスターのレベルや強さも把握できるように成長していく。まさに「弱者だからこその戦い方」を成立させてるのが、この鑑定スキル。『蜘蛛ですが何か?』では制約の使い方も上手い。

ちなみに主人公の種族は「スモールレッサータラテクト」と呼ばれる劣化タラテクト種の幼体。色んな弱さが凝縮されちゃってるような種族(笑)

蜘蛛ですがなにか2巻 鑑定スキル ツッコミ
(蜘蛛ですがなにか? 2巻)
主人公は腕力こそないものの異様にスピードだけは速い。これも後々自分を鑑定して気付くんですが、まさかの「韋駄天(いだてん)」補正がかかっていた。スキルレベル×100の速度アップって、まさにチート級。思わず主人公も「はいいいいい!?何このトンデモスキル!?」と自分自身に驚愕。

だから徐々に情報が明らかになるたびに色々と面白いことも発覚する。そして、その中には主人公が知りたい情報もあれば、知りたくない情報もある。狩野英孝が女子高生を抱いてたとか、やっぱり自民党のパンツ大臣はガチ犯罪者だったなど。

蜘蛛ですがなにか1巻 鑑定スキル ツッコミ
(蜘蛛ですがなにか? 1巻)
例えば「悪食」という称号を獲得したときには、主人公は「やかましいっ!魔物しか喰う物ないんだよ!」とキレ気味にツッコミを入れる。これがさながら漫才のような掛け合いを見ているようで面白い。主人公は異世界の洞窟内で一人きりだからこそ、鑑定スキルがちょっとした「会話の相手」にもなってる(笑)

主人公の的確なツッコミセンスも相まって、一人でプレイヤー自身がゲームの展開や状況を解説しながら孤軍奮闘進行していく様は、さながら「ゲーム実況」を眺めてるような面白さがある。これが『蜘蛛ですが、何か?』という漫画を、不思議とダラダラと読んでしまう根源なのかも知れない。鑑定スキルが本当に良い味をもたらしてる。


「蜘蛛ですがなにか」のバトル描写が地味に上手い

あと『蜘蛛ですが、何か?』はバトル描写が地味に上手い。原作ラノベも設定やストーリーを推察する限りは面白そうだと思いますが、漫画版の場合は馬場翁という作者に救われている部分も多そう。

蜘蛛ですがなにか1巻 バトル描写1
(蜘蛛ですがなにか? 1巻)
毒ガエルと主人公が戦ってる場面は、様々な構図からダイナミックにとらえたバトル描写に仕上がってる。「見やすい」という点でも高評価。主人公のキャラの良さも手伝ってか、モンスターを倒すまでのテンポ感も見事。作者・馬場翁はこれから期待大なマンガ家さんの一人だと思います。

蜘蛛ですがなにか2巻 巣を使って戦う主人公
(蜘蛛ですがなにか? 2巻)
他にも自ら「巣」を作って戦うなどバトル展開の幅も広い。主人公の「新設計のマイホームで相手してやる」とクモーニングスターを大股でブンブン振り回してる絶妙なマヌケっぷりも、読み味としてはシリアスすぎないので良い。

蜘蛛ですがなにか2巻 アノグラッチ
(蜘蛛ですがなにか? 2巻)
『蜘蛛ですが何か?』3巻以降のストーリーをネタバレしておくと、主人公はアノグラッチと呼ばれる猿のモンスターに襲われる。個々の戦闘力がそこそこ高いくせに、知能もかなり発達してる厄介なモンスター。しかも仲間意識が強烈に強い。

だから画像は主人公が一匹アノグラッチを食い殺したことで、一斉に群衆化して襲ってくる場面。ダンジョンの天井に巣を張っていたものの、当然猿なんで余裕で何十匹と登ってくる。「頭いいならこんな蜘蛛一匹、獲物としては割に合わないって気付けよ」という主人公のツッコミが的確すぎて笑えました。

とはいえ、まさに「殺すか殺されるか二者択一でしか終わらない」という状況。しかもアノグラッチの上位種も加勢してくるなど、果たして主人公はどう生き延びるのか?!というハラハラ展開で終わってくれてる。『蜘蛛ですが何か?』はシリアスもマヌケな笑いもいける。


「蜘蛛ですがなにか」の総合評価 評判 口コミ


『蜘蛛ですが何か?』の感想を一言でまとめるとフツーに面白かった。

かかし朝浩の原作ラノベ版は読んでないので評価や論評は避けますが、コミカライズした馬場翁の手によって予想を超えた「視覚化」が体現されている気がします。もし他のマンガ家がコミカライズしてた場合、ここまで面白くはなってないはず。

『蜘蛛ですが何か?』はバトル描写だけではなく、本当に主人公が躍動的に動いてる。少しマヌケなドジっ子だけど、リアルでは根暗な女の子だけど、必死に力強く生き抜こうとする様はクモのフォルムなのにしっかり愛おしい

ラノベや小説のコミカライズ漫画と聞くと、どうしても原作の世界観などの説明に終始してる漫画も多いですが、しっかり面白いポイントのみをとらえて調理できてるので、『蜘蛛ですが何か?』は単純に料理(漫画)として美味しい(面白い)。

実際グルメ漫画要素もあって、どこか「ダンジョン飯」に近いテイストもある。色んなジャンルの面白さが絶妙なバランスで成立してるので漫画としてレベルが高い。まさに『蜘蛛ですが何か?』はコミカライズのお手本。良い意味で裏切られました。

『能面女子の花子さん』1巻2巻のネタバレ感想をレビュー。作者は織田涼。掲載誌はITAN。出版社は講談社。ジャンルは青年コミックの学園ギャグ漫画。絶賛AmazonのKindleでもダウンロード購入・無料で試し読みが可能です。

『能面女子の花子さん』がそこそこ面白かったので考察してみた。『能面女子の花子さん』を購入する時の参考にしてください。ちなみに自動車ブログの方では「トヨタ・CHR vs ホンダ・ヴェゼル」や「ノートe-POWER vs アクア vs フィットHV」といった車種比較記事も書いてるので良かったらクルマ選びに悩んでる方は閲覧してみてください。


「能面女子の花子さん」のあらすじ物語 ストーリー内容

主人公は高校新一年生の泉花子。入学式で代表スピーチをするなど学業は優秀。ただ一点だけ他の生徒とは異なる部分があった。

能面女子の花子さん1巻 あらすじ1
(能面女子の花子さん 1巻)
それが能面を常時被っていること。ユーチューバーのラファエルか。しかも一番無表情のやつ。THE能面 of 能面。おそらく「お日柄もよく…」というセリフが一番似合わない顔ランキング1位。

能面女子の花子さん1巻 あらすじ2
(能面女子の花子さん 1巻)
とはいえ、花子はやっぱり女の子。全校生徒の前でのスピーチは緊張する。そこでこの気持ちを誰かと共有したいと考えるものの、クラスは「やけに静かなのよね」と花子。うん、100%、お前が原因や。

だから何故かムダにコミュニケーション欲みたいなんが強い花子。果たして花子はクラスメートと溶け込むことができるのか。友達ができるのか。そもそも花子は何故そんな能面をかぶっているのか!?という学園ギャグ漫画になります。

ちなみに能面とは、日本の伝統芸能である能楽や狂で使われる仮面・小道具のこと。花子が被っている能面は「若女(わかおんな)」と呼ばれるタイプ。若女は眉毛があるのが特徴で、眉毛が無いのが「増女(ぞうおんな)」と呼ばれるらしい。逆に言えば、ほぼ見た目の違いがない(笑)


能面女子のスクールライフとは?

『能面女子の花子さん』の見所は言うまでもなく、主人公・花子のキャラクターであり学校生活。ここを面白いと思えるかどうかがポイントになります。果たしてどんなスクールライフを送っているのか。

能面女子の花子さん1巻 通学時の電車の中
(能面女子の花子さん 1巻)
例えば電車での通学シーン。ただでさえ「能面をかぶった女子高生」というだけでも違和感だらけなのに、花子さんは何故か激しく横揺れる。ただただホラーすぎる光景に、思わず隣のOLもビビる。

一応、理由を説明しておくと花子さんは居眠りしてた模様。でも能面をかぶってるから、周囲が気付ける訳がない。それにしてもそんなに揺れるか?

能面女子の花子さん1巻 物憂げにふける若女
(能面女子の花子さん 1巻)
だから花子さんが授業中に外を物憂げに眺めてる場面も、焦点がまさに「こっち見んな」状態。読者をここまで堂々と睨みつけたことがある主人公もいないでしょう。ただ花子さんが考えてることは「あ、今変な鳥が飛んでた」。全然物憂げじゃねぇー。頬杖ついてまで考えることじゃねぇ。ややこしいんだよ。

そして他の生徒たちが考えてるのは、花子は能面をかぶっていて「どうやってご飯を食べるんだろう」という素朴な疑問。何もかもがすれ違ってる哀しい状態。ちなみに花子がどうやってご飯を食べてるかは本編を読んでてみてください。一応ネタバレは避けたいと思います。

花子は一日中能面を付けてるわけですが、能面の材質は木材。当然湿気などには弱い。ユーチューバーのラファエルもそうですが、絶対長期間マスクや仮面を着用してると口周りはゼッタイ臭いはず。じゃあどういう対策が必要か?

能面女子の花子さん1巻 若女 能面のスペア
(能面女子の花子さん 1巻)
それは予備の能面のストックを持ち歩くこと。画像は担任の女教師・北山が花子のカバンを持ち物検査した場面。

言うまでもなく、袋からいきなり能面が飛び出てくるインパクトがハンパない。講談社の編集者が逮捕されるぐらいのインパクト感。せめてギャグ漫画らしく「ババーン」みたいな擬音を付けて欲しい。無音でヌルっと、って恐怖でしかねーよ。推理漫画でいきなりタンスから死体が出てくるそれ。

でも能面のストックは一個や二個じゃない。花子が持ち歩く能面は大量。

能面女子の花子さん2巻 能面を干す
(能面女子の花子さん 1巻)
だからある日、花子は能面を大量に並べてひなたぼっこをすることも。ちょっとした呪いの儀式にしか見えない。少しでも近寄ったら生気を吸い取られそうで怖いです。考えようによっては単なるデスマスク。


この能面にしてこの能面あり?

そもそも花子さんは何故能面を常に被っているのか。出し惜しみしても仕方ないのでネタバレしておくと、そういう「能楽師の家系に生まれた」というだけ。

ただ泉家は実際に能楽をやるわけではないので、せめて「人前では能面を付ける」という家訓があるらしい。それを律儀に守ってる。じゃあ花子はいつから能面を付けているのか?

能面女子の花子さん1巻 小学生時代
(能面女子の花子さん 1巻)
まさかの小学生時代から能面を着用。花子の体の小ささも相まって、能面の存在感というか違和感がもっともっと増してるーーーー!!!

当然、能面を被ってるのは花子だけじゃない。泉家で代々伝わる伝統である以上、他の家族も能面を着用してる。

能面女子の花子さん2巻 泉の母親
(能面女子の花子さん 2巻)
例えば花子の母親に至っては「般若のお面」を被ってる。おそらく母親に一番被っててほしくない能面ナンバーワン。そして二人の対比もハンパない。圧もハンパない。どこのラスボスと中ボスだよ。花子の母親が持つ回覧板がちょっとしたデスノートにしか見えない。

まさに「この親にしてこの子あり」ならぬ「この能面にしてこの能面あり」といったところか。どっちも乳がデカいので、まさに遺伝子やDNAの力強さが読み取れます。

ちなみに花子の彼氏は、松田三郎という能楽師。どうやら「能面」という運命から、花子はどこまでも逃れられない様子。まあ考えてみると、能面をかぶった女子高生に好意を抱く男子はいないか。


意外と能面の表情が豊か?

『能面女子の花子さん』の売りは無表情の能面から繰り出されるギャップ感やミスマッチ感にある。当然その笑いを生み出すためには「能面の無表情感」が必要になってきます。ただ意外と能面から色んな表情を読み取れるのも面白い。

能面女子の花子さん1巻 若女 イエスオフコース
(能面女子の花子さん 1巻)
例えば、花子は英語を割りと話せるのか街中で声をかけてきた外国人観光客に対して、英会話のCMに出演してる石原さとみばりに「イエス!オフコース!」と答えてる場面。

もし花子が石原さとみの代わりにCMに出てたら、きっとJAROには抗議の電話やメールが殺到してるでしょうが、何故か能面をかぶってるのに不思議と「花子の爽やかな表情」が伝わります。

能面女子の花子さん1巻 意外と笑える笑顔
(能面女子の花子さん 1巻)
他にも花子のこの表情は嬉しそうに微笑みを浮かべてるようにも見えます。ある意味、こういった部分でも柔軟にギャップ感を作れてる。ここで笑いは生まれないものの、花子というキャラクターに深みを与えてるように思えます。

そう考えると、もっと漫画内では能面に自由に大胆に表情を付けてもいいのかも知れない。能面そのものが人の顔を模してるわけですから、意外と違和感は生まれないはず。


能面女子の花子さんの総合評価 評判 口コミ


『能面女子の花子さん』のネタバレ感想をまとめると、そこそこ面白かった。

やはり主人公・花子のキャラクターに尽きます。無表情の能面が生み出すミスマッチ感やギャップ感。そして能面さながらの強固なメンタリティーから繰り出される、花子の大胆不敵な行動の数々。はたまた「人間はやっぱり顔だよ」とか言い放つ何様感など、今までなかった設定ではありつつもしっかり一つの漫画作品に仕上げてる。

個人的には「嘘吹(うそぶき)」や「大飛出(おおとびで)」といった能面を根暗なキャラクターに着用させれば、もっと面白くなりそう。彼氏の松田三郎(さぶちゃん)は正直そこまで多用するキャラとは思えない。

だから、『能面女子の花子さん』はまだまだ面白くなりそうな余地は残すものの、正直その可能性を最大限まで引き出せてるとは言いがたいですが、それでもギャグ漫画ということで4巻5巻ぐらいまで続けば御の字か。きっと最後の最後、『能面女子の花子さん』は完結するまで花子の素顔は不明なままでしょう。

特に意味はありませんが、世界各国を漫画『ドラゴンボール』のキャラクターで例えてみました。


主人公・孫悟空はやっぱり日本

まずは日本人視点で語る以上、やはり日本は主人公の孫悟空にあたります。名前はいかにも中国人丸出しですが、そこら辺の細かいツッコミは華麗にスルーします。

孫悟空(日本)はやはり圧倒的に強いものの、敵に倒されてあの世へ逝ってみたり、息子の孫悟飯に実力では負けてみたり、意外に負け癖という実力という点ではやや疑問符がつくことも多い。日本経済も規模的にはトップクラスではあるものの、特別に最強(トップオブトップ)ではないことからも孫悟空にピッタリではないか。また「お人好し」の性格や国民性でも、まさに日本は孫悟空に似通ってる部分も少なくない。

孫悟空(日本)と血の繋がり(国旗)を感じさせるという点で考えると、さしずめ孫悟空の兄貴であるラディッツはバングラディシュがお似合いか。何となく語感も似てる気がしますが、きっと完全な気のせい。


クリリンはタイ王国

続いてタイ王国。やはりつるっぱげ頭は仏教徒の証ということで、クリリンを例えるならタイ王国がふさわしい。経済規模的にもまさに「可もなく不可もなく」という実力はクリリンそのもの。

同じく長い歴史を持つ皇室を抱える店で、まさに『ドラゴンボール』初期から繋がりがある孫悟空とクリリンのマブダチ感に通じるものがあります。


アメリカ合衆国は魔人ブウ

最近何かとお騒がせのアメリカ合衆国は、やはり『ドラゴンボール』内で一番強いキャラクター・魔人ブウがふさわしい。最初は敵同士だったけど、いつの間にかめっちゃ仲良くなっている点でも日本とアメリカの関係性にピッタリか。

また魔人ブウのオツムの弱さはトランプ大統領のそれと通じるものがあるでしょう。一応味方になったとはいえ、今後何をしでかすか分からない「読めなさ」という点で魔人ブウとトランプ大統領に共通する部分も多そう。魔人ブウの内なる悪魔は、さしずめ在日米軍あたりに例えるのが適切か。

カロリーが高い食べ物が大好きという国民性でも、やはりアメリカは魔人ブウそのもの。


中国は完全体セル

中華人民共和国こと中国は、やはり完全体のセル。孫悟空やベジータやピッコロなど全方位に敵に回すなど、とにかく悪役。そして様々なキャラクター(国)を倒しまくるなど、実際とにかく強い。ただ実力的(経済規模)には魔人ブウ(アメリカ)に甘んじてる点でも、中国はセルと共通してる。

しかもセルは相手を吸収して、自分の力を倍増させていく力を持つ。仮に『ドラゴンボール』の世界観であの時完全にセルが消滅していなければ、もしかすると魔人ブウ(アメリカ)超えもあり得たかも知れない。その底なしかつ無限大の伸び代という点では、まさに現在の中国経済を彷彿とさせます。「他国の領土や領海を吸収していく」という皮肉も込めたのは内緒。


インド共和国は孫悟飯

インド共和国は孫悟飯。孫悟飯は幼い子供時代から脅威の潜在力を秘めていて、いずれ中国を経済的に追い越す(セルを最終的に倒す)という点でも共通部分が多い。まさに若い人口がとにかく多いインド共和国と孫悟飯はピッタリ。

またカレーを主食とした「ご飯好き」という点でも、まさに孫悟飯そのもの(ここに来てまさかのダジャレ)。もちろん『ドラゴンボール』のストーリーの進行度合いによって、孫悟飯の年齢は変わるので細かいツッコミはやはり不要。


大韓民国はベジータ

大韓民国こと韓国はベジータ。いつも孫悟空(日本)の隣にいるイメージの強いことから、日本と韓国の地理的な関係も彷彿とさせます。

かつては孫悟空(日本)より圧倒的に実力(経済規模)が優れたものの、いつの間にか常に後塵を拝するようになった点で似てる。いつの間にかピッコロに抜かれてたなんてこともあって、ベジータ(韓国)の実力は孫悟空(日本)以上に意外とあれれ?

ただ韓国の経済規模はロシアなどをしのぐなど、やはり実力という点では世界トップ10に入るか入らないか程度で優秀な部類に入る。また2016年にストックホルム国際平和研究所が発表した世界軍事力ランキングでも、実は韓国は7位と戦闘能力(軍事力)でも上位から数えた方が早い。

孫悟空(日本)の後追い的に超サイヤ人になった(パクリ)ものの、それはベジータ(韓国)の潜在的な力があればこそ。他にも孫悟空(日本)と仲が良さそうで、意外と仲が悪い点でもベジータ(韓国)の関係性そのもの。ベジータの特徴的な髪型も、どこか韓国の男性アイドルグループの雰囲気と似てなくはありません。

ちなみにサイヤ人たちは惑星ベジータの前に、惑星サダラに住んでた。ただ内紛で惑星サダラは消滅してしまう。まさに韓国と北朝鮮の関係性や過去を彷彿とさせます。戦闘民族・サイヤ人という観点で考えると、意外と日本も韓国も攻撃性を秘めているので両者も共通。ある意味、同族嫌悪から来る仲の悪さか。

そして韓国がベジータなら、さしずめ北朝鮮はサタンか。名前からしておどろおどろしいものの、実力が伴っておらず弱い。またプライドだけは高く、完全体セル(中国)にも立ち向かおうとする無謀さを併せ持つのも共通してる。

果たしてサタン(北朝鮮)が現実世界で魔人ブウ(アメリカ合衆国)と仲良くなる日は来るのか!?


ロシア共和国は人造人間

2016年12月に安倍首相が北方領土を献上した、ロシア共和国は人造人間。

感情を持たない点で、まさにクール過ぎるプーチン大統領を彷彿とさせます。ロシアは地理的に中国と隣接しているなど、『ドラゴンボール』の世界観でも「セルと人造人間」の近いキャラクター同士の相関関係を感じさせます。

ロシア共和国はアメリカ合衆国(魔人ブウ)と肩を並べても良さそうな感じもしますが、意外と実力的(経済規模)には大韓民国(ベジータ)と同等程度とのこと。とはいえ、ドクター・ゲロの科学力の高さ(軍事力)はあなどれないので、いざという時の実力は「人造人間5体分の合算」程度を発揮するかも知れない。

そして、このロシアはタイ王国(クリリン)に観光目的(売春)で多く訪れているらしい(過去形?)。性別・立場こそ逆転してますが、まさに人造人間18号とクリリンが結婚した『ドラゴンボール』内の関係性そのもの。

そういう18禁的な意味で交差すると、日本(孫悟空)とタイ王国(タイ王国)がねんごろなのもうなずけます。もちろんBL的な意味じゃないですよ。この皮肉が伝わるかな。


その他の地域をたとえてみたぞ

ここからはその他の国以外の地域を『ドラゴンボール』のキャラクターで例えてみた。

まずは台湾(中華民国)。個人的にはトランクスに例えるのがベターだと思われます。台湾の経済規模はタイ王国(クリリン)より大きいものの、韓国(ベジータ)の半分以下しかない。だから経済規模を戦闘能力に置き換えて例えると、台湾は実力的にトランクスで例えると過大評価感がかなり強い。

それでもセル(中国)に一番苦しめられていた過去を持つという点で、やはり台湾はトランクスでしか例えられないでしょう。国という扱いを受けてない(未来からやって来た)というイレギュラー性も考慮すれば、台湾の実力のなさはさて置き、設定上は一番トランクスに近そうです。

そしてイスラム国は、さしずめサイバイマンといったところ。一匹一匹の戦闘能力は決して高くないものの、それでも「自爆」による破壊力は抜群。しかも喜んで命を捧げてくる狂気性は世界中が恐怖する存在。

また話が一切通じない and ワラワラと何匹でもわいてくる特徴でも共通する部分が多い。似たような『ドラゴンボール』のキャラクターにはセルジュニアもいますが、やはり実力的に過大評価感が強すぎるので個人的には却下。


ドラゴンボールのたとえまとめ


ということで以上、漫画『ドラゴンボール』のキャラクターで世界各国を簡単に例えてみました。有名すぎるキャラクターばかりなので画像は割愛。

別にどうでもいいっちゃどうでもいいネタで、特に記事化するつもりもなかったんですが、KAZUYAというネトウヨユーチューバーが動画内で『ドラゴンボール』で世界各国を例えてた。これがセンスの欠片もないしょうもない例えを全開。

例えば、韓国のことを「戦闘力5以下のゴミ」と表現してた。ただもちろん前述のたとえのように韓国はそこまで弱くない。ネトウヨ動画やネトウヨブログを読んでるとバカになるのは、そりゃあコンテンツ自体を作ってるヤツがバカなんだから仕方ないよなーと。

そこで悪い意味で触発されて、なんとなくノリで20分30分程度で書き上げました。少なくとも「戦闘力5以下のゴミユーチューバー」よりは、まともな例えができたというほんの少しの自負はあります。ちなみに『ドラゴンボール 完全版』全34巻のネタバレ感想はレビュー済みなので、後で興味がある方は良かったらどうぞ。

『進撃の巨人』が面白いか、つまらないかを考察してみた。作者は諫山創。掲載誌は別冊少年マガジン。出版社は講談社。ジャンルは少年コミックのでバトル漫画。『進撃の巨人 Before the Fall』や『進撃!巨人中学校』など様々なスピンオフや関連する小説も多数発売されてる人気漫画。この『進撃の巨人』だけで講談社はかなり儲かってるとのこと。

この担当編集者によれば『進撃の巨人』は25巻ぐらいで完結を迎えるかもってことですが、再びアニメの放送も決まったので面白いかつまらないかレビューしてみたいと思います。



進撃の巨人のあらすじ物語・ストーリー内容

107年前、人類はナゾの「巨人」たちの襲来から身を守るため巨大な壁を作った。王都を中央として円形に作られた巨大壁は、順番に「ウォール・シーナ」、「ウォール・ローゼ」、「ウォール・マリア」。この3つの巨大壁のおかげで、生き残った数少ない人類は平穏な日常を再び謳歌することとなる。

しかし、そんな人類のうたかたの繁栄は突如として壊される。最も広大な範囲をカバーしていた「ウォール・マリア」が超大型巨人と鎧の巨人によって壊されたからである。逃げ惑う市民たちは、再び巨人の脅威を思い知らされる。人類の活動領域は「ウォール・ローゼ」内にまで狭まった。

5年後、壁外の巨人たちを駆逐する戦闘部隊・調査兵団に配属されたのが、主人公のエレン・イェーガー。その幼なじみのミカサ・アッカーマン、アルミン・アルレルトの3人だった。エレンたちは5年前までは破壊されたウォール・マリア内で過ごしていた。

巨人たちへの復讐を誓うエレンたち…だったが、またしても超大型巨人が現れる。そして今度は「ウォール・ローゼ」がついに破壊された!次々と壁内に流入してくる無数の巨人たちは、再び絶体絶命の危機を迎える人類。

進撃の巨人2巻 気持ち悪い巨人
(進撃の巨人 2巻)
果たして人類は巨人に為す術があるのか!?巨人たちは何故人類を襲ってくるのか!?…みたいなストーリーの漫画。


巨人たちが絶妙にキモすぎる件

あらすじに貼った画像からも分かりますが、とにかく巨人たちが気持ち悪い。

進撃の巨人19巻 気持ち悪い巨人 マルコ
(進撃の巨人 19巻)
見た目がフツーの人間だからこそ、そのまま巨大化した時のキモさったらない。『テラフォーマーズ』とは違ってキャラデザが画一的ではなく、巨人たちは千差万別。ここにはストーリー的な理由も含まれてるんですが、『アイアムアヒーロー(花沢健吾)』のZQNと同じように、敢えて人間としての痕跡をちゃんと残した方が効果的に恐怖感を煽れるらしい。

進撃の巨人5巻 イルゼ・ラングナー
(進撃の巨人 5巻)
イルゼ・ラングナーという兵士が出会った巨人は、顔を近づけて鼻息荒くフーフー。巨人の攻撃方法からして不気味なんですが、パンチとかキックとか全くしてこず、人間をつかんでは「食べる」だけ。だからやたらと近付いてくる。

ここは割りと重要な場面で「え?どうゆこと?」と更にナゾが深まるんですが、イルゼ・ラングナーが追い詰められる描写も実に上手い。またキャラデザだけではなく、巨人の動き方も絶妙にキモい。

進撃の巨人5巻 気持ち悪い巨人
(進撃の巨人 5巻)
例えばサシャが追いかけられてる場面だと、何この巨人の走り方(笑)

ちなみに巨人たちには二種類存在する。それが通常種と奇行種。前者は行動を予測しやすく、動きものそのそと移動するだけ。奇行種は突然走り出したり木に登ったり、次の行動が読めない。

進撃の巨人11巻 気持ち悪い巨人
(進撃の巨人 11巻)
例えば、木の上で退避してる主人公・エレンたちに対しても、通常種は登れないくせに木の上に登ろうとしてくる。でも奇行種だけは地面で腕枕して寝転びながらジーっと眺めてくるだけ。もちろん虎視眈々とエレンたちを狙ってる。その知恵らしきものに言葉で表現できないキモさを感じます。

まだ巨人たちが「お前ら食ってやる」みたいな陳腐なセリフを吐いてくれた方が怖くない。終始無言でグイグイ迫ってくるから、意思疎通ができないことが恐怖でしかない。街中で見知らぬオッサンが突然近づいてきたら、男でも軽くビビりますがそんなどころの比ではない。


三次元的なバトル描写がかっこいい!

『進撃の巨人』はバトル描写・格闘描写が圧倒的。立体的なアングルから紡ぎ出されるそれは、まさに三次元的なバトル。

進撃の巨人1巻 立体的なアングルや構図
(進撃の巨人 1巻)
人類は立体機動装置を使って、自分よりデカい巨人たちに立ち向かう。例えば木々や家々にワイヤーを突き刺すことで、兵士たちは縦横無尽に動き回れる。このアングルや構図が立体的で見事。

ちなみに巨人の弱点はウナジ。というか、そこを攻撃しないと巨人は何度でも再生してくる((((;゚Д゚))))ガクブル

進撃の巨人2巻 頭の破片が飛んで来る
(進撃の巨人 2巻)
巨人は当然デカいので、その一部分が吹っ飛んできただけで大惨事。ウルトラマンの戦いではないですが、こういうアプローチもリアルさを生む。ただハンジというキャラが「切断された巨人の頭部は軽かった」みたいなことを前に言ってた気がするので、もしかするとこの場面は矛盾した描写?

進撃の巨人6巻 女型の巨人
(進撃の巨人 6巻)
女型の巨人が馬車に乗った兵士を蹴り上げるシーンは、めちゃくちゃシンプルだけどめちゃくちゃ残酷。背景には何でも描き込めばいいってもんじゃなく、この白地があるからこそ「蹴られた兵士の被害度合い」が伝わってくる。「パン」という擬音を選んだセンスもスゴい。

ネタバレしておくと、実は主人公・エレンは巨人化できる。そして「ウォール・マリア」を突破した巨人も実は…みたいな仕掛けもあるんですが、この巨人同士で戦うバトルが特に圧巻。

進撃の巨人11巻 エレンvsライナー1
(進撃の巨人 11巻)
エレンが一緒に落ちていく鎧の巨人に対して、思っきりパンチを食らわせるシーン。二コマでシンプルにドンドーン。ただ名前の通り、鎧の巨人は全身が硬質化されてるので、この時はエレンはダメージを与えられない。

進撃の巨人11巻 エレンの首投げ
(進撃の巨人 11巻)
そこでエレンがまさかの首投げ。鎧の巨人がフワッと浮いてる時の、手足がリアルすぎ。作者・諫山創は身体の描き方が上手くて、アスリートの引き締まった筋肉の特徴を見事に捉えてる。

進撃の巨人11巻 エレンvsライナー2
(進撃の巨人 11巻)
例えば、鎧の巨人に倒されて立ち上がる瞬間のエレンがカッコ良すぎ。腕の筋肉やキュッとした太ももなどが秀逸。手の開き具合も怒りに満ちていて、ジョジョ立ちのように一つの印象に残るポーズとして成立してる。マンガでは重要。『テラフォーマーズ』なんかだと指一本をおっ立ててるのが関の山ですからね。

また木々や草との対比など、見開きページ内にコンパクトにちゃんと収めてるのも見事。意外に難しいはず。エレンの表情を見せることで、未読の人でもどちらが敵か味方かも一目瞭然。心の底からのセリフも含めて、こんなに熱くなるシーンはなかった。個人的にお気に入り。

進撃の巨人18巻 猿型巨人
(進撃の巨人 18巻)
猿型の巨人というのもいるんですが、コイツが巨大な岩を持って投げるシーンもすごい。THE砲丸投げ。フォームがメチャメチャきれい。巨人にこんなことを「敢えて」させることで絶妙な違和感を生み、このインパクトは一度見たら読者は二度と忘れない。

進撃の巨人8巻 女型の巨人 アニ
(進撃の巨人 8巻)
街中でのバトルも圧巻。画像は女型の巨人。二コマ目に「女型の巨人の視線」を入れることで、読者にその視線の先に意識を活かせてるのも上手い。後述しますが、こういう一つの一つのさり気ないセンスが進撃の巨人の読みやすさに繋がってます。

進撃の巨人19巻 バトル格闘描写
(進撃の巨人 19巻)
19巻では再びエレンと鎧の巨人が戦った時も、エレンは思いっきり民家へ叩きつけつけられる場面が圧巻。当然家が破壊されただけで終わるワケはなく、続けざまにエレンをグイッと持ち上げてからのパンチを繰り出そうとする鎧の巨人。このテンポ感が見事。読者に余裕を与えず、なおかつ次のページをすぐめくりたくさせる。

作者・諫山創の空間を捉える力に秀でてて、またそれを操る描写力がすごい。映画のスパイダーマンが可愛く見えるほど、暴力的な構図とアングル。だからといって小奇麗にまとまってるワケでもなく、巨人たちのパンチは大ぶりだが、まさに無骨そのもの。まさに格闘バトルとはこうあるべき!と言わしめるほどの「粗暴」が詰まってる。

作者・諫山創はUFCという総合格闘技が好きらしく、その好きっぷりがよく伝わってきます。まさに好きこそ物の上手なれ。飛び道具一切なしで純粋な格闘描写だけで、ここまで読者を熱くさせてくれる漫画は他にない。かつてプロレスに熱狂した少年たちも、きっとこんな気持ちだったんでしょう。

『ドラゴンボール(鳥山明)』を筆頭に「巨大な敵は読者受けしない」と一般的に言われますが、そうじゃねぇっ!!『進撃の巨人』を読むと、単にそれは作者の腕がなかっただけってことが分かります。本当に肉弾戦こそ最強と言わしめてしまう「圧巻の面白さ」がここにはあるッッ!!!(テレ朝風)。


圧倒的な展開力にグイグイ引き込まれる

『進撃の巨人』は展開力も魅力の一つ。

斜め上を行くような展開が次々と起こる『HUNTERxHUNTER(冨樫義博)』とは違って、どちらかと言えば既にある謎が徐々に明らかになっていくプロセスを楽しむような漫画。でもその過程が間違いなく読者の好奇心を掻き立ててくれて、なおかつ終始張り巡らされた緊張感が堪らない。

進撃の巨人8巻 壁の中に巨人がいる
(進撃の巨人 8巻)
例えば「ウォール・マリア」といった巨大な壁の中には、実は巨人が埋め込まれてた。しかも死体ではなく、現在進行形でその巨人は生きている。これは一体どういう意味なのか!?

進撃の巨人14巻 リヴァイ レイス家
(進撃の巨人 14巻)
果たして、物語の鍵を握る「レイス家」とは一体どういう存在なのか?

こんな風に謎がどんどん現れるものの、解き明かされていくプロセスは丁寧そのもの。伏線の回収も比較的早くて(月刊誌だからそう感じるだけかも知れない)、読者は良い意味で考えるヒマを与えてくれない。言い換えると出し惜しみがない。そのことが更にテンポ感の良さに繋がってる好循環。

『進撃の巨人』には「透明の大きなストーリー」が一つだけポンと目の前に置かれてる。諫山創の頭の中で設定や世界観にしっかり確立されてるので、フワッとした描写や説明が少ない。だから読者が漠然とその透明なものを確実に把握できる。だから読者は安心して作者と一緒にゴールに向かえる。

それでいてストーリーも読みやすい。その大きな軸を元に展開されるので、読者はただ身を任せてるだけで済む。いわば流れるプールで浮き輪に入ってプカプカと浮いてるだけでいい。この読みやすさは、『ゴールデンカムイ(野田サトル)』に通じるものがある。

進撃の巨人15巻 王政を追い詰めるピクシス
(進撃の巨人 15巻)
また壁内では人間同士の対立もあったり、現実世界に近い権力闘争や政治闘争も繰り広げられる。画像は壁内を統治する王政を追い詰めていくピクシス司令。ネタバレしておくと王政を結果的に打破されるんですが、王政がいなくなっても現状が大きく変わるわけではない。そこでいかに市民たちを混乱させないかなど、展開の進め方にご都合主義や安っぽさが一切ない

当然『進撃の巨人』はオリジナルの世界観。そこに読者の興味を惹きつけるのは大変。最初から細々と説明されても付いていけませんが、焦ってブワーッと言葉で説明しがちな漫画が多いのが現実。でも大枠の世界観を説明してある程度理解させてから、小さな街中の細かい描写などを描くことで世界観に没入しやすくなってるのも素晴らしい。

『進撃の巨人』は別冊少年マガジンで連載されてますが、基本的に月刊誌は1話あたりのページ数が多く、どうしても全体的に間延びしがち。例えば同じく月刊連載だった『鋼の錬金術師(荒川弘)』ですら自分は感じた。

でも『進撃の巨人』はそういうのが一切なく、むしろ月刊誌のペースだからこその心地良いテンポ感がある。下手したら週刊連載だったら、ここまで人気が出てない可能性すらありそう。それほどに絶妙なペース配分。


登場人物の描写力や会話が上手い

また読者に対する煽り方も実に上手い。もう少し言い換えるとキャラクターを描写する力が高い。恐怖で理性を失った兵士や、各々の立場の人間の心理描写を表現するのが見事。

進撃の巨人8巻 アニ・レオンハート
(進撃の巨人 8巻)
例えば、アニというキャラクターが実は裏切り者だったと分かる場面ですが、その時に見せた表情がヤバイ。二コマ目に口元を持って来るセンス。またエレンたちの視線を見てみると、その場で両者が視線がぶつかり合ってるのが伝わります。これは敵同士だからこそ視線がぶつかる。こういう些細とも思えるキャラ描写がいちいち漫画の緊張感を生んでくれてる。

進撃の巨人10巻 ライナー ベルトルト 目線
(進撃の巨人 10巻)
他にも、ライナーが主人公・エレンに衝撃の事実を告白する場面ですが、背後にいるベルトルトの視線がポイント。「え?ライナー大丈夫?今言って大丈夫?」という不安すぎる表情が、事態を急激に悪化させる緊張感を煽ってる。またジッと見つめることでライナーに対する依存感や、ベルトルトの気の弱さも出てる。

あまりネタバレすると怒られるので控えますが、キャラクターの目線や視線の動きを使って読者を巧みに誘導してる。作者・諫山創の画力は低いと言われてますが、むしろ情報を的確かつ魅力的に表現するチカラは誰より抜きん出ている作者

例えばセリフ力もレベルが高い。キャラクター同士の会話も読みやすくて、一人一人が活き活きと輝いてる。シンプルかつハッキリとした言い回しで、端的に状況やキャラ自身の考えを伝えてくれる。セリフだけでもキャラの違いを認識できるほど。

だから別に新しく吹き出しを使って説明されなくても、読者はキャラクター同士の会話を聞いてるだけでストーリーの大まかな流れが把握できる。また高度な心理戦が展開される場面でも、いちいち淀みなく読める。こういったことも『進撃の巨人』のテンポ感の良さに繋がってます。

進撃の巨人18巻 リヴァイのセリフ
(進撃の巨人 18巻)
また時にはズバッと言い切る小気味の良さやセンスは、少年誌のクオリティーとは思えない。画像はリヴァイが上官のエルヴィンに忠告してる場面。普段は一応エルヴィンに従ってるリヴァイですが、だからこそ事態の切迫感も伝えるための役割も果たしてる。

進撃の巨人16巻 ケニー・アッカーマン セリフ
(進撃の巨人 16巻)
こういう些細な演出も心憎い。画像はケニー・アッカーマンの過去と現在を対比させてる。場面を切り替えるテンポ感が良い。画像は昔は意気揚々と悪どい計画を考えてたものの、いざ全く異なる現実を目の当たりにした時にケニー・アッカーマンは愕然としたところ。

キャラクターの特徴をしっかり捉えたセリフ回しは表情の上手さも相まって、キャラクターを個性的に肉付けしてくれて感銘や慟哭、共感といった感情の発露に一役買ってる。キャラクター間でポンポンとやり取りされる言葉のキャッチボールはそれだけで見応えがあり、ある種の「会話劇」としての面白さもある。だから、もし絵がついてなかったとしても『進撃の巨人』はグイグイ読めるでしょう。


進撃の巨人と東京喰種の違いはやはり?

そういえば『東京喰種』という漫画がありますが、実は『進撃の巨人』とほぼ同じ巻数。2016年4月現在、『進撃の巨人』は19巻まで発売されてて、『東京喰種』は一部が全14巻、二部が6巻まで発売されてる。

月刊誌と週刊誌という違いはあれど、もちろん両者とも爆発的に売れてる大人気マンガではあれど、『進撃の巨人』の発行部数は5000万部超に対して、『東京喰種』は2000万部超。どちらも更に発行部数を伸ばしてると考えられますが、少なくとも両者で約二倍の開きがあってそれが極端に埋まる可能性は低い。

もちろん『進撃の巨人』だって『東京喰種』だってキャラクターは面白い。バトル描写も面白い。両者とも序盤こそ画力にムラがあったものの、最近はブラッシュアップされまくってる。むしろ『東京喰種』の作者・石田スイの方が画力の向上は目覚ましい。

じゃあ「この発行部数の大きな差がどこで生まれるのか?」と考えたら、やっぱり「ストーリーや展開力」の差。『東京喰種』のストーリーには大きな軸がない。キャラクター描写や設定をベタベタと張り付けてるだけの、言わばハリボテ。新キャラが登場しては消えるの繰り返しで、自分は少し付いていけない。もちろん面白い漫画ではあるものの、大人読者はそこまで発狂できないのも現実。

ストーリーがダメすぎると途中で買うのを止める読者も多い。逆にストーリーが面白かったら1巻を購入した読者は漏れなく最新刊まで購入してるはず。『進撃の巨人』との発行部数の差を考えると、編集者や漫画家が思っている以上に「展開力の差」は大きいのかなと思いました。


進撃の巨人の総合評価・評判・口コミ


『進撃の巨人』の感想をまとめると、5000万部という発行部数は伊達じゃない。その数字に恥じないぐらい面白い。2000年以降に発売された漫画の中では、間違いなく3本の指の中に入る面白さ。

設定だけ読むと『進撃の巨人』は奇をてらってるだけの漫画にしか思えないんですが、中身はバリバリの王道。バトル格闘描写は面白い。主人公・エレンだけが変身できるというスペシャリティー感。弱者が巨悪に立ち向かっていくという、シンプルかつ痛快な読みやすいストーリー構成。それでいて謎が解消されては、新たな謎が浮かび上がっていく怒涛の展開。少年漫画とはいえ、このグイグイ感はしっかり大人でも満足できる力強さがある。

自分は『進撃の巨人 8巻』ぐらいから読み始めたんですが、ビックリしたのは想像してた以上に面白かったこと。何故周囲はもっとゴリ押ししてくれなかったの!?と内心キレてしまったぐらい。自分ですらハードルが上がった状態で読んでも面白かったのだから、おそらく大多数の未読の読者は想像以上に読まされてしまう漫画のはず。

だからちょっとそこのアナタ!黙ってさっさと『進撃の巨人』を読みなさいッ!!そして漫画を読んでから再度このレビューを読み直してもらえたら、また自分が書いたことに改めて納得してもらえるはずです。

『この世界の片隅に』全3巻のネタバレ感想をレビュー。作者はこうの史代。掲載誌は漫画アクション。出版社は双葉社。一見するとファンタジー漫画っぽいタイトルですが、ジャンルは青年コミックの戦争漫画。絶賛AmazonのKindleでもダウンロード購入・無料で試し読みが可能です。

この漫画を原作としたアニメ映画が割りと話題になってるらしいので、『この世界の片隅に』が面白いのかつまらないのか考察してみました。


「この世界の片隅に」のあらすじ物語 ストーリー内容

舞台は戦中(1940年前後の頃)を舞台にした広島県。主人公は水原すずというどこにでもいる少女。ボーっとした性格のせいで、たまにさらわれそうになった場面も。すずは絵を描くことが大好きな少女で、すくすくと成長した。

『この世界の片隅に』の物語は、すずが広島県・呉市に住む北条周作という男に嫁ぐ場面からストーリーが始まります。果たして戦争は広島県に何をもたらしたのか。すずという一国民・一市民に何をもたらしたのか。柔らかい絵と軽いタッチで「第二次世界大戦」の重い描写を描く。


戦時中のなにげない広島県の日常の中の異物

『この世界の片隅に』は戦争漫画ってことで悲壮感が溢れてるかと思いきや、むしろ主人公・すずののほほんとした性格と同様に、当時の広島県の何気ない日常や風景が主に描かれてる。

この世界の片隅に1巻 広島 風景描写
(この世界の片隅に 1巻)
例えば、すずが水原という男子生徒と一緒に地元の海を写生してる場面。画像は「絵の中にいる二人」演出してることもあってデフォルメ感が強めですが、ホンワカしたタッチと相まって「柔らかい世界観」が描写されてる。

だから『この世界の片隅に』を読み進めていくと「戦争」の二文字をつい忘れさせる。広島の町並みは平和そのもので、他にも井戸水から水くみする場面やお裁縫する場面など、そこには人々が確実に息づいていて経済活動を行ってる。

作者・こうの史代があとがきで「戦時の生活がだらだら続く様子を描くことにした」と語っているように、まさにのどかなシーンしかないと言ってもいいぐらい。絵柄こそやや独特なタッチですが、それでも広島県の呉市を様々な場所から丁寧に切り取ってくれてる。

ただその平穏な日常には確実に「戦争」という異物が存在してる。すずと周作が肩を寄せあって段々畑ところから海を眺めてる先には、世界一の戦艦とされた大和が浮かんでる。言ってしまえば「忘れさせる作業」があるから「思い出させる作業」が生きてくる。

この世界の片隅に1巻 修身 授業時間割
(この世界の片隅に 1巻)
すずが小学生だった時の授業の時間割には「修身」の文字。修身とは今でいう道徳の時間。1890年から1945年の敗戦まであって、かなり優先された授業の一つ。実際に修身で道徳心が養われていたとしたら、それこそ戦争に突入してるわけがないので、こういった過去から道徳の時間が現在も批判されることも多い。

すずが義母をダンナ・周作が通っていた母校の小学校に連れて行ってあげた時、周作の母が「ダンナが仕事を解雇されて大変だった」と思い出話を語る。戦前であろうが戦時中であろうが、戦後であろうが食い扶持がなくなることは一大事。

この世界の片隅に1巻 街中に大きな日の丸
(この世界の片隅に 1巻)
ただ大きな日の丸が幾つもはためく街中を背景に「それが大ごとじゃ思えた頃がなつかしいわ」と義母がポツリ。仕事がなくなることが些細に思えるぐらい、戦争は広島市民にとって大ごとになってしまったことを暗に皮肉ってる。日の丸はやはり「戦争」の象徴でしかない。小学校自体も尋常小学校から国民学校へ名称が変更されてるなど、より戦争を象徴するアイテムとして描かれています。

この世界の片隅に2巻 水道 軍優先
(この世界の片隅に 2巻)
すずが久しぶりに同級生の水原と再開した場面では、すずが「水道も断水ばっかりなんと。軍優先じゃけえね」とポツリ。戦争優先で市民生活が虐げられていたことが暗に伝わります。

この世界の片隅に2巻 竹槍
(この世界の片隅に 2巻)
竹槍を使って女子供たちが訓練させられる場面や、すずが子供を何人も産まなきゃいけないと語ったり、戦時中の空気感や市民たちがどう生きていたかの雰囲気が伝わってきて面白い。

この世界の片隅に1巻 建物疎開
(この世界の片隅に 1巻)
個人的に驚いたのは「建物疎開」。

自分の家を壊してどこか田舎へ疎開させられる。建物疎開の目的はアメリカ軍から空襲を受けた時、延焼しないように空き地を作らされていた。現代の価値観からしたらそんなことを強制させられたらたまったもんじゃないですが、それも「やむなし」と思わせる戦時中の空気の気持ち悪さが間接的に伝わってきます。


暴力が暴力に屈した8月15日

『この世界の片隅に』の最終回・結末はやはり終戦。ストーリーがそこへ向かっていくに連れて、空襲を受けるなど戦争がもたらす悲惨さも増していく。

この世界の片隅に3巻 径子の娘・晴美
(この世界の片隅に 3巻)
アメリカ軍が落とした時限爆弾に見舞われて、ずっと妹のように接していた義理姉・径子の娘・晴美が死んでしまい、同時にすずは右手を失ってしまう。それまでノホホンとした性格のすずや穏やかな風景がフリとして対比的に活かされて、より被害の深刻さが鮮明に写ります。

この世界の片隅に3巻 昭和天皇の玉音放送
(この世界の片隅に 3巻)
昭和天皇の玉音放送が流れた時も、すずたちはピンと来ない。これまで軍部やマスコミは散々と戦争を煽っていたわけですから、いきなり戦争が終わったと言われたところで理解できるはずもなく当然の反応。ここからは勝手に戦争を始めて、勝手に謝罪もなく無責任に逃げた軍部たちに対する批判も込められているのかも知れない。

しかも天皇の声もカタカナ表記で味気なく無機質。全く感情がこもっておらず、どこか天皇に対する批判も読み取れます。また玉音放送に対してすずたちは「まるで人間の声」といった反応を示すんですが、天皇は神と教わっていたためまさに「コイツ誰やねん」状態。戦前教育ってのが暗に崩れ落ちたことも示してる。

だから日本国民が天皇に陶酔しきっていたという指摘もありますが、当然それまで多くの国民は天皇の肉声を聞いたことがなかったので、実は天皇バンザイな愛国者ほど玉音放送にはピンと来なかったのかも知れない。

ただあくまですずたちの目線は「被害者側」の視点で描かれる。だから『この世界の片隅に』では日本の加害責任が言及されていないといった批判もあるらしい。確かに日本の戦争漫画や戦争映画は常に薄っぺらい被害者視点で描かれるばかりで、どうしても「加害者視点」で描かれることは少ない。

でも『この世界の片隅に』では一応「日本の加害者視点」で描かれてるのかなーと思わせるシーンが最後の最後であります。それが前述の玉音放送を聞いたすずが、「まだ左手も両足も残っとるのに納得できん」と外へ飛び出すものの、平和な空を見上げて「この国から正義が飛び去っていく」と崩れ落ちる。

この場面ではためくのが「太極旗(大韓帝国の国旗)」。まさに朝鮮民族や独立運動を象徴する旗。そしてすずは「暴力で従えとったということか」「じゃけえ暴力に屈するいうことかね」「それがこの国の正体かね」「うちも知らんまま死にたかったな」と泣き崩れる。

ここで作者・こうの史代が伝えたかった「暴力」の意味は、前述の「正義」という表現も加味すると、日本がアジア解放という美名の下で朝鮮半島などを武力で植民地化して支配した、という歴史的な事実を指してるのかなーと思います。暗に日本で現在も差別されている朝鮮人の怒りの発露を「太極旗」で表現してる。

日本は武力で世界やアジア諸国を侵略しようとした結果、アメリカという武力に逆にブチのめされたわけです。まさに暴力(日本)が暴力(アメリカ)に屈したのが8月15日。そういう点では「日本の加害者責任に触れている」とも言えます。

ただ残念ながら、それまでのストーリーで「朝鮮人や韓国人」が登場することはないため、まともな近現代史の歴史的な知識を身に着けてない限り、さすがに太極旗一つだけで日本の加害責任に強く触れて批判しているかといえば微妙。むしろ「唐突感」しか感じなくても仕方ないのかもしれない。

例えばポンコツユーチューバーのKAZUYAやネトウヨまとめブログを好んで見てるような連中だと絶対理解できないはず。いわゆる朝鮮人が戦後に日本を裏切ったー的なアホな切り口でワーキャー騒ぐのが関の山でしょう。実際にはそれまで朝鮮人は抑圧されてから黙ってたにすぎないわけですから。

もちろん『この世界の片隅に』は他の漫画や映画作品と比較したら、まだ日本の加害責任について触れてる作品なのかも知れませんが、これで十分読者に何か伝わって胸にストンと落ちるかと言えばやはり物足りなさも残るのも事実か。


「この世界の片隅に」の総合評価 評判 口コミ


『この世界の片隅に』の感想としては、古くさい絵柄から受けた印象には反して読み進めていくと意外と悪くはない

当時の広島県や呉市の何気ない日常や風景を素直に切り取っていて、戦争ものにありがちな大げさな脚色が薄く却ってそれがリアルに新鮮に写る。そこにさり気なく「戦争という悪」を放り込んでくる上手さもあって、この対比やギャップ感から描かれる戦前の日本の愚かさや戦争の無意味さが柔らかなタッチの絵柄から想像できないほど鮮明に伝わってくる。

どうしてもメッセージ性という点ではやや弱さや曖昧さは残るものの、日本国内における戦争漫画や戦争映画といったジャンルの特性を考えると『この世界の片隅に』にだけが別に取り立てて異質なものではなく、良くも悪くも政治性の弱さ・薄さとも好意的に解釈することもできて、そのことで却って幅広い読者に受け入れられる素地があるとも言えます。それゆえに産経新聞でも『この世界の片隅に』という映画をおすすめできたのか。

『この世界の片隅に』の発売年は2010年前後とやや古い作品ですが、最近アニメ映画が人気ということで戦争ものが好きな方にはおすすめしておきます。もちろんマンガマンガした面白さはないので注意したいですが、韓国やアジア、世界各国と「未来志向」で手を取り合おうとする中、日本が犯した過去の愚かな戦災について日本人全体が改めて学びたいところです。