『5時から9時まで』1巻から10巻のネタバレ感想。作者は相原実貴。Cheese(小学館)で連載中の恋愛漫画。現在フジテレビ系で実写ドラマ化もされてます。主演はジャニーズの山P下だそう。

あらすじ

主人公は潤子(ジュンコ)。英会話講師として働くものの、気付けば結婚適齢期の27歳間近。自分では「まだ27歳」と思ってるものの、周囲の女友達は「もう27歳」と発破をかけてくる。でも潤子には「これから海外で仕事をして国際結婚をする」という夢があった。ただ彼氏はいなかったので、心配した母親が勝手に見合いをセッティングされてしまう。

5時から9時まで1巻 星川高嶺の強引さに負ける潤子
(1巻)
そこで出会ったのが、僧侶の星川高嶺(ほしかわたかね)。高身長でイケメン。実家もお金持ち。そして僧侶なのにハゲてない。まさに言うことなしですが、ジュンコは「海外で働く」という将来の夢があるので、いくら男性として魅力的でもお寺に嫁ぐのは難しい。

星川高嶺に魅力に負けて何度か身体を許すものの、自分の夢と結婚を天秤にかけて揺れ動く女性を描いた恋愛マンガになってます。

星川高嶺という煩悩まみれのお坊さん

ただ星川高嶺という男が、とにかくトンデモキャラ。お坊さんと聞けば、常識的で相手のことを思いやれる優しい人間とつい思いがち。でも星川高嶺は全然違う。

5時から9時まで1巻 強引な星川高嶺1
(1巻)
ジュンコは遠回しに縁談を断ってるのに、星川高嶺は「尊敬する住職が決めたご縁、これもまた修行のうち」と全然聞き入れない。「お前と結婚するのは修行」と言われたら、女性的にはムカちんでしょう…というか、むしろ「結婚は修行」と旦那さんに言いたい既婚女性の方が多そう(笑)

とにかく星川高嶺は強引。最終学歴は東京大学だけあって、自分の考えが絶対的に正しいと思い込んでる節がある。だからこの縁談を断るジュンコの考え方が間違っていると本気で考えてる。
5時から9時まで1巻 強引な星川高嶺2
(1巻)
そこで出たセリフが「あなたの誤った行き方を改めさせねばなりません」。これまでの人生を全否定!もはや傲岸不遜というレベルを超えてる。

まだこういう鼻につくセリフだけならいいんですが、行動がちょいちょい暴走しまくり。

例えばジュンコが職場の英会話教室で正社員昇級試験を受ける。もし正社員になれたら海外勤務できるから。ジュンコは意気揚々と試験を受けて、結果はトップ合格。当然これから海外勤務できるかと思いきや…
5時から9時まで4巻 星川高嶺が無理やり試験を落とす
(4巻)
星川高嶺がコネや権力を使って、ジュンコを不合格にさせてしまう。「実力を試したいと言ったから試させてやった。それが確認できたんだから満足でしょ?」という理屈なんですが、軽くサスペンス。笑顔が怖えーよ!!!てか、そういうことじゃねーよ!!例えば大学受験で、成績はトップだったのに大学には入学できないみたいなもん。

また2巻にかけてはジュンコを自分の寺に閉じ込めてしまう。「あなたを放しておくと気になって何も手に付かない、拒まれても構いません、出て行かれるくらいならここから出さない」。やっぱコイツこえー!!

5時から9時まで6巻 星川高嶺「人の痛みを分かれ」
(6巻)
そして星川高嶺は言うに事欠いて、「あなたは人の心の痛みを思いやるべきです」とジュンコを叱りつけることも。確かに主人公・ジュンコが星川に当て付け的に、他の男と寝たのが原因とはいえ、一体どの口が言ってるんだと(笑)

最初は修行と表現してたものの、兎にも角にも星川高嶺はジュンコにベタ惚れ。ジュンコの笑顔に惚れたそう。でも表現方法が稚拙で強引。おそらく人生で一番最初に芽生えた本気の恋愛?だから今までに抱いたことがない感情が、星川高嶺の中でふつふつと湧き上がっていく。同時に溢れ出る性欲を抑える自信もない。

10巻だと「目を閉じるとジュンコさんの顔しか浮かばない、なんという不心得者、あの豊かな胸が…あの美しい肌」といったセリフからもそれが読み取れます。そういえば「27歳はオバハン」という前提で描かれてる恋愛マンガですが、顔の肌はまだしも肉体は意外にピチピチだったりしますよね。

7巻だと「私のことをもっともっと知りたいと思ってください」というセリフは物言いがシンプルで直球。高圧的だけど、どこか紳士的。強引だけど、あまり押し付けがましくないのが良い?前述の事件まがいのことさえなかったら素直にキュンキュンできる女性読者は多そう。

ジュンコが三嶋という男友達と朝帰りしたときは、星川高嶺は三嶋のマンションまで乗り込んで「帰るところを間違えていますよ」と手を差し伸べる。得体の知れない余裕っぷりに女性はキュンキュン来る?個人的には宣戦布告にも近い不遜さに笑ってしまいました(笑)

5時から9時まで7巻 星川と潤子がイチャコラ
(7巻)
愛情表現が下手というか稚拙かと思ったら、ジュンコに平気で耳攻めをやったり、星川高嶺は実践的なプレイの方は意外にこなれてる。まさに煩悩の塊。

一緒にお風呂に入ったときは、電気を点けたがる。世の中の女性はイヤという方も多そうですが、「消したら見えなくなるじゃありませんか〈星〉」「く…恥ずかしくて死ぬ…〈ジュ〉」「死なれたら困ります…ふふ…大丈夫ですよ私が隠しますから〈星〉」といったやり取りには思わず失笑。コイツラ一体なんなんだと(笑)

『5時から9時まで』のストーリー的には、とりあえず二人は何だかんだ良い感じに収まっていく。
5時から9時まで10巻 星川高嶺の弟天音が衝撃告白
(10巻)
最新11巻へ続く展開としては、星川高嶺の弟・天音がジュンコを寝とる。この兄にして、この弟あり。ただ、これはウソ。確かにそれに近い行為はあったものの、実際にはヤってない。でも少なくともジュンコ側は「ヤった」と思ってて、星川高嶺はジュンコを詰問することは請け合いですので、また一悶着がありそうな波乱の展開。

腐女子・山渕百恵の方が実は人気?

ちなみにジュンコ×星川高嶺以外にもカップルがいる。それがジュンコの同僚・山渕百恵というアラサー腐女子。そして相手は同じく同僚のアーサー・フィリップ・ラングという白人イケメン。

5時から9時まで9巻 人気投票で山渕百恵が人気
(9巻)
なんとキャラクター人気投票では、その山渕百恵が主人公・ジュンコを差し置いてまさかの一位人気。

確かに、この理由も分からなくもない。何故なら、ジュンコは色んな男に言い寄られては、すぐ股をパッカーと開いちゃう。そのことが更に事態を複雑化させる。言っちゃえば、ただのアバズレ。星川高嶺のキャラが目立ちすぎるのでアレですが、意外にジュンコも救いようがない。

一方、山渕百恵は恋愛に不器用。アラサーという年齢を考えるとやや極端な設定でもありますが、要は経験がない。BL好き(腐女子)という趣味も偏ってはいますが、多かれ少なかれ他人には言いづらい趣味を持ってる女性も多いはず。だから世間一般の女性像に一番合致するのが山渕百恵かもしれない。読者の共感度が高いのも頷けます。

例えば自分が恋愛未経験であることがコンプレックス。それがバレないように下手にツンケンしすぎる傾向がある。男に普通にリードされておけばいい場面でも、キョドって拒否しちゃうことがある。

5時から9時まで5巻 山渕百恵1
(5巻)
逆にアーサーは恋愛経験が豊富で、どんな女性でもなびいてきた。山渕百恵の母親も口説いたりするチャラ男。それ故に簡単に落とせない山渕百恵に手こずる。それを歯がゆく感じてる内に、いつしか本当に恋愛感情が芽生えてきたという王道パターン。

最初は完全無比のスーパーマンに見えたアーサーも、山渕百恵のスーツ姿を先に生徒の自衛官のおっちゃんに見せて嫉妬したり(8巻)、次第に良い意味でホコロビを見せていく。

だからアーサーは山渕百恵の態度が全て駆け引きに見えてしまうため、テクニックではテクニックで返す傾向がある。いわゆる、押してダメなら引いてみろ的な態度を取ったりする。でも逆に経験が少ない山渕百恵は、アーサーが思わせぶりな態度を取ったり取らなかったりという言動に混乱する。結果、二人の恋愛は成就しそうで成就しない。

5時から9時まで8巻 山渕百恵が泣きべそ
(8巻)
ただ最終的に山渕百恵は背伸びすることを止めて、自分の本心を半ベソになりながら吐露する。素直に「私はどういう行動を取れば正解なんですか?」と訊いてしまう。そしてアーサーが「I think I love you.」と返す。しっかり直接的な意志を伝えて告白する。この場面には思わずキュンキュンしました。

この凸凹カップルっぷりに多くの読者がハマってるのかも。

総合評価

とにかくクレイジーな男キャラたちが登場。星川高嶺だと、まさに天然な唯我独尊なイケメンクソ坊主。他にも高嶺以外だと、蜂屋という高校生のくせに大富豪というイケメンとか。

その中で唯一まともそうな男が三嶋。ジュンコの男友達。ジュンコをずっと好きだったものの、星川高嶺に奪われてしまう悲劇な男。ただジュンコの態度は曖昧でグズグズしてる部分もあって、それが三嶋に変に気を持たせて少しおかしくなっていく。
5時から9時まで9巻 三嶋が待つ発言
(9巻)
最終的に「俺以上におまえのせいでおかしくなってる男っていないんじゃね?」と冷静に考えると、かなりストーカーっぽいセリフをジュンコ本人に伝える。見た目が見た目なら、この時点で逮捕w

こんなことを言わしめる、ジュンコはまさにトンデモない罪作りな女。でもこれを「大人の恋愛」と表現するとしたら、『5時から9時まで』という恋愛マンガは「大人向け」なのかも。

5時から9時まで4巻 大人だって告白されたい
(4巻)
例えばジュンコの「大人だってちゃんと告白されたいんだよ」というセリフは共感できる女性も多そう。肉体関係には発展することがあっても、それがズルズルと曖昧な関係が続くだけ。肉体的に結びついてる間は安心できるものの、いざ振り返るとお互いどういう関係性であるかはモヤモヤしてる。

だからハッキリとした言葉や指輪といったモノを女性は欲しがる。中途半端に経験を積んだ女性…いや全ての女性に通じそうな苦悩が読み取れます。とはいえ、ジュンコは読者が共感できるキャラクターというより、やはり一歩退いて見て楽しむタイプかなって個人的に思いました。実際にはいそうでいないタイプかなと。

まあ色んな狂気に満ちた男キャラクターを楽しみたい方ならどうぞ、って感じの恋愛マンガ。星川高嶺に関して言うと、お坊さん自体がそもそも昔から煩悩まみれというイメージがあるので、実写ドラマで演じる山下智久を含めて、どこまでギャップ感を演出できる設定かは疑問も残りますが。

既に『5時から9時まで』最新11巻は先月9月末に発売済み。



◯展開★3.5◯テンポ★3.5
◯キャラ★4.5◯画力★4
◯全巻大人買い★3.5
◯おすすめ度…84点!!!!