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『ぐらんぶる』5巻のネタバレ感想。原作は井上堅二、作画は吉岡公威。good!アフタヌーン(講談社)で連載中の青春漫画。あらすじは1~4巻のネタバレ感想でも読んで下さい。この5巻は2月初め頃に発売されてどっかのランキングで一位だった気がしますが、若者の悪ノリを体現した意外に珍しい青春ギャグ漫画ってことで面白いです。


伊織、スキュバーダイビングの資格を取れそうにないってよ

沖縄へ合宿しに行った続き。スキュバーダイビングのライセンス講習の真っ最中。

ただ他の部員たちはスキュバーダイビングの資格を取得できそうなんですが、主人公・北原伊織だけは合格できる気配がない。マスククリアと呼ばれることが苦手。でも周りの部員にこのことを気付かれるのは屈辱。そこで黙ってバレないように練習するにはどうすればいいか、必死に考え抜く北原伊織。

ぐらんぶる5巻 伊織
(ぐらんぶる 5巻)
そして至った結論が「よーし!毒刹しよう!」。清々しいまでの笑顔。そんな京都へ行こう的な軽いノリで言っちゃアカーン。本末転倒というレベルじゃない。

ぐらんぶる5巻 伊織と千紗
(ぐらんぶる 5巻)
もちろんそんなことは無理なので、イトコの古手川千紗に対して「練習に付き合ってくれないか」と誘う。

ただ左側にチラッと写ってる吉原愛菜(通称ケバ子)がイヤな予感しかしない。想像通りというか「付き合ってくれないか」の部分だけを聞いてしまったので、北原伊織が古手川千紗に愛の告白をしたと盛大に勘違い

ぐらんぶる5巻 ケバ子
(ぐらんぶる 5巻)
だから思わずケバ子もこんな表情。ケバ子は主人公・北原伊織のことがちょっと好きっぽいので大ショック。このあと今村耕平も巻き込んで、いわゆるスレ違いコントがこのあとに展開されます。詳細は割愛しますが、今村とケバ子の間でも勘違い炸裂されてたりしてムダに忙しい(笑)

ぐらんぶる5巻 伊織を沈める千紗
(ぐらんぶる 5巻)
最終的に主人公・北原伊織と古手川千紗が一緒に練習してる場面に遭遇するんですが、新手のプレイ。思わずケバ子も「ホントに何やってんのー!」と驚愕。確かにバックにあるお月様が巨大すぎて、なんか色々こえーよ!ちょっとした儀式だよ。

ぐらんぶる5巻 スキューバダイビングって素敵やん
(ぐらんぶる 5巻)
とりあえず「スキュバーダイビングって素敵やん?」という島田紳助的なオチを宮古島で迎えます。


オトーリというエンドレス一気飲み

この宮古島では「オトーリ」というエンドレスに泡盛を一気飲みする習慣があるらしい。この習慣がエグすぎて沖縄県では「宮古人お断り」という看板を出すお店もあるぐらいだとか。でも宮古人を超えてくるのが、PaBの部員。まさかの宮古島の店中という店から追い出される。

そこでPaBオリジナルのオトーリを始める…みたいな展開へ。主人公・北原伊織や今村耕平たちの悲惨な末路が描かれます。

ぐらんぶる5巻 オトーリ1
(ぐらんぶる 5巻)
泡盛だけではなくアルコール度数がキツいお酒をチャンポン状態。スピリタスというお酒のアルコール度数は96%。どんな異常値だよ。だから簡単にアルコールが蒸発してしまい、北原伊織は思わず目をやられる。

ぐらんぶる5巻 オトーリ エチルアルコール
(ぐらんぶる 5巻)
何故なら、中には消毒用のエチルアルコールを投入しようとする先輩もいた。当然「入れるなぁぁぁッ!」とツッコむ北原伊織たち。悲壮感に満ち溢れてます。

ただ先輩たちは「冗談だよ」と笑顔。なんやかんや常識人やんと安心したのも束の間、エチルアルコールのアルコール度数は80%。でも前述のようにスピリタスというお酒のアルコール度数は96%。まさかの薬品が負けてたーー!!

当然本場のオトーリを超えたオトーリなノリに付いていけない北原伊織と今村耕平。そこで二人は酔っ払ったフリをして中身をこぼそうとしたり様々な案を考える。そうでなきゃ急性アルコール中毒で死んじゃいます。

例えばコップをもう一個用意して、そこに水を入れる。そして隙を見て口に含んだお酒を移そうと考える二人。
ぐらんぶる5巻 オトーリ2
(ぐらんぶる 5巻)
ただコップに水を入れる前に、先輩にお酒をなみなみと注がれる。先輩、仕事早すぎ。そこら辺のホステスも目じゃない。というか、この先輩の見た目がバケモノすぎるやろ。日本中をくまなく探せば、こんな妖怪ゼッタイいるはず。ひたすら酒を注いでくるだけのバケモノ。

ぐらんぶる5巻 酒乱すぎるケバ子
(ぐらんぶる 5巻)
最終的にはケバ子も暴走したり、案の定な展開が待ってます。

画像は北原伊織と今村耕平は「大学に入ったら夢の様な生活が待ってると思ってた。この生活もある意味 夢みたいなもんだろ?」とめっちゃ熱くていい話をしてるのに、「夢といっても悪夢だがな」「違いない」という切なすぎるオチ。いい加減、早くPaBから逃げてーーー!!

とりあえず大団円な感じで沖縄スキュバーダイビング講習合宿編が完結します。


御手洗優の悲劇

沖縄合宿から戻ってきた北原伊織たち。山本という非モテ男の家でやっぱり飲み会を開きます。

そこで最近「御手洗優」という友達が付き合いが悪いことが話題に上る。特に山本は大学で馴染めていない時に積極的に声をかけてくれたこともあって、御手洗のことが気になっていた。もちろん自分たちを捨てて、自分だけ彼女がいるはずなんてない。そんなマンガやドラマみたいなオチはあり得ない。

ぐらんぶる5巻 御手洗の彼女1
(ぐらんぶる 5巻)
ただ御手洗に電話をすると、まさかの現在進行形でパコってる最中。裏切り者は許さない。御手洗宅に焼き討ちへ向かう一行。北原伊織の「いいか!絶対にヤツに本懐を遂げさせるな!」というセリフが笑った。

ぐらんぶる5巻 御手洗に復讐
(ぐらんぶる 5巻)
そして想像通りの展開が待ってます。でも最後に御手洗が壮絶なクズっぷりを見せてくれて、最終的には「俺たちやっぱり親友だー!」と御手洗を胴上げハッピーエンド。ただ、これを「男の友情」と片付けていいかは不明(笑)


総合評価


地獄の沖縄合宿編が終了。マジでこんな学生がいそうだから日本は怖い。お酒はほどほどにしておきましょう。

ぐらんぶる5巻 時田先輩に彼女がいて愕然の伊織
(ぐらんぶる 5巻)
オトーリなどお酒以外のクダリでは、時田先輩に彼女がいると知った時の北原伊織の反応が笑った。「あの人に彼女?ホモの?ホモサピエンスの?」と色々と酷すぎる。浜岡梓も「聞いてたのは種族か」と何を冷静に納得してるんだと。

ちなみに『ぐらんぶる』6巻はいつ発売されるか知りませんが(これまでの間隔を考えると7月か8月ごろ?)、この浜岡梓が通ってる「青海女子大の学祭へ潜入しちゃうぜ!グヘヘ」的な展開が待っているそう。さっそくイヤな予感しかしません。

『火ノ丸相撲』8巻のネタバレ感想。作者は川田。少年ジャンプ(集英社)で連載中の相撲漫画。スポーツ漫画。面白いかどうかの考察はレビュー済みなので詳しいあらすじは割愛。


火ノ丸 VS 沙田美月 再び!

インターハイ千葉県予選の団体決勝の続き。副将戦では大太刀高校・小関信也が石神高校・真田に勝利。

火ノ丸相撲8巻 潮火ノ丸の気迫
(火ノ丸相撲 8巻)
次は大将戦ということで主人公・潮火ノ丸が出場します。グググ、バチバチバチ。

火ノ丸相撲8巻 沙田美月と潮火ノ丸
(火ノ丸相撲 8巻)
石神高校の大将は、もちろん沙田美月。二人は同じ国宝同士。鬼丸国綱と三日月宗近が相見えると言ってもいい。1巻か2巻で二人は戦ってたはずなので、それ以来の取り組み。その時は潮火ノ丸が勝利しましたが、果たして!?みたいな展開。しかし画像のコマの迫力パネーな、おい。

火ノ丸相撲8巻 沙田美月と潮火ノ丸2
(火ノ丸相撲 8巻)
最初は沙田美月が優勢気味。鳥取県の天王寺というバケモノに負けて以来、相撲に対する向き合い方が変わる。そして必死に努力と努力を重ねてきた。まさに天才が修羅の心と研鑽を身に付けた。マワシを取って上手投げしたかと思ったら、喉輪で押し出す…からの引いてすくい投げ!などなど怒涛の攻めを展開。

沙田美月いわく、「土俵で輝くのは俺だけでいい!俺の土俵から失せろ!」。チャラ男らしさはゼロになりました。ただ潮火ノ丸は潮火ノ丸で「相撲の才能とかは全部お前の勝ちでいい。でもこの勝負だけはここに置いていってもらうぜ!」と執念を見せる。

火ノ丸相撲8巻 潮火ノ丸の下手
(火ノ丸相撲 8巻)
身長の小ささを活かした下手攻撃は、まさに鬼。そして何やかんやがありまして百千夜叉墜(ひゃくせんやしゃつい)で、潮火ノ丸が沙田美月に勝利。今回も鬼丸国綱が三日月宗近を粉砕したカタチ。そして大太刀高校がインターハイ千葉県予選を優勝します。

だから沙田美月の噛ませ犬感がハンパない。ちょっとしたベジータさん。敗北した石神高校ですが、ちょっとした熱いオチが待ってます。


個人戦が始まるよ

以上は団体戦でしたが、続いては個人戦が始まります。個人戦ということでトーナメントの組み合わせによっては味方同士が戦うことも。

火ノ丸相撲8巻 個人戦 國崎VS火ノ丸
(火ノ丸相撲 8巻)
そして大太刀高校の國崎千比路が主人公・潮火ノ丸と戦うことに。國崎千比路はレスリングの全国大会で優勝した強者で、沙田美月が繰り出した技をすぐさま吸収したりする。

火ノ丸相撲8巻 小関信也
(火ノ丸相撲 8巻)
ネタバレしておくと潮火ノ丸が勝利するわけですが、その取り組みを見て小関信也が「俺ならどう立ち向かうか…」みたいなことを無意識的に考える。小関信也はオドオドしてた選手だっただけに、この予選を通して精神的な成長を見せる。

結果的に9巻では潮火ノ丸と小関信也が相見えるわけですが、大太刀高校メンバー全体の底上げ的な意味が強くなりそうな次巻9巻となってます。


総合評価

火ノ丸(鬼丸国綱)と沙田美月(三日月宗近)の取り組みは熱かったです。特にあーだこーだ言うこともないので、この記事は簡単に終わります。ただ沙田美月はもうお腹いっぱい。もし描くとしても火ノ丸以外の選手との取り組みで、その時はちゃんと勝たせてあげてほしいなと思います。

ちなみに昨年の少年ジャンプ51号に掲載された「黒子のバスケ(藤巻忠俊)とのコラボ読み切り
も収録されてます。「藤巻忠俊が川田を愛しているから」と書いてあったのでガチでBL的な理由かと思ったら、『火ノ丸相撲』の作者・川田は藤巻忠俊のアシスタントだったらしい。この人は昔あの人のアシスタントだって…ってのは意外に多いですよね。でもコッソリ裏では二人はチョメチョメ(*´Д`)ハァハァ

火ノ丸相撲8巻 藤巻忠俊のあとがき
(火ノ丸相撲 8巻)
だから作者・川田は藤巻忠俊の担当編集者・Sに「相撲?無理じゃね?(笑)」と言われてたそう。でも結果としては見事に真っ向から跳ね返してみせた川田を礼賛し、その編集者Sに対しては「ざまあみろ S!わはは!」とのこと。

S!ザマアァァ!www
SのSは「センスがない」のSー!!w
「しょうもない」のSー!!wザマアァwww


…ということで自分も担当編集者・Sのセンスの無さを笑ってやりました。どうですか藤巻さん!はい、みなさんもご一緒にコメント欄に…ってのは冗談です。多分怒られないと思います(笑)

『ワンピース -ONE PIECE-』80巻のネタバレ感想。作者は尾田栄一郎。少年ジャンプ(集英社)で連載中のバトル漫画。


ドフラミンゴ撃破した続き

ドフラミンゴを撃破したってことで、ドレスローザには平和が訪れます。再びリク王がドレスローザの国王に就任。そのままレベッカも王女になるのかと思いきや、父キュロスへの想いが忘れられずに涙涙の展開が。

ワンピース80巻 センゴクの涙
(ONE PIECE 80巻)
海軍お目付役のセンゴクがローと遭遇して、コラソンとの過去話がちょこっと触れられたりします。

ワンピース80巻 ルフィ VS 藤虎
(ONE PIECE 80巻)
現海軍大将・藤虎とルフィが一悶着ありつつも…

ワンピース80巻 藤虎
(ONE PIECE 80巻)
お互いの友情をなんか感じ合ったりする、というオチ。最終的に藤虎は海軍を裏切るんでしょうか。藤虎は精神的にグラグラしてて、結局強いんだか強くないんだか分からないキャラでした。

(ONE PIECE 80巻)
そしてルフィたちはバトルロメオ、オオロンブス、キャベンディッシュ、ハイルディン、サイ、レオ、イデオなどと子分盃を交わす。結果的に仲間には入らないものの、「いずれこの7人が活躍しまっせ」的な前フリがあります。でも、自分はその頃までに記憶を維持できてる自信がありません。

ワンピース80巻  王下七武海 エドワード・ウィーブル
(ONE PIECE 80巻)
一方、外野では王下七武海では自称・白ひげの息子であるエドワード・ウィーブルが登場。身なりはアホっぽいですが、とりあえずめっちゃ強いという設定。母親はミス・バッキンというBBAと共に、現在は何故か白ひげ傘下の海賊たちをボコってるらしい。

いつの間にか王下七武海に入ってた道化のバギーは、ルフィに忠誠を誓ったハイルディンが自分たちの傘下から抜けたことを知って激おこ中。

ワンピース80巻 モンキーDドラゴン
(ONE PIECE 80巻)
また革命家ドラゴンがオカマキャラたちを集結させる模様。ただ黒ひげ海賊団のバージェスが、革命軍の総本部に何故か辿り着いた模様。おそらく「革命軍 VS 黒ひげ海賊団」の争いが勃発しそうな気配です。


ゾウの背中ある都市・クラウ都

ワンピース80巻 ゾウ
(ONE PIECE 80巻)
ストーリーは巨大な「ゾウ」に舞台を移します。確かナミやサンジは73巻ぐらいに離脱してる。何度も読み直さないと気が付かないぐらいゴチャゴチャしてました。ちなみに都市名が「ゾウ」。象の背中にあるからかどうかは知りません。

ワンピース80巻 ミンク族
(ONE PIECE 80巻)
ゾウにはミンク族と呼ばれるチョッパー風味の先住民族が住んでる。画像はキャロットとワンダ。

ワンピース80巻 モコモ公国を潰したジャック
(ONE PIECE 80巻)
ただつい最近「百獣の海賊団・ジャック(懸賞金10億ベリー)」にゾウの中心部・クラウ都を滅ぼされてしまう。

そもそもルフィやナミたちが何故ゾウに行ったかというと、ワノ国の侍・錦えもんとカン十郎の目的がそこにあったから。錦えもんはパンクハザード編から登場したので10数巻ぶりで伏線をようやく回収するっぽい。

80巻の段階では理由を出し惜しみしてる錦えもんですが、ネタバレしておくと「雷ぞう」というキャラに会うため。クラウ都を滅ぼしたジャックも同じく「雷ぞう」を探してた。ミンク族たちは知らないの一点張りだったので激ギレしたジャックに街を潰される。でも実は…というオチが81巻で描かれると思いますが、一応ネタバレは控えておきます。

ワンピース80巻 サンジが消える
(ONE PIECE 80巻)
一方、サンジがルフィたちの元から離れてしまう。

ワンピース80巻 新たな手配書 懸賞金 サンジだけALIVE
(ONE PIECE 80巻)
ドフラミンゴを撃破したってことで新たな手配書が作られる。そこで懸賞金の額が少しアップしたんですが、何故かサンジだけが「オンリーアライブ(生け捕りのみ)」。しかもサンジの似顔絵が消失。この裏には四皇・マムとサンジの過去が関係してるんですが、そこら辺の詳細も81巻以降で明らかになります。

ちなみにゾウは四皇・ビッグマム海賊団の幹部・ペコムズの故郷だったりして、色んな思惑や軸が複雑に絡み合っている感じ。


総合評価

まあ話の流れやキャラクターの相関関係を理解するだけで面倒くさい。ブログで説明するために状況把握しようと頑張ったので、何となく自分は理解できてる感じですが、世の中の小中学生たちは最近の『ワンピース』の展開にしっかり付いていけてるんでしょうか?

ちなみにルフィたちの現状を説明しておくと、ドフラミンゴを倒したことで四皇カイドウと敵対逃げ出したサンジを助けることで四皇・ビッグマムと敵対侍を救うために10億ベリーの男・ジャックと敵対…みたいな状態。雷ぞうは匿われている時点で大して強くなさそうですが、侍たちがようやく何か活躍しそう。

とりあえずカイドウは一番最後に後回しにして、サンジ救出のためビッグマムを目指しつつも目先のジャックを撃破、ってところが目下の行動でしょうか。またルフィたちが二手三手に分かれる可能性も高そうですが話に付いて行く自信はありません。

『バキ外伝 スカーフェイス(疵面)』7巻のネタバレ感想。原作は板垣恵介、作画は山内雪奈生。別冊少年チャンピオン(秋田書店)で連載中の格闘漫画。1巻から5巻6巻まで既にレビュー済み。

8巻以降もレビューするかも知れませんがユーザータグの「板垣恵介」をクリックしてもらえたら、おそらくバキシリーズのレビュー一覧が表示されるはず。気になる方は是非。


よりバケモノだったのは?

バキ外伝 疵面 -スカーフェイス-7巻 レックス VS GM1
(バキ外伝 スカーフェイス 7巻)
タガを完全に外したグランドマスターが基本的には終始レックスを圧倒。背中をバイーン。

バキ外伝 疵面 -スカーフェイス-7巻 レックス VS GM2
(バキ外伝 スカーフェイス 7巻)
レックスの顔面をバチコーン。このあとレックスの鼻がもがれる。

バキ外伝 疵面 -スカーフェイス-7巻 レックス VS GM4
(バキ外伝 スカーフェイス 7巻)
ただ最終的にはレックスのタフさが国家の軍事力に勝利した…みたいなオチ。

花山薫は「まだ俺じゃねぇ」とレックスを信用してたのか一切参戦してきません。昔CMでありましたが、まさに「見てるだけー」。


花山薫の成人の儀式

グランドマスター編が終わったあと、ゆる~いオムニバスが二話ほど描かれてます。

バキ外伝 疵面 -スカーフェイス-7巻 花山薫 成人の儀
(バキ外伝 スカーフェイス 7巻)
花山薫が成人を迎えたことを祝して、花山組恒例の「山ごもり」が行われる。一週間自分で自給自足生活を送らされる。でも、これほどピクニック姿が似合わないヤツもいますまい。

しかも花山組のルールというか舎弟に付き合ってあげただけで、最終的には白のスーツに着替える花山薫。そしてタバコと酒を悠然と呑む。ただただ呑む。なにそれw

他にも藤木組組長のために装甲車を購入しようとする花山組たち傘下のヤクザ。でも耐久性が心配だったので、花山薫自身にその装甲車を殴らせる。そしたらワンパンでぶっ潰れる。

ある組員は「ぶっ壊れたぞ、これじゃあ親分を守れねぇよ」と冷や汗を流すんですが、「いや、何から守る気やねん」と思わずツッコんでしまった。普通に花山薫をボディーガードにしてワゴンRにでも乗っとけよみたいな。


総合評価

長い休載期間を挟んで、ようやくグランドマスター編が完結。ただ殴り合いの描写はアップ寄りが多くて、ちょっと何が描かれてるか分かりづらかった。バトルそのものもアイデアが不足気味。

展開を溜めて溜めて迎えた結末の割に、むしろ期待させられた分だけ肩透かし感はあります。もう少し意外性やハッとするアクション描写が一つ二つは欲しかった感じ。グランドマスターがフツーにショボくて残念でした。

『僕のヒーローアカデミア』1巻から7巻のネタバレ感想をレビュー。作者は堀越耕平。掲載誌は少年ジャンプ。出版社は集英社。ジャンルは少年コミックのヒーロー漫画。2016年4月から『僕のヒーローアカデミア』のアニメ化も始まる模様。このアニメ化が成功して知名度がアップすれば、更に発行部数を伸ばすに違いありません。

そこで僕のヒーローアカデミアが面白いかつまらないかを考察してやりました。


あらすじ物語・ストーリー内容

敵(ヴィラン)たちがはびこる世界。犯罪件数が増加する中、「個性」という名の特異体質を持つ超人たちがヒーロー活動を行うようになった。

主人公は緑谷出久(みどりや・いずく)。ヒーローを目指す意気込みだけは誰にも負けなかったが、肝心の「個性」を持たなかった。THE無個性に悲嘆する緑谷出久。息子の気持ちが痛いほど分かるだけに、緑谷出久の母も自責の念にさいなまれていた。

しかしある時、平和の象徴とまで賞賛される不動のNo.1ヒーロー・オールマイトと出会った緑谷出久は、「ワンフォーオール」と呼ばれる個性を引き継ぐ。『僕のヒーローアカデミア』は主人公・緑谷出久がヒーローになるため、オールマイトも教鞭をとる雄英高校(ゆうえい)に入学したところからストーリーが始まります。もう少しの詳細はFC2のレビューでも読んで下さい。

現時点での最新巻のあらすじを説明しておくと、ヴィランが本格的に活性化。雄英高校ではより実践的な戦闘訓練を行うために、生徒たちにペアを組ませてヒーロー教師と戦う展開へ。

例えば、轟焦凍と八百万がイレイザーヘッド(相澤消太)。校長先生は芦戸と上鳴。13号は青山と麗日。エクトプラズムは蛙吹と常闇みたいな組み合わせ。名前の漢字を打つのがダルいので、その他は割愛。この問題については後述します。

僕のヒーローアカデミア7巻 VSオールマイト
(僕のヒーローアカデミア 7巻)
そして、主人公・緑谷出久と爆豪勝己がオールマイトと勝負へ…みたいな場面で8巻に続きます。


表情と決めゴマの迫力

『僕のヒーローアカデミア』の見所というか面白さは、キャラクターが見せる一瞬の表情であったり、決めゴマや決めゼリフの力強さにあります。

1巻だと主人公・緑谷出久が爆豪勝己に助けに行く場面が胸熱。緑谷出久は小心者でデクノボーなんですが、イザという時には分不相応な相手にでも立ち向かう。まさにヒーローの素質を秘めた主人公。オールマイト曰く、「考えるより先に身体が動く姿勢に心が動かされる」。

ヴィラン(敵)との戦闘でも熱さを見せますが、序盤だと同じヒーロー候補生に対して向けられることが多め。
僕のヒーローアカデミア2巻 緑谷出久と爆豪勝己
(僕のヒーローアカデミア 2巻)
画像は屋内対人戦闘訓練で、緑谷出久が爆豪勝己に立ち向かってる場面。爆豪勝己はイジメっ子だったものの、ヒーローとしての能力の高さに対して緑谷出久は尊敬の念を抱いてる。緑谷出久は弱いくせに正々堂々たる宣戦布告をしてる。それが熱い。

一方、爆豪勝己は精神的に幼いが故に、内面はヒーローとは真逆の性質を持ってる。だからこそ緑谷出久の得体の知れない「ヒーロー性」に無意識的にコンプレックスを抱えてる。それ故に、画像は何故か能力が高い爆豪勝己の方が追い込まれてるという構図が対比的に描かれてます。

僕のヒーローアカデミア5巻 轟焦凍に対してキレる緑谷出久
(僕のヒーローアカデミア 5巻)
轟焦凍が父親エンデヴァーの「熱」の能力を使ってこないことに対して、「全力でかかって来い!」と叫んでる場面。轟焦凍は父親エンデヴァーに憎悪を抱いてるので、母親から受け継いだ「氷結」の能力しか使ってこない。

それに対して緑谷出久が「半分の力で勝つ?みんな本気でやってる!まだ僕は君に傷一つつけられちゃいないぞ!」と挑発してる。オールマイトを筆頭に、ヒーローとは命がけで常に全力。この緑谷出久の姿勢に感化されて、轟焦凍が父親との因縁を超えて「ただヒーローになりたい」という一心で「熱」の能力をついに使った場面も胸熱。

とにかく作者・堀越耕平は表情を細かく描く。それが最大限に発揮されるのは実は悪役キャラクター。

僕のヒーローアカデミア7巻 ステイン
(僕のヒーローアカデミア 7巻)
ヒーロー殺し・ステインが重傷を負いながらも、エンデヴァーや少年ヒーローたちに立ち向かってくる場面。良い感じに凄みが表現されてます。

僕のヒーローアカデミア8巻69話 死柄木弔
(僕のヒーローアカデミア 8巻69話)
死柄木弔という敵はこんな感じ。下手すると単なるホラー漫画。ちなみに普段は切断されたナゾの右手が顔にガバッと掴んでる状態。やっぱりどのみちホラーっぽい(笑)ですが、まさに悪意と敵意に満ちた憎悪がそこにはあります。


アクション描写がかっこいい

『僕のヒーローアカデミア』はヒーロー漫画ってことでアクション描写もそれなりに多め。

僕のヒーローアカデミア6巻 緑谷出久とグラントリノ1
(僕のヒーローアカデミア 7巻)
主人公・緑谷出久がオールマイトの師匠・グラントリノと邂逅した場面。

僕のヒーローアカデミア6巻 緑谷出久とグラントリノ2
(僕のヒーローアカデミア 7巻)
同じ場面。天井にしっかり影を描くことでリアリティーが増してる印象。

僕のヒーローアカデミア6巻 緑谷出久のアクション描写
(僕のヒーローアカデミア 6巻)
緑谷出久とヒーロー殺し・ステインが戦ってる場面。表情の描写と同じく、アクション描写も一瞬で引き込む迫力があります。

ただ一コマ単位では見づらくはないものの、連続して読むと「ん?」となることも。作者・堀越耕平が決して動きのある絵が下手ってことではありませんが、なんとも言えない「分かりづらさ」みたいなんも多少あります。


キャラデザは良いけどネーミングセンスが…

ヒーロー漫画の醍醐味でもありますが、色んなキャラクターが登場します。デフォルメをきかせたキャラクターデザインで、それぞれが個性的。一方でヴィランの表情は写実的に描かれていて、漫画チックな雰囲気に唐突に現れる演出が巧みだったりもします。デザイン力を含めた、画力の高さが伺えます。

僕のヒーローアカデミア2巻 蛙吹梅雨(あすいつゆ)
(僕のヒーローアカデミア 2巻)
例えばカエルのように舌を操る蛙吹梅雨(あすい・つゆ)。

僕のヒーローアカデミア4巻 エンデヴァー
(僕のヒーローアカデミア 4巻)
前述の轟焦凍の父親・エンデヴァーだと常に炎をまとっているようなキャラデザ。いかにもアメコミヒーローっぽいです。

僕のヒーローアカデミア7巻 キャラクター一覧
(僕のヒーローアカデミア 7巻)
ただ既に気付いてる人が圧倒的と思いますが、ネーミングセンスは酷い。もちろん見た目のデザインはそれぞれ個性的ですが、敵も味方も含めて当て字で無理やりオリジナリティを出し過ぎ。

正直キーボードで漢字を変換するのが面倒くさいこと甚だしい。既に存在する人名や地名などをベースに作るべき。日本語入力ソフトに単語登録すればいいだけですが、それにしても一発でまともに変換できるキャラクターが少なすぎる。蛙を「ア」とは読めねーよ。

例えば、爆豪勝己(ばくごう・かつき)も「爆轟」でいいやん。口田甲司(こうだ・こうじ)とかパット見ただのハングル文字。角ばった感を出すなら素直に「田口甲」でいいやん。上鳴電気(かみなり・でんき)も「神鳴」だと一発で変換できるのに、意味なくチョコっと変えてくる。正直、誰か注意してあげろよってレベル。

ここまで全員が全員こだわった名前だと、却って全員が没個性的に見えてしまう。主人公・緑谷出久にしても「無個性」をウリにしてるんだからフツーの名前にすればいいのに。これだと凡夫感や無個性感は出ない。

とにかく「デク」と呼びたいのであれば、「出口 久直(でぐち・ひさなお)」の一文字目を取って…みたいなんでもいい。ぶっちゃけダサい名前ですが、奇天烈な珍名ばかりの中だからこそ却って目立つ。これだと「無個性こそ個性」といった逆説的な漫画のテーマも込められる。

ヒーロー漫画は作者(堀越耕平)自身も考えてて面白い部分があるんだと思いますが、キャラに対する愛情や愛着が変に強すぎるのかも。

僕のヒーローアカデミア3巻 麗日お茶子がゲスい
(僕のヒーローアカデミア 3巻)
ちなみにヒロイン・麗日お茶子(うららか・おちゃこ)も珍名ですが、個人的に好きになれません。理由はヒーローを目指す理由が「お金目的」だから。別にこんな理由でヒーローになるキャラがいてもいいと思いますが、さすがにヒロインでコレはアカンでしょ。方言設定もイマイチで嫌い。全然「麗らか」じゃねーし。


総合評価 評判 口コミ



『僕のヒーローアカデミア』は面白いか面白くないかでいえば、断然「面白い漫画」だとは思います。既にアニメ化も決定済み。アクションや表情は迫力があって、主人公・緑谷出久が勇敢に立ち向かっていく姿に共感を抱けます。少年マンガに必要な要素はほぼ全て揃ってそうな感じのマンガ。

ただ変に考えすぎなければ、もっと素直に面白いと言えるのに…と思える部分も。例えば、セリフ力も意外にビミョー。前述の通り、要所要所で見せる決めゴマではグッと来るんですが、いかんせん普通の会話はすんなり頭に入ってこない。

僕のヒーローアカデミア7巻 あとがきの改行が変
(僕のヒーローアカデミア 7巻)
あとがきを読んでも改行が多すぎたり、自分もブログで昔こんな風に書いてたことがありますが、かえって読みづらい。『銀魂』の空知英秋のように一切改行がないのも考えものですが、下手に読者のことを思って配慮したことが裏目に出てるというか、そこまで文才はないのかも。

とりあえず作者・堀越耕平のモチベーションや体力、アイデアが尽きない限り、『僕のヒーローアカデミア』は30巻40巻ぐらいまでは連載が続きそうな気はします。

ケンガンアシュラ』0巻のネタバレ感想。原作はサンドロビッチ・ヤバ子、作画はだろめおん。裏サンデー(小学館)で配信中の格闘漫画。


若槻武士や英はじめなどサブキャラの過去編


『ケンガンアシュラ』0巻をざっくり言うと、サブキャラクターたちの過去編。スピンオフ漫画と言い換えてもいいかも知れません。ただ表紙に写ってる主人公・十鬼蛇王馬は出てこないので注意。あくまで脇を固めるサブキャラの話だけ。

ケンガンアシュラ0巻 英はじめ
(ケンガンアシュラ 0巻)
例えば闇医者・英はじめが登場したり、

ケンガンアシュラ0巻 今井コスモ
(ケンガンアシュラ 0巻)
今井コスモが登場したりします。倒立腕立て伏せしてる場面ですが、これでも帰宅部の高校生。

ケンガンアシュラ0巻 今井コスモ2
(ケンガンアシュラ 0巻)
アローナというデビューから全戦全勝のプロ格闘家をフルボッコ…いやフルチョークしちゃいます。

若槻武士は7歳の頃の話が描かれます。生まれた時から異常体質で、チタン製の超硬ゲームコントローラーを粉々に粉砕することもしばしば。実験室みたいなところで隔離されてる。そこで後のスポンサー企業となる古海製薬社長の古海平八と初めて出会う。

そこで古海平八は「本気を出すことを避けているんじゃない?自分の本気がどれぐらいかしっかり把握しておくこと」と若槻武士と提案。自分のマックスを知ることでミニマムも知ることができる。そこで7歳の若槻に対して本気で自分を殴らせる。

ケンガンアシュラ0巻 若槻武士と古海平八1
(ケンガンアシュラ 0巻)
でも案の定、ズドーン。

ケンガンアシュラ0巻 若槻武士と古海平八2
(ケンガンアシュラ 0巻)
古海平八は思わず ピギィィィ!!どんな絶叫やねん。一応これでも古海平八はギリギリ生きてるので、むしろ若槻よりコイツのすごさに驚嘆w

他にはタイのガオラン・ウォンサワットやサーバイン、ハサドなどが登場します。


片原滅堂が拳願仕合を始めるまで

以上は闘技者・格闘家がメインでしたが、スポンサー企業側のキャラクターの過去が明らかになることも。それが拳願会会長である片原滅堂。ちなみに『ケンガンアシュラ』のストーリーは、この会長の座を懸けて戦ってる最中になります。

ケンガンアシュラ0巻 片原滅堂1
(ケンガンアシュラ 0巻)
片原滅堂の過去をどこまで遡るかというと、まさかの戦後直後。日本を占領したアメリカ軍に対して、「日本が負けただけだ。俺は負けてねぇ」みたいにすごむ。

しかも片原滅堂は特攻でアメリカ軍に突っ込むものの、奇跡的に生還しよる。この強烈な悪運がどこまで続くか試したいがために拳願仕合に引きこまれていく…みたいな話。結果、今日にまで至るわけですが、あまりに連勝続きで飽きちゃう片原滅っちゃん。

ケンガンアシュラ0巻 片原滅堂4
(ケンガンアシュラ 0巻)
ただ「味わってみたいのう。あの頃にも勝る高揚感を」とまだまだ枯れていない片原滅堂。『ケンガンアシュラ』本編に対するフリみたいになってます。

ケンガンアシュラ0巻 片原滅堂3
(ケンガンアシュラ 0巻)
現在 片原滅堂が抱える格闘家は加納アギト。「滅堂の牙」という異名がありますが、この牙は当初 呉一族の長・呉恵利央という男だった。5巻あたりで孫娘カルラが主人公・十鬼蛇王馬にベタボレしたのでブチ切れてたりしてます。コイツと片原滅堂の友情物語なんかも描かれてます。

ただ呉恵利央が誰に負けて「滅堂の牙」から退いたのかは描かれてません。確か「滅堂の牙」は勝ちさえすればなれるらしく、加納アギト以前は王森正道という男だった。


ケンガンアシュラ0巻 ネタバレ感想総括

既に書きましたが『ケンガンアシュラ』0巻はスピンオフに近い漫画。だからよくあるっちゃよくある展開も多くて別に読まなくても困らないものの、『ケンガンアシュラ』の世界観は広がる・深まるはず。

特に片原滅堂の話は面白かった。決して闘技者ではないですが、一人の男としての凄みや底知れなさが描かれてます。片原滅堂の過去を知るだけでも『ケンガンアシュラ』0巻を読む価値はあると筆者・ドルジ露瓶尊は思います。

ちなみに、おすすめ漫画ブログ「ドル漫」【考察】ケンガンアシュラが面白いなども併せてご参照ください。

このドル漫では『ONE PIECE』や『HUNTERxHUNTER』など有名漫画の考察記事もたっぷり執筆してたりするんで、もし興味がある方はドル漫をチェックしてね。

『プラチナエンド』1巻のネタバレ感想。原作は大場つぐみ、作画は小畑健。ジャンプSQ(集英社)で連載中。『DEATH NOTE』や『BAKUMAN』も書いていたコンビが復活。

コミックナタリーの売り上げランキングで上位でした。それだけかつてのファン読者の多くが期待がしてるんだと思われます。ということで「プラチナエンドは面白いのか?」というネタバレ感想記事を書いてみました。


あらすじ物語・ストーリー内容

あらすじは1話のネタバレ感想でも書いたのでこの記事では詳細は割愛しますが、主人公は架橋明日。不遇の環境に置かれた絶望に満ちた青年が天使と出会って人生が一変する…みたいなストーリー。同じように天使に見初められた人間が13人いて、この中で生き残った最後の勝者が「神」に決まるらしい。

プラチナエンド1巻 メトロポリスマン
(プラチナエンド 1巻)
2話目以降の展開をネタバレしておくと、メトロポリスマンという謎の男が登場。この男も主人公・架橋明日と同じく天使に出会った一人。コイツがやたらと好戦的。次々と同じような天使に見初められた人間を襲撃していく。

プラチナエンド1巻 ルベル
(プラチナエンド 1巻)
そして主人公・架橋明日は高校の入学式にルベルという天使に見つかる。このルベルがついてたのが、片思い中だった咲ちゃん。しかも咲ちゃんに攻撃された場面で2巻へ…というオチ。


主人公 架橋明日に共感しづらい

ただ『プラチナエンド』は思ったほど面白くない。主人公・架橋明日というキャラクターをあまり好きになれない。悪でもなければ善でもない、まさに中途半端な青年。

1話目では叔父たちを結果的に自分がころしたことで「生きてる」という実感を得た架橋明日ですが、
プラチナエンド1巻 架橋明日1
(プラチナエンド 1巻)
その後は罪悪感を強く感じてしまう。

プラチナエンド1巻 架橋明日2
(プラチナエンド 1巻)
当たり前の反応っちゃ当たり前の反応ですが、天使の能力を使って『デスノート』の夜神月のように覚醒していくのかと思いきや、「俺は普通の幸せが欲しいんや。寝る場所があって食べるものがあって社会で働けて、いつか将来好きな人と幸せな家庭を作れたらそれでいいんや」とかヌルいことを言い出す。

別に家庭環境を考えると「善人」な方向性もアリだと思いますが、じゃあそんな「普通の幸せ」を得るためにどういう行動を取るかが重要になります。でも基本的に架橋明日はグズグズしてる。1話目で幸せになると決意したんちゃうの?せめて絶望感に満ちた青年が「生きようと頑張る姿」を描けば、そこに共鳴や応援もできますがそういうのはない。もう一体何がしたいの?という一言に尽きます。

架橋明日のどこを好きになればいいか分かりません。1話目で想像したような展開とは違ってた印象。

プラチナエンド1巻 ナッセはピュア
(プラチナエンド 1巻)
もっというと架橋明日に付いてるナッセという天使も好きになれない。結局、コイツも善なのか悪なのか分からない。


天使の能力

『DEATH NOTE』のデスノートのように、今作『プラチナエンド』でもそういったアイテムがあります。それが天使の能力。「天使の矢」と「天使の翼」があって、天使の矢には「赤の矢」と「白の矢」の二種類用意されてる。

プラチナエンド1巻 白の矢
(プラチナエンド 1巻)
白の矢は相手に刺せば100%その相手は死亡。赤の矢を刺せば100%自分に惚れさせることが可能。ただし33日間限定。前述の架橋明日が咲ちゃんに刺された矢は、この赤の矢。

天使の翼はその名の通り、翼を広げることでどこでも自由自在に移動できる。このスピードをもってすれば白の矢などから逃げることが可能。逆に言うと、天使の翼がなければ逃げられない。ざっくりいうと「赤=催眠、白=倒す、翼=逃げる」みたいなこと。

でもこの設定も大して面白くない。例えばジャンケンのように「グーはチョキに勝つがパーには負ける」みたいな三つ巴要素があれば「コイツには負けるけどアイツには勝てる」といった具合に展開にも幅広く活かせますが、現状としては「勝つか逃げるか」の二者択一以外の展開は考えづらい。赤の矢に関しても操れるから何?33日という期間も長すぎるような短すぎるような…。

また天使には特級や1級とランクが分かれてて、そのランクに応じて使えるアイテムが違う。でも3種類しかないので、この差別化もあまり意味を感じない。設定が大して奥深くないのに、そこで展開を広げようとしてて変に漫画全体が振り回されてる感じ。

総括


『プラチナエンド』は作画を小畑健が担当してるだけあって上手いです。

プラチナエンド1巻 ロドリゲス頓馬 パイパイ
(プラチナエンド 1巻)
例えば掲載誌のジャンプスクエアが『ToLOVEる』も掲載されてることもあってかポ口リンチョがあります。画像はロドリゲス頓馬という神候補が赤の矢を使ってアイドルと乱パしてる場面。だから世の青少年たちは『プラチナエンド』をリビングについ置き忘れるとママンに怒られちゃうぞッ!気をつけなはれや!(*´Д`)ハァハァ

ただ、こういった新しい試みも感じますがセクシー描写はあくまでオマケ。また月刊誌特有の間延び感もあって『プラチナエンド』は全体的にはビミョーか。ちょっと面白くなる空気や流れが今のところは見えてきません。

別に架橋明日が善なら善側の人間でもいいんですが、「どういうゴールが待ってるの?」かが悪い意味で読めない。もっと具体的にいうと「架橋明日にとっての幸せ」を設定できてない。肝心要の部分が抽象的なままなので感情移入できない。

ちなみに現時点のジャンプSQ最新号を読むと、2巻以降の展開では主人公・架橋明日と咲ちゃんが徒党を組むらしい。でも二人がコンビを組んだから何なの?という疑問がやはり。しかも二人のやり取りに緊張感は少なくて、なんだか薄っぺらいラブコメ漫画を読んでる気分で萎えました。やはりどういった作品に仕上げたいのか?が分かりません。

結論としては「プラチナエンドはつまらない or 面白くない」と考察してみます。

『ガンカンジャー』の感想。作者はフツー。レジンコミックスで配信中の医療漫画。

メールでわざわざリクエストがありましたのでレビュー。何故かメールの送り主にハングル文字が使われていたのが気になりましたが、どうやら韓国企業っぽい感じのサイト。「世界マンガコンテスト」みたいなものを主催してて、大賞に選ばれると1000万円もらえたとか。

世界マンガコンテスト
「連載」の「連」が微妙にシンニョウじゃなかったりするのもご愛嬌だと思いますが、応募者には全員CLIP STUDIO PAINTを3ヶ月だけ無料で使えるライセンスがもらえたらしい。どうやら応募期間は既に終わったようですが来年も開催される気もするので、気になった方は覚えておくと良いかも…というか、これだけの資金力があるなら集英社かどっかの出版社と手を組んだ方が良くね?

http://www.lezhin.com/ja/comic/gankanjya/1
とりあえず『ガンカンジャー』のリンク先はこちらに貼っておきます。


あらすじ

26歳の秋に突如 胃がんを宣告された男の話。この男の闘病記みたいなんを綴ったような内容。「テレビ見てたら女主人公が『私はガンカンジャー!ガンカンジャーなのよ!』と言いながら泣いてたけど、戦隊系の何とかレンジャーみたいなもんですか?」というヤフー知恵袋のネタ質問から、漫画タイトルの着想があったとかなかったとか。

ウェブコミックという媒体もあってか、作品の構成は独特。ひたすら1コマずつポンポンと進んでいきます。作者・フツーはそういった「淡々とした芸風」がウリらしい。

ガンカンジャー1
男「腰が痛くて病院に来ただけだった」。

ガンカンジャー2
医者「腰が痛いのは脊椎まで転移しているからです」。

ガンカンジャー3
男「何言ってるんだか」。

ガンカンジャー4
医者「ウソですよ」と笑顔。

ガンカンジャー5
え?と思った直後に、男「って言ってくれたらいいのに」とポツリ。

淡々としたセリフ回しに悲しみが詰まってて、冗談っぽい展開も現実逃避に過ぎないので、より悲壮感みたいなんが伝わってきます。マヌケっぽい絵柄だからこそ、胃がんという過酷な現実とのギャップ感もあります。

同じコマが連続することが多いのも敢えての演出。それが独特の間やテンポ感を生んでて、作品の妙な「味」に繋がってます。

でも「家族の愛と関心は大きな力にはなる。だからこそ僕はこの酷い時間が一日でももっと続きますように祈ってはまた祈り続けているんだ」など言い回しはシンプルなので、奇をてらってそうで奇をてらってない部分があって読みやすい。


泣ける

『ガンカンジャー』は結構ウルウルきます。植田まさしの『コボちゃん』風味満載の絵柄ですが、涙腺を刺激して止みません。

漫画タイトルから「ガンに打ち勝つストーリー」と一瞬勘違いしてしまいますが、26歳男は末期ガン。だから男の闘病記ではあるものの、ひたすら死んでいく話。淡々と癌という現実を直視して、淡々と打ちのめされて、これまでの短い人生を振り返りながら、ひたすら「残りの生」を消費していく。

だから基本的には「救われない」感じのマンガ。でも諦められない男がそこにはいて、生への執着や渇望が垣間見える。それ故に読者は共感を覚え、また男の絶望感や悲しみが素直に染み渡ってくる。

ガンカンジャー12
例えば、26歳男が家族に打ち明けるシーンはグッと来ました。最初は普通に打ち明けるものの、徐々に涙が流れていくプロセスがリアル。

最初は驚いて受け入れられない家族。冗談を言うなと父親は怒る。でも最終的に受け止める。こういった反応などを見て、男は改めて癌という現実を突きつけられる。こういった「何でもないはず」のありふれた家族との団らんが、まるで「最後の晩餐」のように読者には写ります。

ガンカンジャー19彼女
彼女に自分がガンである事実を告げるシーンもグッと来ました。他にもお見舞いに来た友達が励まそうとしてくれる場面も地味にグッと来ました。

ガンカンジャー32噛み合いそうで噛み合わない会話 旅行行くのクダリ
男が彼女に対して「イギリスへ旅行へ行こうよ」というクダリだと、全然2人の会話が噛み合わない。でも噛み合わない理由は「ガン(癌)」という現実が邪魔してる。癌は肉体に危害を加えるだけじゃなく、人生そのものが蝕まれていく感じが描かれてます。


ガンカンジャー コメント
ページ下部にはフェイスブックのコメントが載ってあって、そこには共感した内容が多い。それだけ男の揺れ動く心理描写であったり、環境や体調の変化であったりといったことが切実にリアルに描写されてる証拠だと思います。自分の祖父も先月初めぐらいにガンで亡くなったんですが、大往生だったとはいえ結構ウルウルさせられました。


シュールな演出も…

基本的に淡々としたシンプルな言い回しが多いものの、独特の表現がされることもあります。

例えば、男と同世代ぐらいの患者が「ガン宣告」を表現した場面。今までは各駅停車でのんびり乗車していたのに、ある時突然、車掌から…
ガンカンジャー34各駅停車
お客様、これより超高速で走ります」。それだけ目標地点(死)に誰よりも早く到着する。普通列車だと思ったら新幹線だったようなもん。何の準備もしてない人間がどう対応すればいいの?という戸惑いや憤りと共に、「超高速」という表現を使うことでジェットコースター的な恐怖感も体感的に煽ることもできてます。

他にも諦められない男が自分のことを「サッカーの試合終了のホイッスルが鳴っても、ボールを持って走り続ける」など詩的なセンスも見せます。

一方でシュールな演出もあります。
ガンカンジャー38
男はモルヒネなど鎮静剤を投与されると眠りについて夢を見るんですが、この場面では必ず得体の知れないモンスターが登場します。きっとガン宣告を受けた「現実感のなさ」みたいなんを表現されてるんですが、こういった話には読者コメントが付くことはほとんどありません(笑)

そして、男は「行く場所がない or 何をすればいいか分からない」と戸惑いを見せては、画像のようなモンスターたちに助けを求める。でもモンスターたちもどうしていいか分からない。こういった演出が何話も続きます。

ガンカンジャー62
でもこのシュールな演出もラストで活きてきて、「砂漠の王」という死を象徴するような存在を倒すぜ!みたいな感じで終わる。でも王を倒す旅は、そのまま天国に向かう旅。男が初めて夢の中で「目標」が見つかったわけですが、「砂漠の王と戦う=死ぬ覚悟」みたいなもんだったのかなーと思いました。

もちろんこの解釈が正しいかは不明ですが、作者にはプロット力もありそう。


エッセイ漫画ではない

ただ『ガンカンジャー』はエッセイ漫画ではないということ。

最初は作者自身がガンに罹患して、その闘病記をマンガ化したのかと思ってたんですが、男が死亡した後にも新たなキャラクターが登場して新たな物語が描かれているなど、元ネタとなった人がいたのかも知れませんが多分フィクション。

正直、この事実に途中で気付いた時には若干冷めた部分もありましたが、逆に想像で描いているとしたらストーリー作りや内容自体はむしろそれはそれで素晴らしい。でもリアルな話ではないと考えたら、やや引っ張りすぎの感も否めません。

前述のように1コマを淡々とペタリペタリと貼っていくスタイルを貫いてるマンガ。良くも悪くもダラダラとは読めるんですが、連続して読むと単調でやや飽きが来ます。まだエッセイだったら「リアルに起きた話」として許容できる部分もあるんですが、あくまでフィクションとしてはゴールまで畳み掛けられる感じはありませんでした。


総合評価

一コマだけペタペタ貼ってみましたが、実際に読まないと伝わりづらい「良さ」があります。紙で単行本化するのは難しそうな構成ですが、いずれ大手出版社から声がかかるかも知れません。漫画雑誌に限らず、週刊誌や新聞というのも一つの手か。ただ、もう少し「マンガのスタイル」を学ばないと辛いですが。

ちなみに男の話は33話ぐらいで完結。それ以降は別人の話。そうだとしたらちゃんと『ガンカンジャー1』とか『ガンカンジャー2』とかって具合に分けるべき。いや戦隊系だから『ガンカンジャー レッド』とか『ガンカンジャー ピンク』とかの方がいいか。もっと言えば「告知編」や「抗癌剤編」とかって分けるといいか。

あと一覧から1話目を選択しづらい。上から最新話をズラーッと並べてるだけなので、下までスクロールするのがダルい。例えば『裏サンデー』など他のマンガ配信サイトの構成を見習う(パクる)のも一つの手。

『4コマ勇者』のネタバレ感想。作者はギユー。レジンコミックスで配信中のファンタジー漫画。こちらもリクエストがあったのでレビュー。

http://www.lezhin.com/ja/comic/cartoon_hero/p1
↑リンク先はこちらになります。


あらすじ

主人公は勇者・ジッド。世界を混乱におとしめる魔王を今まさに倒そうとしていた。

4コマ勇者 ジッドと魔王のエロ本
ただ魔王が持っていたH本を見て、勇者・ジッドは何かが覚醒。まさかのオタク道に突き進む…みたいなギャグ漫画。ちなみに画像に写ってるのは、デフォルメされすぎた勇者の姿。

4コマ勇者 ゲスいジッド
実際にはM字バングなヘアースタイルの、街中にいそうな兄ちゃん風。敵がトイレしてる最中に正々堂々と攻撃しちゃうような卑怯者。


オタク向けの内容

4コマ勇者 ゼナと勇者
『4コマ勇者』はオタク向けの内容ってことで、勇者ジッドがメイド喫茶とか行っちゃいます。しかも何故かそこには魔王の手下ゼナが働いてたりします。

4コマ勇者 ゼナは腐女子
だって、このゼナも腐女子だからー!(チャン・ドンゴン風)

4コマ勇者 パロディー 聖水
DEATH NOTE』のパロディーネタがあったりします。

4コマ勇者 師匠のドラゴン
笑いのノリも決して悪くありません。


画力はハンパない

作者・ギユーの画力はハンパない。キャラクターの表情も上手い。ときたま見せるアクション描写も上手い。キャラクターデザインも◯。オタク向けってことで、多少のセクシー描写も上手いです。

フルカラーということもあって、もしかすると個人ではなく数人単位のマンガ家集団なのかも。


メインの軸が分からない

ただ『4コマ勇者』のメインの軸が何なのか分からない。

オタク向けの内容だと思いますが、その割にネタの掘り下げが浅い。だからといってアクション描写が満載ってこともなく、また画力の高さを活かしたセクシー描写が多いわけでもない。どういった読者層に受けてるのかが案外見えづらい。

世界観も現代なのかファンタジーなのか分からない。主人公の勇者は魔王を倒したあと、無職ニートになって就職活動を始めるわけですが…
4コマ勇者 世界観が分からん
何故か面接官がスーツ。他にも主人公がテレビでアニメを見てブヒブヒしたり、フィギュアで萌え萌えしたり、前述のメイド喫茶もそうですがゴチャ混ぜされすぎ。このニートネタも掘り下げが浅く、いつの間にかニートという設定も消えてるので、やはりこれもメインの軸にはなりえてません。そもそも面接官が勇者の存在を知らないのも解せない。

『4コマ勇者』は全体的にフワッとしたファンタジーギャグ漫画って感じですが、マンガとして掴みどころがなく、どれもが中途半端で終わってて内容が薄い。そもそもタイトルこそ『4コマ勇者』なんですが4コマではなく、1ページ完結のスタイルにすらなってない。何故か下手なストーリーものに仕上がってる。

トータルすると「どうしたいの?」という一言に尽きます。もっというと「どこがウリなのか?」が見えないマンガ。


総合評価

『4コマ勇者』は基本的に一つ一つのボケは悪くないですが、話の流れでの笑いは少なめ。起承転結もなく内容が薄い。久しぶりに使う表現ですが、イケメン俳優の大根演技を見てるよう。せっかくの画力の高さを活かすのであればアクションやセクシーを軸にするべきだと思いますが、これでは「画力のムダ使い」に終わってしまってる。

また『4コマ勇者』は下手に話が途切れないので、全体的に冗長で読んでて疲れる。ギャグ漫画だからこそ短い区切りがいちいち欲しい。そうでなきゃ読者がもし途中で挫折してしまったらストーリーの展開に付いていけなくなるので、それ以降の話は絶対に読まなくなるから。

じゃあ何故 ダラダラと話だけが進んでいくのか?

漫画家になるために必要な力は短編を描く能力」という記事をかなり前に書きましたが、おそらく作者に短編漫画を描く力がないから。ショートストーリーを作る力があって初めて長編マンガも描けるようになる。B5ノートやA4ノートでもなんでもいいですが、限られたスペースの中に起承転結がある話を収める練習をした方がいいかも。

あと『4コマ勇者』はコマ割りの使い方も独特というか意味もなくフリースタイルすぎる印象。『ガンカンジャー』の場合は一種の芸風・表現方法だと個人的に見なしましたが、イラストを繋ぎ合わせた延長線上というかか、これに限らず日本の漫画のスタイルにもう少しハマって欲しいところ。逆に日本以外の世界も意識してるのであれば、セリフに頼らない笑いを作った方が良いかも。

もちろん日本でもこれぐらいのマンガは発売されてると思いますが、ちょっと力不足感は否めません。雰囲気だけって感じかな~。

『ゆらぎ荘の幽奈さん』1話のネタバレ感想をレビュー。作者はミウラタダヒロ。少年ジャンプ(集英社)10号から始まった新連載コミック。


「ゆらぎ荘の幽奈さん」のあらすじストーリー登場人物

ゆらぎ荘の幽奈さん1
(ゆらぎ荘の幽奈さん 1話)
主人公は霊能力者の、冬空コガラシ。悪霊をとにかくぶん殴っては除霊していくという、とんでもない肉体派。

ただ冬空コガラシは昔から憑依体質があり、ある日、デイトレーダーの悪霊にとりつかれる。アベノミクス失敗で日本の株価が絶賛大暴落中でありますが、株で大損ぶっこいで借金地獄。結果、ホームレスへ。

そこで格安物件を探している最中に見つけたのが、元温泉旅館の「ゆらぎ荘」。家賃は月1000円の激安物件。ただそれも納得の、地縛霊がさまよっているアパート。オーナーからは地縛霊を除霊してもらえると、ずっと家賃タダで住んでもいいという提案を受ける冬空コガラシが向かうとそこにいたのは…

ゆらぎ荘の幽奈さん4
(ゆらぎ荘の幽奈さん 1話)
地縛霊とは想像できないほど、ホンワカした可愛らしい美少女・湯ノ花幽奈だった。湯ノ花幽奈にトキメキを感じた冬空コガラシは、この世に残した未練を晴らしてやることで成仏させてやることを決意する。だからジャンル的にはラブコメ要素がビンビンって感じの内容か。


食戟のソーマの後釜?

主人公・冬空コガラシが肉体派霊能力者を気取ってるので、てっきりアクション描写全開の内容になるかと思ったら、どちらかと言えばお色気要素満載の肉体派。幽奈の登場シーンからして、パイパイボイン。

ゆらぎ荘の幽奈さん4
(ゆらぎ荘の幽奈さん 1話)
ゆらぎ荘の同居人も荒覇吐呑子、雨野狭霧、夜々など美女ばかり。ことあるごとにハプニング的に湯気が必要な描写ばっかり。そのため明らかに「ソレ」目的な内容のマンガであり、最近『食戟のソーマ』でおいろけ描写が少ないと思ったらこういうことだったのかーーー!!??と思わず叫んでしまった。

絵柄的にもウリ二つに思える瞬間もなくはありません。ジャンプ編集部的には、そういった需要を今後は『ゆらぎ荘の幽奈さん』で補っていく予定なのかも知れません。


ゆらぎ荘の幽奈さんの総合評価・評判・口コミ


『ゆらぎ荘の幽奈さん』はそこそこ期待できそうな新連載漫画。作者・ミウラタダヒロの画力がそこそこ高いので、そういった路線に歩んでも幅広い読者層が反応してくれるはず。『食戟のソーマ』と比較すると見劣りするのも事実ですが、「伸び代がある」と仮定したらこれから期待も持てそう。

おそらく色んな妖怪も登場させて「くんずほぐれつ」という展開もあったりするんだと思いますが、作者・ミウラタダヒロのアイデア力や大胆力の発揮いかんではまさに「化ける」可能性もありそう。「幽奈を助ける」という軸もハッキリしてるので、きっと読みやすい作品になりそう。また恋愛要素も含めることで意外に女子ウケもするかも知れない作品になるはず。

もちろんシモ系だけで勝負すると厳しいですが、ただ割りきらないと厳しいのも事実。果たして少年ジャンプの打ち切りレースにどこまで耐え忍ぶことができますでしょうか?

ちなみに【漫画】ゆらぎ荘の幽奈さん 登場人物一覧まとめも参照。その後、連載は2年近く続いた結果、発行部数は100万部超えの人気漫画まで成長。既に本ブログはドル漫に引っ越しているため、フルカラー画像を多用して紹介しております。

『DELETE(デリート)』1話のネタバレ感想。原作は川上真司、作画は永田諒。ヤングマガジン(講談社)10号から始まった新連載マンガ。


あらすじ

舞台は北海道の根室刑務所。

DELETE1話 東杜雄
(デリート 1話)
主人公はそこへ新しく入ってきた受刑者・東杜雄(ひがし・もりお)。罪名は殺人。世間一般では凶悪犯に属する人種だったが、実は根は優しい。あくまで妹を守るために取った行動だった。

DELETE1話 東杜雄の妹
(デリート 1話)
ただ面会に来た妹は、兄の取った行動に感謝していなかった。両親もいなくなり、兄である主人公も塀の中。自分は世間から好奇の目で見られ、常に孤独を感じていた。「同じ人殺しになってどうすんだよ」と号泣。

DELETE1話 刑務所長
(デリート 1話)
それでも兄である東杜雄はいち早く出所するために、刑務所内での争いをできるだけ避けようとしていたものの、ある日、刑務所長に突然呼び出される。「どこの刑務所も飽和状態。それで私考えたのよ。どうしたら有意義に人数減らしができるだろうって」とニヤリ。

そして東杜雄は受刑者同士の殺し合いが許可された地獄の刑務所へ送還される…みたいなストーリー。


総合評価

原作の川上真司と作画の永田諒は共にちばてつや賞を受賞したエースって触れ込みですが、『DELETE(デリート)』の出来としては期待半分不安半分の微妙なライン。

作画の永田諒は問題ないと思いますが、原作。一応サスペンス風に仕上がってはいますが、もう少し設定にリアリティーが欲しいところ。法と秩序を行使する刑務所で、何故そういった刹し合いみたいなことが可能なのか。しかも法律で決められたことではなく、いち刑務所長の独断。理由も「単に受刑者が増えた」だけ。さすがに説得力がない。

受刑者が増えたから減らす必要があるってんなら、例えば街中に受刑者を大々的に開放させたらいい。市民には武器を持たせて、対象が受刑者であれば発砲の許可を合法的に認める。

死刑賛成派が多数を占める日本世論。これに従うカタチで政府は死刑執行の権利を国民に付与した…みたいに煽れば面白そう。そして、これを通称「DELETE法」と呼ぶ。DE(Death)、LE(Lead)、TE(Test)の略。何となくそれっぽい感じになります(笑)

その中で主人公である受刑者は「平和な街」でどう生きていくのか?みたいな展開を描けば面白そう。これだと一般人である東杜雄の妹も絡めていけるので展開の幅も広がりそう。

あと『DELETE(デリート)』というタイトルも微妙。受刑者同士で争わせるのだから、ニュアンス的には『共食い』とかの方がしっくり来る。『DELETE(デリート)』だと、一方的に受刑者が削除されていく印象を受ける。それならこんなまどろっこしい方法を刑務所長が選択する必要性を感じません。

まあ、とりあえずヤンマガ的には「まず休載をしない」ってのが最重要か(笑)

『痛天街SCRAP』のネタバレ感想。作者は臼井彰一。少年ジャンプ9号に掲載された読み切りマンガ。


あらすじ

舞台は痛天街(つうてんがい)。絶望と貧困のはびこる街。悪餓鬼(グーフィー)という不良たちが街を支配し、警察もお手上げ状態。神も仏もいなかった。

痛天街SCRAP 主人公ヘイホー
ただ街の治安を守る男がいた。それがピザ屋のヘイホー。果たして痛天街の平和は守れるのか?みたいな展開。


設定がめんどっちぃ

設定がやや面倒。痛天街には「アンラッキーセブン(地獄の一週間)」というグーフィーのチームがあった。一週間の中で代わりばんこに悪さをしてた。でも逆にアンラッキーセブンがいたことで、街全体の治安が保たれていた。主人公はその一人の「日曜日(ヘイホー)」だった。最終的にかつてのように悪を懲らしめる、みたいなオチ。

一回こっきりの読み切りマンガだから、世界観を広げるような設定は不要。しかも現在、街を統率してるのは「月曜日」の男。限られたページ数の中、尚更ややこしい。そもそも何故主人公がピザ屋か?ってのも解せない。


表情とキャラデザ

痛天街SCRAP ジミーの表情
でも表情を描くのは上手い。まだまだ荒削り感はありますが、これは漫画家として生きていく上で非常に強み・武器になりうるでしょう。

痛天街SCRAP キドー 悪者感は出て
キドーという悪役キャラですが悪者感が出てて良い。ただ刃が浮き出てる感じが出てない。

痛天街SCRAP アクション描写が分かりづらい
アクション描写は微妙。分かりづらい。良かったのはヘイホーがラストでキドーを拳骨した場面ぐらい。


総合評価

内容的には可もなく不可もなし。

「この生活を始めてやっと気付けたんだ。こんな街でも人は笑顔になれる。だからそれを壊す奴は片っ端からぶっ飛ばす」という主人公・ヘイホーのセリフがあるんですが、何故そう思ったかという過程の描写が弱い。設定の説明に終始してる感があって、主人公に感情移入するまでには至らない。

痛天街SCRAP 主人公ヘイホー2
キャラクターの頭身の短さや絵柄なども考慮すると、やや幼稚臭さやダサさは否めません。どちらかと言えば少年チャンピオンや少年サンデーあたりに向いてそうなマンガ。ジャンプだとやや厳しいか。

『がっこうぐらし!』1巻から7巻のネタバレ感想。原作は海法紀光、作画は千葉サドル。まんがタイムきららフォワードで連載中。出版社は芳文社。先月ぐらいに7巻が発売されたので、「がっこうぐらし!は面白いか面白くないか」という考察記事をまとめてレビューしてみます。


あらすじ・ストーリー

舞台は巡ヶ丘高校。

がっこうぐらし1巻 対比 楽しそうなゆき
(がっこうぐらし 1巻)
主人公は、そこの生徒の一人である丈槍由紀(たけや・ゆき)。ゆきは何でもあって、まるで一つの国みたいだった学校が大好きだった。ゆきは「学園生活部」という部活に入り、恵飛須沢胡桃(くるみ)、若狭遊里(りーさん)たちと共に学校で合宿していた。巡ヶ丘高校はかなり自由な校風?

がっこうぐらし1巻 既に死亡してるめぐねえ
(がっこうぐらし 1巻)
顧問の佐倉先生(めぐねぇ)には怒られてばかりだったが、本当は優しいめぐねぇも大好きだった。学校の屋上では園芸部と一緒に野菜を育てるなど、仲間たちに囲まれてゆきは毎日充実した学園生活を送っていた。

(がっこうぐらし 1巻)
ただ実際には巡ヶ丘高校と化し、グラウンドには大量のゾンビが徘徊していた…みたいな感じでストーリーは始まります。つまり丈槍由紀たちは、学校の中に避難という名の「暮らし」をしてるような状態。でも何故丈槍由紀は楽しそうに学校で暮らしているのか?といったストーリー。


「違和感」を演出する巧み

出だしからも分かりますが、序盤は読んでてて常に違和感だらけというかモヤモヤした感じに襲われます。それはひとえに「ゆき」というキャラクターの存在にあります。ゆきだけは現実逃避しちゃってて、前述の担任・ゆきねぇも実は既に死亡して存在しません。言っちゃえば、ゆきには幻覚が見えてる。

くるみやりーさん達はめぐねぇを全く見えないんですが、ゆきの妄想に付き合ってる。でも、ゆきは場を明るくしてくれるムードメーカー。悲惨な状況であるが故に、周囲の人間を精神的に安定させてくれる調和役。むしろ周囲にとって必要な存在が、ゆき。

がっこうぐらし3巻 ゆきと成立しない会話
(がっこうぐらし 3巻)
ただ途中から仲間に入る直樹美紀(みーくん)とも、最初は全然会話が成立しません。画像はゆきが「夜の廊下は誰もいなくてドキドキする」と言えば、みーくんは「じゃあ昼はいるんですか?」と詰問めいた会話の続き。

ゆきは巧妙にはぐらかすものの、この噛み合わなさが奇妙すぎて何とも言えません。逆にゆきが「正常」に戻ったらどうなるんだろうという、綱渡りを渡らされているようなドキドキ感もありました。

がっこうぐらし3巻 ゆるい展開
(がっこうぐらし 3巻)
変にゆる~い展開も多い。読者層も考えると、敢えてこういった描写を増やしてるのかも知れませんが、だからこそ「上げて落とされる」ときの振り幅が大きい。最近、乱高下しまくってる日本の株価を見ているよう。

がっこうぐらし5巻 お茶どうこうのゆるい話から爆発
(がっこうぐらし 5巻)
ゆきがお茶を出してあげなきゃ…みたいなゆるい空気感を出した瞬間、それに被せてくるように爆発があったりします。

がっこうぐらし1巻 対比 楽しそうなゆき
(がっこうぐらし 1巻)
冒頭に貼った楽しそうに過ごすゆきの画像がコチラですが…

がっこうぐらし5巻 対比 恐怖に怯えるゆき
(がっこうぐらし 5巻)
全く同じ文言を使っているにも関わらず、全く真逆の恐怖感に縛られるゆきを描いたりしてます。

がっこうぐらし5巻 ゆき決意も めぐねえは消えず
(がっこうぐらし 5巻)
でも逃げ回ってるだけのキャラクターにも映るゆきですが、だからこそイザという時に見せる表情がグッと来る。ここも敢えて「めぐねぇは見えてる」っていう部分を残してるのも良いのかも。

だからマンガ全体で「違和感」を感じるものの、敢えてその「違和感」は作り出されてる。そして巧みに利用されている。例えば「高校を卒業したあとはどうする?」といった会話も頻繁にされるんですが、高校どころか社会全般の機能が停止している状態。まさに違和感だらけ。でも、その設定も巧みに使いこなして、不安を煽ったり、逆に希望を抱かせるようなフリに使ったりしています。

6巻だとみーくんが「このままでいいかな」と言うと、くるみが「こっちがこのままでいたいって思ってても、あっちから来たりすんだろ?じゃあ準備しとかないとな」と返事。敢えてフンワリと抽象的な表現を使ってることで、事態の切迫感がリアリティーをもって伝えられてる。受け入れなきゃいけない現実だけど、具体的に言葉にすることで恐怖や不安も煽りたくはないという心理も読み取れます。

この記事タイトルにも書きましたが、まさに「少女たちの現実逃避できない現実」があります。問答無用で迫ってくる現実にしっかり向き合って、ときには逃げ惑いつつも、最悪の結末を覚悟をして動くキャラクターに思わず感情移入してしまいます。

つまるところ「演出力の高さ」が面白さに繋がってるマンガだと言えます。


ゾンビ描写は怖くないが…

『がっこうぐらし!』のジャンルは言うまでもなくゾンビ漫画。でも以上を読んでもらったら分かりますが、このレビューではそういった画像を全く貼ってません。理由は至ってシンプル。実はゾンビ描写はほとんど出てこない。

作画・千葉サドルの画力は下手でもありませんが、所詮は萌え絵の延長線上といった絵柄。さすがにゾンビ漫画と相性が良いとは言えません。それこそ振り幅が広すぎるので、ぶっちゃけゾンビ描写はしょぼいです。

がっこうぐらし4巻 ゾンビ描写 くるみとめぐねえ
(がっこうぐらし 4巻)
ただ演出力で画力のなさがカバーされてて、そこまでゾンビ描写の怖くないとは感じません。ちなみに画像のゾンビはめぐねぇ。

例えば他にも、ゾンビに襲われそうになった人が耐え切れずに首をつって自死するんですが、それを直接的に描くことはなく「くるみの瞳の中」に描く。そうすることで遺体の描写が雑になっても不自然さはありません。こういった工夫は面白いです。

だからゾンビ漫画ではありつつも、あくまで「少女たちが精神的に物理的にどう追い詰められて、そこからどう生き延びるか」に焦点が当たったマンガだと言えそう。どちらかと言えばサバイバル漫画と考えた方が、ジャンル的にはしっくり来るかも知れません。


総合評価

[まとめ買い] がっこうぐらし!
海法紀光(ニトロプラス)

『がっこうぐらし』の感想をまとめると、意外と面白い。

もちろん掲載誌が4コマ漫画を扱ってるようなマンガ雑誌(?)ということで、本格的なゾンビ漫画を期待すると肩透かしを食らいますが、それでも「こういったアプローチ」で攻めてくるゾンビ漫画は良い意味で珍しい。

また画力がないからこその割り切りは潔くて、却って得意分野であろう演出力がフルに発揮されてるのも好印象。中高生ぐらいの読者の目にはインパクトの強いストーリーとして写り、おそらく大人になるまで忘れられないマンガになるかも知れません。つまらないってことはない気がします。

ちなみに最新刊以降の展開では、ゆきやくるみ、りーさんなどは高校から脱出してある大学へ避難します。
がっこうぐらし7巻 謎の女
(がっこうぐらし 7巻)
そして、そこにはゾンビの生態を研究してる謎の女が…みたいな展開が待ってます。だから6巻7巻以降からはセンチメンタルな描写から、本格的なサバイバルゾンビマンガへ方向転換されつつある気配も?

ただ他のゾンビ漫画を読んでても思うんですが、「何故ゾンビが発生したのか?」という部分はボヤかしておけばいいのに。漫画としてストーリーをキッチリ完結させようとすると、却って展開や世界観もこぢんまりしてしまいがち。果たして『がっこうぐらし!』も功を奏するのかどうか?

ちなみに『がっこうぐらし!』8巻は6月頃、9巻は11月頃に発売されるはず。

『恋は雨上がりのように』1巻から4巻のネタバレ感想をレビュー。作者は眉月じゅん。掲載誌は月刊!スピリッツ。出版社は小学館。ジャンルは青年コミックの恋愛青春漫画。とりあえず面白いか面白くないかを考察してみた。


恋は雨上がりのように あらすじ物語・ストーリー内容

橘あきらは17歳の高校二年生。高身長で美人。あるファミレスでアルバイトしていたが、そのファミレスの雇われ店長・近藤正巳(45歳)のことが好きだった。近藤正巳は加齢臭を漂わせ、頭には10円ハゲ。これほど「不釣り合い」という表現は似合う二人はいない。

じゃあ何故、美人女子高生・橘あきらが中年のオッサン・近藤正巳に恋心を抱くようになったか?

半年ほど前にケガで陸上部を引退することになった橘あきら。特にすることもなく学校から帰宅していると雨。雨宿りのためにふと立ち寄ったファミレス。ボーッと雨が止むのを待っていた。
恋は雨上がりのように1巻 好きになるキッカケ
(恋は雨上がりのように 1巻)
そこで当時から店長だった近藤正巳が現れて、「ただ雨が止むのを待っているだけじゃつまらないでしょう」とコーヒーをサービスしてくれる。小粋な手品を見せてミルクのコーヒーフレッシュをだして、「きっとすぐ止みますよ」と笑顔で去っていく。橘あきらがそのコーヒーを飲み終えて店を出る頃には、雨が止んで太陽が顔を覗かせていた。

近藤正巳の優しさだけではなく、ちょっとした手品が自分の心を象徴する雨を止ませた魔法のように写り、橘あきらの中に恋心やトキメキが芽生えた。まさに恋は雨上がりのように、突然訪れた。

恋は雨上がりのように1巻 橘あきらの視線光線
(恋は雨上がりのように 1巻)
ただ橘あきらは基本的に無表情。いわゆるクールビューティー。視線で店長に「好き」ということをアピールしてみるものの、近藤正巳は思わず「そんなに睨まないでくれよ」と一言。心の中では「まるでゴミでも見るような目だったな…」と半泣き状態。

果たして、正反対の二人の恋愛は成就するのか、この恋はどういう結末を迎えるのか…みたいな展開。


橘あきらが可愛い・かわいい

この漫画のヒロインである、橘あきらが可愛い。個人的にモデル体型の長身美人が好きだってのもありますが、これぞツンデレ!っていうキャラクター。作者・眉月じゅんが意図して、橘あきらをそういったキャラに仕立てたかは分かりませんが。

店長・近藤が飼ってるハムスターの話題で、ある日、店内が盛り上がる。いつもはスルーされがちな店長も、この時ばかりは話題の中心。それを見て橘あきらが嫉妬心を抱く。
恋は雨上がりのように3巻 橘あきらの嫉妬
(恋は雨上がりのように 3巻)
そして、「これからハムスターのことは、全部あたしに聞いて下さい」とキリリッ。橘あきらの心情としては、それだけみんなと盛り上がれるなら、私とだけワイワイお話しましょうよ的なこと。店長と接点を持ちたいあまりに…ってことですが、逆にハムスター知識にどんだけ自信があんねんと言いたくなります。

この直後のページに橘あきらのテレ顔が来るのも良いです。「わ、わたし、めっちゃ大胆なこと言うたやん」的なことだと思われます。

恋は雨上がりのように2巻 顔が近い橘あきら
(恋は雨上がりのように 2巻)
店長・近藤をジッと見つめすぎるあまり、気が付くとあと10cm程度まで近付く。田舎のドヤンキーか。

恋は雨上がりのように1巻 橘あきらのツンデレ
(恋は雨上がりのように 1巻)
不意に後ろから店長・近藤が現れた場面では、ビックリしつつも自分の嬉しい表情を隠すために、思わずコブシを握りしめる橘あきら。近藤は「なぐられんのか?」と心の中でドキドキ。何故、橘あきらが嬉しい表情を浮かべたかというと、店長がバツイチだったという事実と今まで知らなかった店長の新たな一面を知れたことに対する喜びからだと思われます。

橘あきらの「純粋一途だけど、不器用」っていう残念すぎる感じが上手に表現されてます。2巻だと橘あきらの無表情がほぼ4コマ連続で続くんですが、5コマ目で照れ顔が来る。そこにハッキリと店長の存在は描かれないものの、明らかに「いた」ことが分かります。

強引な押しのおかげもあって、あるとき店長とデートすることが決まる。今時の女子高生には珍しく(?)、その予定を手帳に書き込む。
恋は雨上がりのように2巻 橘あきらのリアクション
(恋は雨上がりのように 2巻)
そして橘あきらは家で一人でいる時に、それをマジマジ見ながら噛みしめるように喜ぶ仕草も可愛らしい。「家の中」という究極のプライベート空間で、これが描かれてるのがまた良いんだと思います。

橘あきらが店長をデートに誘うクダリ。店長・近藤は普段「俺」が一人称なんですが、その時だけ「僕は…」という一人称を使う。
恋は雨上がりのように2巻 橘あきらの笑顔
(恋は雨上がりのように 2巻)
それを聞いた橘あきらは無邪気に笑う表情が可愛らしい。いつも店長のことを見てるからこそ、すぐ気付けた変化でもあります。ギャップ感にツボったのもあるんでしょうが、好きな人相手だからこそ笑いのハードルが下がるってのもあります。

あらすじでも触れましたが、橘あきらは陸上部をケガで引退した。アキレス腱が断裂したのか、大きな手術跡がある。バイト中にちょっとしたことで痛みが再発。店長に病院に連れて行ってもらう。
恋は雨上がりのように1巻 ペディキュア1
(恋は雨上がりのように 2巻)
でも店長に傷を見られたくないのか、靴下を脱ぎたがらない橘あきらが可愛い。実際には、足の爪にペデュキュアを塗ってなかったのが理由。どこで乙女心、炸裂させてんねん。

どうしてもツンデレキャラクターはセリフを使って肉付けしがちですが、橘あきらはセリフに頼らず仕草だけでしっかり表現されてます。巷のツンデレキャラは多くが病的。それが笑いに繋がっても、肝心の萌えとは程遠いのが現状。でも橘あきらは自然。不器用だけど真っ直ぐで一途な恋心に、素直に好感が持てます。


オッサン店長・近藤のもどかしさに共感?

近藤というオッサン店長が切ない。美人の女子高生にグイグイ言い寄られてくるものの、もちろん世間的・法的な理由から拒む。

ただ3巻だと「なんだか うれしいと感じることが増えた気がする…俺自身、何も変わってないのに」といったセリフからも分かりますが、内心はグラグラと揺れる。もちろん性的な理由ではなく、橘あきらと接する度に過去の青春時代がどんどん蘇ってくる。

店長・近藤正巳はデートまでしてますが、一線を越えるという踏ん切りが付かない。この理由は、言い寄ってくる橘あきらに対して、2巻の「僕はカラッポの中年だ」と返したセリフからも分かりますが、店長・近藤の自信の無さにある。

近藤は小説家の夢があったものの挫折。しかも大学時代の旧友(九条ちひろ)は小説家として大成功してるので、なおさら現実という壁に打ちのめされてる。妻とは離婚してることも含めて、案外強いコンプレックスを内心で抱えてる。だからこそ、いきなり「美人女子高生に好かれる」という事実を目の前にしても、途中で夢を放り投げたオッサンが大胆な行動を取れるはずがない。

でも、意外に世の中はこんなオッサンが多いはず。むしろ「一般的な中年男性は自信を持ってない」とまで言ってもいいぐらいなんです。だからこそ情けないオッサン・近藤に対して、羨ましさ以上に一種の共感を芽生える中年読者も多そう。

恋は雨上がりのように4巻 近藤正巳の青春
(恋は雨上がりのように 4巻)
「近藤正巳」の中の色あせたノスタルジーが「橘あきら」という触媒を通して、グングンと色鮮やかに発色していく。みずみずしい若さが、中年店長をグイグイと無遠慮に引っ張っていく。橘あきらの猪突猛進っぷりも含めて、若者の良さは肉体の張りとかじゃない。

個人的に女子高生はいろいろとアレなので、女子大生ぐらいをお願いしたいところですが(*´Д`)ハァハァ


恋は雨上がりのように 総合評価 評判 口コミ


『恋は雨上がりのように』は設定的にロリ向けっぽいと感じる女性読者もいそうですが、むしろ実は甘酸っぱい青春要素が強い。橘あきらはキャラクターだけ見ても面白いですが、彼女の不器用だけど一直線な性格が近藤の、また読者の過去の青春時代を想起させる道具にきっちり仕上がってる。

「恋愛に踏み出せない=夢に踏み出せない」ことが上手くリンクできてて、「あんときはこうしとけばよかった…」と後悔が湧き上がると同時に、「中年でも今から頑張っても良くね?」と同時にポジティブに前向きになれるような内容でもあります。もちろん近藤はすぐハッキリと前向きになるわけではありませんが、何ともいえないウジウジ感やグジグジ感がまた青春っぽくて良かったりします。

一般的に「若者と接すると精神的に気持ちが若くなる」と言われますが、まさにその言葉を体現させたような青春漫画です。つまらないってことはありません。

ちなみに『恋は雨上がりのように』は2018年3月に完結済み。もし興味がある方は「恋は雨上がりのように 最終回・最終話 ネタバレ感想まとめ」を参照してください。ネタバレが嫌いな方はスルー推奨。店長と橘あきらは果たして付き合うことはできたのか?

『ボールルームへようこそ』1巻から8巻のネタバレ感想をレビュー。作者は竹内友。掲載誌は月刊少年マガジン。出版社は講談社。ジャンルは少年コミックの社交ダンス漫画。競技スポーツの一種ということで、一応漫画のジャンルはスポーツ漫画に設定してます。

このボールルームへようこそが面白いか、つまらないか考察してみた。


あらすじ物語・ストーリー内容

ボールルームへようこそ5巻 精神的に弱い富士田多々良
(ボールルームへようこそ 5巻)
主人公は富士田多々良(ふじた・たたら)。ただ頭が良いわけでも、運動神経が抜群だったわけでもない、いたって普通の中学三年生。精神的にも弱気で、性格はウジウジしてた。

だから不良生徒によく絡まれることもあったが、ひょんなことからダンススタジオを経営する仙石要に助けられ、富士田多々良はそのまま社交ダンスの道へ歩み出す。

ボールルームへようこそ2巻 コマ割り
(ボールルームへようこそ 2巻)
何気なく始めた社交ダンスだったものの、富士田多々良は才能を遺憾なく発揮する。確かに運動神経は良くなかったものの、仙石要に教えられたダンスの振りをすぐ覚えるなど観察力や洞察力に長けていた。

それ故に肉体が思い通りに追いつかないことに歯がゆさも感じたが、富士田多々良は何より踊り手として一番重要な「情熱」を内に秘めていた。花岡雫や兵藤清春といった強豪選手も触発され、富士田多々良はメキメキと頭角を現していく…みたいなストーリー。8巻までのあらすじをネタバレしておくと、富士田多々良は高校生になって緋山千夏という女生徒とコンビを組んで奮闘中。

ちなみに『ボールルーム』とは日本語で「舞踏室」という意味。要するに社交ダンスそのものを指してる。だから漫画タイトルは「富士田多々良くん、社交ダンスの世界へようこそ」的な意味。


ダンス描写が熱い!すごい!

『ボールルームへようこそ』の面白さがあるとしたら、それは「ダンス描写の熱さ」にあります。

ボールルームへようこそ5巻 自己主張の塊
(ボールルームへようこそ 5巻)
社交ダンスはとにかく自己主張してナンボの世界。作中の表現を使えばまさに「俺を見ろ!!」という一言が似合います。だから一つ一つのダンス描写がたぎってる!ちなみに女子の露出度が高く、男の踊り手と密着することもあって多少エロいようなエロくないような。

ボールルームへようこそ3巻 エンジンかかれ
(ボールルームへようこそ 3巻)
富士田多々良がスタートする直前、「曲 かかれ!」「体が!」「熱くなりたがってる!」といったコマ割りの使い方も上手い。読んでるコッチも思わずテンションが上がる。先程あらすじに貼った2巻の画像も好例。

ボールルームへようこそ5巻 ジャンプ1
(ボールルームへようこそ 5巻)
画像は仙石要がジャンプしてる場面。到達点の高さもさることながら、敢えて静止したように描くことで動きのキレが表現されてる感じ。また斜めったコマ割りや観客に効果線をシャシャっと描くことで、ダイナミックさも同時に表現されてます。

ボールルームへようこそ4巻 楽しい表情
(ボールルームへようこそ 4巻)
主人公・富士田多々良と赤城真子がジャンプした場面も、足だけシャシャッと動かしてる。空中に浮いてるけども、そこでピタッと止まってる。滞空時間の長さを表現するのも難しそうですが、しっかり表現されてる感じ。

主人公・富士田多々良ではないですが、まさに「一瞬」を捉える力がすごい。その「一瞬」が創り出す輝きが、この漫画の面白さの根源と言えます。

ボールルームへようこそ3巻 美しい艶めかしい
(ボールルームへようこそ 3巻)
一方でこういった艶めかしい描写があったりして、意外に女性読者もビビビッと来そうな表現も多いです。


富士田多々良などのキメ顔と表情力

ただ動きのアクションだけではなく、刹那が見せる表情もカッコいい。むしろ表情の力強さがダンス全体の躍動感を下支えしてる感もあります。

ボールルームへようこそ1巻 兵藤清春の表情
(ボールルームへようこそ 1巻)
富士田のライバルになるであろう兵藤清春の表情。富士田多々良にものすごい踊りを見せつけられて、それに発奮されるカタチで練習してる場面。

ボールルームへようこそ4巻 富士田多々良と赤城賀寿
(ボールルームへようこそ 4巻)
富士田多々良が赤城賀寿と戦ってる場面。二人の必死さがビンビン伝わってきて、これだけでも胸熱。

ボールルームへようこそ7巻 富士田多々良と緋山千夏
(ボールルームへようこそ 7巻)
富士田多々良が吹っ切れて緋山千夏をリードした瞬間のキメ顔。ややもすれば滑稽に写ってしまいがちな表情でもありますが、目の力強さがそういったものを全部押さえつけてる。

ボールルームへようこそ4巻 楽しい表情
(ボールルームへようこそ 4巻)
先程貼った画像もそうですが、社交ダンスは常に笑顔でなきゃいけない。だから一歩間違うと、ただただシュールな光景になりがち。リアルな社交ダンスですら観てると、そう感じてしまう瞬間はなくはない。でもそれを一切感じさせないのは、作者・竹内友の画力がなせる技だと思われます。

他にも3巻で結果的に大会で負けてしまう富士田多々良。やはり経験の差がモロに出てしまう。でも自分の頭の中では「理想のダンス」は思い描けてる。だからこそ「何でもっとダンスに出会わなかったんだろう」と悔し涙を浮かべる富士田多々良の表情とかもグッと来ます。

5巻に「自分は下手と肝に銘じろ、自分を下手だと思ってるうちは人は成長する」というセリフがあるんですが、これは何気に作者・竹内友が実践してて、作者本人のリアルの本音なのかも知れません。漫画でもきっと通じる話。


総合評価・評判・口コミ



『ボールルームへようこそ』は、社交ダンスの豪快さや熱さを紙の上に見事に落とし込んだ漫画。「社交ダンスって面白い!」と素直に思わせてくれます。漫画は「音がない」のでダンスや音楽を表現するのは難しいと思うんですが、全てのダンス漫画のお手本が詰まってると言ってもいいぐらいかも。

ただストーリーに関しては、ややモタモタしてる印象。序盤こそ流れはスムーズですが、富士田多々良が高校生に上がった以降は、やたらとウジウジしてる期間が長い。パートナーの緋山千夏と上手くいったりいかなかったり、全体的にテンポ感がない。

1巻の始まりはダンス界最高峰の全英選手権決勝で、富士田多々良が花岡雫とともに喝采を浴びるシーンから始まってる。どう考えても緋山千夏は一生のパートナーにはなり得ないことは明らか。あんまりグズグズと展開を引っ張る意味を感じません。

最近の『ボールルームへようこそ』は無理やり試練やハードルを作ってる感があるので、小難しいことを考えずに主人公をサクッと成長させた方がいい。富士田多々良が強くなっていく姿が、この漫画の一番の見所であり面白い部分のはずだから、展開はもっと単調なぐらいでいいと思う。

また富士田多々良と花岡雫と海外で喝采を浴びてる場面をゴールに設定してるとしたら、あくまでそこは「通過点の一つ」と考えた方が作品全体はこぢんまりしないはず。発行間隔が半年から一年に伸びたことを考えると、いろいろ作者・竹内友も悩んでるのかも知れません。

とはいえ、『ボールルームへようこそ』は面白い漫画。現在少年ジャンプで連載中の『背筋をピンと』という社交ダンス漫画がありますが、きっと参考にしてるはず。もしこのマンガがなかったら『背筋をピンと』も存在してなかったでしょう…と勝手に思ってます。

『ダメな私に恋してください』1巻から8巻のネタバレ感想。作者は中原アヤ。YOU(集英社)で連載中のラブコメ漫画。細かいですが「ダメな私に恋して下さい」ではありません。

最近、主演が深田恭子で実写ドラマ化もされてるっぽい。9巻は4月頃に発売。


あらすじ

主人公は柴田ミチコ。しがないアラサーOL…だったものの、勤めていた会社は半年前に倒産。既に失業保険は切れた状態。貯金も当然ろくにあったもんじゃない。

そして追い打ちをかけるように、柴田ミチコはダメ女すぎた。自分を慕ってくれる年下のイケメン大学生にとにかく色んなものを貢いだ、貢いだ、貢いだ。周囲はどんどん結婚していく中、色んな意味で焦りも募るが、イケメンの笑顔が全てを忘れさせてくれた。金で全ての見返りを求めた。

ダメな私に恋してください1巻 母に電話する柴田ミチコ
(ダメな私に恋してください 1巻)
イケメン大学生に貢ぐための原資はどうしたかって?もちろんお母さんというATMがありまんがな。ATMの「M」はママのM。まさに柴田ミチコはダメ女。

ダメな私に恋してください1巻 大学生に貢ぐ柴田ミチコ
(ダメな私に恋してください 1巻)
ただそんな恋が成就するわけもなく、イケメン大学生にはまさかの犬と同列視される始末。まさかの友達未満、知り合い以下。このあと親が重病だとウソをつかれて、柴田ミチコは100万円奪われちゃったりします。さすがに哀れってレベルじゃねー。

ダメな私に恋してください1巻 黒沢主任
(ダメな私に恋してください 1巻)
でもヒーローのように現れたのが、前の職場の上司だった黒沢歩主任。仕事はできて有能だったものの、とにかくスパルタ。柴田ミチコはいつもしごかれていたので、黒沢歩は「世界一苦手な上司」

この黒沢主任も会社を解雇されたものの、現在は祖母の店を間借りするカタチで喫茶店を経営していた。ろくにアパートの家賃も支払えなくなっていたミチコは、黒沢主任の喫茶店に転がり込むカタチで二人の奇妙な同居生活が始まる。ダメ女すぎる柴田ミチコに春はやってくるのか!?…みたいなストーリー。

もう少しネタバレしておくと、黒沢主任の喫茶店でアルバイトするのは週末だけ。一応その後、柴田ミチコは就職先を見つけて、それ以外の日はフツーに会社で勤務してます。ただサービス残業当たり前の会社で、柴田ミチコの幸薄っぷりがハンパない(笑)


かけあい漫才が面白い

『ダメな私に恋してください』の面白さは、柴田ミチコと黒沢主任のセリフの掛け合いにあります。

ダメな私に恋してください2巻 セリフの掛け合い
(ダメな私に恋してください 2巻)
例えば、パンケーキで女子はテンションが上がるという話から、「私は肉の方がテンションが上がります」とミチコ。黒沢主任は「お前は女子じゃねぇからな」。そして最終的には「黙れメガネ」。ミチコ、絶対世界一苦手とか思ってへんやろっていうw

ダメな私に恋してください5巻 セリフの掛け合い
(ダメな私に恋してください 5巻)
5巻では完全に「お前」呼ばわりがデフォ。ただ黒沢主任はやっぱり怖いので、最終的には「黒沢様の指導力はすばらしいものでした」と様付け。ミチコの防御力がドラクエでいう「布の服」並。

二人は同じ屋根の下で同居してるので、ベランダに干してある柴田ミチコの下着が見えることもある。
ダメな私に恋してください3巻 セリフの掛け合い1
(ダメな私に恋してください 3巻)
それを目の当たりにした黒沢主任は「俺のばあちゃんが帰ってきたのかと思った」と一言。「遠回しに私のパンツがババくさいって言ってんすか?」とキレるミチコ。でも黒沢主任は「遠回ししてねぇよ 直にババくさいって言ってんだよ」とピシャリ。

柴田ミチコは両親にお見合いを半強制的にさせられそうになる。だって未来のないアラサー女子だもん。
ダメな私に恋してください7巻 セリフの掛け合い1
(ダメな私に恋してください 7巻)
そこで柴田ミチコは「500円あげるから私と結婚して」と懇願。黒沢主任は「安いわ」。「ワンコイン結婚」と迫るミチコ。「帰れ!」と黒沢主任。

それでも食い下がる柴田ミチコは「ご迷惑かけませんから!」。黒沢主任は冷静に「ご迷惑かけられる未来しか見えねえよ!」と返すと、何故か柴田ミチコは「私もです!」。もういろいろとカオスw

あらすじにも貼りましたが、ミチコが母親に電話してる場面など、作者・中原アヤが書くセリフが軽妙で面白い。セリフ力とでもいうんでしょうか、それが実に冴え渡ってるラブコメ漫画。例えばフォントを使い分けられてるなど、地味に読みやすい工夫もされててGood。同じコマの中に複数の吹き出しがあると、誰が何を喋ってるか分かりづらいんですが意外にそういったことはありません。

ダメな私に恋してください3巻 アホに貢ぐドアホ
(ダメな私に恋してください 3巻)
他にも黒沢主任が柴田ミチコのことを「お前は尽くすタイプじゃない。アホに貢ぐドアホだ」とバッサリ。そりゃあ 金づるのオンナ(ミチコ)をパグ呼ばわりしてるぐらいですからね。まるで安倍総理(アホ)のケツを喜んで舐めるマスコミ(ドアホ)みたいな関係性か。他にも「バカがバカの準備運動を始めた」とか、遠慮のない表現も痛快。

ダメな私に恋してください8巻 しょうもないLINE1
(ダメな私に恋してください 8巻)
セリフ以外でも、こういった間の作り方も上手い。画像はLINEで料理したオムライスの画像をアップしたものの、全くつれない返事しか返ってこない柴田ミチコ。クオリティーが高いわけでも低いわけでもない、一番反応に困るパターンなので、まだ反応あるだけマシですが(笑)

ダメな私に恋してください8巻 黒沢歩と柴田ミチコのキス
(ダメな私に恋してください 8巻)
基本的に二人の関係性は「他人」なんですが、8巻になってようやく二人の距離がグイッと縮まります。だからまるで夫婦漫才を見てるよう。そのクオリティー足るや宮川大助・花子も真っ青でありましょう。


キュンキュン度的には?

ただ面白いが故に、胸キュン度的には微妙かも。二人の掛け合い漫才からは仲の良さがコレでもかと伝わってくるものの、ドキドキ感よりは微笑ましさの方が勝ってしまう。二人の距離感が絶妙で素敵でうらやましく思えますが、それを見てメイン読者の女性がどう感じるかは不明。

ネタバレしておくと、黒沢主任はいいとこのボンボン。父親といさかいが絶えなかった。シリアスな展開が始まるのかと思いきや、やはり黒沢パパのクダリも早々にギャグ路線に走ってしまう。別に批判してるわけではありませんが、全体的には「女性向けギャグ漫画」といった側面が強いです。

前述のように7巻あたりから柴田ミチコと黒沢主任は良い感じになるものの、この路線も「コレジャナイ感」があったりしします。だから面白いマンガではあるものの、意外に女性読者からしてみたら「読み方が難しい」ラブコメ漫画かも知れません。


総合評価



『ダメな私に恋してください』は、個人的に面白かったです。ただラブコメ漫画というより「ラブ?コメ!漫画」といった感じ。だから、とりあえず笑いたい人向けの漫画かな。作者・中原アヤは漫画家歴が長いオバちゃんらしく、画力が比較的安定してて安心感もあります。

そういえば冒頭でも書きましたが、実写ドラマでは主演が深田恭子が演じてます。ただ柴田ミチコはアラサー処女という設定なので、さすがに深田恭子では無理がある。

何故なら深キョンからは全く処女臭がしないから。深田恭子はダメ女ではなく、どちらかと言えばオットリした天然おバカ。むしろ男が一番ほっておかないタイプの女性。だから無難に綾瀬はるかあたりが妥当だった気がしました。

『亜人』が面白いかつまらないか考察レビューを書いてみた。作者は桜井画門。掲載誌はgood!アフタヌーン(グッドアフタヌーン)。出版社は講談社。ジャンルは青年コミックのアクションバトル漫画。最近アニメ化も始まるなど、割りと人気作品らしい。

ちなみに作者名(桜井画門)の読み方は「さくらい がもん」。ダチョウ倶楽部が寺門ジモン、亜人が桜井画門とでも覚えてください。


亜人のあらすじ物語・ストーリー内容

世界で「絶対に死ぬことはない」とされる亜人が発見されて、はや17年が経過しようとしていた。亜人を捕獲すると莫大な報奨金が得られる?亜人は人体実験される?など、まことしやかなウワサが世間では流れていた。少なくとも「亜人は人間ではない」という価値観が一般には浸透していた。

主人公は永井圭という高校生。秀才だったものの、他人に共感や同情心を抱くことができない性格。それでも永井圭は将来のため、「立派な人間」になれるように勉強を日夜励んでいた。しかし、ある日、永井圭はトラックに轢かれてしまう。

亜人1巻 永井圭
(亜人 1巻)
誰もが死んだと思った瞬間、トラックの後部から立ち上がる永井圭。そこで初めて自分自身が「亜人」だったことに気付く永井圭。自分が生きていた事実にホッとしたのも束の間、世間で流れるまことしやかなウワサが頭をよぎる。

必死に自分は人間だと永井圭は説明。友達はうろたえながら「信じるとも!友達だもんね」と引きつった笑顔。明らかにウソだった。そして、そこから永井圭の逃亡の日々が始まる…みたいな展開。

亜人2巻 黒い幽霊・IBM
(亜人 2巻)
もう少しストーリーをネタバレしておくと、亜人の中には「黒い幽霊(IBM)」を操れるタイプがいる。この黒い幽霊(IBM)は亜人だけにしか見えない。このIBM同士のバトル描写があったりします。左は厚生労働省の亜人を追い詰める戸崎という人間。

亜人5巻 戸崎と永井圭
(亜人 5巻)
最初は反目し合っていた永井圭と戸崎だったんですが、ある「共通の目的」のために二人は結託する。その理由は後述しますが、亜人である主人公・永井圭の運命は?


アクション描写が秀逸!

『亜人』の面白さはひとえにアクション描写。これが秀逸。特に5巻の佐藤 対 SAT戦がぶっ飛んでたので、そこをピックアップしてみた。作者・桜井画門の腕っ節が見事に炸裂。

亜人5巻 佐藤 VS SAT2
(亜人 5巻)
一言でいうと「佐藤無双」。亜人は不死身だから無敵っちゃ無敵なんですが、SATの集団にそのまま突っ込んでバンバンバン。SATは同士討ちしないために発砲しづらい。そのスキを佐藤はつく。

亜人5巻 佐藤 VS SAT3
(亜人 5巻)
亜人はケガをしても一度死ねば、その傷は再生する。だからバトル中にケガを負ってしまうと、即座に自分を撃ち◯す。画像はSATが佐藤の足を撃ち抜いた直後の場面。ケガを負っても死なないものの、戦闘では不利益に働くから。設定を巧みにバトルに活かしつつ、佐藤の躊躇のなさがバトルにエグいテンポ感を産む。

亜人7巻 アクション描写・仲間も撃つ
(亜人 7巻)
7巻では味方同士で連携。一瞬仲間割れにも見えますが、麻酔銃を撃たれた亜人を味方がフラットにしてるだけ。つまり全ての亜人に対して「生かさず殺さず」を同時に実行しないと捕獲できない。いろいろ亜人のヤバさが伝わってくる画像だと思います。

亜人5巻 佐藤 VS SAT
(亜人 5巻)
そして佐藤がSATを下からズドンとした場面も衝撃的。SAT隊員はヘルメットみたいなんを被ってるが故、パット見はグロ描写に見えないのが良い。ある意味、描き放題。作者側の視点で立って考えると、顔の潰れ具合など細かい描写は描かずに済んで、読者の想像で補ってもらえるので楽だし効果的。

亜人5巻 黒い幽霊のアクション描写
(亜人 5巻)
もちろん黒い幽霊(IBM)を使ったアクション描写もあります。どこでも移動できるのでビルの窓を歩いて移動したり、そのまま飛びかかってきたり、画像はビルの窓の外からSAT隊員をガシャッとする場面。

亜人7巻 オスプレイで襲撃
(亜人 7巻)
肉弾戦や白兵戦だけではなく、米軍のオスプレイまで登場。ビルに隠れてる永井圭たちをババババ。どこのハリウッド映画やねん。ただ一応ネタバレしておくと、画像は主人公・永井圭の夢オチ。でも「いずれ!?」と思わず期待感が膨らみます。

いやぁ、もっとアクションの画像をペタペタ貼りたいんですがキリがないので是非漫画を読んで下さい。


ラスボス佐藤という強烈キャラクター

アクション描写にほぼ登場したのは佐藤というキャラクターですが、永井圭とは反目する亜人。つまり佐藤は敵。まさに「純粋悪」と呼べるオッサン。あらすじで永井圭が厚生労働省(戸崎側)に味方したかというと、逆に戸崎側も永井圭を引き入れたかというと、この「純粋悪」を倒すため結託した。

最初、佐藤は虐げられてる亜人を開放するために政府に対して武力闘争を目論む。それ故に田中を筆頭とした亜人の仲間も多い。アクション描写にはほぼ佐藤しか登場してなかったのは、そういうこと。ただ実際には、佐藤は単なる戦闘狂。実は思想やイデオロギーも無い。だから佐藤はありとあらゆる破壊を目論んでくる。

亜人4巻 飛行機テロ1
(亜人 4巻)
例えば巨大なジャンボジェット機を乗っ取って、そのままビル群の中に落とす。

亜人4巻 飛行機テロ2
(亜人 4巻)
佐藤は亜人なのでそのまま復活。「スリル満点♪」じゃねーよ。ただ飛行機の残骸の描写など頑張ってるんですが、右隣に写ってる遺体がキレイすぎるので描き直し。普通はバラバラ。講談社のコード的にアウトってことなら、敢えての描写は不要。緊張感を損なうだけ。

佐藤は最初こそ逃げ惑う永井圭を救おうと装ってたものの、それは永井圭の中に「人間に対する憎悪」を炊きつけることで、自分たちの味方に引き入れようとしていただけ。ただ永井圭は感情に起伏が少なくフラットなので、それが良くも悪くも佐藤側にシンパシーを抱かせなかった。

亜人3巻 佐藤
(亜人 3巻)
だから結果的に主人公・永井圭は佐藤を裏切るんですが、ナタを持って追いかけてくるさまが恐怖。ナタの握り方が力が入っててヤヴァイ。「私を殺したことを死ぬほど後悔させてやる」という、亜人でしか言えないセリフもグッド。これを名言と表現していいかは不明ですが(笑)

この佐藤がカッコいいと思ってしまう自分がいる。もちろん基本的にはアクション部分が大半ですが、いちいち行動や思考パターンがシンプルで良い。そして、とにかく自由。とりあえずコイツに注目して読みましょう!

主人公・永井圭も佐藤もお互い潰し合おうとするものの、前述のように「他人に対する共感を持てない」という点で両者は同じ。例えば、前述の佐藤とSATの一戦をテレビ中継で見てても、永井圭は表情一つ変えない。いくら多数の人間が亡くなったとしても、「自分とは関係ない」から永井圭は同情心や哀れみの感情を抱けない。でも佐藤を倒すことで、結果的に人類を救おうとする。

ただ他者をひたすら攻撃していたぶるのか他者にひたすら無関心なのか、それだけの違いではあるものの、結果としてはかなり対比的に描かれてます。果たして似て非なる者同士の二人はどういった運命をたどるのか?みたいな仕掛けもミソ。


亜人の総合評価・評判・口コミ


『亜人』の考察レビューをまとめると、とにかくアクション描写のすごさに尽きます。そして佐藤という強烈な登場人物が見事にマッチ。マンガの中で狂気と暴力が見事に大暴れしてくれています。

ストーリーそのものはグッと引き込まれる展開ではないものの、月刊誌ということを考えたらテンポ感はそこまで悪くありません。最初は三浦追儺が原作を担当してたものの、2巻からは桜井画門のみになったことも、良くも悪くも功を奏してるのかも知れません。

だからしっかり割り切って読めば『亜人』は面白い漫画だと言えます。

『ニーチェ先生-コンビニに、さとり世代の新人が舞い降りた-』が笑えるか、つまらないか考察レビューを書いてみた。作者は松駒(原作)とハシモト(作画)。掲載誌は月刊コミックジーン。出版社は角川書店。ジャンルは青年コミックの仕事漫画。

最近Huluで『ニーチェ先生』が実写ドラマ化されて、そこそこスマッシュヒットだとか。元AKB系の「乳はないけど足は太い」でお馴染みの松井玲奈が出演中。昨年2015年の時点で『ニーチェ先生』の発行部数が100万部突破してるらしく、割りと人気漫画。


あらすじ物語・ストーリー内容

『ニーチェ先生』の舞台はコンビニ「777(スリーセブン)」。そのコンビニに主人公・仁井智彗(にい・ともはる)が新人アルバイトとして働き始めたところからストーリーは始まります。

でも、この仁井智彗(にいくん)は普段は仏教学部の大学生なんですが、実はとんでもないヤツだった。何故なら、「お客様は神様だろー!」とクレームを入れてくるお客に対して、「神は死んだ」と返答した。天皇が人間宣言した以来の衝撃。

「神が死んだ」の意味としては、「人生とは不条理だが神には頼るな!自分自身の手で頑張れ!どんな運命も愛そうぜ」的なことらしい。ドイツの哲学者・フリードリヒ・ニーチェが残した言葉として知られてます。だから仁井智彗がさもニーチェのような「俺はお客になんて媚びないんだぜ!」という横柄な接客方法に同僚のコンビニ店員が翻弄されつつも、ときたま溜飲が下がるようなギャグ漫画。

だから漫画タイトルは『ニーチェすぎる店員』と考えた方が分かりやすいかも。何故「先生」かは不明。

ちなみに、もう一人主人公がいて、その名前が松駒。つまり原作者の松駒と同じ名前。だから原作者自身の体験をそのままネタにして漫画化してるんだと思います。多分現在でも原作者・松駒はコンビニでアルバイトしてるのかも。意外に悲惨で自虐的なネタも多くて、笑うのに忍びないと感じることも。それはまた後述。


仁井智彗のドエスすぎる名言集

仁井智彗は具体的にどんな悪態をお客様につくのか?

ニーチェ先生3巻 仁井智彗 時給は上がらない
(ニーチェ先生 3巻)
当然、愛想笑いすら持ち合わせていません。酔っ払ったお客がいっぱい商品を買って「このお店に儲けさせちゃうな」と上機嫌。でも仁井智彗は「お客様がいくら買われようと僕の時給はビタ一文変わりません」とピシャリ。そこは「あはは…そうですね(棒読み)」とテキトーにあしらっとけよ!

ニーチェ先生1巻 ゴミが一つも残らないように掃除
(ニーチェ先生 1巻)
まだ悪態をつくだけだったらマシなんですが、ある時は実力行使だってやっちゃいます。「ゴミが一つも残らないように掃除した」と供述してるんですが、神様どころからお客をゴミ扱い。

これは同じコンビニ店員仲間にも及ぶ。ある時、体調不良のまま出勤した松駒。結果的にインフルエンザだったことが分かる。ただ松駒を発信源として、インフルエンザは周囲の店員へ拡大。インフルエンザ明けに出勤した松駒に対して、仁井智彗は「病原体を保有して出勤なんてバイオテロもいいところです(4巻)」。仲間の体調なんてハナから興味はありません。

2巻では柴田にONE PIECEを読んだことがないことをからかわれる仁井は『ONE PIECE』を読んだことがない。そこで柴田に「2億部も売れてるのに?」と驚かれる。でも仁井はすかさず「聖書を読んだこと無いんですか?60億部も刷られているのに?」。たかだか一漫画に世界的な宗教をぶつけてきたらアカン。

4巻では傘を忘れた客が「何で持って追いかけてこないんだよ」と無理難題クレームをつけてきたことに対して、仁井智彗は「なにも品性までお忘れにならなくても」とピシャリ。

コンビニでは20歳以上か疑わしいタバコ購入者には年齢確認が必要。ある時、松駒はそんなお客に対して年齢確認をしようとするとものの渋られる。そこで仁井智彗は「年齢確認に応じる【大人】な対応ができないお客様に売る必要はありません」とピシャリ。

あれ?これ正論じゃね?と思わせることも多いので、それが仁井智彗がただ「イヤなヤツ」で終わってないのも人気の理由かも知れません。

ニーチェ先生2巻 子供に優しい仁井
(ニーチェ先生 2巻)
だから意外にも、子供には優しかったりする仁井智彗。子供が焦げたクッキーを作ってきてくれたんですが、あまりに真っ黒焦げ。ただそれを仁井智彗は「火が通っているのは明白で、安全性の高い食品といえますね」。

ニーチェ先生2巻 仁井智彗 公共料金支払いの処理方法
(ニーチェ先生 2巻)
大量の公共料金の領収書だって一気にハンコをポンポンポーン!これぞ千手観音!お店の控えを切り離す瞬間もムダにスタイリッシュ!

ニーチェ先生3巻 仁井智彗の袋の入れ方
(ニーチェ先生 3巻)
子供たちが大量に購入したアイスも、華麗に袋の中へバスバスバス!おそらく探せば宝塚歌劇団にこういうシーンがあったはず!!


仁井以外のサブキャラクターもクレイジー

ただ仁井智彗以外のサブキャラクターも、なかなかクレイジー。

例えば、塩山という女。仁井智彗のことが大好きな謎の女。きっと傲慢な接客姿勢に惚れたのかも。確か実写ドラマだと元SKEの松井玲奈が演じてた気がします。
ニーチェ先生3巻 塩山
(ニーチェ先生 3巻)
でも愛情が常軌を逸しすぎて、コンビニおでんをそのまま両手で受け止めようとする。何故「おでんの汁=仁井智彗の愛」と解釈されたのか不明ですが、塩山の前世はおそらくダチョウ倶楽部。

他にも仁井智彗が捨てたであろうお弁当箱をゴミ箱から漁って、「ごはんつぶ の・こ・っ・て・る・ゾ」と心トキメかせる。このブサ顔がキモすぎてキモすぎて。松井玲奈も仕事選ばなきゃー!

ニーチェ先生4巻 柴田は裏社会の人間?
(ニーチェ先生 4巻)
一見すると好青年の柴田は、絶対裏社会の人間としか思えない行動をしばしば取る。画像はゲーセンでバイオハザード的なゲームをやってんですが、オモチャのライフル銃を握って「あれ?重さの再現は難しいのかな?」とポツリ。せめて重さを知ってたとしても、ピストルみたいな短銃だろ。お前はどこのイスラム国だ。

黒木珠子はバイオハザード的なゲームのマニアすぎて、「言葉が通じない相手でも散弾は通じるの…これ凄いじゃないですか」という謎の言葉を残したり、他には渡利は貧乏すぎたり。こんな感じでキャラクターは多く登場するんですが、それでもキャラ同士の渋滞が少ないのは評価。

ちなみに主人公というか作者というか、松駒も一見まともそうな青年に見えますが、1巻でオッサンの新聞配達員に優しい言葉をかけられてからオッサン愛が目覚める。でも、これが割りとガチで気持ち悪いレベル。松駒が繰り広げる妄想も正視に耐えない。まさに誰得?

ニーチェ先生3巻 松駒のTwitter
(ニーチェ先生 3巻)
原作者の松駒もTwitter(あとがき)でオッサン愛について語ってるんですが、やはり本気で何を言ってるのか分からない。「原宿がkawaiiの発信地なら、新橋はossanの中心地として丁重に扱うべきです」。おいおい、こりゃ完全にお手上げだぜ~┐(^o^)┌アハハ

こんな風にコンビニ「777」はろくでもないヤツしか働いてないんですが、これも仕方ない。何故なら、最近のような大寒波が襲ってきたとき、松駒は思わず「臨時休業」に違いないと喜ぶんですが、
ニーチェ先生4巻 松駒 コンビニは重労働
(ニーチェ先生 4巻)
オーナー店長からは「一時間前に出勤して雪かきお願いね!」と平然と要求される。松駒が握りしめたスマートフォンからは血が滴り落ちたそう。コンビニに底辺社会を垣間見た気がしますが、そりゃあ普通の人間は777に働きに来ません。もう店長からしてお茶目なクズ。未来ある若者たち逃げてー!!!


コンビニあるある

原作者・松駒が今もコンビニで働いてるってことで(多分)、おそらくレジ打ちの最中にでも思い付いたであろう「コンビニあるある」ネタも多め。きっと現役のコンビニ店員もニンマリできるに違いありません。

ニーチェ先生3巻 深夜の悪乗り
(ニーチェ先生 3巻)
例えば、深夜の悪ノリが最たる例。もしTwitterにこの写真をアップロードしたら、100%炎上すること間違いなし。でもアイスは開封してないのでギリセーフ!?w

ニーチェ先生2巻 ビニール傘の販売
(ニーチェ先生 2巻)
急に雨が降ってくるとビニール傘が売れるわけですが、その時の松駒の気持ちが古き好きRPGの武器屋。コンビニ店員の方でも、実際こんな妄想した人はいそう。でもビニール傘は意外に攻撃力が高いので、リアルで人に使うのは止めましょう。

ニーチェ先生1巻 コンビニあるある
(ニーチェ先生 1巻)
他にも見た目が可愛らしいのに、意外にアイスをガッツリ食いたいから大きめのスプーンを欲しがるお客が来たりすると、松駒の心は思わずホッコリ。

コンビニで働いてなくてもよく聞く話が、コンビニ店員は常連客にアダ名を付けてるそう。こんなんを訊くと客の立場としては変なものが買えなくなるんですが、あるとき松駒が仁井智彗に「お客にどんなアダ名を付けてますか?」と尋ねる。そうすると仁井智彗は「松駒さんは工場のラインから延々と流れてくる量産品の一つ一つに愛称を付けてるんですか?」とポツリ。思わず震える松駒。やはりニーチェ先生は別格です。

ニーチェ先生2巻 仁井智彗がお客に付けたあだ名
(ニーチェ先生 2巻)
でも仁井智彗が唯一お客に付けたアダ名が、コロッケを執拗に買い求めてくるお客に対して「コロ助」。あの懐かしのメロディーというか歌を知ってる人が、今の10代20代にどれだけいるんでしょうか。

他にも国民健康保険料の支払額などから世帯構成を把握したりみたいな描写もありますが、それはきっと仁井智彗だけw


総合評価・評判・口コミ


『ニーチェ先生』の構成は1ページ完結のオムニバスなので、4コマ漫画などと同様にネタ自体は多め。だから若干ダレる部分もあります。ボケの応酬ばかりでは読み疲れるので「息抜き」になる部分は欲しいところですが、それでも一つ一つのネタやボケは濃い。

とにかくニーチェ先生こと仁井智彗のキャラクターが良い。たまにズバッと吐く正論もキャラのアクセントに繋がっている気がします。脇を固める登場人物もパンチが効いたキャラばかり。お客の理不尽さも含めて、一体コンビニの労働環境はどうにかならんのか?という苦笑に近い笑いもあります。

トータルこの考察記事をまとめると、基本的に『ニーチェ先生』は面白い漫画と言えます。

『火ノ丸相撲』1巻から7巻のネタバレ感想をレビュー。作者は川田。掲載誌は少年ジャンプ。出版社は集英社。ジャンルは少年コミックの相撲スポーツ漫画。面白いか、つまらないか考察してみた。


あらすじ物語・ストーリー内容

舞台は大太刀高校(通称ダチ高)の相撲部。主人公は新入部員として入った、潮火ノ丸(うしお ひのまる)。小学生時代は相撲日本一に輝いたことが実力の持ち主だったが、中学時代は身長が伸びずに苦戦。表舞台から姿を消した。

火ノ丸相撲1巻 潮火ノ丸
(火ノ丸相撲 1巻)
しかし潮火ノ丸は陰ながら努力に努力を重ねた。身長は150cm台と小さいながらも、圧倒的な体幹とパワーを身に付ける。

チビながらも相手とぶつかる真っ向から撃ち抜く横綱相撲はどこまで通じるのか!?相撲愛ナンバーワンの小関信也、元不良の五條佑真、レスリングの国体王者・國崎千比路、辻桐人や三ツ橋蛍といった部員と、果たして潮火ノ丸たちは高校相撲の頂点(横綱)に輝くことはできるのか!?…みたいなストーリー。

一言で表すと「ちっちゃくても横綱になっていいやんか!いや、横綱になるんやで!」という相撲マンガ。


相撲描写が熱くて、かっこいい!

『火ノ丸相撲』の相撲描写は迫力があります。コマ割りの大きさも、小さすぎずムダに大きすぎず。ちょうどいい。某少年マガジンだと1ページまるまる使ったアクション描写を多用してますが、何でもかんでも大きけりゃいいってもんじゃない。

火ノ丸相撲1巻 潮火ノ丸と五條佑真
(火ノ丸相撲 1巻)
画像は、潮火ノ丸が五條に張り手をかます場面。擬音を書かないことで、一瞬のインパクト感が表現されてます。何も装飾しまくることが全てではありません。二人は同じ部員ですが、五條佑真は不良で相撲部を荒らしてた。

火ノ丸相撲1巻 石神高校の金森
(火ノ丸相撲 1巻)
こちらは潮火ノ丸が石神高校の金森を持ち上げてる場面。さり気ないシーンにも見えますが、実は同じコマの中に複数のキャラクターを収めて描くのは難しい。特に主人公・潮火ノ丸は身長が極端に低く、周囲のキャラクターの身長が極端に高いので難易度は更に高め。

それでも無理せず収めることができて、しっかり迫力もあるアクションに仕上がってるのは作者・川田のセンス。

また主人公・潮火ノ丸がいるダチ高はもともと小関信也しかいなかった。前述の通り、五條佑真が相撲部の部室を陣取って荒らしてたから。あらすじで少し説明した感もありますが、異色の経歴を持つ相撲部員も多い。だからプレイスタイルというか相撲の型が良い意味でハチャメチャ

火ノ丸相撲4巻 五條佑真
(火ノ丸相撲 4巻)
五條佑真だと空手を習ってたので、張り手がただの突き。

火ノ丸相撲3巻 国崎チヒロ
(火ノ丸相撲 3巻)
國崎千比路だとレスリング王者。相手の懐に素早く入り込んでの投技が得意。

火ノ丸相撲6巻 荒木源之助 石神高校
(火ノ丸相撲 6巻)
國崎千比路のライバル石神高校の荒木源之助だと柔道。

相撲マンガは世の中にいくつかありますが、それを読んでると取り組みの戦い方やバリエーションは意外に少ない印象。でも『火ノ丸相撲』はしっかり王道さを踏襲しつつも、その王道の枠にとらわれず自由に相撲の取り組みを描けてる。そのオリジナリティに溢れた迫力あるアクション描写が、相撲に興味がある読者も相撲に興味がない読者も満足させる内容になってる。


敵登場人物の作り方が上手い

火ノ丸相撲3巻 栄華大附属 狩谷俊
(火ノ丸相撲 3巻)
『火ノ丸相撲』ではキャラクターを「国宝(日本刀)」に例える。画像の狩谷俊だと「小龍景光(こりゅうかげみつ)」。主人公・潮火ノ丸だと「鬼丸国綱(おにまるくにづな)」。石神高校の沙田美月だと「三日月宗近(みかづきむねちか)」。栄華大学附属高校の久世草介だと「草薙(くさなぎ)」。

もちろん誰でもってことではなく、力士として有望なキャラクターのみ。言ってしまえば、国宝を持ち出すことでキャラクターのブランディングを行ってる。本格的な相撲マンガだった場合はかえって陳腐に写ってしまいますが、掲載誌が少年マンガなので効果的にブランド化できてる。

あとはボスクラスの敵を作るのも上手い。
火ノ丸相撲6巻 天王寺に負ける沙田美月
(火ノ丸相撲 6巻)
画像は鳥取の天王寺。序盤の強敵として描かれる、中学横綱だった沙田美月が完敗することで、天王寺の実力を良い感じに煽ってる。ライバルの基準が一気に覆るってのは、演出としては王道。

火ノ丸相撲2巻 久世草介 大きな鬼丸
(火ノ丸相撲 3巻)
この国宝級のボスキャラクターがそこそこ登場するんですが、キャラ被りはそこまで多くはありません。画像は最後の日本人横綱・大和国の息子である久世草介。あまりに強すぎるので、父・大和国に高校相撲には出るなと命令されてた逸材。


地味に冴えるセリフ力

火ノ丸相撲5巻 辻桐人 セリフ力
(火ノ丸相撲 5巻)
あと『火ノ丸相撲』はセリフ力も意外に光ります。ダメな例だと『僕のヒーローアカデミア』があったりしますが、シンプルな言い回しですがセリフに力強さがあって読みやすい。しっかりストーリーの流れも頭の中に入ってくる。

火ノ丸相撲7巻 小関
(火ノ丸相撲 7巻)
分かりやすい場面をピックアップすると、例えば小関信也が覚醒した場面。表情に力強さもあってワクワク感もかきたてられますが、セリフの区切り方が絶妙。「成っちまった」と「らしい」で分けてるので、視覚的にセリフが読める。このおかげで展開そのものにテンポ感も生まれやすい。

ダメなマンガだと「成っちま」と「ったらしい」で分けてたりする。

火ノ丸相撲5巻 辻桐人 セリフ力
(火ノ丸相撲 7巻)
こういったセリフ力は取り組みの場面でも活きてきます。分析力もあるのか一つ一つの理論もしっかりしていて、理論技の説明も比較的分かりやすく、迫力ある取り組みがそのまま展開される感じです。

例えば、『テラフォーマーズ』や『トリコ』のバトル描写とかもそうですが、最近のマンガでは四角い吹き出しを使ってアクションにセリフをポン、アクションにセリフをポン…という演出を多用しがち。もちろんハマればズドンな演出ですが、セリフが下手くそだとムダにテンポ感がそがれてしまう。『テラフォーマーズ』はその好例だと個人的に思ってますが、『火ノ丸相撲』だとそういう欠点はない。

例えば、7巻の五條佑真だと不良で周囲を苦しめた過去を払拭するため「覆水盆に返すため」など、言葉遊びに若干終始しすぎてる側面も見られますが、潮火ノ丸などキャラクターの熱いたぎる感情や苦悩や苦しみといった感情も素直に受け入れられる。スポーツ漫画やアクション漫画に多弁は不要だと思ってますが、雄弁は面白くすることも当然あるんだなーと。

ただ意味もなくキャラクターを苗字で呼んだり、下の名前で呼んだり使い分けるのは止めてほしい。恋愛漫画でもあるまいし、そこで距離感や親しみ度合いを表現する意味が分からない。覚えづらい+ややこしいだけ。


総合評価・評判・口コミ


『火ノ丸相撲』の感想レビューをまとめると、まあまあ「面白い」方だと思います。絵柄はもっと泥臭い方が好きですが、少年コミックってことを考えるとこれぐらいで良いのかも。キャラクターも良く、取り組み(アクション)描写も良く、テンポ感も良し。比較的どの世代にもそれなりに面白いと受け入れられるはず。

この記事は7巻までのレビューですが、8巻9巻10巻以降の展開も『火ノ丸相撲』は失速しない気がします。よほど変な編集者でも付かないかぎり、全国一の横綱に輝くまでストーリーは最後まで処理されるでしょう。だから多分『火ノ丸相撲』の連載は20巻30巻ぐらいまで続きそう。あくまで設定は「高校生」なので異常に長期連載にもならないと思うので、今のうちからまとめ買いor大人買いしても損はしない。もしその後の続編が描かれるとしたら、きっと少年ジャンプ以外の他誌。

もちろん国宝級のキャラクターとの取り組みをどう消化していくか、そこで出し惜しみがないとも限りません。作品の中身同様に作者にはしっかり燃え尽きて欲しいと思います。