『4コマ勇者』のネタバレ感想。作者はギユー。レジンコミックスで配信中のファンタジー漫画。こちらもリクエストがあったのでレビュー。

http://www.lezhin.com/ja/comic/cartoon_hero/p1
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あらすじ

主人公は勇者・ジッド。世界を混乱におとしめる魔王を今まさに倒そうとしていた。

4コマ勇者 ジッドと魔王のエロ本
ただ魔王が持っていたH本を見て、勇者・ジッドは何かが覚醒。まさかのオタク道に突き進む…みたいなギャグ漫画。ちなみに画像に写ってるのは、デフォルメされすぎた勇者の姿。

4コマ勇者 ゲスいジッド
実際にはM字バングなヘアースタイルの、街中にいそうな兄ちゃん風。敵がトイレしてる最中に正々堂々と攻撃しちゃうような卑怯者。


オタク向けの内容

4コマ勇者 ゼナと勇者
『4コマ勇者』はオタク向けの内容ってことで、勇者ジッドがメイド喫茶とか行っちゃいます。しかも何故かそこには魔王の手下ゼナが働いてたりします。

4コマ勇者 ゼナは腐女子
だって、このゼナも腐女子だからー!(チャン・ドンゴン風)

4コマ勇者 パロディー 聖水
DEATH NOTE』のパロディーネタがあったりします。

4コマ勇者 師匠のドラゴン
笑いのノリも決して悪くありません。


画力はハンパない

作者・ギユーの画力はハンパない。キャラクターの表情も上手い。ときたま見せるアクション描写も上手い。キャラクターデザインも◯。オタク向けってことで、多少のセクシー描写も上手いです。

フルカラーということもあって、もしかすると個人ではなく数人単位のマンガ家集団なのかも。


メインの軸が分からない

ただ『4コマ勇者』のメインの軸が何なのか分からない。

オタク向けの内容だと思いますが、その割にネタの掘り下げが浅い。だからといってアクション描写が満載ってこともなく、また画力の高さを活かしたセクシー描写が多いわけでもない。どういった読者層に受けてるのかが案外見えづらい。

世界観も現代なのかファンタジーなのか分からない。主人公の勇者は魔王を倒したあと、無職ニートになって就職活動を始めるわけですが…
4コマ勇者 世界観が分からん
何故か面接官がスーツ。他にも主人公がテレビでアニメを見てブヒブヒしたり、フィギュアで萌え萌えしたり、前述のメイド喫茶もそうですがゴチャ混ぜされすぎ。このニートネタも掘り下げが浅く、いつの間にかニートという設定も消えてるので、やはりこれもメインの軸にはなりえてません。そもそも面接官が勇者の存在を知らないのも解せない。

『4コマ勇者』は全体的にフワッとしたファンタジーギャグ漫画って感じですが、マンガとして掴みどころがなく、どれもが中途半端で終わってて内容が薄い。そもそもタイトルこそ『4コマ勇者』なんですが4コマではなく、1ページ完結のスタイルにすらなってない。何故か下手なストーリーものに仕上がってる。

トータルすると「どうしたいの?」という一言に尽きます。もっというと「どこがウリなのか?」が見えないマンガ。


総合評価

『4コマ勇者』は基本的に一つ一つのボケは悪くないですが、話の流れでの笑いは少なめ。起承転結もなく内容が薄い。久しぶりに使う表現ですが、イケメン俳優の大根演技を見てるよう。せっかくの画力の高さを活かすのであればアクションやセクシーを軸にするべきだと思いますが、これでは「画力のムダ使い」に終わってしまってる。

また『4コマ勇者』は下手に話が途切れないので、全体的に冗長で読んでて疲れる。ギャグ漫画だからこそ短い区切りがいちいち欲しい。そうでなきゃ読者がもし途中で挫折してしまったらストーリーの展開に付いていけなくなるので、それ以降の話は絶対に読まなくなるから。

じゃあ何故 ダラダラと話だけが進んでいくのか?

漫画家になるために必要な力は短編を描く能力」という記事をかなり前に書きましたが、おそらく作者に短編漫画を描く力がないから。ショートストーリーを作る力があって初めて長編マンガも描けるようになる。B5ノートやA4ノートでもなんでもいいですが、限られたスペースの中に起承転結がある話を収める練習をした方がいいかも。

あと『4コマ勇者』はコマ割りの使い方も独特というか意味もなくフリースタイルすぎる印象。『ガンカンジャー』の場合は一種の芸風・表現方法だと個人的に見なしましたが、イラストを繋ぎ合わせた延長線上というかか、これに限らず日本の漫画のスタイルにもう少しハマって欲しいところ。逆に日本以外の世界も意識してるのであれば、セリフに頼らない笑いを作った方が良いかも。

もちろん日本でもこれぐらいのマンガは発売されてると思いますが、ちょっと力不足感は否めません。雰囲気だけって感じかな~。