『20世紀少年』全24巻のネタバレ感想をレビュー。作者は浦沢直樹。掲載誌は週刊ビッグコミックスピリッツ。出版社は小学館。ジャンルは青年コミック。唐沢寿明が主演で実写映画化されるなど人気作品。

あらすじは後述しますが、大阪万博から今年2015年はちょうど45年目の節目の年らしいので、何となく面白いかつまらないか考察してみた。

ちなみに『20世紀少年』はこの全22巻では完結してません。『21世紀少年』という別タイトルに移行してようやく完結した。だから『20世紀少年』の記事ですが、実質的には『21世紀少年』の上下巻分も含めた感想レビューになります。そこでいわゆる「トモダチの正体」も21世紀少年のラストで明らかにされるのでネタバレ込みなので閲覧注意。


あらすじ物語・ストーリー内容

時代はノストラダムスの大予言が流行っていた、1997年。コンビニを経営する主人公のケンヂは、姉の娘のカンナを養っていた。ただ、ある日、小学校時代の同級生ドンキーが死んでしまう。それを堺にケンヂの身の回りだけではなく、世界中で大規模テロが発生。

そしてケンヂは気付く。
20世紀少年3巻 よげんのしょ
(3巻)
それは自分が1970年代に小学生だった頃に同級生たちと描いた「よげんの書」と呼ばれる、空想物語をそのまま具現化したものだった。

20世紀少年1巻 トモダチマーク
(1巻)
世界中で起きる事件を裏で暗躍するのが、「ともだち」と呼ばれる謎の人物。でも、「よげんの書」の存在を知ってるのは、当時ケンヂと友達だった誰かということになる。

じゃあこの「ともだち」とは一体誰なのか?ということを軸に、1970年代の時代背景も織り交ぜたサスペンスが展開されていく。


70年代の世界観を活かしたSFサスペンス

主人公ケンヂが小学生だったのは1970年代。作者・浦沢直樹の小学生時代も、ちょうど1970年代。自分の記憶や経験を元に描いてる部分も多そう。ちなみにタイトルの「20世紀少年」とは、1973年に発売されたT・レックスの「20センチュリー・ボーイ」をオマージュしたもの。

20世紀少年3巻 忍者ハットリくんのお面
(3巻)
だから実在する忍者ハットリくんといったキャラクターも登場。「ともだち」はお面をちょいちょい使い分けてて、この幼稚さが気持ち悪い。また子供だった当時から成長してない未熟さも演出できてる。

外にも、万博などリアルの出来事や時間軸と絡めてたりして、作者の浦沢直樹がリアルに生きた時代だったからこそ描ける「リアル」がある。当時の時代背景や空気感なども読み取れて、浦沢直樹と同年代以上の読者はまた読み方が違ってくるかも。

20世紀少年22巻 ロボット
(22巻)
こういう巨大ロボットが登場してみたり、子供たちが空想・陰謀した荒唐無稽なヒーロー像や世界の終末をそのまま具現化。滑稽すぎる発想だからこそ、それが実現された時の恐怖は顕著でジワジワ来る。

希望に満ち溢れた過去(70年代)と不安に満ち溢れた現在(00年代)が妙に連動して、得体の知れない「悪」がうごめく。そこには自分が思い出せそうで思い出せない記憶が、根源良くも悪くも、モヤモヤした何かを軸に謎を紐解いてていく展開は、気持ち悪いリアリティーもあって、それなりに楽しめた。


トモダチの正体とは?

ただ肝心の「トモダチ」の正体が…もっと言えば、肝心のメインディッシュがひたすら「ポカーン」というオチ。

21世紀少年下巻 トモダチの正体はカツマタ
(21世紀少年下巻)
答えをネタバレしておくと、トモダチは「カツマタ」という少年。理科の実験が大好きだったんですが、フナの解剖授業の前日に死亡したという噂が流れてたキャラクター。実写映画版でもカツマタがトモダチの正体。

ただ1巻から登場してるものの、素性は一切不明。だから意外という驚き感もなければ、妥当という納得感にも欠ける。まず思い出すという作業から入って、結局「ん?」というポカーンしか生まれない。フクベエ、サダキヨ、山根など色んな悪役キャラクターが登場したものの、どこをどう解釈すれば、カツマタという結論しか導き出されないんでしょうか?

20世紀少年10巻カツマタ
(10巻)
10巻では「遠足で一枚も自分が写ってる写真がない」とあるので、そこぐらい?

浦沢直樹は「明快な答えを出すのが正解じゃない」みたいなことを言ってた気がしますが、そこだけ切り取ったら確かに正論。ボヤかしたまま終わった方が余韻が引くということもあります。

でも『トモダチの正体』を煽って煽って、連載を続けてきたわけで、さすがにそういう言い訳はナシだよなーと。このマンガのオチの根幹だったんだから、そこがしっくり腑に落ちなかったら致命的なエラーと言わざるを得ない。

じゃあせめてケンヂの「カツマタくんだろ?」というラストのセリフは要らない。明快な答えを出さないと言っておきながら支離滅裂もいいところ。


総合評価・評判・口コミ

『20世紀少年(21世紀少年)』のネタバレ感想をまとめると、「終わり悪ければ全てダメ」という典型的な漫画かな。序盤は雰囲気だけで読めて面白いんですが、やはり中盤から終盤にかけて最終的な「謎解き」にストーリーが向かい出すと微妙。作者・浦沢直樹の発言を聞いている限り、答えを用意してなかった雰囲気もあって、そのことが如実につまらなさに繋がってる印象がします。

20世紀少年11巻 カンナの超能力
(11巻)
結局、カンナの超能力がなんだったのかも分からず、全体的にまとまり感がなくてモヤモヤ。完結編の21世紀少年ですら、終始ボヤかそうと展開がグズグズしてたぐらいだから、15巻16巻ぐらいから始まる「トモダチ歴」以降はお察し。やっぱり一向に解決に向かわない展開に終始。

20世紀少年16巻 トモダチ歴・地球防衛軍
(16巻)
例えば地球防衛軍のための巨大な施設を作ったり、街中は1970年代風の粗雑なボロ小屋ばかり。でもちょっとスケール感がムダに巨大化しすぎて、ちょっと萎える。序盤は手頃なスケール感で展開してたからハマれたんですが、デスノートでも言えるけど、マンガ家にはもっと「ちょうどいいスケール感」を大事にして欲しい。

トータルの結論をまとめると『20世紀少年(21世紀少年)』は「まともに読んだら負け」。あくまで雰囲気だけ楽しみましょう。