『ハチワンダイバー』全35巻のネタバレ感想をレビュー。作者は柴田ヨクサル。掲載誌はヤングジャンプ。出版社は集英社。ジャンルは青年コミックの将棋バトル漫画。だいぶ前に完結したんですが、今更ですが面白いかつまらないか考察してみた。


あらすじ物語・ストーリー内容

主人公は菅田(すがた)。プロ棋士にはなり損ねたものの、未だに負けなしのアマチュア最強を自負する青年。賭け将棋で日銭を稼ぐ「真剣師」だった。

ハチワンダイバー34巻 中静そよ
(34巻)
しかし、アキバ系メイド姿の中静そよと運命的な出会いを果たす。「アキバの受け師」という異名を持つ中静そよは、とにかく相手の攻撃を受けに受けまくる戦術で圧倒的な棋力を誇っていた。菅田は見事に惨敗。棋士としてのプライドがズタズタに引き裂かれるものの、むしろムッチリバディーに好意という感情しか芽生えてこなかった。

ただ中静そよは菅田の秘めた将棋の才能を見出す。そして菅田を本格的な真剣師としての道を誘い込む。そして菅田が強力な真剣師を次々と倒し、徐々に棋士としての戦闘力をアップさせていく。果たして、アキバ系メイドの中静そよは何故こんなにも将棋が強いのか?果たして、菅田が将棋道を極めた先に何が待っていたのか?的な漫画。

ちなみに菅田の武器が試合中に「将棋の世界に入り込む」こと。その行為や様相をまるで「将棋という深淵なる海の底へダイブする」かのような演出が描かれる。そして将棋の番目は81マスがある。つまり漫画タイトルの意味は、その2つが合わさって「ハチワン(81)ダイバー(Diver)」ということ。


セリフ文字がデカすぎる!

ハチワンダイバーの特徴としては、まずセリフがとにかくデカイ。

ハチワンダイバー8巻 セリフが大きい
(8巻)
吹き出しとセリフがデカすぎて、主人公・菅田の顔がほとんど見えない(笑)

正確には作者・柴田ヨクサルの特徴。前作の格闘マンガ『エアマスター』からずっとそうだったんですが、後半にかけるに連れてセリフのデカさがどんどん顕著化していく。ハチワンダイバー未読の方は画像だけ見たら、このページだけ?このコマだけ?かと錯覚すると思うんですが、マジで終始こんな感じ。

だからセリフやコマ割りなどゴチャゴチャとしてないので、テンポ感という点では抜群なんですが、セリフがあまりに大きすぎても読みづらい。視線移動という点では戸惑う。言っちゃえば、アップ(寄り)に近い状態なので、キャラクターの顔などを含めて一瞬何が描いてあるか分かりづらい。老眼ではないのに本を少し離して読まなきゃいけないことも。

ハチワンダイバー17巻 迫力
(17巻)
でも迫力という点でも抜群。ある程度慣れさえすれば、ポンポンとテンポ良く迫力ある将棋描写が楽しめます。

ハチワンダイバー9巻 中静そよ
(9巻)
ちなみに女性キャラクターもみなデカい!メロンか!というぐらいデカい!きっと作者・柴田ヨクサルの趣味なんだと思います!


将棋マンガなのにムダな格闘描写!

ただ変なのはセリフの大きさだけじゃない。

ハチワンダイバー34巻 ジョンスリーと皆口由紀
(34巻)
将棋マンガであるにも関わらず、やたら格闘描写がふんだんに盛り込まれてる。画像はジョンス・リーと皆口由紀との壮絶な戦い。床がドッコーンとめり込みすぎ。明らかにお前ら人間ちゃうやん的なバトルが繰り広げられます。

ハチワンダイバー25巻 ジョンス・リー
(25巻)
そもそもジョンス・リーに至っては、将棋の対戦中もドラゴンボールばりに気を発射。畳がめちゃめちゃメリ込む。逆に将棋の盤だけ無事なのかが不思議でたまらない。ジョンス・リー以外にも「これ将棋漫画でいいんだよね?」的なバトル展開が盛りだくさん。

ただガチで殴り合ったりバトルしたりという以外でも、将棋の盤面での戦いもかなりファンタジー化されることも特徴。
ハチワンダイバー33巻 菅田がカメハメ波
(33巻)
終盤での菅田と中静そよの戦いでは、何故か菅田がカメハメ波を発射。ドラゴンボールか!この時の中静そよは、まるで堕天使のように羽を生やして空を飛んでる。

ハチワンダイバー34巻 谷生
(34巻)
ラスボスには谷生という最強棋士がいるんですが、この時のバトルもただのSF。左の谷生が地獄から這い上がってきた悪魔。でも描写的にはお互いの実力差を視覚的に表現されててGood。

ハチワンダイバー20巻 谷生
(20巻)
ちなみに谷生の素顔はコチラ。だから雰囲気的には、黒い醜悪なガンツ的な物体はあながち間違ってもない。

一応「真剣師」という登場人物たちが描かれてるんですが、だからこそ本格的な将棋マンガと思って「真剣に読むと負け」と言えます。肩の力を抜かないと、本当の将棋好きの方が読むとちょっとバカバカしくなってくるはず。「え?ハチワンダイバーって何のマンガやったっけ?」となることもしばしば。ネット上では強さ議論が盛り上がったこともあります。


展開は王道チック

でもストーリーの展開としては王道。

既に書きましたが、ラスボスは谷生(たにお)という男。この谷生が鬼将会という最強真剣師集団を結成。そして将棋を通して世界を牛耳っていく。核爆弾とか平気で扱えちゃう。中静そよが何故菅田を見出し真剣師として鍛え上げていくかと言えば、この谷生を、そして鬼将会を潰すため。

そして鬼将会ビルに乗り込んで、徐々に強いボスをなぎ倒していく。だからあえて格闘映画を例に出すと、ブルース・リーの『死亡遊戯』のように塔を上って各階で次々と強敵を倒していくような展開。だから展開としてはシンプルで読みやすい。

また二こ神や千鳥チコ、澄野久摩など個性的なキャラクターが多く、シンプルな展開ではありつつも、前述の派手な格闘描写なども手伝って飽きずに最後まで読める。

ハチワンダイバー35巻 谷生と菅田のラスト
(35巻)
ラスト最終回の谷生と菅田戦も胸熱でした。結末としては谷生は…と多くは語りませんが、少し勢いだけでごまかされた感じもあります。どうしても「菅田っていつの間にそんだけ強くなってたん?」という腑に落ちなさはあった。谷生は人類最強レベルの強さ。それを倒すまでに菅田の実力が身に付いてたのかを冷静に考えるとやや微妙・それこそバトル漫画の反則的な覚醒だったらまだしも。


総合評価・評判・口コミ


『ハチワンダイバー』のネタバレ感想をまとめると、セリフ文字の大きさは賛否両論はかなりあると思いますが、個人的には文字の大きさが小さすぎるよりは良いのかなと思うようにはしてます。とにかく全部が大げさ。それだけに派手な格闘描写や戦艦が大砲ボーンみたいな描写やファンタジー描写があっても、良い意味で違和感は乏しい。

先程も書きましたが、真剣に読むとツッコミどころが満載なので、テキトーに軽く読むと結構ハマりそう。笑いのノリなども面白くて、ゆる~い感じで読み始めると、いつの間にか熱くなってる将棋マンガ。